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第6話 真実の発見?

美柵町の小さな図書館で、私と美咲は何時間もかけて古い資料や記録を調べ続けていた。

ある古びた冊子の一節が、二人の目を引いた。

それは、戦時中に美柵町周辺が戦火の恐れにさらされた折り、地元の住民たちが大切な文化財を守るために行った行動を記録したものであった。

「埋もれた道」という言葉は、実際には地域の住民たちが、戦時中に貴重な文化財を隠すために作り上げた隠し場所を指していた。

私と美咲は、その隠し場所の標となる場所が「ふるさと農園」のあたりに位置していることを確認する。それは、美柵町や周辺の村々の歴史や伝統を象徴するもの、陶器や古文書、工芸品など、地元の文化の証を戦火から守るために、避難させたというものだった。


たしかに、この周辺地域には、神社や寺院、史跡がある。当然、歴史のある書や工芸品があって当たり前だ。今は、閉山された鉱山があることから、空襲を見越してのことかもしれない。

ひょっとすると、山に隠れた廃鉱山につながる道を見つけにくくするために、道を隠し、目印を置いたのかもしれないなと想像する。


「これが、斉藤さんが追い求めていた『埋もれた道』なんでしょうか...」

戦時中に人々が何を守ろうとしたのか、その背景にある思いに心を打たれる。


「財宝探しの話じゃなかったんだね」

美咲もまた、と感慨深げに言った。


斎藤さんは、当時はまだ幼かったはず。不確かな記憶と古い記録が入り混じっていたのかもしれない。


一方、「ふるさと農園」やその周辺の再開発を推し進める鈴木一郎は、地域の経済発展を念頭に、「埋もれた財宝」を探し求めていた。

彼は、農園の土地に何か貴重なものが隠されているという古い噂を聞き、それを観光資源に活用しようと意気込んでいた。地元経済を立て直すため、彼は財宝の発見を観光業の起爆剤にする計画を立てていたのだ。


「過去の遺物なんてどうでもいい。これを利用して新しい時代を築くんだ」

鈴木は確信していた。


農園の周辺で、掘り返しながら鈴木は必死になっていた。

私と美咲が真実にたどり着こうとしているその時も、彼はひとり、過去の「財宝」に固執し続けていた。


私と美咲は、鈴木が開発を進めようとする意図と、探している物の真実を突き付ける時期が近づいてくる。

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