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黒い子猫がくれたもの6

いよいよ最終話です。

最後まで読んでいただけたらうれしいです。

                14、地影の職業


 学校…


「えー!!!!!そんあことあったの?私もその場にいたかったー。」


 茜は今朝の出来事を話たら怒り出した。


「そんなこと言ったって、茜に電話してたら、絶対起きないと思ったんだもん。」


 明梨は頬をふくらませながら言い放った。


「私ってそんな信頼薄いんだ。」


 茜はがっくりしたようにつぶやいた。


「まあ、まあ、ハッピーエンドで終わったんだからいいでしょ。」


 私はこの場を丸く治めた。


「まあ、いいけど。あ、そうそう。知ってる?超人気作家の明秀 穣が、初めて恋愛小説書いたんだよ?私、この人の書く小説大好きでさー。この小説読んで超感動しちゃった。」


 茜は小説を抱きしめながらすごいハイテンションで言い放った。


「へー。知らなかった。」


 私は茜が抱きしめている小説を眺めながらつぶやいた。


「貸してあげるよ。」


 茜は笑顔で言い放った。


「ありがとう。読んでみる。」


 私は茜から小説を借りた。


「明梨はいいの?」


 茜は明梨に尋ねた。


「いや、いいよ。私そういうの興味ないから。」


 明梨は苦笑いしながら遠慮した。


「そう?なら、いいや。」


 私達はそんな感じで話していた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 部活終わり…


 茜はいつものようにココアと一緒に帰っていった。


 そして、私と明梨はいつもの別れるところで別れた。


 そして、目の前には愛する人がいる。


「帰ろう。」


 その一言は魔法の言葉。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 帰り道…


「あ、知ってる?地影。」


「何が?」


「あのね。この小説。」


 私は今日茜に借りた小説を地影に見せた。


「え?何でそれお前が持ってんの?」


「いや、今日、茜に借りたの。読んでみたかったから。」


「へー。」


「知ってる?」


「まあね。ニュースでも、とりあげられてるからな。」


「そうなんだ。全然知らなかった。」


「ふーん。読んでみた?」


「うん。ちょっと。でもさ、どこかしら私に似てるんだよね。女の子。」


「うーん。まあね。」


「何で?」


「だって、女、お前だもん。」


「は?」


「だから、女はお前なの。」


「あのさ。まさか。この小説家って……地影?」


 私は恐る恐る尋ねてみた。


「まあね。でも、言うなよ誰かとかに。」


「う…うん。」


 私はとてもびっくりした。


「誰にも知られてないんだ。だから、本当は言いたくなかったんだけどな。お前には隠したりするのはいやだから。言っとく。」


「だから、教えられるときになったら教えてくれるって言ってたんだ。」


「うん。」


「でも、何かうれしい。」


「何で。」


「だって、このときに地影がどう思ってたのかわかるじゃない。」


「あ、そんなの考えてなかった。よく思うと何気にハズイな。」


「えへへ。」


 地影は頬を赤く染めた。


「照れちゃってー!!!」


「うるせー。」


 とてもこの時間がうれしい時間になった。


 だって、また一つ、地影のことが知れたんだもん。


 そして、今度、トリプルデート行くことを説明した。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


                15、トリプルデート


「楽しみだね。」


「うん。」


「ヤバーイ。」


 私達は楽しそうな遊園地を後ろに待ち合わせしていた。


 今はまだ十五分前。


 だから、まだ、私と茜と明梨の女子三人しかいない。


「誰が最初に来るのかな?」


 私はちょっとわくわくしながら言い放った。


「もちろん、私の光輝よ。」


 茜が言い張る。


「えー、私の春徒はるとだよ。」


 明梨が怒鳴った。


 *…春徒は二番目のお兄さんで、明梨の彼氏。


 よく解らないかたは「第五話」を読んでくれたらいいかなと思います。


「私の地影。」


 私はボソッとつぶやいた。


 そして、五分後…


「早いねー随分。」


