熊谷、木を切る
とりあえず、木、だな。でも、木やら集めてもいかだの詳しい作り方なんて知らんしなぁ……
「ま、時間はあるんだ。いろいろやってみりゃいいか」
俺は良い木を求めて歩き出す。
「こっちにあるだろうか?」
木、木、良い木、どこだ?…………お!
「この木、まっすぐだし太いし良いかもな……とりあえず、切ってみるか」
えー、っと?確か、木の倒したい方向に切り込み--いや、フの字みたいに切り取るんだったか?を入れて、それの反対のちょっと高い位置を切る……んだったよな?
昔ネットで見た知識だからな……あってるかはわからんが、やってみるか。魔法のことはよく知らんし、俺が知ってる中で一番使えそうななあの魔法でいいか。
「えー、[アブレシブジェット]の使い方はどうだったか……Gフォン、術一覧」
----了解しました。スペルブックを開きます。
えー、アブレシブジェットっと。あったあった。なになに?
「『難易度★★★☆☆。まず、異空間収納に研磨材(ダイヤモンドなどの粉)と水を混ぜたもの、そして大量の風を収納します。
そうしたら穴を小さく開き、水と研磨材を混ぜたものを、収納した風で対象に向けて押し出します。
注意点は、異空間収納の制御で使用後十万字の小説を一気に読み終わった程度の疲労感が襲ってきますので、使用後十分は休憩する事。
そして、二つのものを同時に出すことで魔力などを少し多くに使用しますので、使いすぎないことです』なるほど……」
風と水はいろいろな術に使えるからな。しっかりと収納してある。転生しはしたが異空間収納は魂ごとにあるからな。多分前のものが使えるだろう。ただ……
「問題は研磨材だな。砂粒でいけるか?やってみよう」
俺は素早く砂を異空間収納に詰めた。
「■■■--アブレシブジェット!」
木の一部をフの字に切り、一度アブレシブジェットを切った。
「おお、砂でも行けるぞ! それに力ももう一度行けるくらいはある。よし、もう一度。■■■---アブレシブジェット!」
俺は木の反対側を慎重に切る。お、倒れる!
ぎぎぎぎ----ズドッーン!!
「よし、切れた。だが、元天界人とはいえ俺は魔法が苦手だからな……魔力も精々人間の魔術師の2倍程度しかない。ここで限界か……加工も、した、かった……」
こうして、俺は気絶した。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
次回はもっと効率のいい切り方の考慮の回の予定です。