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神様

大森林の歴史

その大半は毛人のもので

それはそれは穏やかで緩やかで

いくつかの王朝が現れては消えを繰り返すばかりで

開発や発展も歯車に与えられるものばかり

それまで狩りの対象だった人種ひとしゅを主人様の可愛そうだの一言で狩るのをやめてしまうほどに手懐けられ

農耕や牧畜を行うに至る


それまで狩り殺していた牛豚を骨皮まで残さず食らうから許せと言って家畜として育て

そこらに生える実りをもいで食い散らかしていたものが田畑を耕し、今よりもお前達を栄させるからと我が子の様に育てた

大森林内での争いは幾度もあったがその殆どはワンワン様の仲裁により決定的な破滅の前に収められる


そんな大森林に毛人以外の

我々人種が現れたのはおおよそ一億千五十万年前

大森林全体の歴史から見ればつい最近の事だ

その時代の大森林は今の十分の一の大きさもなく住まう者も毛人ばかり

そこに現れた我々人種の先祖


我々人種とて突然湧いて出たわけではない

猿と人の中間の様な時代はとっくに終わっていたが、毛人に言わせるなら、こんな奴ら食べるのも触るのも嫌だと言う様な見た目

そんな我々が大森林に迎えられた理由

それは大森林における人口増加とそれに必要な農耕地の確保の為だった


大森林の中にこもり、カリカリやフニフニを主食に生きてきた毛人達だが

主食、その地位を明け渡し副食嗜好品となった肉野菜

皆が食卓に求める果物

家畜の肥育にも欠かせない穀類

無論、豆などと同じくカリカリやフニフニの原料にもなるのだ


この時代の毛人は一度に5、6人の子を産む

今の我々は毛人と言えば双子と言うイメージだがこの頃はひと家族十人などが当たり前だったのだ

大森林にあった各行政単位は、近い将来に訪れる飢餓と困窮に対するさくを大激論の末、主人様やワンワン様に求めたのだ


主人様からの御返答は至極簡単

大森林を広げよう


もっともな事だ

もっともな事だが当時の毛人達はこれにひどく狼狽える

大森林を広げるとは即ち外に住まう蛮族もまた受け入れる事を意味するからだ


クサイ汚い穢らわしい

あんな奴らと一緒に暮らせるのか?

あいつらが触ったものを口にして大丈夫なのか?

大騒ぎだったらしい


既に医療制度が津々浦々まで行き渡っていて何を言うかと思うのだが

清潔な暮らしが何億年と続きそれに慣れてしまった彼らにとっては大ごとだったのさ

まあ実はほんの僅かになのだが大森林内に人種もいることはいた

毛人が人種を狩って食らう事をやめたのち、生き残った人種達は寄り集まり集落を作りささやかに暮らしていた

毛人達はそれに目をつけ

お前達が蛮族を共化しろと仕事を押し付けてきたのさ

主人様の僕の一族である毛人に逆らえるわけもなく、人種の代表は取り込まれることとなった土地に住む蛮族との折衝にあたった

この時代、大森林に取り込むと言っても今と違い原住民など気にもせず一方的に大森林の一部として囲い込んでいた

蛮族にすればある日眼が覚めると集落は森の向こうの世界になっていて人間の家来を連れた獣人に病や空腹から解放してやろうと言われ、逆らう気力も奪われるほどの富と力を見せつけられるんだからね


竪穴式住居が立派なテントに変わり

井戸が掘られ

使いきれぬほどの薪が渡され

抱えきれぬほどの食料を与えられた


毛人の残した記録ではもれなく先住民は毛人の事を神様かその使いだと思ったそうだよ

神様って何かって?

うーん

我々にとっての主人様みたいなものだな

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