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黒い子猫がくれたもの5

                12、梨乃の復習と新しいカップル


 ガラッ…


 茜は教室の扉を開けた。


 みんなはいつものように騒がしい。


「お、おっはー。茜、巳緒って茜?なにそのムッスー顔。超怒ってるんですけど。」


 明梨は恐る恐る尋ねてきた。


「さっきねー。梨乃と喧嘩しちゃって。茜が。」


 私はさっきの一部始終を話した。


「そういうことね。だからこんなにむくれてるの?」


 明梨は隣にいる茜を指差しながら尋ねてきた。


「うん。」


「ふーん。でも、それってヤバイと思うよ。」


 いきなり、怖そうな顔をしながら私と茜に言い放ってきた。


「友達と話してるときに聞いたことがあるんだけど。梨乃にたてつくとレディースの人ら呼んできて、ハブにされるんだって。噂があるよ。まあ、実際ボコられた人もいるらしいよ。」


「え?やばくない?どうすんの?茜。」


「どうするもこうするも。もうたてついちゃったし。」


「一応私は、茜を守るけど。」


「私も。」


「ありがとう。二人とも。」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 部活終わり…


「さ、三人で帰ろう。」


 私は部室で着替え終わった二人を呼んだ。


『うん。』


 二人は笑顔で返事をしてきた。


 ガチャッ・バタン


 私達は部室を出た。


 そのときだった。


「梨乃にたてついたって奴。あんた?」


 いきなり茜に近寄ってきた女の人達がいた。


 白い特攻服をきた女の人達。


「そうですけど。何か?」


「そうですけど。なにか?だって。こいつ誰にたてついてんのかわかってねえよ。」


 リーダー的な人が笑いながら言い放った。


「よくも梨乃さんに喧嘩うったよね。」


 いきなり怖い顔になり…


 バンッ


 茜が叩かれた。


「なにすんだよ!!お前ら!!!」


 明梨は女の人達を睨みながら怒鳴った。


 明梨は暴走族の兄が三人もいるのでこういうのは慣れっこらしい。


「あ?!誰に口きいてっと思ってんだ?!!」


 一人の女の人が言い放ってきた。


「大人数でなきゃ何もできねえのかよ??!!あ??!!随分意気地なしだな???!!あ??!!」


 明梨は怖い顔で今にも噛み付きそうなぐらいで怖かった。


「あ??!!!んだと??!!聞いてればいい気になりやがって!!!!」


 女の人達は怒り出した。


「おらあー!!!」


 殴りかかりそうなときだった…


「やめろー!!!!!」


 大きな声が体育館に響き渡った。


「あ???!!!誰だよ??!!!お前??!!!」


「光輝だけど?その子達に手出しちゃ俺が許さないよ?」


 ココアが首を回しながら近寄ってきた。


「あ!!!茜ちゃん!!!大丈夫??!!」


 ココアは茜に駆け寄った。


「だ、大丈夫。」


 茜は無理に笑顔を作った。


「誰だよ。やったの。」


「は??!!何?」


「やったの誰だって聞いてんだよ?????!!!!!!!」


 ココアは怖い顔で怒鳴った。


「私だよ…」


 ガンッ!!!!


