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長寿者の

長寿種

そんな言葉実は無いのだがよく耳にする事もまた事実

また短命種と言う言葉も同じだ


コレはそれぞれから見て相手が長寿であったり短命であったりと言うだけの事で

正式な言葉として登録はされていない


そもそも人間やゴブリンなどのからして50年から150年の寿命があり

これら近似種の中ですら倍以上の差がある

更に毛人ともなればそれは200年を超え

エルフに至っては五千年に達するものも珍しくなく

トカゲ種に至っては大トカゲなどは万年単位の寿命を持つ


だがそんな事は大したことではない

ゴブリンに言わせるならエルフの様な長寿種はまあ御羨ましい事でと言う程度で

長寿種が思うほど短命種はその事を悲観などはしていないし度を超えた長寿を羨むこともない


さて、それでは私のしたい話に入ろう

長寿種と短命種の子孫に対する態度だ

面白いよ


私などは孫が可愛くてしょうがない

目にいてれていいと言われれば入れてしまいたい程だ


だがエルフの同僚は全く違う

彼も子供は可愛がったが孫となると然程ではない

彼に言わせるのなら孫とは子の子であり子の子の事で子が悩むなら、子のために何とかしてやろうととは思うが子の子の事は子が見るものだとまるで早口言葉の様な事を言われたのだ


エルフに孫を可愛がるものはいないのか?と私が聞くと、彼は稀にいるが皆変わり者だなと切って捨てた

たしかに考えればそうかも知れぬ

長生きの結果多くの子を産むエルフ達にとって、己の産んだ子はいくつになっても可愛いのだろうが孫となると極端に言えば他人の様なものに感じてしまうのだろうし、そうでもしなければ溢れる子孫に押しつぶされてしまう事になる


種としての本能というやつだろう

卵で世代を紡ぐトカゲ達はまた別として

毛人は如何なのだろうか


私は職場にいる毛人の女性に聞いてみた

彼女はまだ若く独り者で当然子もいない

なので祖父や祖母は優しいかい?

そう聞いてみた

彼女は笑いジジもババも私が未だに幼学舎にでも行っていると思ってるんじゃないかと思うことがありますよと笑う


どうやら毛人も孫は孫の様だ

そう思ったその時

「それなのに何時も結婚はまだか?誰かいい人はいないのか?って本当にめんどくさいんですよ」


私は目がさめる思いだった

ワンワン様の呪い

そんな失礼な言葉を聞いたことがあるだろうか?


毛人達は皆家系図を持ち

そられらはことごとくワンワン様と何台目かの姫に始まる

彼らは皆ワンワン様の血族なのだ

無論そんな物大海の中の一滴なのだが

彼らがそれを誇りにしてあることもまた事実


ワンワン様はナミダ姫を除く全ての姫と子をなされた

それがワンワン様が己と姫とに科せられたものだからだ

では何故身体の弱かったナミダ姫を娶ったのかと言われてもそれは私にもわからない

ナミダ姫の時代にはまだワンワン様に刃向かうものも居たほどの大昔

実は子はいたが記録に残らなかっただけなのかも知れない


少し話がズレたが毛人達は兎に角世代を紡ぐ事に執着する

遥かな昔ワンワン様からそう命じられたから

さて、己の子らに産めよ増やせよと命じられたワンワン様

彼は如何なのだろう?

己の子にすら興味などないのか

人並みに可愛がるのだろうか

ワンワン様が最後にお子をなされてから既に数十万年

確かめるすべもない


そんなある日

私は本業である人口調査でとある地方に向かった

活気はあるがあまり豊かではなく

出生率も4.0を超える様な所だ

極端な人口増加は未熟な社会基盤を破壊する


まあその為の私たちだ

行ってしっかりとその地域の住民に教育を施し

豊かさとは何かを教えてやらねばならぬ


私は意気揚々とその地域の行政府に乗り込み必要以上に卑屈にへり下る彼らをみてこれはいかんと思い

すぐさまその地域の長のもとに向かった


あまり特定される様な事は言いたくないが

そこは大森林に組み込まれて日も浅く

なんと言えばいいのか

自分達を二級市民の様に思っていたのだ


当たり前のことだが大森林の民に偉いも何もない

主人様の下において皆平等だ


古くから大森林で暮らす者達が新しく大森林で暮らす者達に手を尽くしてやるの事は何も不思議な事ではない

それこそ幼子の手を取ってやるようなものだ

年長者の務めだ


まだ行政府がロクに機能していないのなら長の所に直接乗り込むまで

私は意気込み長のもとへ向かう

長は清貧な暮らしを送る新住民を気遣うでもなく御立派な屋敷に住まう

これか、これが原因かと唸り

これは長を一喝せねばとその屋敷の豪勢な門を乱暴に叩いた

門を乱暴に叩く私をみて狼狽える新住民達をよそに私がそれを繰り返していると

面倒くさげな「開いている」と男の声がし

私が門を押し開け敷地に踏み込むと、公園のように手入れされた広々とした庭にひとりの男が寝転がっていた


ふむ、ここの長は女性なのでだからこの男は家人か、それにしてもだらしのない

そんな事を思いながら私は男の前に向かい長のもとに案内してくれたまえと見下ろした

見下ろしたのだが、男は面倒くさいそうに私を一瞥し、屋敷を指差しあっちだというと、また寝そべった

なんたる奴だと呆れ屋敷の戸を叩くと使用人然とした女性に迎えられ長を紹介された


長は先ほどの男とは違い私の話を真摯に受け、わからぬ事は何度も聞き返してきてくれた

これでこそ長だと感心し

ひとつ庭の男への文句も言ってやろうと私は口を極めて彼を罵った

すると、飲み物を勧めてくれた使用人の女性が顔を曇らせる溜息をつき

続けて長がこんな事を口にしたのだ


「娘が嫁に行って以来ずうっとあの調子で私達もほとほとワンワンには困って居ます、いつまでもあそこでああしていて、いっそのこと庭の手入れのついでに毛の中に花の種でも植えてやろうかと思っています」


私は娘の嫁入りがそれ程こたえたのかと先ほどの男に少し同情をしたのだが

何か長の言葉に違和感を感じた

なんだ?

なにがだ?


そして私の脳の中でようやく先ほどの言葉が意味を持った


「ワンワン⁈」


惚けるように聞き返す私に二人の女性はそれを気にするでもなく

使用人の女性はまた子でも授かればすぐにでも何時もの調子に戻るのだがと長に声を掛け

嫌です、そんなにポンポンと授かるものですか、ましてやワンワンの為になどと言い放つ


私の耳か脳が腐ったのでなければ先ほどのだらしのない男はワンワン様で

今目の前にいる長のは今上の姫ということになる


混乱する私は何故か頭の中で

ああ、ワンワン様も人並みに子供を愛でていたのだなと思い

お会いする事も興味本位の質問をする事も無いであろう私がその二つを同時に叶えてしまったことを笑った


大森林最年長者にして

最長寿者の子への思いを

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