 歩いてきたのは、春徒さんだった。


「やっぱりねー。」


 明梨は自慢げに私と茜に言い張った。


『ブー。』


 私と茜はブーイングした。


「何が?」


 春徒さんは、ちょっと戸惑いながら言い放った。


「まあまあ。」


 明梨はちょっと嬉しそうに言い放った。


「お、もうそろってるな。」


 地影が近くに来て言い放った。


「あ、地影。ってとなりに光輝だ。」


 私は見ながら言い放った。


「当たり前だろ。だって…ん?」


 私は急いで地影の口を手でふさいだ。


「しー!!茜と明梨は知らないからさ。」


 私は小声で地影に言い放った。


「茜なら知ってるよ?巳緒ちゃん。」


 ココアは私に笑いながら言い放ってきた。


「え?猫ってこと?」


 私はココアに小声で尋ねた。


「うん。茜には全部話した。隠してたって無駄じゃん。」


 私に笑顔でココアが言い放ってきた。


 その笑顔はまるで世界で一番大事なものだよ?と私に語りかけているようだった。


「茜ー。逢いたかったよー!!!!」


 ムギュッ


「私もだよー!!!!」


 ココアと茜は抱き合った。


「相変わらず熱いね。あんた達。」


 明梨が横でつぶやいた。


「あははは。」


 私は笑っていた。


 そして、私達は遊園地に入っていった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 遊園地…


 私達はさっきまでジェットコースターに乗っていた。


 もちろん、みんなそれぞれ恋人が隣にいたけどね。


 そして、今、違う乗り物に行く途中。


 一番前は茜とココア。


 やっぱり熱々でいつまでも手を繋いで歩いてる。


 二番目には明梨と春徒さん。


 二人はなんだか大人。


 色々と楽しそうに話しながら歩いている。


 そして、三番目には私と地影。


 私達は何故かボーっとしながら歩いている。


「喉渇いてないか?」


 地影が気遣ってくれた。


「あ、うん。大丈夫だよ。ありがとう。」


 私は地影に笑顔で言い放った。


(なんかギクシャクしてるような気がする。)


 私は心の中でそうつぶやいた。


「そっか、渇いたら言ってくれよ?買ってくるから。」


 地影は優しい笑顔で言い放った。


「ありがとう。」


 私は笑顔で言い放った。


(相変わらず綺麗な笑顔だなー。)


 私は心の中でそう実感した。


「ねえ、ねえ、次、お化け屋敷行かない?」


 いきなり茜が私達に尋ねてきた。


「いいじゃん。」


 春徒さんは喜びながら言い放った。


「うん。私も行きたい。」


 明梨が笑顔で言い放った。


 私は一気に青ざめた。


「ん?どうした?巳緒。」


 地影が私の顔を覗き込むように言い放った。


「私、お化け屋敷トラウマがあって行きたくないんだよね。」


 私はちょっと照れながら言い放った。


「それならお前らは行って来いよ。俺と巳緒は出口で待ってるから。」


 地影はみんなに言い放った。


「え?地影?」


「いいから。座ろう。」


 地影はすぐ横にあったベンチに私を座らせた。


「う、うん。ありがとう。」


「じゃあ、行って来まーす!!」


 茜はそう言い放って、お化け屋敷に入っていった。


 みんなそれに引き続き入っていった。


「いいなー。」


「大体、なんのトラウマだよ。」


「ああ、言ってなかったね。実はね、小さい頃にお父さんと入って。歩いている途中にお父さんとはぐれちゃって一人でさまよってて、やっと出口でお父さんにあったの。で、一人で歩いている途中、いろんなお化けに襲われて、すごい怖い思いをしてそれが心にどうしても残ってて、今でも、お化け屋敷が怖くてさ。」


 私は思い出を話した。


「へー。でも、家族との思い出があるっていいな。」


 地影はちょっと寂しそうに言い放った。


「何で?地影は行かないの家族と。」


「行かないよ。家族なんていないからね。」


 地影は何か思い出すかのように遠くを眺めながら言い放った。


「俺の親父は大企業の社長をしてて、毎日が忙しくて、おふくろはおふくろで、超人気読者モデルで、みんな忙しいんだ。兄は親父の会社をつぐっていうし。姉貴はスカウトされて、モデルをしていて。みんな全然暇なんてないから。みんなそれぞれやることがあるのに、俺には何も無くてさ。だから、つまんないのを紛らわす為に小説を書いた。それでなのにこんなに売れた。何故かそのことが無性に腹が立った。」


