あぁ、ここが…エデン……か
さあ、今日はテストだ!
結構重要なテストだから頑張らない…と……(スヤー…zzz)
エンド先生の授業には驚かされてばっかりだ。自然の魔力を操るだけには飽き足らず、その魔力を自身のものへと変換して吸収するなんて芸当も見た。
そんな私が予想よりも遥か上の授業にのめり込んでしまったのだが、現在私達が要求されているのは、自身の魔力を渦のようにすることだ。
魔力をどうやったら渦にできるかなんて、想像もつかない。
素直にその疑問を口にすると、普段はどうやって魔力コントロールの練習をしているのかを聞かれた。
「掌に集めた魔力をできるだけ長い時間維持するようにしています」
エンド先生の疑問に対して私は当然とばかりに答えた。こんなのは魔法の練習を始める際に誰もが教えてもらうことだ。
しかし、先生から返ってきた言葉は予想外のものだった…
「効率悪っ!」
「え?」
エンド先生の言葉に私は驚いてしまう。この方法が効率が悪いなんてありえない…これは皆がやっている方法なはず…
「それだと時間がかかりすぎるからなかなか続かないし、一定以上からは伸びないよ」
「…そんなはずは……」
言われてみれば確かにそうだ…目の前のエンド先生なら日をまたいでも大丈夫そうだ。しかし、他の方法を私は知らない。
「先生はどうしているのですか?」
そういえば、さっきから私しか発言していない。これだから委員長なんて呼ばれてしまうのだ…
「集めた魔力で色々な形を作っている……このように」
エンド先生がそう言うと、教卓には魔力でできた犬がいた。
--可愛い……じゃなくて!
こんな方法で意味があるのだろうか?…だけど、目の前にいる先生は自然の魔力を操って見せたため、信じるには充分過ぎる。
そんなことを考えていると、エンド先生は話を続けた。
「この方法でやったことがないなら、まずは集めた魔力を三画錘みたいな簡単な形から始めてみるといい」
エンド先生がそう言うと、私達はさっそく集めた魔力で三画錘を作ってみる。…しかし、できたのは三画錘はぐねぐねしたもので、しかもその形を維持することもできない。
ふと、先生の方を見ると、理想的なまでの四角錘を作っていた。しかも、なぜか先ほど作られた犬がその近くで伏せをしている。
何か神々しいものをそこからは感じるが、自分の魔力へと意識を戻す。
(…ダメ、できない)
周りを見渡しても、全員苦戦しているようだ。
エンド先生は暇なのか、魔力で動物を作って踊らせている。よく見ると、ポンポンを持っているので応援ダンスなのだろう…気が散ってしかたがない。
再び魔力を掌に集めて、形を変えようと試みたところ、先ほどよりもほんの少しだけキレイな形をしているように感じる。
生徒達の苦戦を見かねたエンディリオは助け船を出そうと立ち上がる。作り出した動物達と共に。
先生は一番前の席に座っているアルマ君のもとにたどり着くと、彼の額に手をあて、説明を開始する。
「目を瞑って想像するんだ。…まずは、三画錘からだ。頭の中に思い浮かべたら、それを維持したまま魔力を掌に集めるんだ。魔力のコントロールは何よりもイメージが大事だからな…アルマ、目を開けてみろ」
「…おお!凄い、さっきよりも全然キレイになってる!」
エンド先生の説明を聞きながら、それを実行したアルマ君は恐る恐る目を開けると、掌のそれを見て歓喜の声をもらした。
まだ、先生のように完璧ではないが、それでも先ほどとは比べ物にならないほどキレイな仕上がりとなっていた。
先生がアルマ君の額に手をあてるという行為に腐ったトキメキを感じてしまったが、それはまたの機会だ。それよりも、先ほどの先生の説明を思い返し、さっそく挑戦してみる。教卓でオタ芸を披露している動物達はスルーすることに決めた。本当に応援してくれているのだろうか?…なぜかキレのある動きをしていて、とても気を取られてしまうが…スルーしよう。
どうにか、掌に意識を集中し、目を瞑る。
(まずは、頭の中に形を思い浮かべる。…そして、その状態で魔力を集める!)
恐る恐る目を開けると、私の掌でも先ほどまでとは比べ物にならないちゃんとした三画錘ができていた。
「よしっ!」
「ん?…おお!委員長、もうできたのか」
「先生のアドバイスのお陰です」
まさか、こんな短時間でできるとは…もしかしたら、私は恐ろしい才能を持っているのかもしれない。きっと私は、世界を救うために生まれてきたのだ!…ふふっ!…ふははは!
