明日はついにPW
お久しぶりです。全然書けてません(泣)
ネット小説大賞七というタグをつけたので、無理してアップします!
突然の魔族襲来騒動から一週間、学園全体がようやく落ち着きを取り戻し始めたのも束の間、明日からは4月からの新生活で溜まった疲れを癒すための7連休……PWである。
今は放課後で、普通であれば生徒達は明日からの連休に浮かれているはずなのだが、エンディリオが担当する2年Cクラスの生徒達は今日も魔力コントロールの訓練に明け暮れていた。
「いでよ! 漆黒の騎士・カオスロードデュークよ!」
突然叫びだしたのはこのクラスの生徒の一人、漆黒の王・チャクロだ。そして、彼が呼びかけると同時に魔力でできた無駄に装飾された騎士が現れる。
チャクロはこの魔力コントロールの訓練を意味の分からないことを言いつつも真面目に行っており、無駄に装飾された騎士を作り出すことは朝飯前である。
そして、彼はここ数日間は今まで以上にイキイキとしている。その理由はというと……
「こい! 聖騎士・ペンデュラム!」
同類が現れたのである。聖騎士・ペンデュラムも漆黒の騎士・カオスロードデュークと同じく無駄に派手な装飾がなされている。
この聖騎士・ペンデュラムを作り出した人物の正体は勇者のレイジで、彼はエンディリオに誘われた翌日の放課後に早速現れた。彼も最初はこの訓練の方法に戸惑っていたが、持ち前の才能で訓練を始めた翌日にはマスターしてしまった。
それからというもの、何故かチャクロと意気投合し、ここ数日はずっと先ほどのやり取りを繰り返している。
「ふっ! さすがだな勇者レイジよ。聖騎士・ペンデュラムの首元の装飾は特に素晴らしい」
「ありがとうございます、チャクロ先輩。先輩の漆黒の騎士・カオスロードデュークもとても素晴らしいですよ。特にその腰の装飾は前世の記憶と合わせてもダントツです」
「ほう? お前は既に前世の記憶が蘇っているのか」
「ええ、いい記憶は何一つありませんが……」
「……そうか、俺は前世の記憶の封印を解きたいのだが、知らない方がいいのかもしれんな」
実際、レイジには前世の記憶があるのだが、ここでは設定ということになっている。
「私のカオスロードデュークがいる限り、どんな敵……例え伝説の世界を滅ぼす龍であろうがうち滅ぼしてくれる!」
「世界を滅ぼす龍? ……それはドラゴンのことですか?」
レイジはこの世界にきて、初めて聞く「龍」という単語に引っかかった。レイジは前世の記憶から、どうしても龍とドラゴンはほぼ同じ生き物ととらえてしまう。
「龍とドラゴンはまったくもって違う。ドラゴンはレイジも知っていると思うが、龍はまた別で、世界を滅ぼす存在と言われている」
「世界を……滅ぼす?」
レイジはなんとも物騒な話に、思わず聞き返してしまう。この設定はどうも心に響いてくるらしい。
「ああ、この世界は2度滅びたと言われている。そして、2度にわたり世界を滅ぼしたのが龍という存在らしい」
「……それは、スケールの大きい話ですね……」
「よくそんなマニアックな話を知っているな」
「……え?」
レイジはチャクロが考えた設定に関心を持つ。しかし、二人の会話にエンディリオが混ざってきたことにより、少しばかり混乱する。
(まさか、エンド先生もこちら側の人間だったとは……)
「世界のリセット……この世界の神がこの世界の住人を恐れた時、自分を守るために月に眠る龍を起こして、一度世界を滅ぼし、再び一から世界を始めると言われている説だな」
「ええ、エンド先生もご存じだったとは驚きです」
レイジは本気でエンディリオが本気で自分側の人間だと思ったが、周りの反応もそれっぽい雰囲気を出していることから、「あれ? これってガチ?」と気づき始める。
「キャ~、怖~い! もし龍が襲ってきたら~守ってくださいね~先生!」
先ほどの話をちゃっかり聞いていたミリアがここぞとばかりに甘い声を出しながらエンディリオに抱きつく。
「いや、いくら先生である俺でもそれは無理だろ。相手は世界を滅ぼすんだぞ? 一瞬で塵になるわ」
「先生~そこは嘘でも~「何があってもお前のことを守ってやる」っていうところですよ~」
そんなやり取りをはたから見ながら、レイジは龍、そして…神について考えていた。