「何で?」


「さあ?何でだろうな。でも多分、俺の中で誰でもいいのか?っていう言葉があったのかもしれない。」


「そうなんだ。私、何も知らないんだね。地影のこと。」


 私はちょっと寂しげな顔になりながら言い放った。


「は?」


「だって、いつも、一緒にいるのに、地影のこと全然知らない。」


 私は、落ち込みながら言い放った。


「別に、普通なんじゃねえの?」


「だって…」


「人ってもんはさ、わからないから面白いんじゃん?」


 地影は微笑みながら言い放った。


「え?」


「知らないほうがいいこともあるし、知っておかなくちゃいけないこともある。でもさ、知らなかったっていうものいっぱいあるじゃん?だからさ、人ってその人と一緒に日々を共にするんじゃないの?」


 地影は私の頭を撫でながら言ってくれた。


「うん。そうだね。」


 私はちょっとホッとしながら言い放った。


「これからも、仲良くしてこうな?」


「うん。」


 私と地影が話していたら…


「もう!!こんなとこで話してるなんて!!!探しちゃったじゃない。」


 いきなり、明梨が言い放ってきた。


「あ、ご、ごめん。」


 私は苦笑いをしながら言い放った。


「もうー!!!さ、じゃあ、次いこうか!!!」


 茜はまだ楽しいーっと言いながらはしゃいでいた。


「もう、疲れたよ、茜。」


 明梨はちょっと休みながら言い放った。


「えーまだまだいけるよー!!!」


 茜はだだをこね始めた。


「聞いてよ巳緒ー、お化け屋敷の中でもこの子のせいで大変だったのよ?お化けの中の人をわざと怒らして、その人に追い掛け回されたのよ?おかげで足が痛いわよ。今日ちょっとヒールが高いのに。」


