10話 帝国の力
忙しくて間空きました。
ドニラス帝国首都 トルゴニア
ここは地中200mにある地底都市だ。この世界の最強国家だけあって、鉄道や車があった。だが仕組みは私たちの知るものとは違う。列車の車輪がひとつだったり、三輪自動車だったりと。
私達、帝都大学魔法学部は今、トルゴニアに来ています。
広さは、よく分からない。本当によく分からないのだ。広すぎるということだけは分かる。地下と言うだけあって天井はある。しかし、奥行は分からない。地平線まで続いてるような錯覚を覚える。
建物も天井からぶら下がっているやつもある。それに鉄道も、車輪が1つしかない。そして、何故こんな地下深くに都市が出来ているのか?
その理由はどうやらエルフの魔法、植物を利用した都市の緑化魔法を避けるためだという。
都市の緑化、聞こえはいいがその魔法は都市そのものを森に変えるのだ。その威力は凄まじく1時間で都市機能が全て麻痺するという。
ただしこの魔法の弱点は、生物を直接殺すことが出来ないと言う。だが、人を植物で埋めることは可能だという。それを使い、植物であらゆるものを多い生き埋めにするという。だが日光の届かない地下ではこの魔法は使えぬという。
「ねぇ、副部長、この国どうなってんですか?重量を一切考えてない建物によく分からない車、そしてここに着く前に見たあの空中船」
とおどおどしながら言うのは十文字 隼人だ。
実はここにくる少し前、地上で16隻の空飛ぶ船を見たのだ。近くにいたドワーフは空中戦艦と解説してたが、自分の目がおかしくなったのではないかと疑ってしまった。さらに浮き砲台というものもあった。一言で言えば、別世界に来たような感じだ。あ、ここは異世界か。
「で、おまんらが日本国の帝都大学の魔法学部か?」
横にいた小さいドワーフの男性が尋ねてきた。
「ええ。私は副学部長 九条院彩子よ。」
「おらの嫁よりべっぴんだなぁ。うちにこんか?」
「え?」
「冗談だよ冗談。おらの名は ドワルゴン ゴリアーテだ。さてと、おまんらは魔法を習いに来たんだな?」
「はい!」
「おら達の魔法はこの下で使われてる。きな。」
と、ドワルゴンのあとをついてさらに下の階にいくと、先程の所とは一風変った所に来た。どうやらここはドワーフの作業場見たいだ。そこには大量の船があった。あの空中戦艦だ。
どうやらここで造られているみたいだ。
だが、見た感じ、作業用のマシーン、フライス盤とか旋盤とかそういうのが見当たらなかった。
「あのぉ、これ、どうやって造るんですか?」
「お、いい質問じゃな。今から見せてやる。ほれ、来な。」
と連れてきた所は溶鉱炉らしき物のところだ。大きな溶鉱炉らしきものが置いてある。
「ドワーフなら誰でも出来る加工。まず、ここから適当な量の鉄を取り出し、適当に叩けばほら完成」
と、液体の鉄を取り出し、ハンマーで叩いたら複雑な部品ができたのだ。
「すみません。何がどうなったらこんなのが出来るのか。切削とかそういう工程は無いんですか?」
「切削?あぁあれの事か。あんなもんいらん。自分の作りたいものを考えて叩けば出来るさ」
「どう考えてもあんなもん出来ねぇよ」
「何を言ってんだ?考えるな。感じろ」
「考えを放棄したら終わりだろ!」
と西園寺の精一杯のツッコミだった。
「全く、ぬしらにもう一度見せてやるよ。まずそこから適当に鉄くずを拾って、適当に叩けばほら、できるじゃろ」
鉄くずを叩くだけで、複雑な部品へ生まれ変わる。デタラメすぎる。何がどうなっているか理解不能。
なるほど。これが魔法をある程度極めた存在、魔法士というものだとみな理解した。
科学なんざ知るか。全ては感覚で済ませられる世界。道理で他の国に人間の魔法士が少ないわけだ。こんなデタラメな事を出来るやつはそうそういない。
この研修結果は、後日レポートとして学校、そして国にも提出され、会議の結果、帝国の軍事力は絶大。
空中戦艦は、空飛ぶ戦車。いや空飛ぶ戦艦、金剛クラスの脅威と判断。浮き砲台もまた、脅威と判断。
空中戦艦を月に10隻は軽く量産できる事に付け加え、その理解することを拒絶する魔法の存在が分かり、さらにこの国と長年戦争していた神聖レミリア帝国もまた同様に化け物国家であろうという事も皆、理解した。
列強国とはこれくらいの国がウヨウヨいると思うと絶望する首脳陣であった