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第一話 二人の騎士(前)

 八月、セミが鳴く季節。

 自然に囲まれたここは都会でなく田舎。けれど、ど田舎というほどでもない。

 空気が綺麗な町。そんなここが、私は好き。

 太陽の日差しが強く照りつける。そんな中私は、友人である若葉を連れて森の中を歩いていた。


 迷子になったわけではない。

 道路の脇に木々が並んでいる。そこからこの中に入ったのは初めてではなかった。

 懐かしく思いながら先に進んでいくと、ふと、珍しいものが目に止まった。


 ぽつりと寂しく存在しているのは井戸。

 何故だかその周辺一帯だけ綺麗に円を描いて木が生えておらず、地に生える雑草だけがその井戸を囲んでいる。


(こんな所に井戸なんてあったけ)


 小さい頃よくこの森の中を探検していた記憶はあるが、こんなところに井戸があるなんて知らなかった。

 引き寄せられるようにその井戸へ向かう。そして井戸枠に手を置き、中を覗く。よほど深いんだろうか、奥の方が薄暗くなっている。


 眺め続けていると井戸の奥底で何かがキラッと光ったのが見えた。確認しようと身を乗り出し、目を凝らす。ーーと。


「いった……」


 右目に痛みを感じた。ズキンズキンと音が聞こえてくるような痛み。

 右目を手で押さえながら後ずさる。


「里桜、どうした?」


 左目を薄く開けると、若葉の顔が映る。若葉が私のことを覗いていた。

 そういえば若葉と来ていたんだった。自分が速く歩きすぎていた事に気づく。


「井戸から、何か飛んできた」

「井戸から?」

(確か……ガラスの破片、のような物だったような)


 私が答えると、若葉は何を思ってか井戸に向かった。「井戸から物が飛んでくるなんて、ありえないでしょ」なんて言いながら。

 その井戸に近づかないほうが良いと微かに思ったが、止める事ができなかった。


 若葉の言っていることは一理ある。井戸の中に人がいるわけでもない、下から物が飛んでくるなんてありえないだろう。

 若葉は颯爽に井戸の中を覗く。


「中に誰かいるってわけでもないし。やっぱり井戸から物が飛んでくるなんてありえないわよ」

「でも……」


 若葉の口から出たのは否定だった。


(確かにこの右目に感じる痛みは本物)


