表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ようこそ異世界難民救済センターへ!  作者: たまぞう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/9

縮まる距離

 トモコはとても感心していた。


 内気な彼がこの世界にきた途端に才能ともいうべきものを発揮していたから。


「じゃあお待ちかねのステータスを……」


 アツシが映し出したステータスはトモコにも見えるようになっている。


「鑑定、翻訳、剣術に槍術に……お、魔術!」

「魔法の方がなじみあるかもだね」

「どっちでもさ。それも“魔術創造”だって」

「へえ……どんなスキルなの?」


 異世界に訪れたことでトモコもアツシもこれまでのような“ぎこちなさ”が無くなってきているが、気づきもしない。


 それほどにふたりの興奮は高まっているということだろう。


「こういうときこそ“鑑定”の出番さ」


 そしてスキルを使ったらしいアツシは「思った通りのものだった」と高笑いしてトモコに説明した。


「──僕はこの世界でてっぺんに登ってやる」

「てっぺんて何?」

「人類の、一番さっ」




 それからのアツシは魔術の練習だと言って目につく動物も魔物もかたっぱしから魔術で倒していった。


 ステータスには他にレベルや能力値も表示されていて、魔物を倒すたびにレベルアップし、どんどんと強くなっていく。


 レベルが5になった時にはアイテムボックスというスキルを手にして、倒した魔物たちをどんどんと放り込んでいった。


 やがて空の色が夕焼けに変わる頃、アツシでも気づいたことがある。


「あれ? これって元の世界は……」


 とたんに背筋が寒くなる思いをする。学校もゲームも捨てても良いとは思ったものの、さすがにいきなりは困る。アツシにはまだ読み終えていない本たちもある。


「もちろん帰れるよ。わたしはいつもここから登校してるもの」


 笑顔で即答するトモコ。アツシもそれなら安心だと言ってこの日は帰ることにした。


「また明日、学校で」

「うん。教科書見せてね」


 思えばアツシがそれを口にしたことから今ここにいる。


「教科書でよければいくらでも──」

「ありがとう」


 トモコがいつのまにか用意した出口は小さく、アツシが先に出た場所は例の段ボールハウスの前だ。


「もっとマシな入り口はなかったのかな」

「でも──秘密っぽくていいでしょ?」

「そう、だね。僕とトモコちゃんの秘密だ」

「えっ……」

「あっ、いや……じゃあ、またっ」

「また……アツシくんっ、今は同じ日の夕方だからねっ」

「うんっ、だいたい分かるっ。また明日っ」

「また明日っ」


 手を振り見送るトモコと、土手を駆け上がるアツシ。


 夕日が染める帰り道をアツシはこれまでに感じたことがないほどの高揚感に包まれて駆け抜けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