01. 暇なのでゲームすることにした
俺は、部屋の押入れから古い液晶モニターを引っ張り出した。
「あったあった」
もはやテレビは壊れてから購入をしていないので、モニターはこれしかない。
仕事を辞めて実家でニート生活とはいえ、それなりに貯蓄はあるのだが、無駄な出費はなるべく避けたいのだ。
だから、暇潰しの娯楽用にと、何世代も前であろうコントローラー型の古いゲーム機本体をネットの個人取引アプリを利用して、中古な格安で手に入れることにしたわけだ。
いや、だって、最新鋭のフルダイブ型VRゲーム機はクソ高いからね。
俺は昼前に届いた小包から既に取り出していたゲーム機を、台に置いたモニターに繋げて電源を入れる。
ジャジャジャ~ンという重厚な音と共にゲーム画面が立ち上がった。
「よしよし、ちゃんと動くな」
俺はおまけで付いてきたゲームソフトのパッケージを手にとって眺める。
「滅亡都市防衛圏か」
パッケージには大群の魔物やら機械兵器やら宇宙人やらを迎え撃つ、剣や鎧を装備した男や女の戦士や、魔法使い、銃を装備している者、戦車や戦艦、果てはロボまでが描かれてあり、もはや超カオス。
スマホで軽く調べた限りでは、押し寄せてくる大量の魔物を倒すのがとにかく爽快で楽しいらしい。
あと、少しイカれた凄腕の天才プログラマーが独自AIをなんたらかんたらにより、ゲーム内のキャラ達がまるで生きているかのように反応を返してくれるということらしいが、所詮はゲームだろうし、そこに関してはそれほど期待はしていない。
とにかく、ストレス発散が楽しめればそれで十分だ。
ちなみに、攻略情報は一切見ない主義である。
どうせ時間は腐るほどあるわけで、全てを新鮮な気持ちで楽しむ為にもコツコツと遊ぶ予定なのだ。
パッケージをぱかりと開くと、中には分厚い説明書が入っていた。
おお、さすがは古いゲーム、紙の説明書が入っているのか、ただし、俺は見ないけどもな。
俺は円盤型のゲームディスクを取り出すと、ゲーム機に挿入した。
ゲーム画面が立ち上がると、メーカーロゴが現れた後、注意文が表示された。
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専用のヘッドセットをゲーム機本体に繋げて下さい。
>繋げたら○印ボタンを押して下さい
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ああ、そういえば入っていたな。
俺は小包の中から取り出した後、床に放り投げていた有線型のヘッドセットをゲーム機に繋いでから頭に装着した。
ヘッドホンに細いマイクが付いただけの平凡な代物である。
コントローラーの前面には十字キー、○✕△□印のボタン、スティック2本など、昔の定番な形をしていたが、久しぶりに触ったこともあり、俺はコントローラーを目で確認しながら○ボタンを押した。
チャラリラチャラララ、ドドドドーン♪
重厚かつ軽快なサウンドと共に、先程のパッケージ絵が表示されて、ピカピカッとフラッシュで迫力が強調される。
俺は迷いなくスタートを選択した。
キャラ選択画面に移行し、性別は男性に決定。
キャラカスタマイズは悩むだけ面倒なのでデフォルトでOK、どうせデフォルトが一番イケメンだし。
黒髪がほどよくふんわりでエアリーな、デフォルトながらもイケメンな男性キャラを選択。
名前は昔からゲーム用に実名をもじって使用している「カッタ」と。
決定を選択すると、ゲームが始まった。
昔らしい3DCGで描かれたアクションRPGとのことだが、今の時代でも見劣りはしないぐらいの高精細で滑らかなCGだと思う。
何も無い荒野の中で、質の良さそうな黒スーツを着た俺のキャラが寝転んでおり、ゆっくりと起き上がる。
そして、そのまま操作が開放された。
お、このゲーム、オープニング無しで、キャラ操作をプレイヤーに渡すとは分かっているな!
オープニングで、すぐに動かせれば、イライラせずに無駄なストレスを感じることもないからな!
俺がスティックを動かすと、俺キャラがぐるぐると歩いたり走ったりする。
次に適当にボタンを押すと、俺キャラがパンチを放ったり、ジャンプしたり、横転回避したりした。
ほうほう、こんな感じで動くんだな。
よし、近くを探索してみるか。
こうして、俺の自由気ままなゲーム遊びが始まるのだった。