 納得のいかないまま俯き、里桜がおもむろに顔を上げた時ーー。


「きゃっ」


 井戸を背にしてこちらに歩いてこようとした彼女の背後に、何かが飛んできたんじゃないかと思うくらいの風が通ったんだ。

 若葉の長い髪が風に揺れている。


「若葉」


 自然現象にしてはおかしい。一カ所だけに風が通るわけがない。

 そんなふうに思いながら名を呼び、目で訴えた。今のは何?……と。

 若葉にも分からない事だと分かってはいた。だけど訊くしかなかったんだ。

 なかったことにもできたのかもしれない。


「ただの風よ、風。 だから……」


 そう、ただの風だったのだと。

 平然としようとしている若葉だが、青い顔をしているように見える。


里桜リオ、早く逃げましょ……!」

「え、ちょ、若葉」


 私の手首をがっしり掴むと、若葉はそのまま勢いよく走り出した。

 森の中を全速力で駆け抜ける。

 どうして若葉はこんなに焦っているのだろう。確かにさっきの起きたことは自然と驚くことかもしれない。

 でもこんな風に逃げ出すほどのことでもないと思うんだけど。

 道路に抜け出すと若葉は足を止め、やっと解放してくれた。


「若葉、急にどうしたの?」


 膝に手を当て、息を荒くさせながらに訊く。


「何か背中に変なものが通った気がしたのよ。ゾクってして、嫌な予感がしたの 」


 若葉は霊感があるのかいつもこういうことを言う。だからたぶん、あの時は何か不吉なものが通ったんだ。

 ーー今の私にはそれしか分からなかった。






 静かな空間。木の葉が揺れ、ザワザワとざわつく心地いい音は、漆黒の彼にとってはどうでもいいもの。

 そんな彼とは対象的に、木の上に立っている男は安らぎを得ていた。

 里桜と若葉が森の中を駆け出して行った姿を見ていた純白の彼は、口を開く。


「ルカ、ちょっとやりすぎじゃない? 下手したらあの二人に当たってたよ」


 呆れた笑みを浮かべ、見下ろす彼の目の先には、さきほどまで妖猫の相手をしていたルカ。剣を片手に持ち、どこか納得のいかない表情をしていた。


「そんなことはどうでもいい。 氷力石の気配が人間に……。 どういうことだ」


 誰にも答えは求めず、まるで自分の中で状況整理をしようとしている感じだ。

 そんなルカは、木の上にいる男に一度目を合わせるもすぐに逸らし、長く太い剣を腰に下げているさやにしまった。

 詳しく言うのであれば、ルカが持っている剣は『ロングソード』であろう。


「たぶんだけど……妖怪に食われて力を手にいれられるよりは、人間の中にいたほうが安全だと考えた、とかじゃない? 」


 助言するように自分の考えを発した彼もまた、頭の中で駆け巡らせていた。

 ありえもしないこの状況に陥った、その答えを深く追求するように。


「ただのイシ意思イシがあるって言うのか? 」

「ふっ」


 ルカの思いもよらぬおやじギャグに、純白の彼は吹き出す。

 いつの間にか木の上に座っていた彼は、口に手を添えクスクスと笑い始めた。

 もちろん、ルカは笑わせるつもりで言ったわけではない。


「なに笑っている? 」


 何も分かっていないルカは少し怪訝そうに、彼のことを見る。


「さあ……どうだろうね。 僕もそこんところはわからない」


 まるで今の問いは聞こえなかったかのように、頬を緩ませながら話を続けた。

 ルカはそんな彼を気にすることなく、彼女の走り去った方向を無意識に眺め。木の上にいる彼もまた、同じ方向を見続けていた。

 あの人間はこれから妖怪に狙われるだろうと、心配ではなく、好奇の眼差しで。

 もう一人の漆黒の彼、ルカは、感情の持たない、深い闇のような瞳でーー。






 九月、学校が始まって数日。

 下校中の道。

 何かに見られている気がする。


 “誰か”ではなく、“何か”となにも考えずにでたのは、それを見ていた気がするから。『見えていた』のほうが正しいのかもしれない。

 あのガラスの破片のような物が目に入ってから数日、何かが見えてきていた。


 それが一体、何なのかは分からない。もしかしたら私の気のせいなのかもしれない。

 この気配。もし私の勘違いだとしてもこのままでは分からない。

 足を止め、ゆっくり後ろを振り返る。

 振り返らなければと後悔した。

 自分の顔が青ざめていくの分かる。

 こんな感覚は初めてだ。

 私の瞳に映るものは人ではない。

 そうどこかで察した。

 ソレはニコーっと口角をあげ、不気味な笑みを浮かべる。


「その目玉、ちょうだい」


 直感的にやばいと思った。

 咄嗟に逃げようとする。

 だけど恐怖で足が竦んでしまっていて動かない。まるで金縛りにあったかのように。

 動けと自分に言い聞かせる。

 全く効果ない。


 試している間にも、ソレの手が私の目にゆっくり向かってくる。

 目を取ろうとしているということを確実なものとして受け取った時にはもう遅かった。

 視界いっぱいにソレの大きな手のひらと、その五本指だけが映る。


(動け!)


