二時限目:練習は真面目に取り組みましょう
そうなったものの、やる気ゼロで悪ふざけ精神旺盛な天地先生に従って練習をしてもろくな結果にはならない訳で。
例えば。
球技大会といっても、バスケオンリーな結構寂しい大会なのだが、
「んじゃー、とりあえずドリブルとかやっとくか」
と言う天地先生の右手にはラケット、左手にはテニスボールが握られていたりする。
「どーやってドリブルするんですか、それで」
純は冷静に突っ込んだ。かと思えば、
「おーしお前ら、円になれー。はいミュージックぅー、スタート!」
先生がそう叫ぶと、なぜか体育館のスピーカーから“アルプス一万尺”が流れてくる。
「ええ!?アルプス一万尺!?なぜに?どうやって?なにするために!?」
「決まってんだろ純。fruit basketだよ」
「そうだぞ純。空気読めよ」
「そうだよ岡田君」
「え、なに、そーいうかんじなの?俺だけ知らないの?うそ?」
「うっせーんだよロン毛。ほら、ボール回ってくんぞ。ちなみに、音楽とまったときにボール持ってたやつは、俺に昼休みなんかおごれよ」
と、天地先生は体育館の後ろのほうで面倒くさそうに言った。
「あんた鬼か!!教師なのに!!」
そこで、音楽がとまる。
ボールを持っていたのは、岡田純。お約束である。
「え……うそ?」
こんな感じで、ダラダラ練習(?)は進んでいった。
そして、ついに本番の日。
たぶん、いや絶対、勝てないんだろうな……
そう思いながら、純はため息とともに家を出た。