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トイレの神様

それは激しい腹痛だった。


腸がネジ切れるような痛み。


息がはげしくなる。


いま求めるものは、そう。


トイレだった。













そんなこんなで始まりました。「魑魅魍魎DAYS」この物語の主人公は2人。


冒頭の腹痛にはいろいろな事情がありまして。


その説明の為に二人の男の片割れの紹介でもしながら少々時間を巻きもどすとしよう。


彼の姓は山神、名は茜。魔術師を生業としている。魔術師など荒唐無稽と思われるかもしれない。しかし、そもそも、彼等の世界には居るのである。何がか。魑魅魍魎の類がである。夜な夜な歩けば人ならざる何かに出くわすやも知れぬ。そんな世界で人類は如何にして生き延びてきたのか。


力有るものは良いだろう。自らの身を自ら守ることが出来る。

しかし、ならば力持つ自分たちの裾に縋るこの力なき者たちを、如何にして守るのか。自分達の力を超えた異形の敵から如何にして守るのか。


そのために人類は「教団」という武力組織を作った。

欧米ではキリストやモーセという「大魔術師」とその弟子達が、中東諸国の者達はムハンマドという「預言者」が、東南亜細亜諸国では仏陀という「目覚めたもの」が。それぞれ立ち上がった。


彼等は救民の為に組織化された力を持って時として人を襲う鬼たちを駆逐し、中世には地球上のおよそ3分の2を人類の支配下に置くこととなった。


そんな大人物が活躍していたのも今は昔の話、時は流れ、しかし今尚人は妖の脅威に悩まされ続けている。そんな世界にあって関東武蔵野にこの魔術師あり、と呼ばれるほどの男がこの山神茜である。要はこの男、中々やる奴なのである。年の頃は二十と九歳、現在、交際している女性は居ない。


時は五時間前へと遡る



――______________________________


夏の爽やかな日差しの中を、小鳥が軽やかな歌声で早朝を告げている。しかし、小鳥のさえずりになど微塵の興味もわかない。


目覚まし時計が鳴り響き起床時間を告げている。だが、そんなもので起きてやる俺ではない。


ちょっと寝返りをうつ。布団の感触が心地よい


スヌーズ機能により再び、目覚まし時計が鳴り響き、起床時間を告げる。わかった、ハッキリ言おう。ぶっちゃけ起きたくないのである。


部屋のドアを叩く音が聞こえる。いや、聞こえない。


襖が音を立てて開き、小柄な人影が俺を載せた敷き布団を


「とりゃ!」

引っ繰り返しやがった。



嗚呼、大量の埃と共に私は空に舞い、


「へぶぅ!」

愛しい枕と共に畳と熱いキスをした。


「いつまで寝てるんですか。怠け者も良い加減にしてください」我が弟子であるは八潮誠司は冷たく言い放った。

なんて酷い仕打ちだ。人がせっかく寝ていると云うのに。俺の世界で一番大事な時間をよくもつぶしてくれよって。


まったくこいつはいつもいつも、「朝起こしにくるとかさぁ、幼なじみか何かかよてめぇは。朝起こしに来るのは、可愛い女の子か、くたびれた母ちゃんって俺の中で相場が決まってんだよ。野郎はお断わりだ、発生する時からやり直せ。この野郎」


誠司は呆れた顔で、「今日は仕事がある日でしょう!なんでこんな時間まで寝てるんですか!」

時計を見るともう10時すぎ。寝たりん

「そりゃあ。眠いからだろ。知ってるだろ朝弱えんだよ」


「ふざけないでください」


「結界張り直しの当番だろ?楽勝だって、いけるって。んなもん5秒で終わるって。だからもう一時間寝かせて」

布団にもぞもぞと潜り込むが


「いいかげんにしろぉっ!!」

再び布団はひっぺがされた

「うわっ誠司くん怒りはった。コワッ」


「ほんとにいい加減にしてください。地味だけど大事な仕事なんですから」


(そう、この世界では人類の生活圏を結界で覆い守っているのだ。キリッΣ/(@0@))


「しょうがねぇなあ。いっちょやるかぁ。誠司、車用意してくれ」

「はいはい。それと、トーストが焼けてますからそれ食べて出て来てくださいよ」


ー高雄山ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・・これをもって結を結び界となす」

さ~てと、ふう。おわったおわった。

物理結界2枚に特殊結界1枚。ちょろいものである。

これをしておけば2ヶ月は鬼の侵入を防げるのだ。と言っても本気で鬼たちが攻めてきたらこの結界など紙同然なのだが。しかしこの百年ほどの間人類と鬼たちの間には住み分けがすんだかのような状態が続いており無差別に人を襲う海魔以外とはたまに小競り合いがある程度で戦争に至ったケースは少なくなっているのが現状である。

それにしても深い霧である。

「この辺りに住んでる鬼って言えば天狗族だったっけか?」


「そうですね。人類に対してけっこう友好的な種族ですね」


「ソレなら結界とかいらねぇんじゃねぇのか」


「そういうわけにも行かないんですよ。役所的には言語の疎通ができるようにしよう、といった内容の親書を出しているそうなのですが、なかなか好意的な返事はもらえてないみたいです」


「言語の疎通なんて精霊術の疎通の加護使えば一発じゃねぇか。なんでそれができねぇんだ」


「疎通の加護はここ2,3年でようやく軌道に乗ってきた技術じゃないですか。まだ他種族の、それも鬼との交流に使うにはリスキーなんじゃないですか」


「そんなもんかね」


「そんなもんですよ」


帰って行こうとしたその時。



ぎゅるるるるるるるるううううううううううううううう


「どうしたんですか?師匠」


「なんだか…急に…腹が、痛くなってっきて」


「まさか、師匠、トーストと一緒に生卵食べました?」


「食べた…」


「あれ、消費期限が切れてんですよ!何食ってんですか!」


「消費期限が切れてるってわかってて何故置きっぱなしにしたんだ!!」


「まぁその過ちは認めますけど。」


「なにはともあれトイレだ。トイレ。」


「あぁ…こっちです」


「トイレェえええええええええええええええ。かもーーーーーーん!!」

こんなオチですいません

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