 一瞬時が止まったと思った。


「リーダー!!!」


 ココアはリーダー的な女の人をいきなり殴った。


「次、相手になりたい奴は?」


 ココアは怖い顔で手招きしてきた。


「す、すみませんでした!!!!」


 女の人達は逃げていった。


「さすが女。弱いな。大丈夫?茜ちゃん。俺のせいでごめんね。」


 ココアは私の隣で座っていた茜に心配そうに尋ねた。


「あ、ありがとう。」


 茜は苦笑いしながら言い放った。


「せっかく可愛い顔が台無しだね。」


 ココアは茜の頬を撫でた。


「大丈夫。」


 茜は泣きそうになりながら、言い放った。


「私と明梨は外で待ってるね。後で一緒に帰ろう?」


「え?う…うん。」


「じゃあ、お二人でどうぞごゆっくり。」


「じゃあ、いくよ。明梨。」


「ほいよ。」


 タッタッタッタッタ…



「無理に笑顔つくんなくてもいいんだよ?」


「……。」


「俺の胸使っていいから。泣きな?」


「ひっく、っひ、っひっく。」


 ギュッ


「怖かったよね?ごめんねもう少し早く来れば、こんな怪我なかったのに。」


 茜ちゃんは首を横にふった。


「私…光輝君の…ことが……好き。」


 茜ちゃんは泣きながらつぶやいた。


「茜ちゃん。それ。本当?」


「え?…」


 茜ちゃんは顔を上げた。


 その瞬間…


 俺はそっとキスをした。


「俺も、茜ちゃんが好きになっちゃった。」


 俺は笑顔で茜ちゃんに言い放った。


「うわーん。」


「何で??!!」




「よかったー。」


「よかったねー。あー熱い熱い。てゆーか、私一人だけじゃん。彼氏いないの。」


「あはは、ドンマーイ。」


 今日は微笑ましい記念日になりました。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


                13、明梨の事情


 私達は教室で話していた。


「ねえ、ねえ、トリプルデートしない?」


 茜が暢気に誘ってきた。


「異議ありー。私、彼氏いないー。」


 明梨が手を上げながら言い放った。


「明梨は好きな人いないの?」


 私は明梨に尋ねた。


「え?いるけど?」


 明梨は平然と言い放った。


『は???!!!!』


 私と茜は大声で驚いてしまった。


「なに?何で?そんな変なこと言った?」


 明梨は私達に尋ねてきた。


「なに?じゃないわよ。何で言わないのよー!!!」


 私は明梨に怒った。


「巳緒と茜に言ってどうするの?」


「そりゃ、協力するよ。」


「いいよ。私のは、かなわない恋なの。それに、私はあんま女の子系じゃないからね。」


 明梨はちょっと寂しげな表情で言い放った。


「かなわない恋って?」


 茜が明梨に尋ねた。


「実りたくても、実れない果実ってこと。」


 明梨は呆れながら言い放った。


「そうなの?」


 茜は私に尋ねてきた。


「私にはちょっと違う意味なような気がする。」


 私は苦笑いで言い放った。


「まあ、とにかく手出ししなくていいから。」


 明梨は苦しそうに言い放った。


「それじゃあ、トリプルデートできないじゃん。」


 茜はムスッとした顔でふてくされた。


「ダブルデートしてきなよ。」


 明梨は茜に言い放った。


「それじゃあ、意味無いの。何をするのも、三人がいいの!!!」


 茜はちょっと寂しげに言い放った。


「今回は仕方ないでしょ?諦めて、ダブルにしなって。」


「じゃあ、せめて恋してる人を聞かせて。」


 私は明梨に怒りながら尋ねた。


「しょうがないな。真ん中の兄貴。」


 明梨はため息をつきながら言い放った。


『う…うそー!!!!!!』


「しー!!!!!」


『ご、ごめん。』


「だから言ったじゃん。かなわない恋だって。」


 明梨は落ち込みながら言い放った。


「そうだったんだ。」


「兄貴はね。不良だけど、私には優しかったんだ。一緒に遊ぼうって誘ってくれたり。一緒に祭りに行ってくれたり。一回だけ、いじめられたときに助けてくれたり。いろんなことしてくれるんだ。今だって、いつも仲いいんだ。いつも一緒に遊んでくれる。だから、どうしても諦めがつかないんだ。」


