こんな世界なんて壊れてしまえ!
皆さんしません!!
研究室配属されてからというもの、忙しくて本っっ当にちょっとずつしか書けてないです。
とりあえず次の区切りのいいところまで書けるのを待ってもらえるとありがたいです。
魔族襲来事件が解決してからというもの、いろいろあった。
まずは、俺とルーデリカの関係を疑っていた生徒会役員達を納得させた。あれにはさすがの俺も焦りを隠せなかった。
次に、リーナが呼びに行ってくれた魔法騎士団達に今回の一件について詳しく説明をした。途中で何故遺体を燃やしたのか聞いてきたが、口論でねじ伏せてやった。途中でランドルトが来た時には相手は涙目になっていたことから、どうせどこかの非合法な研究をしている場所に売ろうとしていたのだろう。最後に二人で話したいことがあると言われ、ついて行くと、顔を青くしたランドルトに「今回の件、解決していただきありがとうございました。それと、エイリーナ様を危険な目にあわせてしまい、本当に申し訳ございませんでした。如何なる罰も受ける所存です」と言われた。俺、ランドルトには怒ってないよ。何でそんなに怖がってるの?そもそも、自分だってギガコヤス先生の合図がなければ気づかなかったのだ、別にこの学園の警備がざるだったわけではないだろう。
その後は、自分の担当のクラスに戻って事情の説明をした。幸いにも、Cクラスの生徒達は取り乱した様子もなく、比較的楽に終わった……むしろ他のクラスとは違い、めちゃくちゃ質問されて大変だった。そりゃ魔族を倒したのが俺だから聞くなら俺が一番いいっていうのも分かるが、あいつらは少し好奇心が旺盛すぎる。
最後にいつも通りの仕事が待っていた。なぜこんなことがあっても、仕事はあるのだろうか?この時すでに日は落ちていた。他の今回の事件で増えた仕事は全て、事件が起きた時校舎に籠っていた先生共に押し付けてやった。ざまぁ!
そんなこんながあり、ようやくリリーの待つ家へと帰ることができた。
いつもより帰りが遅くなってしまったため、リリーに何があったのか聞かれたが正直に教えるかどうか迷った。何故なら、俺が直接手を下したわけではないにしろ魔族を殺したのだ。そして、正体を隠しているがリリーは人間と魔族のハーフである。今回の事件を正直に話してしまうと、リリーが悲しむかもしれないと思ったのだ。
結局隠したとしても、この街での出来事であるため、リリーに知られるのは時間の問題だと考えたので、晩御飯を食べながら正直に話した。
結果、「魔族が迷惑かけたようでごめんなさい。ただ、トゥウェルスの上にいるエルファイブは心底勇者を嫌っているから、改めて気を付けるように言っておいてあげて」と言われてこの話は終わった。どうやら、他人事のようで、逆に謝られた。
晩御飯の片付けも終えて、いつもなら自分の部屋で次の日の授業の確認をしている時間、今日はいつもとは違って再び外出している。そして、俺が今どこにいるのかというと……不法侵入して女子寮のリーナの部屋にいる。
目的は大事な妹に怪我がないか確認するのと不安で眠れなくなっていないかの確認だ。
「リオお兄様……こんな時間に不法侵入はどうかと思いますよ。特に今は警備も厳しくなっていますし」
会って早々注意される。しかし、妹のためならどんな警備も潜り抜けて部屋に不法侵入するのがお兄ちゃんの仕事である。
「本気を出したお兄ちゃんの前ではどんな警備も無駄だから安心してくれ」
「それ、安心できませんよ」
とりあえず、挨拶はすませたので早速抱きつくことにする。
「ちょっ!…何抱きついているんですか!」
「リーナに本当に怪我がないか確かめているんだ」
「こんなので分かるわけないじゃないですか!」
リーナの言う通り、こんな事をしても怪我があるかどうかなんて分からない。では、なぜこんなことをしているかって?そんなの決まっている!適当な理由を言って、妹成分を補給するためだ。この街に来てからというものほとんど補給できていなかったのだ、ここでやらずしていつやるというのだ!
それにしても、真っ赤になりながら抵抗するリーナ、本当に可愛い!次は頬ずりをする。
「…リオお兄様……もう……やめ………苦しい」
リーナが何か言っているようだが、今の俺に止まるという選択肢はない。ああ、たまらん!このすべすべの肌といい、この甘くいい匂いといい。ハァハァ……
しばらくの間リーナを堪能していると、突然すりすりしていた頬を引きはがされる。
「苦しいからやめてって言っているでしょう!」
「…ダメだ…やめられ…ない、もう少しだけでいいから………あと一時間…でいいから」
「ダメです!」
何とか抵抗するも引きはがされてしまう。
「な、ならせめて手だけでも……リーナ、今日は怖い思いをしただろ?手を握れば落ち着くよ」
「私はもう大丈夫です、それに手を握ったくらいではどうにもならないでしょう」
「そんなことないぞ、リーナのクラスの子だって、事件があった時手を握ってあげたら元気になったし」
「…その子って髪の色がブラウンで目が少し釣り目な女の子ですか?」
俺が今日の事件の時にリーナと同じクラスの子にしたことを話すと、突然リーナの雰囲気が変わる。これは嫉妬か?可愛いやつめ!
