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夢か現か

作者: 月澄狸

 感情なんて捨ててしまいたい。

 どうせどうにもならないのであれば、無駄に悲しみ、泣き、疲れたくない。

 けれど感情を捨ててしまえば、きっと一巻の終わり。

 そんな気がする今日この頃ですね。


 この星には磁力があり、北と南があるんですよね。

 でも北は北極で終わり、南は南極で終わり……

 上下左右、弱肉強食、それも宇宙に出れば通用しないかもしれません。


 小さな小さな、ビー玉のような星で……

 実際見たわけじゃないですけど……

 この井戸の底で、私たちは何をしているんですかね。


 磁力ってなんであるんでしょう。重力も。偶然ではなく、私たちの命がこのような生き方をするのに必要だったんでしょうね。


 世界は命のために用意されている。そんな気がするのに、それでいて拒まれているような気もするんです。


「ステージの上に立つな」とも、

「上がってきなさい」とも言われているような。


 歓迎されているのか嫌われているのか微妙で、注文が多いって感じがしますが……でも時々とても優しいです。温かな気持ちになります。

 だから我々は愛されているのだと信じてみたくなります。だからこそ、疑いをぶつけてみたくもなります。


 ここは何ですか?

 私たち動物とは結局何なのですか? と。



 全体像は今のところ分かりません。

 ……きっと広くて広くて、捉えきれない。

 でもたまには知ったかぶりしてみませんか? 私たちは深層心理だか全体意識だか何だかで繋がっているはずです。……絶対。

 ライオンとシマウマは一心同体。

 我々も、全部で一つ。

 そんなこと考えたことありません?

 なんとなくそんな気が……しませんか。


 私たちはきっと細胞みたいなもので、全部で一つの生き物なんです。

 知っているはずなんです。


 遠くにいる人と、同じ日に同じものを見たり、同じことを考えたり、同じ夢を見たりとか、絶対あるはずです。

 でも誰かと自分の心が繋がっているなんて確かめようがなくて、そんな情報もあまりなくて、実証されていないだけです。


 ……分からないばかりでは心細いから、たまに知ったかぶりをしてみたくなりますね。なんとなく「こうかもしれない」と思ったことを、「本当かもしれないぞ」「実はこうなんじゃないか」と考えてみたり、そういった情報を読んだり。



 私たちは今日も許されていますね。

 今、存在するから。

 私が「あの人を許せない」と言おうと、あの人は許されています。永遠に。そしてそのことに、安心しますね。


 罪と裁きがあると言うのなら、生き続ける我々も裁かれねばなりませんが……というか、全員罪を背負っていることになりますが……。

 全員が背負うシステムって何なんですかね。


 やっぱり生きるって妙ですね。

 夢なんでしょうか。

 じゃあ夢は何なんでしょうか。

 あっちが本物?

 こっちが偽物?

 生きている世界が偽物で、

 死んでからが本番、

 本物でしょうか。


 私たちは今、生きているんでしたっけ。

 何しているんでしたっけ。

「ここがどこなのか」

 知っているつもりですが、どこまで知っているんでしょう。


 本当は言葉も時刻も国も、存在しないんですよね。みんなで「ある」って思い込んでいるだけで。

 そしてその「みんな」というのは人間だから、人間の考えに染まっていない生き物にとっては「無いもの」です。

 パントマイムみたいですね。でもその無いはずの言葉や時刻や国に人は影響され、自然にも影響を及ぼしますね。


 世紀の大発明も文化も、すべての歴史が……どこかでちょっと変わっていたら、現代の光景はまったくの別物になっていたかもしれないんですね。別の言語、別の道具を使っていたかも。



 ……言葉のないものに答えはない。

 なくていい。


 今は自分の言うことを聞いてほしかったとしても、いつか言葉のない存在があってくれて良かったと、思うはずです。

 惑わされず、壊されず、滅びることのない強い「故郷」みたいなものですね。


 言葉で主張するより、主張せず言葉を持たないことの方が強いと思います。今は主張しないものが壊されているように見えても……最終的には。


 宇宙は広いですもんねー……。

 言葉を持っている存在など一握りでしょう。あとのものは冷酷にも見えるけれど、いつかそれを包容力と感じられるのでしょうね。


 ミツバチ、海、カラスノエンドウ……

 意味も、存在意義も、守るべき理由も、言い尽くせませんね。一部の人間がそれらに対して感じる、「生活」「利益」を越えた尊さも、表現し尽くすことはできません。言葉じゃ音速も光速も越えられませんから。

 それに言葉って伝えるのも受け取るのも難しいですよね~。「出し尽くした」と思っても相手に伝わっているのかどうかよく分からなかったり。きっと相手の方も同じ思いを持っているでしょうね。


 非言語こそ最強だと言っておきながら、私はこのようにベラベラと話すタイプです。

 ……あまり喋らない方は、何かを知っているのかもしれませんね。



 すべてに、存在意義が星の数ほどあります。

 存在すること、消えること、生かされること、私がやったこと、貴方がやったこと、人が勝手に憎むこと、そしてまた許すこと、全部まるごと宇宙。


 でも今見えるのは宇宙の中のほんの一握りの、そのまたごく一部。それが私たちで、そのごく一部すらよく分かっていない、ということを日々感じますね。


 いや、一部だけを理解しようとするから分からないんですかね。……全体を知らないから。

 絵を描くときも、「細かいところではなく全体の形を掴め」って言いますもんね。まずは全体を整えた方が、ごく一部にこだわるよりそれらしく見える、と。


 じゃ、視野を広げてみましょうか。

 熟練した絵描きではないし、まだ細かいところを描くレベルには達していないということで。


 私の立場とか、あれやこれやとか、一旦頭の隅に置いておいて。全体像も見ていないのに「自分」という細部にばかりこだわっていたのだと仮定します。「自分」を描くことにばっかりこだわっているから、背景と自分像がうまく解け合わなかったんですね。


 まだ「絵を描くときは全体を掴む」っていうのがよく分からないのですが、分からないなりに描いてみます。


 許されて、生かされて、

 どこまでも自由なんですね。


 言葉を使って語った途端、それが言葉に閉じ込められ、音速を越えられなくなり、情報が削ぎ落とされ、可能性領域が消えるなら……


「そのもの」を、丸ごと掴みたいですね。「AさんがBさんのこと、こういう人だと言っていた」なんて情報ではなく、「そのもの」が発する雰囲気を掴み取れるようになりたいです。


 そして心地よい波音と月明かりに、ただ身をまかせるだけで良いですね。


 疑問を持つこと、ただ受け止めること、両方の可能性を持っています。そして非言語に憧れつつ、こうしてそれを語ってみずにはいられません。


 ちょっと傾いています。表現者を目指した地点で。

 けれど全部大事だと思います。これもまた矛盾ですね。

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月澄狸 ☆ マンガ投稿中 

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[一言]  今回も感じる所がある、読み応えのある文章でした。  あるがままに存在する事による全体の安穏への不調和と、それでもそう有りたい希望の思いを勝手に感じ取りました。  これだけの思考をされる方に…
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