 明梨はため息をしながら私に言い放ってきた。


「そりゃ、大変だったろうに。」


 私は遠い目をしながら言い放った。


「えー。」


 茜はちょっと落ち込みながら言い放った。


「しょうがないでしょ?茜。諦めてちょっと休憩しよう?」


 私は落ち込んでいる茜に言い放った。


「…。」


「じゃあ、俺と行こうか?茜ちゃん。」


 ココアは茜に抱きつきながら言い放った。


「いいの?」


 茜はちょっと心配そうに言った。


「大丈夫。俺は結構根性あるからね。さ、行こう?」


 ココアは茜の手を握りながら違う乗り物のほうに向かった。


「えらいねー光輝君。」


 明梨は感心しながら言い放った。


「うん。さすがだよ。」


 私は笑顔になりながら言い放った。


「さ、じゃあ、こっからは別行動にしようか?」


 私は明梨に尋ねた。


「そうだね。そのほうがいいよ。じゃあ、後のことは携帯で。」


「そうだね。じゃあ、バイバイ。」


「バイバイ。」


 私達も別行動になった。




「これからどうしようか?」


 私は地影に尋ねた。


「どうしような。」


「じゃあ、ちょっとお茶でもしようか。」


「そうだな。」


 私達は椅子に座った。


「なんか元気ない?地影。」


「え?いやーまあ、なんか人が多いところあんまり好きじゃないんだよ。」


 地影は苦笑いしながら言い放った。


「え?じゃあ、外でようか?」


 私は地影の顔を覗き込みながら尋ねた。


「でも…」


「いいの。だって、元気ない地影見るのいやなんだもん。それに…」


「それに?」


「それに…地影がずっといろんな人に見られてるの嫌なんだもん。」


 私は顔を赤くしながら言い放った。


「あははは。お前って本当に可愛いな。」


 地影は笑い出した。


「何それー!!!ひどーい。」


「あはははは、ごめんごめん。じゃあ、外出ようぜ?」


 地影は私の手を握りながら出口に向かった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


                16、二人のすれ違い


 薄く茜色に染まっている空。


 なんだか、何かを語っているように見える。


 ちょっと、寂しさがある。


 きっと月のことを考えてるんだろう。


 私と地影は手を繋ぎながら、ゆっくりと歩く。


 地影が私の歩幅に合わせてくれている。


 本当に地影は私に気遣ってくれてる。


 私はそんな地影を好きになった。


 そして、地影は私のことを好きになってくれた。


 地影、ありがとうね。


 あなたのすべてが愛しいよ。


「地影。」


 私は前を見ながら歩いてる地影に呼びかけた。


「何?」


 地影はちょっと微笑みながら私を見つめてきた。


「地影は私のこと…好き?」


 私は地影にそっと問う。


「いきなりなんだよ?」


 地影は驚きながら、私に言い放った。


「いや、なんとなく。」


 私はそっと目線を落とす。


「不安?」


 地影は私の顔を覗き込んできた。


「いや…別に…。」


 私は苦笑いをしながら言い放った。


「大好きだよ。」


 地影は繋いでた手を強く握り締めながら言い放った。


 私は地影の顔を見た。


 なんて綺麗な笑顔だろう。


 この人に私はふさわしいのかな?


 私は胸が苦しくなった。


「どうした?」


 地影が心配そうに私に問う。


「何が?」


 私は知ってる癖に地影に問う。


「何か、元気が無くなってないか?」


 地影は私の顔を覗き込みながら言い放った。


「ばりばり、元気だよ。」


 私は笑いながら、地影に言い放った。


「そっか?それならいいんだけどな。」


 ねぇ、私には何がしてあげられる?


 私は地影の顔を見つめながら考えた。


 今の私って地影にふさわしい女の人?


 私はそんなこと思いながら歩いていた。



 ブー…ブー…


 スカートのポケットに入っていた携帯のバイブが鳴った。


 パカッ


 携帯の画面は薄く光り、メール受信と教えていた。


 メールは明梨からだった。


 ーーー明梨ーーー


 −−−今どこ?−−−


 私はそのメールを読んですぐに返信した。


 −−−巳緒ーーー


 ーーー遊園地を出たよ。今、外だよ。−−−


 私はそう送って、返信を待つ。


「ちょっと、座ろうか?」


 地影は微笑みながら私に問う。


「うん。」


 私も微笑みながら、すぐ傍にあったベンチに腰をかけた。


「疲れたか?」


「大丈夫だよ。」


「そっか。なら、よかった。」


 会話終了…


 なんか、寂しいな。


 私はちょっと残念がりながら心の中でつぶやいていた。


 ブー…ブー…


 携帯のバイブが鳴った。


 パカッ


 −−−明梨ーーー


 −−−私達は帰るけど、どうする?ーーー


「地影、みんな帰るって言ってるよ?私達どうする?」


 私は地影に問う。


「俺はもう少しここにいたいかも。」


 地影は茜色の空を眺めながら、言い放った。


「わかった、じゃあ、先帰ってもらうよ。」


 私は笑顔で言い放った。


「先帰っててもいいぞ?」


「え?」


 ズキッ!


