●act07: 「真昼の決闘」
強い日差しが大地を照らす。
雲もない晴天の青空。
太陽は頭の真上に昇っていた。
アンドリュー一家のアジトの前に立つニッキーたち。
ライフルを持つニッキー。
右手にナイフを持つケリー。
刀を背負うロッコ。
左手に斧を持つ馬人のデレク。
アンドリュー一家は待ち構えていた。
十数人のチンピラたちが拳銃やライフルを持っており、木箱や板で作られたバリケートの後ろからニッキーたちを見ていた。
その中央に太った男が葉巻を咥え立っている。
その男が親玉のようだ。
その隣にロッコに裸に剥かれた男がいた。
太った男がニッキーたちを見て愚痴る。
「なんだ、馬人だけじゃねえか。なにが魔獣だ、脅かせやがって。ばかやろう」
裸に剥かれた男を殴る。
「ひ!いや、ほんとに奴は、、、」
「ビビってんじゃねえ!」
ロッコがその太った男に声をかけた。
「あんたが親分さんかい?」
「ああ、オレがアンドリューだ。ずいぶん子分たちが世話になったそうだな」
「礼には及ばないぜ。牛に納屋を壊されたって聞いたが、全然壊れてないじゃないか」
チンピラたちの後ろに納屋のような小屋があるが壊れてはいなかった。
他に壊れた小屋のようなものは見あたらない。
やつらは牧場主に嘘をつき牛を奪い取ったのだろう。
太った親分アンドリューはなおもでっち上げを言う。
「ウチには腕のいい大工がいてね。あっという間に直すのさ」
「じゃあ、弁償代なんていらないんじゃないかい?」
「いい大工は手間賃も高いんだよ」
「そうかい、そんなに腕がいいなら、オレもその大工に仕事を頼みたいね。そいつに会わせてくれないかい?」
「てめえが生きていられたらなぁ!」
バリケートに隠れたチンピラたちが一斉にロッコたちに銃を向けた。
悪党相手に久しぶりに暴れることができる。
ロッコは嬉し気に背中の刀を抜こうとしたが、ニッキーが制する。
「刀は抜いちゃダメよ」
その言葉に思わずロッコはニッキーに向いて声をあげた。
「はあ?!マジかよ!!」
「アイツらを昨日の武官の前にしょっ引くのよ」
「ニッキー、ここはちょっと臨機応変に、、、」
「ダメなものはダメ」
ニッキーは悪党どもを軍に引き渡し処罰させようとしているらしい。
『こんな奴ら、後腐れなくぶっ殺したほうがいいのに、、、』っとロッコは思うが、諦めショげた。
「へいへい、、、」
三人と馬人一頭 対 大勢。
圧倒的優勢に勝ち誇ったようにアンドリュー親分は声をあげる。
「命乞いするなら今のうちだぜ。今なら女は助けてやる。俺らの慰みモンとしてな。だがてめえは許さねぇ。すぐには殺さねぇ。生きたまま八つ裂きにしてやる」
ロッコはお道化て。
「おお、怖ッ、、、、」
ケリーが小声で呪文を唱え始める。
短い詠唱。
「・・・・ウォン、シルフ、、、」
ケリーの瞳が蒼く光る。
蒼く光るペンダント。
突然チンピラたちの周りだけ強風が吹き出した。
乾いた大地から砂ぼこりが舞い上がりチンピラたちの視界を遮る。
バリケードにしていた木板も吹き飛び身体も持っていかれそうなほどの強い風に怯むチンピラ連中。
デレクが突進し、アンドリュー親分に強烈パンチを身舞わせる。
吹っ飛ぶ親玉。
驚くチンピラを次々叩きのめしていく。
ロッコもチンピラたちに突撃し蹴りやパンチで倒していく。
ロッコはチンピラを殴り倒しながら愚痴る。
「あぁ、ああ!殴り合いなんてスマートじゃないねぇ!」
ニッキーはライフルでチンピラたちの銃を撃ち弾き飛ばす。
正確な狙い。一発も外れることはなく、チンピラたちの手元の銃を弾いていく。
