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カラスは何色?

くだらない話ですか?

身のない話だとなお良い?

はあ


ではワンワンの毛の話でも

え?それはいい?

はあ、それは歌にも謳われている?

そうですか


では主人様のお母様のお話でも


最初に言っておきます

私も一度お会いしたことがあるだけです

正確にはすれ違った、ですが


お話くらいはご存知でしょう

会われた方は皆違うお姿をおっしゃる

ただ、私の見た主人様のお母様はセンが見たというお姿と同じでした


途中までは


真夜中の事でした

突然目が覚め

不思議なこともあるものだと思い

せっかくこんな夜中に目が覚めたのだから主人様にお茶でもお持ちしようと思い主人様のお部屋へ向かいました


すると、なんて言ったらいいのか

ずぶ濡れの

裸の女の子が主人様のお部屋から出ていらして

主人様のお部屋から出ていらしたのだから主人様のお客様だろうと思い直ぐにご挨拶をしたのですが、まるで私のことなど気にした様子もなく

しばらく辺りを見渡し

そこで初めて私に気がついたようで

ジッと私を見たかと思うとご自分の身体を見渡したりペタペタと触ったり


なんなのだろうと思っていると突然その方のお胸がボロンと

ええ、こうボロンと膨らみ

くびれもできて背も伸び

見る間に女の子から女性に


あまりのことにあっけにとられていると、私のすぐ側までいらし

私のあちこちを覗き込むようにご覧になったかと思うと消えてしまわれました

その時私の耳に「ではな」と言う女の方の声だけが響いていました


いったい今の方は誰だったのだろうと思い、主人様のお部屋へ入ると、主人様から待っていたよとお声を頂き、お茶をお持ちしようかと思いましたのですがと前置きをして先ほどの方の事を伺いました、すると主人様は笑われ、あれは私の母だ、私のことが心配でこっそり覗きに来たんだとおっしゃられたのです


私がそれにしてもあの姿はと

それをなんとお伝えするべきかと

あれやこれやと話していると主人様はまた笑われ

母なりに私に気を使っていてね、お前のフリをして私の様子を覗きに来たのさとおっしゃられた

私は私のフリ?と首をかしげると

前にお前を見た時はあんな具合だったのだろう、裸で濡れていたのはその時お前が風呂にでも入っていたのだろうなと可笑しそうにおっしゃる


主人様はそのまま言葉を続け

だから私は母に言ったのさ

もう一度見てきてください、スズは随分と育ちましたよと。スズと言っても私の母には何の事か分からないのでね、悪いがお前におきてもらってこちらにきてもらった、寝ていたところをすまなかったね。どうだった?母は、直ぐにお前を見つけられたかい?、母は私以上にお前達の見分けがつかないからね

見た目も毛の色もお前と随分と違ったろう?気にしなくて良い、いつもどこからかこちらを見ているのは知っている、親とはありがたいね

そんな事をおっしゃられました


そのまま少し主人様とお話をさせていただき、色んなお話をしていただきました

そうですね、こんな事もお話くださいました


夜が白々と明け始める頃、主人様にご挨拶に来たカラス達を見てこうおっしゃったのです

お前はこの子たちの見分けがつくかい?と

よくよく見れば皆どこか違うが、正直見分ける自信はない

なので私は「つきません」と答えました

すると主人様は少し残念そうにされこう言いました

私の母もそうなのだ

お前達のことはどれも同じに見えるらしい

だから母はお前そっくりに化けたつもりでもお前から見ればまるで他人なのだよ

そう言うと主人様は、お前達はこうも可愛いのにと言ってカラスを撫でていらっしゃいました


そうそう、こんな事も話してくださいました

それで母はうまく化けたかいと

答えに困りましたよ

だって私もさすがにあそこまでゆたかな乳房ではありませんから


それからどれくらいでしょうか

雪の降る日でした

お庭でシジュウ様と二人、ワンワンを蹴飛ばして遊んでいる時のことです

御屋敷のテラスで暖をとるカラス達の中に一羽だけ色のおかしなカラスが混じっているのを見たのです

私は「ああ」と思いそのカラスに向かい会釈をしました

するとシジュウ様とワンワンに要らぬ事だと小さく叱られました

そう言うものかと思いましたが


でもいつか主人様のお母様にお伝えしたいものです

サクラ色のカラスはいませんよと

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