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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
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37話 悪魔の兵器

「アトランティアスの透明機雷でもソ連海軍を止めるのは不可能。どうするつもりなのかね?」


と細田を問い詰める防衛大臣。実は先程ソ連海軍の総数が判明したのだがその結果が異常だったのだ。大陸奪還作戦を変更しなければならないくらいである。

ソ連海軍にはまず中央海軍、西方海軍、東部海軍、遠洋海軍とそれぞれ独立している。なぜなら艦数が多いからである。

東部海軍。今回の作戦で最も邪魔なものでありその内訳は。

軽空母含めた空母45隻

戦艦 86隻

重巡 45隻

軽巡 160隻

駆逐 560隻

潜水艦 200以上


重巡の数が他に比べて少ないのは軽巡と軽空母の建造を優先したからだとか。だが現在進行形で駆逐艦と軽巡の数は増えている、

それも物凄い勢いで。

これは造船所を叩かねばならないだろう。


「なら核兵器で潰しましょう。あれなら艦隊ごと消滅できます」


と細田の爆弾発言に集まっていた各将校は開いた口が塞がらない。

「何を言っているのか理解しているのか?軍人はまだしもあそこに核を落とせば民間人も死ぬのだぞ!そんなこと出来るか!」


「なら皆さんにききます。人間の定義ってなんでしょうか?人工的に作られた人間は人間ですか?あの造船所周辺にいる人は人体錬成で出来た人間です。さらにいうとソ連にいる者達のうち50%が人体錬成によって出来た人間です。人間が作ったロボットに人権はありますか?それと同じです。あの錬成でできたものは人ではない。ロボットと同じだ」


たしかにそれなら核兵器を使っても問題は無い。汚染という問題を除けばだが。

だがそれは同時に人体錬成でできた人は人ではないと認めた事になり物として扱われてしまう。

そうなるとどうなるか?戦後、人身売買が復活するだろう。


だが造船所と艦隊が無くなれば少ない代償で大きな見返りがある。

「せめて海上にいるソ連艦隊にしないか?」

譲歩を求める防衛大臣だが細田の答えは。


「ダメだ。艦隊に核兵器使用しても造船所があれば直ぐに復活する。錬金術は厄介すぎる。」

譲らない細田。


「わかった。なら使用する核兵器は原爆だ。水爆は威力がありすぎる。これ以上は無理だ」

「わかった。原爆の使用許可を」

防衛大臣は折れてしまった。

国防か、敵国の人権か?天秤にかけた結果国防を優先してしまった。だがそれも仕方ない。防衛大臣の最大の仕事とは国防であると。これが間違った選択ではないと考えるしかないのだと。


「防衛大臣、1つ言うことがあります。歴史とは誰が作るものでしょうか?」


「そりゃぁその国の指導者だろ?」


「違います。歴史とは勝者が作るものです。例えば幕末。薩摩藩は幕府を挑発するために城下を荒らします。もし幕府が勝てば薩摩藩はテロリストになっていたでしょう。近い時代で言えばナチス・ドイツです。ナチスはユダヤ人殺害を正義みたいにしてます。ですがドイツがあの大戦で負ければナチスはただの虐殺集団として扱われていたでしょう。そういう事です。勝てば官軍負ければ賊軍。それが世界というものです」


勝てば正義か。酷いものだな。

だが負ければ全てを失うというのはわかる。

それは歴史が証明している。

なら勝つためには悪魔の兵器の使用もせねばならないのだろう。

後世では必要な犠牲として扱われるのだろう。むしろ落とされて当たり前と言われるかもしれん。


こうして日本は初の核兵器使用へと進み始めた。

それは戦争を早く終わらせるためか?どれくらい短くなるかなんてそれは誰にも分からない....

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