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タイムスリップ大正時代 犬養毅郎首相にインタビュー

軍のクーデターにより時の首相が暗殺された。

そして日本はさらに戦争への道をさらに加速させていく。

時の首相、犬養毅。

高校日本史の教科書、参考書レベルで自伝風ショートストーリーにまとめ上げました。


かつての授業の復習にもどうぞ

犬養毅

わしは犬養毅

かつて、浜口雄幸さんが「金解禁(=金本位制への復帰)」を実行した。

しかし、世界恐慌のあおりを受けて、昭和恐慌へとつながってしまったのは、ごらんのとおり。

あの金解禁は失敗だった、タイミングが悪すぎた。

おかげで輸出も伸び悩むし、「金」もずいぶんと国外へ流失してしまった。

それでわしの外相高橋君(高橋是清)は、組閣してすぐに言った

「金解禁をやめましょう(=金輸出再禁止)」

金本位制をやめて、管理通貨制度に戻したんだ。

まあ、高橋君の政策のおかげで、輸出が伸びるようになったんだ。(→注参照)

特に中国への綿織物の輸出がすごく伸びた

なんとこれまで1位だったイギリスを抜いて、日本が綿織物の輸出世界一になってしまったんだ

でも、これにイギリスが怒って来た

「日本は過剰製品を海外に投げ売りやがって(=ソーシャル・ダンピング)、ふざけんな」と。


まあ、ともあれだ。

高橋君はいろいろとよくやってくれた。

こうして世界恐慌から脱出したし、生産水準だって恐慌前と同じくらいに回復もした

そんなさなか暗いテロ事件が起こった

血盟団事件だ

井上日召という日蓮宗の僧侶が青年らを集めて政治活動を行っていた。

「今こうして人々が苦しい生活をしているというのに、財閥どもは私腹をこやして金をためこんでおる。こうした原因をつくったのは金解禁を実行した井上準之助だ。こうした政治家や財界の大物を殺して国家改造をしよう」

「奴らを暗殺しよう。一人一殺だ」

青年らを集めてそんな計画を立てたんだ

こうして前蔵相の井上準之助と三井財閥のトップ団琢磨が暗殺されたんじゃ。


ところで海外は。

中国が「日本の満州事変、あれはおかしいです!」と国際連盟に提訴したんだ。

それにより、リットン調査団が派遣されることになったんじゃ。

その後、関東軍は清朝最後の皇帝溥儀を執政に満州国を建国した。「満州人、漢人、蒙古人、朝鮮人、日本人で協力していこう」という五族協和というスローガンを唱えてな。まあ、実際はただの植民地にすぎなかったんじゃがな

わしはそんなのは認めんかった(注:犬養毅は満州国を承認しなかったが、次の斎藤実内閣で承認された)

それでわしは一部の海軍青年将校によって暗殺されてしまうんだ


<五・一五事件>

当時海軍の青年将校(軍の幹部)たちは日本の行く末について憤っていた。

「昭和恐慌というのに、政府は国民の意見も聞かず、企業とつるみ産業統制をし、甘い汁を吸っている。人々は苦しんでいるというのに、大企業ばかりがぶくぶく太っていく。貧しい農村では若い女性が日常的に身売りされているというのに。さらに統帥権の干犯をし、勝手に軍縮までする始末。こんな政府に政治を任せられるか。今の政府を倒し理想の政府をつくろう」

彼らは血気にはやって行動に出た

彼らは数グループに分かれ、そのうちの何名かは、わし総理の官邸に軍靴のまま押し入ってきた

もちろん目的はこのわしの命だ

彼らは警備の警察官を銃撃し重傷を負わし、奥へと侵入した

そのとき、わしは食堂にいた

「靴くらい脱いだらどうか」

わしは言った

わしは青年らを食堂へと案内した

テーブルに座って煙草をすすめた

まあ話だけでも聞こうじゃないか

「話をきこう」と。

しかし。

「問答無用」

青年の銃口は煙をあげ、銃弾がわしの頭を打ち抜いた

その銃声とともに政党内閣も終わりを告げた

こうして加藤護憲三派内閣から続く憲政の常道としての政党内閣は終わりを告げたんだ。日本は軍国化への道を歩み始めたんだ


~犬養毅内閣(立憲政友会)のできごと~

1931年

金輸出再禁止(金本位制→管理通貨制度)

1932年

上海事変(第一次)

リットン調査団派遣(満州国が正当か不当かの調査)

血盟団事件

満州国建国(→承認は次の斎藤実内閣)

五・一五事件


補足

犬養は立憲政友会

戦前最後の政党内閣


~付録。高橋さん(高橋是清)にインタビュー~

インタビュアー「高橋さん、おつかれさまです。高橋さんが大蔵大臣になって不況から回復したとのことですが、それはどうしてなんでしょう?」


高橋「まず、浜口政権で行った金解禁が失敗だったということで、わしは、大蔵大臣になってすぐ金解禁をやめた。つまり金本位制をやめたんだ。

そしてまた管理通貨制度に戻ったんだ

そうすれば、自由にお金だって刷ることができる(金本位制だと金の準備高分しかお金を刷ることができないけど、管理通貨制度だと、そんなの関係なく自由にお金を刷ることができる)。それでお金をたくさん刷ったんだ。お金がたくさん出回ればどうなると思う?」


インタビュアー「お金がだぶつくからお金の価値が下がる?だからインフレになる?」


高橋「そう、それで円安になる。円安になると輸出には有利。それで輸出が伸びたんだ。とくに伸びたのが中国への綿織物の輸出。

これまで1位だったイギリスを抜いちゃったもんで、イギリスが「これはソーシャル・ダンピングだ」なんて怒りを露わにしたこともあったけなあ


※世界恐慌からいちばん先に脱出したのは日本。次はヒトラー率いるナチスがアウトバーンでね


よろしくどうぞ<(_ _)>

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