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第63話 後編 抜け穴

前回の続きです(こちらの話は「第48話 転生刑」を転生神・ネオリス視点で語った物語です)



バンッ、ガベルの乾いた音が神卓に鳴り響く。



「被告は第六世界にて王子と姫、国民を多数殺した。よって被告の罪状は人間大量虐殺。」



始まってしまった……




天使君はミリシアちゃんの遺体を抱えて神界に戻ってきた。そこを待ち構えていた天使達に捕獲され、今に至る。



「被告人、第2位階天使・レベリオに死刑を言い渡す。」



このままでは天使君とミリシアちゃんをどちらとも……オルセア様の元部下と娘をどちらとも失う事になってしまう。それだけはダメだ。


僕は勇気を振り絞って声をあげる。



「ちょっと待った!」



僕に審判の神・ヴェリタスが問う。



「なんであろうか?ネオリス殿。」



僕は自分が今思い付く二人を救う最善策を考えた。多少時間もかかるし天使君が苦しむことになるが……今は仕方ない。



「……皆様、死刑は生ぬるいと思いませんか?」



僕は神卓に座る神達に問いかける。



「では、どう処罰すると?」



ヴェリタスにそう聞かれ僕は堂々と答える。



「……転生刑ですよ!」



神達が再びざわめく。

転生刑……幾度となく死に、転生。それを永久に繰り返す。精神がいくら破壊されようと刑期が終わるまでは転生が繰り返される。


神回の中でも特に罪が重い者に課せられる刑罰だ。



「……ふむ、転生刑であるか。良かろう!被告に転生刑を言い渡す!」



上手くいった。誰も不審には思わないだろう。なんせ転生刑は最悪の刑罰だ。抜け穴があるとは誰も思わないだろう。



「それではこの場で転生の儀を執り行います。」



僕は天使君の背中に手を置き、他の者には聞こえない程の声で言う。



「ミリシアちゃんと君を陥れた神はこの中にいるよ。天使君、せいぜい頑張ってね!」



確信していた。ミリシアちゃんと天使君を陥れた者がこの中にいることを。きっとそいつは今この状況を見て笑みでも浮かべているのだろう……必ずこの中にいる。



「……!?、ありがとうございます。」



僕は天使君に微笑むと神達の方に向き直り転生刑の執行を宣言する。



「それでは転生刑を開始いたします!」



天使君の背中に手を当て、記憶を抜き取り、永久に転生を繰り返す印を魂に刻む。そして詠唱始める。



 終わりを禁じ

 始まりを強い

 終わらぬ輪を与えよう


 救いはない

 滅びもない

 

 終わりなき輪廻を持って

 その罪を贖わせん

  

 永久執行・転生刑   

            」



天使君は消えてどこかの世界に転生し、その場で神卓会議も解散となった。


本当に誰も気付かなかったようだ。転生刑の抜け穴に……。


転生刑は死ぬ度に他の世界で他の生物に転生する。そして、転生をする際に僕は天使君に干渉することが可能だ。つまり、天使君が何に転生するかを操作できるのだ。そこで僕が天使君をそもそも死ぬことがない種族に転生させれば実質転生刑は終了する。


その際に天使君から抜き取った記憶を戻せば……天使君は完全に元に戻る。



バレたら僕も危ないけどね……






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