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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
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39話 灰の世界

グロ表現があります。

謎の爆発によりリャザンが壊滅して既に5日。

ソビエト共産党はこの出来事を、ドニラス帝国による空爆と片付けた。

さらに徹底した情報統制により事実をねじ曲げた。

現在確認されている死者数はコピー人間が78万人、軍人は5万人。民間人含めて重傷者12万人。死者数は未だに増え続けている。

さらにほかの地域から来た救助部隊も原因不明な病気で倒れている。

健康だった人がこの街に来てしばらくしたら突然髪の毛が抜けその後熱がでる。吐血する。そして突然ぶっ倒れる。

何がなんなのかわからない。

この都市の中心部だった所にたっているフリッツ中佐。彼は、誰の骨かすら分からない遺骨を手にし、泣いていた。

フレディック中佐が死んだ。

フレディック中佐はあれを直撃し、即死したという。

これをしって俺は、あいつは()()()()()()()()()()って思ってしまった。


「なぁフレディック中佐、俺ってもう人じゃないかもな。おかしくなっちまったのかもな。何しろフレディック中佐の死体を見て、特に苦しまずに死んだんだなぁって。何しろほかの死体を見たらもう、無惨で悲惨で。あんな死に方するより一瞬で楽に死ぬほうが幸せなんだろうなって。」


俺は見てしまった。

片腕が無い人。指先からドロドロに溶けた皮膚が垂れ下がった人。

体に無数のガラス片が突き刺さった人。

そして、水をくれ水をくれと叫ぶ人達。

彼らに水を与えれば死ぬ。

目の前で我が子が死んでも泣くことも叫ぶ事も出来ない母親。

その母親も、重度な火傷が原因でその後死んだ。


さらにトドメを指すかのような、大量のハエ。

ハエは死体に、瀕死の人に卵を産みつけ、蛆虫を発生させる。

グロいなんて言葉はもう無い。見慣れてしまったのだ。

雨によって火災は収まったものの悲しい世界だ。

見渡す限り、植物は全滅した。

人も建物も植物も全てが無くなった、灰の世界だ。


「なぁフレディック中佐。この国ってこれからどうなると思う?おそらくあれは兵器だ。あんなもん作る国を相手に戦うなんて。これからこんな事が何回も起きるんだろうな。ソ連はもう、終わりだな。」


「フリッツ中佐」

後ろから党服の男性が声をかけてきた。

「そうですがあなたは?」


「私はソビエト共産党 人民局の者です。フリッツ中佐、至急モスコに来て頂きたい」


人民局。ソビエト人民を管理する所であり別名粛清局。何しろ粛清される人達はこの局から通達が来るのだから。

なるほど。俺はこの責任を取らされるのだろう。

フレディック中佐、君のところに直ぐに行くことになるだろう。

あの世で酒でも飲もうか。


フリッツ中佐は、人民局に連行された。

北条首相「今回リャザンに落とした爆弾は?」

森田大将「は!原子爆弾の中型です。」

「これで作戦の準備は完成か?」

「はい。ソ連東部海軍の艦隊30%が消滅しさらに造船所もなくなった為しばらく東部海軍に大規模な作戦は不可能です。」

「ほう。30%も消滅とはなんて威力だ。」

「最強の水爆、巨匠を使えばソ連東部海軍は1発で壊滅しますが気候変動などを考えますとこれくらいが妥当かと」

「巨匠か。ツァーリ・ボンバの上位である水爆か。強すぎる兵器も困ったものだな。」

「ええ。今回の原子爆弾投下、第二次世界大戦後初という事もあり、動揺もあります。」

「それも仕方あるまい。殺るか、殺られるかの世界だ。それにあちらさんにも核兵器持っている可能性があるんだろ?」

「都市伝説みたいなものですが」

「奴らの情報統制はなかなか強力らしいからな」

「ええ。ですからこの森田大将は、スパイの精鋭である結城中佐から真偽を確かめていますよ。」

「そうか...」

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