表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
家出公爵様がお帰りになりません  作者: 虚夢想
第七章 ノイトラール攻防編
88/117

第88話 厄介な友達

軍事ムードが日増しに強くなり『進軍は春になるのでは?』とウワサされる中、

寒さが峠を越える頃には先発隊は動いていた。


「…それで何でお前が居るワケ?」

「すまん。到着が夜になった」

「いや、だから…何でまた窓を三角割りして俺の部屋に居るんだよ!」

ヴィルヘルムはまたしてもシュテルツェ城のレヴェンテの居室に不法侵入を果たし、ソファでくつろいでいた。


「また窓ガラスの入れ替えじゃねぇか!」

「次はもっと丈夫なガラスを入れたらどうだ?さすがに警備がザル過ぎる」

「普通のヤツはココまで来られないんだよ!」

レヴェンテの声を聞いて戻って来たマルセルが、ドアを開けたまま愕然としていた。


「お前に頼みがあるんだが……」

「頼み事をする時くらい、もっとへりくだれよ!俺、王族だからな!」

「そんなお前に、さるお方から重要案件だ」

そう言ってヴィルヘルムは内ポケットから出した手紙を渡しながら、マルセルに

視線を送った。

部屋に入りドアを閉めようとしたマルセルに変わり、同行していた別の従者がドアを背にして廊下に立つ。


「ベンセ、お前も入れ」

ヴィルヘルムの言葉にレヴェンテとマルセルが驚いて入口を振り返る。


「バラしちゃってイイんすか?隊長」

「………………いつからだ」

レヴェンテはそれだけ言って固まってしまった。

ベンセは休戦後に側近として取り立てたが、代々シュテルツェ貴族のはずだ。


「戦時下で捕虜にされてしばらく一緒だったんすよ。

それでシュテルツェが動く時は連絡をくれって言われて、休戦話が出た所で解放。

そのまま二年以上も音沙汰がないんでシュテルツェに帰化しろって事かと思ってたら、いきなりシュテルツェ城に乗り込んできて

『中立都市で出店してくれそうな料理人を知らないか?』っすよ!」


「レヴェンテの側付きも楽しそうだから無理にとは言わないが…」

「悪だくみのお誘いっすよね?」ベンセはニヤリと笑った。

「その悪だくみの親玉がコイツというワケか…」

レヴェンテが視線を落とす手紙には、シュバイネハクセ帝国の封蝋が押されている。

「この紋章は…」

「ちょっと待て」

ヴィルヘルムはロールポーチから棒状の道具を取り出すとボディチェックをするように動かした。


「袖の折り返しの中だ」

テーブルに手紙を置き、しぶしぶ調べると見覚えのあるボタンが出てきた。

マルセルに渡すと窓から捨てようとしたが

「これも頼めるか。部屋にあった」と更に三個渡していた。


「…………なぁ…盗聴器探知機(ソレ)くれないか?」

「これはダメだ!ソフィアからのクリスマスプレゼントだからな」

「何やってんだ。お前ら…」

「お前のはこっちだ。クリスマスに渡すつもりだったんだが会えなかったからな。俺と色違いだ」

「スゲェ嬉しくねぇ…」

レヴェンテは心底嫌そうにリボンのついた箱を受け取った。


「……相変わらずですね…あの人」

「意外とマイペースなんすよねぇ…」

「……君もですよ」

マルセルがこぼした愚痴をベンセが拾ったが

『コイツが一番信用ならない』とでも言いたげな視線を向けていた。


「それと、俺も発信器を持たされたんだ!」

「ホントに何やってんだ?お前ら…(二回目)」

だがヴィルヘルムは嬉しそうに服の内側から耳飾りを片方取り出した。


「こういうのは身に着けるモノなんじゃないか?」

「無理だ。金属はかぶれる」

「なら結婚指輪もつけられねぇな」

意趣返しのつもりで言ったのだが

「だから指輪の代わりに同じ素材で作ったナイフをいつも身に着けている」と言ってベルトの仕込みナイフを取り出した。


「それ…前に俺の首に突き付けたヤツだよなぁ…」


一方的に話を進めるヴィルヘルムはテーブルに置かれていた手紙の封を切ると、

再度手渡してきた。

『読みたくないが、読まなきゃ話が進まない…』

仕方なく目を通す。しかし…


「これは俺一人では判断できない」

「秘匿出来る範囲であれば、相談してもらって構わない。ただし準備は先に始めさせてもらう」

「……自国を裏切る気か…?」

「失敗したらノイトラールごと亡命させてくれ」

ヴィルヘルムはどこまでが冗談か判らない顔で、屈託なく笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