 心の中で勢いよく叫ぶと、早く逃げなければと硬直していた体から丁度よくふっと力が抜けた。

 逆にそれを振り絞るかのように相手に向けている体をくるっと反転させ、逃げ出す。


「待て!  こっちが穏便に済ませてやろうとしたものの……。その目玉、よこせ!」


 後ろからの大きな怒号。

 それが私の足を早める。

 たぶん追ってくるのだろう。

 背後を見る勇気がなく、ただひたすらに走り続けたーー……。


 並木道。

 道路の脇に木が並んでいる。

 前に若葉と一緒に入った森。

 走りながら考えていた。

 この中に入ろうかと。

 たくさん生える木々を使って、追いかけてくる者から逃げ続ければ、いつかあの者は諦めてくれるかもしれない。


 そう思案めぐらす。

 けれど逆のことも思いつく。

 一目につかない森の中はあの者にとって好都合の場所なのかもしれないと。

 この自然に囲まれた町では、道路も森の中も同じことかもしれないが。


「……っ」


 反射的に出した手はコンクリートの地面に強打する。

 余計なことを考えていたせいか、足をもつらせ転倒してしまった。

 膝の痛み。

 見てみれば血が滲んでいた。


「ふっ、痛くて動けないか」


 四つん這いになった状態。あざ笑うかのような声が後ろから聞こえてきた。

 ……やばい

 立とうと試みてはいるけれど、足に激痛が走り、座り込んでしまう。

 その繰り返し。

 それなら、と態勢を変え、尻餅をついた状態で後ずさる。

 が、それ以上に彼は近づいてくる。


「やっと追いついた。早くその目玉をよこせ」


 低い声が耳にまとわりつく。

 なんでこんな風に追いかけられなきゃいけないんだろう。

 私、何か悪いこ とでもしたのかな。

 こんな虚しい出来事に疑問を抱いた。


(そんなに目が欲しいの? どうして?)


 訳の分からない気持ちで彼を見上げる。


「やっと手に入る。 やっと……」


 私の気持ちなんか知ろうともせずに、彼は手を伸ばしてくる。

 ねえ、あなたは一体何者? 

 普通の人に見えないことは知っている。

 若葉と一緒にいて、そんなことはもうとっくに知っているんだ。

 道端に見たこともない変な生き物がいた時があった。

 ソレは珍種なのかなと思って隣にいる若葉に聞いてみたんだ。

 だけど……「なに言ってるの? そんなものどこにもいないじゃない」って。

 『いるよ』って言っても若葉には全然見えていないようだった。


 だからその時、なんとなく思ったんだ。これは見えてはいけないものなんじゃないかって。

 私以外の人に見えないものが見えるなんて信じられなかった。でも今ーー無理やり分からせられてしまったんだ。


「これが手に入るなんて、夢にも思わなかった」


 彼の指はもう、瞼に触れそうな近さまで迫っていた。

 もう無理なんだって、助からないんだってーーそう思っても。


「い……いや」


 まだ助かろうとしている。


(もうだめだ)


 逃げる事も諦め、思い切って目を瞑ったときーー


「ぎゃあああ゛」


 突如、大きな叫び声が響く。

 眼球を取ろうとしていた手は、私の瞼に触れることはなかった。

 なにが起こったのだろう。状況を把握するため、瞑っていた目を開く。

 そこには、さっきまで私の目を狙っていた者の体に一筋の線のようなものが入っている、そんな光景があった。

 その一筋の線のせいで物体を保てなかったかのようにパッと光となって消える。

 ソレが消えたあと、その後ろにいる存在を確認した。


 断言はできないけど、さっきの一直線上に光るものは彼がしたんではないかと思う。

 片手に持つ鋭い剣で。それでアレを引き裂いたんだと分かった。

 たったの一振りで、アレを消し去ってしまったんだと。

 私を助けてくれたのかは知らない。

 人の姿をしているが、やはり人ではないと分かる。

 彼は闇の中からでてきたんじゃないと思うくらい、全身が黒で包まれている。

 黒い髪と、黒い服装。


 マントのように長く黒いコートを羽織っていて。全体的にシュっとした感じがある。

 一瞬見ただけでこの容姿は誰にだって分かるだろう。ただ一つ、彼の目をよく見なければ気づけない事がある。

 瞳まで黒くて、輝きがないという事を。

 まるで感情がないみたいだ。

 そんな目を見ていると彼も私を見てくる。

 なにか喋るのか、それともあなたまで私の目を狙っているんだろうか。

 この目になにがあるっていうの?

