第63話 前編 最高神
唐突ですが今回は転生神・ネオリス視点です。
転生は何も珍しい事ではない。至って普通でよくある事。面白くも楽しくもなく、日常の一つの出来事に過ぎない。
僕は「転生神」なんて大層な名前を付けられているが、やることなんて他人の人生を覗き見するくらいだ。生物や人間の転生先は最初から決まっている。僕はそこに送り出すだけ。
最初の頃は楽しかった。次々とやってくる人間や動物の人生を覗き見して……勝手に感動したり怒ったりしていた。
つまらなかった。同じことの繰り返し。何度見ても何人の人生を見ても、結局みんな死ぬだけ。どれだけ抗っても結果は変わらない。
結局のところ神という物は"司っている"のではなくその事象に"縛られている"だけ……。
そんな僕にも退屈から抜け出せる時はあった。
最高神・オルセアとその娘である慈愛の女神・ミリシアちゃんだ。二人はこの歪な世界をまとめるにはあまりにも美しかった。
「……ネオリスよ。たまには休んだらどうだ?」
「……はい?」
意味が分からなかった。神は司っている物のために在る。それを放り出して何をすると言うのだ?
「……ネオリス、お前は真面目だが、時には休息も必要だ。」
「……で、ですが……」
「何か異論があるのか?」
「い、いえ。最高神様にそのようなことを言われるとは思っていなくて……」
このようにオルセア様は度々僕の館にミリシアちゃんを連れてやって来ることがあった。オルセア様がいなくなった後もミリシアちゃんは僕の館に何度も来た。
最近は護衛の第2位階の天使を連れてきている。名前は……レベ…なんちゃらだったと思う。名前を覚えるのは苦手だから「天使君」と呼んでいる。
どうやら今日も来たようだ。
「やぁ、良く来たね!ミリシアちゃんに天使君!」
「お久しぶりです!ネオリス様。」
「今日は何の用かな?」
いつもとはなんだか雰囲気が違う。何をしに来たんだろう?
「私は人間の世界に行きたいんです!」
「へぇ、そりゃまたどうして?」
ミリシアちゃんが人間に興味を持っているのは知っていたけど……
「う~ん、そっか~。別に良いけど。でもその姿じゃ行けないよ?」
「……?」
「神の姿、というか神の力を持った状態で下界に降りるのはタブーなんだよ。つまり、」
下界についてのルールは結構複雑だ。そもそも下界に赴くのは天使の役目、女神がすることじゃない。
「……つまり?」
「つまり下界に降りることはできるけど、下界にいる間は君は神ではなく人間でなければいけないんだよ。これは神内での絶対守らなければならない掟。破ったらどうなるか僕にも分からない。」
ここまで言えばおとなしく諦めるだろう。
「ネオリス様、人間界から神界に戻ってくれば神の力は戻るのでしょうか?」
天使君の質問に答える。
「……うん。戻れればね、戻るためには一人の命を天に捧げなければならないからね。他の神にはできても心優しい女神様である君には出来ないんじゃないのかな?」
追い討ちをかける。女神が下界に行くなんて……ましてや元最高神の娘。危ない目に会わせるわけにはいかない。
「それでも行きます!」
なんというか……似てるな、オルセア様に。