ケリーもナイフ、蹴りで相手を倒していく。
軽やかな身のこなし。チンピラはケリーを捕まえることができない。
離れたところからニッキーをライフル銃で狙うチンピラがいた。
それをケリーが見つけ呪文を唱える。
「イグニス!」
ペンダントが赤く光る。
そのチンピラの手元が光り炎が上がる。
「うわー!あちち!」
次の瞬間、ニッキーが気づきニッキーの銃弾がそのチンピラのライフルを弾き飛ばす。
なす術もなく、倒されていくチンピラたち。
アンドリュー親分がガトリング銃を持ち出してきた。
「て、てっ、てめえら、皆殺しだああ!!」
デレクが皆を庇うようにガトリング銃の射線上に立ち、銃に向かって猛突進する。
ビビるアンドリュー親分、狙いもつけずにガトリング銃を撃ち出した。
デレク、斧で弾を弾き、また親玉に強烈パンチを見舞わせる。
再び吹っ飛ぶ親玉。
粉砕されるガトリング銃。
アンドリュー親分、失神、失禁。
白目をむいて泡を吹き地に落ち倒れる。
デレクが他のチンピラを睨むと、睨まれたチンピラは怯え両手を上げ悲鳴をあげて降参する。
「ヒィー!」
ほどなくアンドリュー一家全滅。
アンドリュー一家のアジトでのニッキーたちの大立ち回りと銃声で、周辺住民からの報せにより軍が出動してきた。
兵たちが見たものはノビたアンドリュー親分と縛られたチンピラ連中だった。
ニッキーの申告と牛に付けられてあった焼印が証拠となりアンドリュー一家は軍に逮捕され連行されることとなった。
そんなチンピラたちを見てロッコは、
「牛泥棒、殺しの未遂、そしてイカサマ。しばらく出てこれないな」
ニッキーが宣言する。
「ここにハート財団私設軍を駐留させるわ。奴らが出てきても、もう悪さはさせない」
ロッコが、
「さすがお奉行様」
「なにそれ?」
ケリーはニッキーに礼を言う。
「ありがとう。
この前の雨の日、あの牧場主は木の下で濡れ鼠になっていたあたし達を家に泊めてくれた。
その恩返しをしたかった」
ニッキーが返す。
「義理堅いのね」
ロッコが茶化すように
「そりゃあ、正義の味方をするくらいだからな、イテテテ、、、」
ニッキーはロッコの頬をギュッとツネった。
そしてニッキーはケリーに、
「わたし、貴女に興味があるわ。
グランデンのほうに行くんですって?
わたしたちもそっちのほう行くの。
急ぐ旅でもないし、ついて行っていいかしら?
賭けの貸しもあるしね」
ロッコはまた茶化すように
「なんなら、今夜、返してもらってもいいんだぜ、、、」
そう言ってジャケットの前を開け広げる。
するとこんど、ニッキーはロッコの足を踵でおもいっきり踏みつけた。
悲鳴をあげるロッコ。
「アタタタタ!、、、」
ケリーはカウボーイハットを深くかぶり顔を隠して言う。
「好きにすればいい、、、」
つづく、、、
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■次回予告
ロッコ:「あの娘、変わっているな」
ニッキー:「そうね、男の子のような言葉遣いね」
ロッコ:「いや、そこじゃなくて、妖しい術とか、、、」
ニッキー:「ロッコ、まさかあの娘に手ぇつけようなんて考えてないでしょうね?」
ロッコ:「時々、君の感性について行けない時がある」
ニッキー:「ごまかさないで!」
ロッコ:「そうじゃないだろぉ、いててて、、、」
次回
アフロディアックスウェスト
「魔獣」
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