 相手の言葉を待つ。


 けれど彼は、私の事を見ているだけで何も発してこない。言葉を発しないどころかひとつの動作もみせない。

 彼が何を考えているのか黒い瞳から探ろうとする。

 だが、その瞳からはなにも感じとれない。

 何も思っていないような、何も感じていないような……。

 そんな瞳から探ろうとしても無駄。

 まるで闇の中の奥底を見ているようで、引き寄せられるようにその瞳を見つめてしまう。ーーこれを表すなら暗闇の中のブラックホールのようなもの。


「さすがルカだね。僕の出る幕なんてなかった」


 静寂とした空間。透き通るような声がどこからともなく聞こえてきた。

 一瞬、自分を見ている彼かと思ったがそれは違うと分かった。

 なぜなら彼の口は動いていないから。


(誰?)


 首を傾げそうになりながらも聞こえた方ーー木々を見てみる。

 すると、言葉をいい終えると共に一つの木から誰かが飛び降りてきた。

 軽く着地して現れた彼は、漆黒の彼ーールカというんだろうか、その人に微笑んだ。


「別に、ただの雑魚だっただけだ」


 どこか嫌そうに片手に持っている剣を腰にある物にしまうと、不思議なオーラを放つ彼の笑みから逃げるように斜め下を見た。

 褒めた青年はそんな彼を見てまたも苦く笑み、そのまま私に視線を向けてくる。

 彼が降りてきてから見ていたため、すぐに目が合うものの、この二人の微妙な空気に不安になり無意識に視線を下げてしまう。


(この人たちも、もしかして……)


