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04. AIキャラとの初会話

 とうとうとう!


 青アメーバを殴っては爆散、殴っては爆散、殴っては爆散させた。


 アイテムもゲトゲト。


 ピンク巨乳さんが、木の棒を支えにしながら両肩を激しく上下させている。


「あ、ありがとうございました!」


 今頃、気づいたけれどボイス有りなんだな。

 声優ぽい可愛らしい声だ。


 いやいや、どういたしましてだとも。


「……あ、あの?」


 ピンク巨乳さんが、俺キャラを見ながら戸惑っているようだ。


 どうしたどうした。


 ピンク巨乳さんの前で、俺キャラをグルグルとその場で回転させる。


「あ、あの、ありがとうございました……」


 なんのなんの。


 またも、俺キャラをグルグルとその場で回転させる。


「……?」


 ピンク巨乳さんが困った表情を浮かべている。


 俺はピンク巨乳さんの前で○ボタンを押してみるが、昔のゲームように会話が進むことがなかった。


 ……。


 ん?


 あー、そういえば、少しイカれた凄腕の天才プログラマーが、独自AIをなんたらかんたらにより、ゲーム内のキャラ達がまるで生きているかのように反応を返してくれるとかだったか。


 それで俺はヘッドセットなんかを装備しているわけだったな。


 そうかそうか……。


 って、え?


 嘘でしょ?


 もしかして、俺、画面の中にいるピンク巨乳さんに向かってリアルに話しかけないといけないのか?


 え? え?


 おい、待てこら。


 どんな羞恥プレイだ。


 シー○ンならば、まだ分かる。

 あれは人面魚のヘンテコ生物だから、まだ話しかけやすい。


 しかし、これはダメだろう。


 画面内の3Dな女性キャラに話しかけるのはダメだと思う。


 もう俺、30過ぎの大人だよ?


 仕事辞めて田舎の実家でニートしちゃうぐらいダメダメなのに、しかも、暇過ぎて古いゲーム機で時間を潰しつつ、ストレス発散しようとか考えているダメ野郎なのに、それに加えて、ゲーム内の女性キャラと会話をしろだと?


 拷問なのか、このゲームは拷問だったのか。


 俺は静かにヘッドセットに手を添えた。


 さすがに、そこまでしてゲームをプレイする気にはなれず、俺はここでゲームを止めようと思ったのだ。


 すると、ピンク巨乳さんが、また話しかけてくれる。


「あの、もしかして、声が出せないのですか?」


 おいおい、何という反応だよ。

 こちらが無言だったのを見て、心配してくれるとは。

 なかなかに凄いAIだな。


 ……ったく、くそ。


 どうせ、誰も俺の部屋に入ってくるわけでもない。

 つまり、誰かに見られるわけでも聞かれるわけでもない。


 それに、凄いとはいえ所詮はAIだ。


 結局は限られたパターンしか返ってこないだろうから、こちらも淡々と必要最低限の事を話しかければ良いだけだろう。


 ゲーム如きで今更ドキドキするとかバカらしい。


 所詮はゲーム。


 所詮はゲーム内のキャラだ。


 最初からの目的通り適当に遊ぼう、適当に。


 すると、画面内に注意文が表示された。



 -------------------------------------------------


 ○印ボタンを押してながら話しかけて下さい。


 -------------------------------------------------



 了解、そういうシステムな。


 俺は○ボタンを押しながらピンク巨乳さんに話しかけた。


「どうも、こんにちは!」


「わ! 声が出るんですね!?」


 ピンク巨乳さんの反応が凄まじく早い。

 しかも、これもボイス有り。

 合成音声なのかは知らないが反応速度も含めて大したものだ。


「危ない所を助けて下さりありがとうございました!」


 丁寧にペコリとお辞儀してくれるピンク巨乳さん。


「私の名前はミチルと言います。貴方のお名前を聞かせてもらっても良いですか?」


 ほう、さすがは最初のリアルトークイベントというわけか、プレイヤーに自己紹介をさせて慣らせていくという算段だな。


 いいだろう、乗ってやるともさ。


「俺の名前はカッタだ」


「カッタさんですね!」


 変わった名前なのに認識率が凄いな。

 あ、いや、文字で入力した名前を勝手に読み込んでいるだけかもな。


「そうだ」


「カッタさんは戦士なのですか?」


「いや、職業は無職だ」


「ええ!? そうだったのですか? 確かに装備も無しで裸ですもんね」


「これはわざとで趣味だ」


「そ、そうなんですか? でも、青アメーバを素手で倒すなんて凄いです!」


「あんなのはどうとでもなる。攻撃してきそうな方向を予測して素早く背後に周り込み、一方的に殴りつければダメージを食らわずに倒すことができるぞ」


 あえて、わざと少しだけややこしい話題で話してみる。


 期待はしていない。


 少しでもズレた反応をすれば、所詮はゲーム的なAIだと俺も安心ができるからな。


「な、なるほど! 死角が無いと言われているスライムでも、攻撃方向には集中しているわけだから、その瞬間だけは後ろという概念を作り出すことができる訳で、確かに後ろを取れれば勝てますね!」


「……」


 おい、なんや、その反応。


 めっちゃ、恐いぐらい俺の話が通じておるではないか。


 分かったよ、分かりました。

 さすがは少しイカれた天才の凄腕プログラマー様だわ。

 大したシステムだよ。


「……ところでさ」


「はい?」


「ミチルはおっぱいデカいね!」


 何だかもう慣れてきたので、やりたい放題プレイに戻るとしよう。


「え”!?」


 俺キャラがミチルの柔らか巨乳にパンチを当てる。


 すると、ビキニブラからこぼれそうな大きいおっぱいが「ぼよよん」と軽快に揺れた。


「やーん!」


 うひょひょー。

 おっぱいおっぱい!


 ちゃんと揺れるように作っておるとは、ゲームクリエイター分かっておるおる!


 ミチルは涙目で自分の胸を両腕で隠した。


 なにおう、生意気なAIめ!


 ていてい!


 俺キャラでミチルの周りをグルグルと回りながら、すきを見つけてはおっぱいにパンチを当てて「ぼよよん」と揺れる様を、しばらく楽しむのだった。


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