「ああ、そうだが……よく分かったな…」
「どうりで…」
なぜその子の特徴が分かったのかは分からないが、リーナが嫉妬しているのは間違いないようだ。
これは好都合だ、もしかしたらリーナが嫉妬して、お触りを継続させてくれるかもしれない…………と思ってた時期が僕にもありました。
「だいたい、年頃の女の子に男性がベタベタ触るのは犯罪です!」
「同意の上なら問題ない」
リーナは嫌とは言っているが本心ではないから大丈夫。昼間の女の子も最後は喜んでくれたから大丈夫……問題ないな!
「いえ、ダメです!このままでは、リオお兄様がいつ犯罪者として捕まってもおかしくありません」
「それはさすがに言いすぎだろ?」
「何を言っているんですか!女の子は心を許している男性以外から触れられると嫌悪感を抱くものなのです。そうなったら、即牢屋行きですよ」
「そういうものなのか…」
「よって、リオお兄様はこれから私を含む全ての女の子に触れることを禁止します!」
「…なん……だと……?」
…なん……だと……? リーナが「お兄ちゃんが私以外の女の子に触るの禁止!」って言ったならば、俺は飛び上がって喜び、リーナに抱きついただろう。
しかし、私を含めて禁止…だと? 俺に死ねと言っているのか?
「なあリーナ? そのニュアンスだと、リーナに触ることも禁止って言っているように聞こえるんだけど……お兄ちゃんの気のせいか?」
「そう言っているんです」
…なん……だと……?
「なあ、考え直してくれないか? お兄ちゃん、リーナに触れないと死んじゃうよ?」
「そんなことでは死にません」
「いやだいやだいやだ! こうなったら、リーナが前言撤回するまでここに居座ってやる!」
「やめてください!」
俺たちがそんなやり取りをしていると…
--ピンッポーン!
突然インターホンが鳴った。
「…はーい、リオお兄様は絶対に静かにしていてくださいね!」
そう言い残すと、リーナは玄関へ向かってしまった。
しばらく待っていると、リーナが帰ってきたが、おまけもついてきた。
「貴方って本当に変わらないわね」
「何入ってきてやがる、ここは俺とリーナの愛の巣だぞ」
「あ、愛の……ち、違います!」
「リーナちゃんも変わらないわね」
おまけの正体は、昼間も顔を合わせたルーだ。
「それで何の用なんだ?」
「そうそう、凄く小さいけど、男の人の声が廊下で聞こえるって騒ぎになっていてね……もしかしてと思ってここに来たのよ。予想通りだったわ」
そんなに騒いでいるつもりはなかったんだが…
「リオお兄様のせいで私に変な噂がたったらどうしてくれるんですか!」
「いえ、大丈夫よ。皆には私から言っておくわ」
「ありがとうございます、ルーさん」
「いいのよ、可愛い妹のためだもの」
今の発言は見逃せないな、せめて義を付けろ!
「おい! 何、人の妹を取ろうとしている」
「貴方みたいな残念なシスコンにリーナちゃんはもったいないわ」
「残念なのはお前の方だ、リーナは俺のものだ」
「私は誰のものでもありません! それより、私の部屋で私を無視して話を進めないでください」
リーナを抜いて話をしていたら怒られてしまった。まったく、ルーのせいで怒られてしまったではないか。
「ところで、聞きたかったのだけど、リオはどうしてそんな絶望した顔をしていたの? 何をやらかしたの?」
「なぜ俺が何かやらかしたことが前提なのかは置いておくとして、実は……」
俺はルーに、先ほどのリーナとのやり取りを話す。ルーからも何とか言ってやってくれ!
「そうね……それがいいわね。リオはもう少し常識を覚えた方がいいわね」
「……ルーもリーナの味方か…常識なんてどうやって学ぶんだ?」
「それは貴方がここで生活しながら注意深く他の人の行動を観察していくしかないわね……バレないように観察しないとダメよ」
「難しいな」
注意深く、されどバレないようにとは難しい……
「とにかく、常識では他人に触れるのはある程度打ち解けてからじゃないとダメよ」
「……それは分かった。けど、それならリーナに触れるのはいいではないか」
「まぁ、それは本人次第ね」
「ダメです!」
話しながらどうにかリーナのお許しをもらおうとするが、きっぱり断られる。なぜだ!
「…どうして?」
「とにかくダメです!」
理由も教えてくれない……取り付く島もない。
おそらく、俺に触れられると気持ちが隠せなくなるとかそういった理由だろう。リーナは今、必死に前に進もうとしている。そして、この街に来てからというもの、想像よりも速い速度でリーナが自分から遠ざかっていくのが分かる。
これは覚悟していたことだ……だから、驚きはない。だが、悲しいような寂しいような言葉にするのが難しい、そんな感情が胸のあたりを掻き乱す。
だけど、リーナを任せてもいいと思える存在はまだ現れていない。昼間に魔族に立ち向かっていったレイジ君もまだ足りない。だから、離れていくリーナとはまだ一定の距離を維持しなければならない。そして、その方法は結局のところ一つしかない。俺がシスコンでいること……リーナに対して家族としての愛情を注ぐことである。
「ウオォォ! 我が愛しの<妹>に触れることすら許されないなんて……こんな世界に価値なんてない!」
俺達は間違いなく両思いだ。だけど、俺達は兄妹だ。たったそれだけの理由で俺達はずっと一緒にいることができない。俺達が一緒にいることは、立場が、世間が、世界がそれを許してくれない。こんな世界……
「こんな世界なんて壊れてしまえ!」
俺は泣くふりをしながら心で泣いて、窓からリーナの部屋を出た。




