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例え世界が変わっても  作者: パピヨン
第二章 皇国編
19/89

16話 日本上陸

日本観光続きます

「わらわにとって守るべきものは、家族。次に仲間なのですわ。わらわが知っている人だけでいい。それだけは守る。それを守る為に私は戦う。」...


アレクシアは考えていた。守るべきものを。

ニホンと皇国の違い。それは果たして文化や技術力の差だけなのか?もしかしたら根本的な考え方の違いでは無いのか?それを確かめるべきだ。


「わらわは、もっとニホンを知らなくてはならないとですわ。」


ふかふかなベットから起きた彼女は、服を着て、支度を始める。皇国の運命は、わらわの手の中にあるのだと。


◇◇◇◇

この基地には空港もある。民間との共用だが。

まだ建設途中であるため、ターミナル部分が未完成だったり、柵もお粗末だったりといわゆる、羽田空港や関西空港のようなものではなく、だだっ広い滑走路に、搭乗用の設備があるだけの簡易的なものだ。

だが、そもそもジェット機なんか見たこともないアレクシアからしてみれば、巨大な飛行機は恐ろしく見える。


(空飛ぶ船だ。動力源がないのにどうやって飛ぶのだ?いや、このバカでかい筒が動力源?私の知らないものだ)


「これに乗るんですわの?」


「ええ。プライベートジェット機です。VIP用ので、私も初めて乗るの。」


と、少し気分のいいかおる。彼女は横田将軍の計らいで、アレクシアのボディーガードとしてついて行くことに。もちろん、流子もいる。


「今回はこれに乗って厚木飛行場に行きます。そこから車、電車に乗り換えて外務省本庁に行きます。その後に箱根で1泊。翌日東京観光となります」


「厚木なの?羽田じゃなくて?」


「かおるさん。一応非公式なのと、規則で軍機、VIP機等は羽田に着陸できないのです。」


アレクシアには分からないが、ニホンは軍事国家では無いらしい。軍隊が優位では無いのか。


とりあえず、言われるままに飛行機に乗り込む。

内装は、皇国のとはまるで違う。とてつもなく広く、何よりホテルのようだ。

柔らかい椅子。目の前にはテレビ(昨日かおりに教えてもらった)に、冷蔵庫まである。

高級ホテルのような、この至れり尽くせりの環境。これが航空機の中だとはとても思えなかった。


しかも、先程から寒くもなく暑くもなくちょうどいいこの室内の温度。皇国にはここまでのものは無い。いや、そもそも航空機を持っている国が、他の列強以外ない上にここまでのものを揃えてるのは、ドニラスくらいだろう。