 私の心臓が跳ねた。


「暗くなったら大変だろ?」


「そ…そうか…そうだよね?…じゃあ、私も…帰るよ。」


 私はちょっと潤んでいる目を隠しながら、言い放って逃げた。


 タッタッタッタッタッタ…


 私は走った。


 息が切れるまで…


 足が痛くなるまで…


 零れ落ちる雫を拭いながら。


「あ、巳緒だ。」


 遠くからでも茜の声がわかった。


「なんかおかしくない?」


 明梨はちょっと深刻な目をして言っていた。


 ギュッ


 私は明梨の胸に飛び込んだ。


「やっぱり…。」


 明梨は苦しそうにつぶやいた。


「ひっく……ひっ…。」


「どうしたの?巳緒。」


 明梨の優しい言葉にもっと涙が溢れ出した。


「とりあえず、みんなで帰ろう?」


 コクッ


 私は小さく頷いた。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 電車の中…


「そういうことね。どうりでおかしいと思ったわよ。一人でしかも走ってきたんだもん。」


 明梨は私に呆れながら言い放った。


「どっちもどっちもだと思うよ?」


 ココアが言い放った。


「うん。わかってるんだ。」


「じゃあ、何で泣いてたの?」


 茜は私に問う。


「わかんない。でも、胸がいきなり苦しくなった。」


 私はまだちょっと潤んでいる目を隠しながら言い放った。


「本当は「傍にいて」って言ってほしかったんだよ。」


 明梨は私に言い放った。


『え?』


 みんなが一声に言い放った。


「だから、好きな人には傍にいてほしいもんなの。きっと、帰ってていいよって言われたのが傷ついたんでしょ。」


 明梨はちょっと怒り気味に言い放った。


「確かにそうかも。」


 茜がボソッと言い放った。


「私も、好きな人といつも一緒にいたいもの。」


 ギュッ


 茜はココアの腕を抱きしめながら言い放った。


「……。」


「地影さんは地影さんできっと巳緒が危ないからって気を遣ったんでしょ。」


 明梨はすごく真剣で冷静でこういう明梨はすごいと思う。


「うん。わかってる。地影はひどい人じゃないもん。」


 信じてる。


 信じてるよ。


 だけどね、時々…不安になるんだよ。


 あなたの一つ一つの行動とか、言葉が私の心を動かすんだよ。


 ねぇ、地影、私、信じてもいいの?


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


                  17、ずっと一緒


 私は家についてからすぐに自分の部屋に戻った。


 ベットにねっころがり真っ白な天井を見つめた。


「地影…。」


 私は思わずつぶやいていた。


 ブー…ブー…


 いきなり携帯のバイブが鳴った。


 −−−地影ーーー


 −−−今から外に出てこられる?ーーー


 メールは地影からだった。


 私はそっと、窓の外を見た。


 下に携帯を片手に手を振っている地影がいた。


 私は急いで家の外に出た。


「何で。来たの?」


 私は驚きながら言い放った。


「いや、さっきは悪かったなって思って。」


 地影は頭をかきながら言い放った。


「え?」


 私は目を見開きながら言い放った。


「泣いてたから。」


 地影は心配そうに言い放った。


「気づいてたんだ。」


 私はうつむきながら言い放った。


「まあね。俺さ、考えてたんだ。」


 地影はいきなり話し始めた。


「巳緒にとって俺って支えになれてるかな?ってちょっと不安になってたんだ。」


 地影はちょっと寂しげに言い放った。


「もしかして、私が地影に聞いたから?」


 私は反省しながら言い放った。


「ちょっとね。」


 地影は苦笑いしながら言い放った。


「地影。私ね、きっと地影のこと信じてなかったんだと思う。私、地影にふさわしい人なのかな?ってすごく不安になったんだ。みんなは地影はかっこよくて私はブスの女って見られることが私、苦しい。地影が変なふうに言われるのが私いやなの。でも、それは地影を傷つけたんだね。ごめんね。」


 私は目からこぼれ落ちる雫を拭いながら地影に言い放った。


 ギュッ


「地影?」


 私は地影の腕の中で地影を呼んだ。


「俺こそ、ごめんな。でも、大好きだから。俺の中で、巳緒が一番大切だから、本当はずっと傍においておきたい。でも、巳緒は俺だけのものじゃない。巳緒を必要とする人はいっぱいいるから、だから、傍にいちゃけない気がした。意気地なしだよな。」


 地影は私をもっと力強く抱きしめながら言い放った。


「ううん。でも、私には、地影が必要なんだよ。だから、私、傍にいていい?」


 私は泣きながら地影に尋ねた。


「ああ。ずっと一緒にいよう。」


 地影は私の顔をそっと上げ、優しいくちづけをしてくれた。


 地影…大好きだよ…。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 




                  エピローグ


 桜が散る季節。


地緒ちほー!!遅れるぞー。」


 一人の男が自転車をこぎながら私に叫んでいる。


「わかってるよーうるさいなー。てゆーか乗せてけー!!。」


 私は走りながら、その男に叫ぶ。


「いやだねー。」


 私はこのうざい男が好き。


 私がだれか?って?そんなの決まってるじゃない。


 父は売れてる小説家。


 母は年が二つ違いの大物ファッションデザイナー。


 そして、私はその父母ちちははの名前が両方の具わっている、長女。


 もう少ししたら、もう一人家族が増えるんだ。


 楽しみ。


 私はこれから中学校に行くの。


 そして、バラ色の人生を送るんだ。


 好きな人と一緒にね。


 父母のように…





『ミャアー。』


「おはよう。シュガー、レモン。」





 黒い子猫がくれたもの〜終わり〜

どうでしたか?

楽しんでいただけたでしょうか?

変な終わり方をしてしまったと思っていますが。

喜んでいただけたら嬉しいです。

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