トネリ、覚醒
もうこの小説、熊谷いなくていいんじゃないかと思えて来ました。
--気がついたら私は、山で茸を貪っていた。私、筍派なんですが……
あ、チョコ菓子の話じゃないですよ?
「それはともかく、ここはどこなんでしょうか……あれ?」
いつもの癖でつい独り言が口から出た。あ、茸落ちた……三秒ルールでいけるでしょうか?
「というか……」
なんか声がいつもより高いような……
--ハッ! そうだ、私は確か熊谷さんと樽野郎に異世界に飛ばされて……えっ?体の感覚違う?
--これもしかして、私の体じゃない?
ポピンッ♪
「ほびゃっ!?」
な、なんか出てきた……えーと、半透明の、板っぽいものが浮いてる……茸、また落ちた……もったいない。
とりあえず、茸を食べた。
「ふぅ~、美味しかった。あ、そういえばこれ、もしかしてGフォン?」
GフォンならGマークあるはず……あります、ね。でも、機能一覧の機能、ほぼ灰色で選択できなさそうなんですが……あれ?
そういえば、熊谷さんいないな……とりあえず、私は熊谷さんに連絡をとるように強く念じた。
「むむむむむぅぅぅう」
----通話画面にすらならない。
え?もしかして、これ……私、端から見たら変な人?
慌てて辺りを見回す。
誰も居なかった。ほっ、と息を吐く。
「山の中でよかった~」
……次の問題は、灰色じゃない通話が何故使えないか、ですね。
--もしかして、この鬱陶しくピコピコしてるメール通知が関係してるんですかね?
「はぁ……タッチ、すればいいんですね?」
ぽちっとな
「うおっ!?」
なんか思ったより大量の文章出てきましたね……なんちゅー量ですか……
えー、なになに?
「『トネリ君、君がこれを見ているということは、無事に転生が完了し意識が覚醒したということだろう。
そこは世界番号900000001番、ファセレブァリだ。そこに熊谷君が魔王を送り出してしまったのは知っているだろう。
本当は神が個人で運営する世界には干渉してはならないが、その世界を運営しているのが新人の神でね…さすがに一つしかない世界が破壊されては、神としての格が下がるだけではなく、存在が消滅してしまう可能性すらある。
最近は神に至れるまで徳を積んでいる存在がまったくいなくてね。クオリティの高い世界を創造できる期待の新人が死んでしまうのは、本当にまずいんだ。
しかし、その世界は複雑なシステムで構築されていて、戦闘部隊を転移させると世界が崩壊してしまう。かといって今戦闘部隊を転生させて、天界の戦力を落とす訳にはいかないんだ。すまないね。
まあ、要するに自分のケツは自分で拭け。そういうことだ。ちなみに、君たちが仕事に集中できるようにGフォンの余計な機能は封じさせてもらった』」
なるほど……つまり、徳をツミツミ(天界で話題のゲームアプリ)ができない、と。
よぉーし。神通力とか使って魔王ぶっ飛ばしてさっさと帰ろっと。って、転生して今は神じゃないんだった!神通力とか使えない……う~ん、どうしよう……
「とりあえず、Gフォン、オフ」
まあ、まずは覚醒前の私が使ってた小屋に戻って寝よう。今後の予定は、なるようになるさ、ってことで。
最後まで読んでくださってありがとうございました。次話は熊谷の覚醒シーンの予定です。