魔法というデタラメが一切ない、言わば皇国の未来形がこれなのかと。

技術力の差を痛感する。


なるほど。これが科学技術の最先端というわけか。


アレクシアは、この光景全てを目に焼き付けた。


◇◇◇◇

厚木飛行場


軍用でも、旅客用のでもない、民間用の飛行場。

元は帝都を守る、帝国海軍の基地として作られ、大戦後の軍縮と、帝都防空機能が別の飛行場に移ったこともあり、軍から民間になったのだ。

この厚木にアレクシアは降り立った。


初めて降りた異国の地。アレクシアにとって初めての外国。


季節は夏なのか、少し暑い。皇国だともう少し涼しいんだが。皇国より南だからなのだろか。

周りには黒く高い壁があるため、基地の外は見えない。



「あっつ〜。元より暑くなってない?てか今冬じゃ無かった?」


と、着ていた軍服を脱ぎ、カッターだけになるかおり。


「気象庁も、お手上げらしいよ。この異常気象というか、転移後初の冬。いや統一歴?基準なら春だけど。」


流子も着ている服を1枚脱ぐ。


「流子よ。嘘だろ?春ってもうちょっと涼しかった気がするぞ。春眠暁を覚えずの春眠はどこいったんだよ。暑すぎて眠りにもつけない」



「むしろ寝ない方が助かるし私は歓迎する。赤牛でも送る?翼が生えるかもよ?」


「カフェインの王様ね。それ部隊分単位でくれる?」


「自分で買いなさい?」

◇◇◇◇

行きと同じくセンチュリーに乗って、シュトコウ?という高速道路を走っている。

私がみたニホンという国は、異世界だった。


巨大な建物、ビル群を縫うように走る高速道路。

大量の車に、見た事も無いような色々な機械。

文字は読めないが、恐らく地名なのだろう。

あちこちに看板があり、またあちこちで道が合流している。

方向感覚を失うような、曲がりくねった道路。地上を走っていたはずなのに地下を走ってたり。

何故か、気持ちが高揚とした。自分の知らない世界が目の前にあると。


流子が何か言ってるが、窓の向こう側に夢中な私には何も聞こえない


◇◇◇◇

霞が関。

かつて日本の政治の中心だった、皇居でもある江戸城。

そのそばにある巨大な建物。外務省。

その中の小さな会議室で、ついに皇国と日本との初の外交交渉が行われようとしていた。


皇国代表。アレクシア皇女殿下。

日本代表 外務省 外務大臣 藤原杏果。

外交官兼書記 流子。


「今日の会談は、今後の皇国と日本との国交を結ぶ前段階に当たるものです。実りのある会談にしましょう。」


とニッコリ笑顔で話す杏果。


「ええ。こちらこそ」


身構えるアレクシア。

アレクシアは外交を特に理解してない。完全に何も分からぬまま放り込まれたこの環境。既に皇国の思惑から既に外れていることだけは理解していた。


「日本側の国交樹立の大前提は、我々国民を不当に扱わない、条約や法律を守ることです。」


法律とは列強法の事だろう。列強国間が、守らなければならない法律。これを守らなければ、蛮族とみなされ討伐戦争を起こされても文句を言えなくなる。

しかし、これを結ぶという事は、相手を列強国と認めることになる。


つまり、皇国がニホンを同じ列強国として認めなければならない。


今のニホンを知った私ならそれでいいのだが、果たして皇帝がこれを認めるかどうか。皇族がこれを容認するのか。


しないだろう。故に

「不当に扱わないのは勿論ですが、条約というのは?」

と、答えるしかない。


「そうですね。関税自主権や領事裁判権等を認める事。安全保障や人権等、領土に関する内容ですね。」


アレクシアに外交の知識はなく、その場での決定は徹底的に避けつつ、書面に残し、持ち帰るという方向で話を持っていった。

この会議は皇国の今後に大きな影響を与える事となる。


◇◇◇◇

会議が終わり、疲れ果てたアレクシア。

(疲れましたわ。甘いものが食べたいのですわ。というかベットで寝っ転がりたいのよ。身分全部捨てたい、いや、わらわは皇女。皇室としての自覚を持つのですわ)


かおりの計らいで、今日はこれからトウキョウ観光という事になっている。

何でもお忍び?ということでニホンが用意した服装で回ることになるそうだ。


ニホンの首都 トウキョウ。しっかりとこの目で見なくては。ここに来るまでにも見てはいたが、乗り物の中から見るのとでは違う。


トウキョウ タイトウク アサクサ


というところに来た。真っ赤な門。奥に見えるのは、ビルと違う、異質な赤い塔。恐らく何かの宗教施設なのだろう。

皇国にも似たようなのがある。これの青色の建物が。

きっとこの施設も何かの神様を祀っているのだろう。私からしてみれば異教の神様になるが、だからといって否定するつもりは無い。皇国はあまり宗教と繋がりが深くないのだ。だからこそ、宗教との繋がりの深いレミリアや、他の列強国とは宗教に配慮した態度を取らなければならない。

ニホンも宗教との繋がりが深いのだろう。

ここもだが、コウキョという建物にもここと似たような門の形をしている。また、ほかの建物の敷地に何かを祀ったような小さな台座がある。また、何かを象った石像もチラホラある。

十字の大きな模様のある施設もそうだ。他国で似たようなものがあると聞く。教会かなにかだろう。


そうに違いない。


「凄い人ですわね。」


アレクシアはそう呟いた。他国の教会でもここまで人集りができることは無い。

そもそも教会の敷地に入る事すら庶民では出来ないのだ。何故ここは庶民でも入れるのか?


「そうですね。日本全国から観光客が来ているので」


流子は答える。


「全国っ!ここは宗教施設なのですよね?庶民でも入れるようにしているのですか?」


「そうですね。宗教施設っちゃ宗教施設なんですけど、今はもう観光地となってまして。建物や景色、ご飯とかを楽しむ場所となってます。ほら、狂い咲きの桜が咲いてますよ〜。今狂い咲きの桜の観光シーズンですし」


流子曰く、お参りという宗教文化が庶民にも根付き、ご利益を求めて全国から人が来るのだという。さらに、その観光客を狙って屋台や、お店があり、さらにそれを目当てにくる人もいるのだという。

なるほど。皇国にはそのような文化はない。行事として庶民が楽しむ祭りはあるが、こういう大規模な観光地というのはあまりない。これはかなりいいことを知った。


流子は、少しづつ、日本という国の文化を知っていった

転移の影響により、日本の季節は転移前の真逆となってます。さらに、亜熱帯気候の影響でさらに暑くなってます。

それでも、人々は段々と順応していく。植物も狂い咲き等影響は大きかったが、段々と順応していく。そんな段階です。

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