 明梨は何かを思い出すかのように言い放った。


「明梨がそんなに傷ついてたなんて。知れなくごめんね。」


 私はちょっと落ち込みながらつぶやいた。


「別にそんな気にすることじゃないよ。私が言わなかっただけだし。」


 明梨は作り笑いをしながら私に言い放った。


「まあ、まあ、そう落ち込まずに。」


 明梨は盛り上げようとしてくれているみたいだったので。


 この話しはしないようにした。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 部活終わり…


「茜は今日も光輝と帰るの?」


 私は茜に尋ねた。


「うん。じゃ、バイバイー。」


 茜は頬を赤く染めながら手をふって帰っていった。


「バイバイー。」


 私は茜に手をふった。


「さ、じゃあ、私達も帰ろう?」


 私は着替え終わった明梨を誘った。


「うん。」


 明梨はいつもと同じだった。


 このときは…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 帰り道…


「やっぱり言ったほうがいいのかな?」


 明梨は歩いている途中にボソッとつぶやいた。


「うーん。まあ、言わないよりかははっきりすると思うよ?」


 私は遠くを見ながら言い放った。


「やっぱり?でも、言えない気がする。それに兄貴には彼女いるかもだし。」


 明梨は寂しげな顔をしながら言い放った。


「かもでしょ?いないかもしれないじゃない。」


「でもさ。私は血のつながってる妹だからさ。無理でしょ。」


「えー。付き合うのもだめなの?」


「それはわからないけど。」


「でしょ?ならいいんじゃない。あたって砕けろ。体育会系なんだから。」


「そうだね。じゃあ、気持ち伝えてみる。」


「うん。がんばれ。」


 いつの間にかいつもわかれるところに来ていたので。


「じゃ、バイバイ。」


「バイバイー。」


 手をふって帰った。


 そして、目の前には……地影。


「帰ろう?」


 地影はそう言いながら手を差し伸べてきた。


「うん。」


 私は地影が差し伸べてきた手の平に手をのせる。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 深夜…


 ブーブーブー…


 寝ている途中携帯のバイブがなる。


「電話?誰だろう?」


 私は寝ぼけながらそのかかってきている電話に出た。


 ピッ


「はい。」


「もしもし?巳緒?」


「うん。」


「お願い、今すぐ家の前に来て。ひっく。」


 ブチッ


「明梨が泣いてた?」


 ガチャッ


 私は家の前に来た。


「巳緒ー。っひっく。っひ。」


 明梨は泣いていた。


「どうしたの??!!」


「私、家族と血、繋がってないみたい。」


「は???!!!!」


「私、今日。帰ってきたら、お父さんとお母さんが喧嘩してたの聞いちゃったの。」


「何を言ってたの。」


「私はお父さんの会社の人の娘だったんだけど。その人の奥さんが交通事故で亡くなっちゃって。その会社の人は一人じゃ、育てられないからって。お父さんに引き渡したんだって。」


「え??!!」


「どうしよう。私。あの家族の中にいられない。ひっく、っひ、ひっく。」


「明梨。とりあえず。私の家にいよ?外なんかにいたら風邪引いちゃうよ。」


 私は明梨を家に入れようとしたら…


「明梨ーーー!!!!」


 暗い道から走ってくる誰かが見えた。


「兄貴…?」


 明梨はつぶやいた。


「え?」


「明梨。やっと、見つけた。」


「兄貴。来てくれたんだ。」


 目の前にいるのは片方の耳にピアスを一個つけてる人でジャケットを着ていて、ジーンズをはいている。


 そして…裸足。


「兄貴…なんで裸足なの?怪我するよ?」


 明梨は苦しそうな顔しながら言い放った。


「心配させやがって。いきなり出てくんもんだからびっくりしたよ。」


 明梨のお兄さんは地面に座り込んだ。


「だって。私だけ血、繋がってない。」


「は?言っとくけど。あゆむだって血繋がってねえよ。」


 *…歩というお兄さんは三番目のお兄さんです。


「え?あゆ兄も?」


「ああ。あいつもお前と一緒の母親だよ。だから歩も血は繋がってない。」


「でも、私は邪魔ものじゃん。」


「邪魔なんかじゃねえよ。お前もいてこそ俺達の家族じゃねえかよ。」


 お兄さんはすごい優しい笑顔で明梨に言い放った。


「兄貴。私。兄貴が好き。」


 明梨は突然言い放った。


「は?」


 お兄さんは呆然としている。


「私は兄貴が好き。」


「俺?」


「そう。」


 そう言い放った明梨の顔は真剣だった。


「まあ、そうだろうとは思ってたよ。俺もだよ。明梨。」


 お兄さんは笑顔で明梨に言い放った。


「兄貴ー!!!」


 明梨はお兄さんに抱きついた。


「ある意味血繋がってなくてよかっただろ?」


 お兄さんは笑った。


「確かに。」


 明梨は笑いながら言い放った。


「さ、帰るぞ。」


「うん。あ、待ってて。」


 明梨が私のほうを向いてきた。


「ありがとうね。巳緒。また学校でね。」


 明梨は元気よく私に言い放った。


「うん。それと、おめでとうー。」


「ありがとう。じゃあ、バイバイー。」


「バイバイー。」


 そして、明梨はお兄さんと一緒に手を繋いで帰っていった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 次に続く…



次回はついに最終話なので、読んでくれたら嬉しいです。

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