 近づいてくる足音。私の目の前で止まったのが分かる。


「もう大丈夫だよ。立てる?」


 あるものが視界に映り、確かめようと顔を上げるとそこには彼の手。

 彼は私に手を差し伸べていた。

 ーー意外にも気遣った言葉。

 なにかされるのかと思っていた。

 だから思っていたことと真逆のことをされ、拍子抜けしたとともに、さっきまでの不安な気持ちが嘘のように軽くなった。


「あの……」


 声が震える。彼を見上げ、言葉にならない声を出す。不安な気持ちが少し無くなったとしても、まだ怖いという感情はある。

 漆黒の彼と違って、天使のようだと言ったら大げさかもしれないけど。

 この行動といい、この純白な容姿といい、まるで天使そのもの。

 白い髪と白い服装。

 瞳は複雑な色をしている。白に、たぶん銀色も混ざっているんだと思う。

 羽織っているコートも白。


 ーー白い彼が天使なら、黒い彼は悪魔か。

 視界に二人をいれ、ふとそう思った。

 差し出されている手を見て思う。漆黒の彼よりは信じても良さそうだと。

 けれど一つ、気になることがある。

 彼の手を受け取ろうとしていた自分の無意識の行動を止め、純白の彼を見上げた。


「め……」


 またもや声が震えてしまう。

 そんな私に純白の彼は、不思議そうな顔をしてから首を少し傾け、優しい瞳で見つめてきた。

 ーーそれが私の言葉を待ってくれているように見えて。


「目が、欲しいの? 」


 心から訊きたいことをそのまま口にできた。

 さっき、私の目を狙ってきたアレは人ではなく異常な者。この者たちは剣を持っていて普通でなく異常。

 だから同じ。

 同じなら、同じ目的があるんじゃないかと回らない頭で推測した。


 どんな言葉が返ってくるのか身構える。

 もしそうだと言われたら、何が何でも逃げなければいけない。

 私の心配をよそに彼は柔らかく笑った。そんな心配、する必要ないと言うかのように。


「大丈夫だよ。僕たちはさっきのヤツとは違う、だから安心して」


 彼の穏やかな笑みと、説得力のある言い方に恐怖心が和らいだ。

 私の目を狙ってきた者とは違う。もうなにも怖がることなんてない。安心させようとする笑みが、そう言ってくれている。

 単純かもしれないけど、そう思ったんだ。

 だからその手をとった。

 差し出されていた手を。


「……っ」


 立ち上がろうしたところ、先程何度も味わった痛みが駆け抜ける。

 彼の手に体重をかけてもまた、その場に座り込んでしまう。


「足、擦りむいてるね。それもそうか……あんなにハデに転んでいたもんね」


 片膝を地面に付けてしゃがみ込み、私の膝にできた傷を痛々しそうに見る。

 自分のことのように顔を歪ませている彼。

 ちょっとした疑問を浮かべつつも、優しいヒトなんだと思う。


「ちょっと、ごめんね 」


 なぜ謝るのか不思議に思いながら見上げていると体の膝裏と背中に彼の手が回った。


「え……」


 そして体が宙に浮き、今ある状況を把握すれば動揺して彼の腕の中でキョロキョロする。


「手当ては君の家についてから。だから少しの間、我慢して」


 さっきと同じような笑みが浮かべられているのを見て思った。

 彼の言う『我慢』は、傷の痛みを我慢するのと、この態勢を我慢する。どちらの意味も含まれているような気がする、と。


「ルカもちゃんとついてきてね」


 私を持ち上げたまま顔だけを後ろにやる。

 その横顔はどこか楽しげ。


「言われなくてもそうする」


 微かに見えた彼は、純白の彼に視線を合わせることなく答えた様子。


「それじゃあ、行くよ」


 自分の身に何がおこっているのか分からなかった。

 彼の言葉が合図だったかのように視界がぶれ、気がつくと景色が一変していたんだ。

 たくさんの木。彼の腕の中から下を覗くとけっこうな高さ。

 もしかして、側にあった木の上にそのまま飛び乗ったのだろうか。

 それにしても一瞬すぎた。ってことは、一回ジャンプしただけで木の上に……?


「これから走るけど、怖かったら目瞑って」


 気遣った言葉。

 彼の顔に目をやると、またもやこちらを安心させるような笑みが浮かべられていた。

 この状況に理解できないまま頷くと、彼も同じように頷き、私を抱き上げる腕に力を込めた。

 落とさないようにとしてくれたことだろうが、そのせいでさっきよりも体の密着度が高くなり、心臓が高鳴る。


 だが彼が走り出したことによって、そんなことは気にならなくなった。

 その代わりに一つ、驚きが。走るってーー今、木の上を走っているんだ、と。

 次々と別の木に乗り移り、前へと進む。

 そんな光景をぼけーっと眺める。

 例えるなら、走っている車の窓から景色を見た光景。


 人だったらこんな事はできない。試したら確実に途中で落ちてしまう。

 ーー人ではない。

 そんな相手を前にして恐怖心がなくなると、今度は好奇の眼差しで見つめてしまう。

 白銀の髪が風に揺れている。

 素直に綺麗だと思う。


 ストレートで肩につくかつかないくらいの長さ。肌も透きとおるような白さで、美形。

 普通の学生よりかっこいいと思う。

 もし人間なら高校生なのかもしれない。

 私はまだ中一だから三年は年上。

 彼の安心させてくれるオーラに不思議な気持ちになりながら、彼の顔を眺め続ける。


「どうしたの?」


 チラッと流し目を向けてきた。

 そこではっとする。


(私、いつまで見ているんだろう)


 恥ずかしい想いで俯く。


「……なんでも、ないです」


 頭上からクスッと笑い声が聞こえたのは、気のせいだろうか。

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