(この世界の神様って、俺が転生するときに会ったやつだよな…本当にあの人がこの世界を? ……ありえるな)
実はというと、レイジは転生の際に一度神に会っている。そして、レイジはこの世界の神に悪い印象を抱いていないものの、思い返してみると確かにやりそうだと思ってしまう。
この世界の神ははっきり言って気分屋なのだ。レイジを転生させたのも気まぐれだし、面白くなくては困るという理由からある条件も勝手につけている。
では、なぜレイジが神に対して悪い印象を持っていないかというと、それはレイジ自身も分かっていない。ただ、どこか憎めない存在なのだ。
「今日帰省する人も多いと思うし、もういい時間だな、今日はここまで! 皆、気を付けて帰るように」
龍の話で盛り上がってしまったためか、いつの間にかいい時間になっていた。そのため、今日は皆ほとんど魔力コントロールの練習はできていない。今日も2年Cクラスは平和である。
※
2年Cクラスが龍の話で盛り上がっている時、エイリーナは図書館で魔族について調べていた。
(魔族が現れた時私は何もできなかった。リオお兄様やレイジくんが来てくれなかったらどうなっていたか…)
エイリーナは魔族の襲撃の際、何もできなかった自分が無力であると思い悩んでいた。
もちろん、あの時皆守ろうと魔族相手に会話し、時間を稼いだという点から全くの無力というわけではないのだが、自分の兄と友達という比較的親しい間柄の人が魔族相手に立ち向かったという点から、自分が無力であると考えてしまうのは仕方ないことだろう。
そうした理由から図書館に籠り、魔族について調べ、しばらくすると私語厳禁な図書館であるにも関わらず話し声がエイリーナの耳に入る。
「そういえば、知ってる? この前襲撃してきた魔族を倒したのってエンド先生なんだって」
「知ってる知ってる! あんなにかっこよくて強いなんて素敵だよね」
「それに、この前食堂で見かけたんだけど、Cクラスの生徒達とすっごく仲良さそうだったんだー。私初めてCクラスが羨ましいと思ったもん」
「それ私も見た! 年近そうだし、話しやすいんだろうなー」
エイリーナは図書館に限らず色々なところでこういった会話を毎日何回も耳にする。今やエンディリオは時の人で、男子たちからは尊敬の女子たちからは憧れのといった感情を一身に受けている。エイリーナにとってはそれがひどく落ち着かない。
(やっぱりリオお兄様はすごいのね…身分も隠して、今まで城からほとんど出たことないのにすぐに人気者になってる。それに比べて私は誇れるものが何もない…私は王族に、レイジくんの友達に……何よりリオお兄様の妹に相応しいの?)
自分の気持ちがマイナス方面に傾きだした時、ふと外を見ると暗くなり始めていた。
(そろそろ帰ろうかしら。そういえば、明日から休みね。王城に帰る準備をしないと)
ちなみにエンディリオとエイリーナが帰るのは明日である。
そうこうしてエイリーナは学校から出て帰宅していると、見知った人が前を歩いていた。
「レイジくん」
「ん? ああ、リーナさんお疲れ様」
「お疲れ様。最近は遅くまで学校にいるね、何かしているの?」
「エンド先生のもとで修行をちょっとね、そういうリーナさんはこんな時間までどうしたの?」
「え? わ、私は魔族について調べてたの。無力なのはもう嫌だから」
まさかのエンディリオのもとで修行ということにエイリーナは驚く。
「リーナさんが無力なんてあるはずないだろう。この前の件だって皆が動けない中、1人で助けを呼びに行ってくれたし…とにかく、リーナさんは無力じゃないよ」
「ありがとう、レイジくん」
エイリーナは今のレイジの言葉でほんの少しだけ自信を取り戻せた。
しかし、そんな取り戻した自信をすぐさま無くしてしまうほどの重圧がエイリーナを襲う。
油断すると意識を持っていかれそうになるなか、何とかして横のレイジを見ると、彼も険しい顔をしながら冷や汗を流している。そして、そんな彼が睨み付けている先にいるのは……
「我こそは『5』の称号を承けたまわりし魔王軍幹部が一人…エルファイブである! 忌々しい勇者よ貴様に用があって来た。エイリーナ殿、突然の訪問お詫び申し上げます。この場でなければゆっくりとお話ししたかったものです」
魔王軍の一人、エルファイブであった。
来年のゴールデンウィークって10日もあるんだって?




