捕捉小話② ヴェッティン三兄弟
退院してきたレオンが「シチューが食べたい」と騒ぐほど回復したと聞いたので、さっそくヴィル様とシチュー鍋をもってヴィッティン家にお見舞いにやってきた。
レオンはベッドでうつ伏せ状態だったけど、やっと体を起こせるようになったらしい。
「レオとロルフ様が…兄弟…?」
「コイツ母親似なんだよ」
硬そうな髪質で精悍な顔立ちのロルフ様と、くせ毛どんぐり眼のレオン。
でも言われてみれば、金色の瞳がよく似ている。
「言ってくれればよかったのに」
「ソフィが知ってるコイツは娼館の客だろ?ソレが兄貴だなんて言える筈がない」
「…………………」言いづらいな…確かに…
「俺は優良客だよなぁ?」
「ロルフ様がお見えになると、みんな明らかに浮足立つんです。心待ちにしておりますよ」
「サイフとしてだろ?」
ヴィル様とレオンがハモった。
「俺は愛されている自信がある!」
「相手はプロなんだ。非モテの落とし方を熟知してる」
「哀れだな…」
「お前らが言うのか⁈」
「だってソフィの顔を見れば、店でどう思われてるかなんてバレバレだろ?」
三人そろってコッチを見るから、営業用の仮面をつけるしかない。
「お客様のプライベートは明かさない事になっておりますのでー……」
「そんな笑い方もできたのか…」
「俺、いつものソフィがいい」
ごめんなさい、ロルフ様。私ではフォローできません!
「まぁ、クソ兄貴なんてどーでもいいや。シチュー食べたい」
『食べさせて』とばかりに小首を傾げるレオンに、ヴィルヘルムの殺気があふれ出す。
「貴様…」
「謝罪は聞いた。お前は帰れ。
ソフィは俺を看病しに来てくれたんだろ?すっごく会いたかったぁ」
「レオン…お前、手が握れるならスプーンだって握れるだろ…」
ゆらりと背後に立つ赤眼の亡霊をものともせずに笑顔のレオン。
「あの時、ソフィに怪我がなくて本当に良かったよぉ。命張った甲斐があった。
殺ろうとしたのはソコのクソ魔術師だけど…」
寒暖差がスゴすぎて風邪引きそうです…
「………ロルフ様…ふたりは今までもこんな…」
「……八年前のレオは天使だった。帰ってきたら、こうなってた…」
色素薄めで可愛らしい顔立ちのレオンが美少年だったのは想像できる。でも身体は見事にパンプアップされてるんだよね…。
「ロルフ様もいろいろな経験をされたのでしょうから…」
「解ってくれる⁈」
空いた手を握られた途端「触んな!節操なし!」とまた声がハモった。
なにげに仲いいなー。
するとドスドスと扉が叩かれ「入るぞー」と太い声が聞こえた。
一目ででご両親と判る、ロルフ様をさらに筋肥大させた感じの男性と、レオンを
まんま小さくしたような小柄な女性。
「お前さんがウワサの魅了魔法の魔女かぃ?」
「お久しぶりです。その話は後ほど……」
…ヴィル様がもの凄く焦っています。でも私は水汲み魔法しか使えませんが…?
「押し掛けちゃってゴメンなさいね。でもシチューちゃんに会いたくて来ちゃった。レオンも念願のあーんが叶って…」
「してねぇし!つーかなんで来んだよ!」
…めっちゃしてましたよねー。死にそうな顔してたのに普通に起きたよ、この男。
あー…ロルフ様が反抗期を受け止めきれない顔してる…。
そして先日邸を壊した罰だと、バーベルを背負わされてプランクさせられる
ヴィル様とロルフ様。正座の膝にバーベル乗せられたレオンが阿鼻叫喚する中、
私はヴィッティン夫人から暴露話を聞かされた。
三人とも愛されてて良かったね。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
では、第三章のあらすじです。
行儀見習いの実習を受けに王城にやってきたソフィア。
当初は公爵家で働いて学んだ事にしようと思っていたのだけど、
痴話げんかの一部始終を目撃したカーラ様からご指名が来てしまったのだ。
さらにこの招集は、『ロイヤルウェディング』のスタッフ集めでもあった。
当然式典には有力貴族のみならず、近隣諸国からもVIPが集結。
集められた上位貴族のお姫様たちは、バチバチのバトルモードに突入する。
そして自分は関係ないと思っていたソフィアも「実習生もダンスに参加するように」と言われ、やっぱり強制参加になってしまう。
警備担当のヴィルヘルムも万全の体制で臨むが、明らかに王族よりソフィアの警備が過激で、迷惑なほど迷走する。そしてそれでも事件は起きてしまう……
そんな内容になっております。
よろしければ引き続きお楽しみください。
ここまで読んでくださったことに、心から感謝します。




