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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
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37話 リヒテンフェルス海戦4

「何!?アラフォーンにて皇国軍が敗北だと!?」


自室にて、日本との講和の為の作戦を練っていた中、秘書官のアンリエッタから飛んできた報告。

それは、アラフォーンにて皇国軍主力と日本、中国、バハルス連合軍との戦闘開始と敗北の知らせだった。


「はい。敗北した皇国軍は、現在撤退中。アルヌにて建て直ししているという情報もありますが、占領地での反乱が相次いでることもあり、詳細な情報は不明です」


「このことを陛下や、国民は?」


「天子様含め軍部と首脳部は把握してますが、情報統制を敷いており、近々勝利したと虚偽の報道をさせるとのことで」


皇国に敗北は許されない。

転移前の世界では皇国は連戦連勝。建国神話もあり、皇国それは勝利であるとして国民に根付いてる。そして、我が国が負けたのはドニラスのみ。

ドニラスの皇都襲撃は苛烈であったと言われている。天子様が住む天上宮殿を除くありとあらゆる建物がドニラスの空中戦艦により破壊され、当時の皇都の人口の半数が亡くなったとされている。


この恐怖は国民に深く残った。それと同時に、ドニラスへの復讐をという感情も生まれた。


「わたくし達しか知らないのであれば、それを利用して政府への不信感を煽ればいいのですわ。」


「更に、第三皇子は生きてるが重症。第一皇子は戦死。第二皇子はまだ大陸にいるという情報も使わうわよ。」


それを聞いた秘書官は、アレクシアのこの成長に感激する。


(ちょっと前までは、議会であれだけの敗北をしたのに。今や人を操れる、天子としての器に育っている。)


アレクシアは、この国をひっくり返すと聞いた時は不可能、無謀と決めつけていた。だが、


「あなたなら、この国をきっと救ってくれる。そう信じてます」


秘書官はそう、小さく呟いた。


◇◇◇◇

「あれが、ニホンの船か...小さく、そして大きな砲塔もない。駆逐艦ではないか。いや、巡洋艦くらいか。数は多くないが、その少ない数で我々はここまで追い詰められたという事か。」


皇国海軍 2割が沈没。2割中破以上。航空機は9割撃ち落とされた。砲台はほぼ機能を失った。たくさんの命と、皇国の技術の結晶が失われた。だが彼らのおかげでここまで接近できた。


ここで決める。


「全艦突撃!一泡吹かせてやれ!」


「は!」



空を埋めつく砲弾に、飛び交うミサイル。皇国最新鋭の魔導艦でも撃墜は不可能な攻撃。


爆発音と共に船が大きく揺れる。直撃したか。


「損害を報告!」


「だ、第二砲塔被弾!第1、第3砲塔制御装置破損、機能しません!」「第3〜6管理区火災発生!」「死傷者多数!」「右舷下部、魚雷による被弾!推力低下!」


「左舷注水!速力低下は構わん!そのまま突っこめ!残りの砲塔、第4〜8はそのまま砲撃を続けろ!ある程度接近して碇を下ろせ!土手っ腹を晒してやれ!」


艦橋より後ろにある第5〜8砲塔は現状敵を攻撃できていない。本来なら旋回しながら砲撃するものだが、そもそも接近すら不可能と判断し、1番被害が出やすいがその代わり全火力を出せる方針へ切り替えた。

そもそもこの船、ノイデンブルク魔導艦は350mもある巨大戦艦である。大和が小さく見える上に、その速度も特殊なエンジン、魔法と科学の融合、物理法則を1部無視した超技術の魔導エンジンによって速度は脅威の30ノット。

さらにこの鉄壁の防御力では日本ですら簡単に沈めやしない。


現に、かなり攻撃を受けているがまだまだ持ちこたえられる。ここでリッドシュタッドは賭けに出たのだ。そう、日本は必ずこの船を迂回することなく接近する。


そう判断したリッドシュタッドの賭けは当たる。


日本は集中砲火を受けながらもじわじわと接近。


そして日本の船は、空高くへミサイルを数発発射した。


直後、日本の船に砲弾が当たり、一撃で船は沈んだ....


その直後、日本の艦隊は一斉に反転し撤退を開始。



「うちかたーやめ!」


「提督、追撃は!」


「無駄だ。奴らは空へ何かを打ち上げた直後一斉に撤退を始めた。目的を達成したということだ。これ以上の攻撃は無意味。勝敗は決した。我々の負けだよ」


そうリッドシュタッドはいい、帽子を脱いだ。

ノルデンブルクは第7砲塔以外全てが破壊され、対空砲もレーダーも全て壊れた。

推力は半分以下にまで低下し、暫くは修理で動くことは出来ない。


艦隊も半壊した。護衛艦は大半が沈み、砲台は全滅。主力艦も旧式は沈み、大型艦も数ヶ月はドック行きだ。皇国海軍はまともに数ヶ月は機能しない。


「さて、本国はこの結果をどう捉えるか...」

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