あと、まだ委員長じゃないです。
「まあまあ早かったな、じゃあ次は星型をやってみようか」
「ア、ハイ」
どうやら、まあまあだったらしい。そもそも、この方法を見つけ出したのは目の前のエンド先生だ。私なんか外野でしかない…世界を救うのは先生のようなカッコいい人や冒険者のセラさんのような美しい人じゃないと…ぐすんっ!
そもそも世界を救うってなんなのよ!別に危機でもなんでもないわよ!
「委員長、何泣いてんだ?」
「…集中し過ぎて、目から汗が」
「お、おう。頑張れ」
先生に若干引かれた気がするが、気にせず星型の生成に取りかかる。
教卓で組体操をしている動物達はかなりのクオリティだったため、見ていたい気持ちもあるが、ぐっと抑える。
「先生~できましたぁ!」
私の次にできたのは、二年生からこの学園にそして、このクラスへとやってきたミリアさんだ。ミリアさんはとても甘い声でエンド先生に呼びかける。
ミリアさんは甘い声からも想像できるように、とても可愛らしい女の子だ。ピンク色の髪は彼女の可愛さをさらに強調させ、少し垂れた目から伸びている睫毛はとても長い。そして、それらの女の子としての可愛さを持っていることを自覚しているかのような仕草は女の私でも鼻の下が伸びてしまいそうになる。
そして彼女を語るうえで、何よりも重要なのが、そう!胸である。何なんだ、あれは?下品なほど大きくないにも関わらず強調してくるし、やはり彼女はそれを理解しているのか、彼女の仕草にはその圧倒的胸を強調させるものもあるのだ。…たまらん!
私は女だ……だが、何だというのだ?彼女を撫で回して、あの胸を一度でいいから揉みたい!揉みしだきたい!!…待てよ?女の私がそれをしても犯罪にはならないのでは?昔の偉い人も言っていたわ『男は男同士、女は女同士で』ってね!つまりは合法、私があの胸をこの手に収めるのは必然!…ハァ…ハァ!
私は自分が女に生まれてきたことをこの場で深く感謝する。
(ありがとう…ありがとう!)
「おお!ミリアもできたのか」
「うん!もっと褒めて」
「よしよーし」
「…ん、ありがとう!」
ミリアたそめ…あんな可愛い仕草を先生にしよって!…もしやミリアちゃんは先生狙いか?私にはやってくれないのだろうか?
ミリアちゃんの先生に対する態度から、女子生徒数名から彼女に殺気が放たれている…ふん!彼女の可愛さが分からんとは、何と愚かな。
それにしても先生のあの態度は何だ?ミリアちゃんにあの仕草で迫られて、普通によしよしするだと?私なら惚れてしまう。
よしよしされて満面の笑みを浮かべているミリアちゃんはとても満足そうで、可愛い。私もよしよししたい!
もしも私がカッコいい男だったら、先生のようにミリアちゃんをよしよしできたのだろうか?そして、雰囲気がよくなったところで、あの胸に手を伸ばせたのだろうか?
(ちくしょう!…どうして私は女なんだ!)
私が女であることを嘆いている間に、続々と魔力で三画錘を作れた生徒が増えていく。その中には、ツンデレのカレンちゃんも含まれていた。
カレンちゃん…一年前初めて見た時、私は彼女が本当に同い年なのか疑ってしまった。その理由は、彼女がとても小柄であるためだ。髪型はツーサイドアップで、少しウェーブのかかった茶色の髪の左右にちょこんと犬の耳のような物が乗った感じであり、それが彼女の小柄な容姿にとても合っている。
私はこの少女のことを一年前から狙っている。是非とも彼女を膝に座らせて、撫でて、頬擦りしたい。…ハァ…ハァ!
「委員長、さっきから息が荒いけど大丈夫か?無理はするなよ」
「大丈夫です。別のものと闘っていただけです」
「そ、そうか…?」
危ない危ない、私はクールな委員長。中身がどうあれ、それを外に出してはいけない。絶対引かれる。
あと、まだ委員長じゃないです。
私が我に返って、再びカレンちゃんを見ると、すでに星型を完成させていた。彼女はそれをエンド先生に見せる。
「エンド先生…星もできたんだけど…その……私のことも撫でてくれない?」
(あのカレンちゃんが、デレた…だと?)
エンド先生はそんなカレンちゃんを見ても、普通な態度で彼女の頭を撫でる。
何故だ?何故カレンちゃんのデレを見てもあの態度を崩さない?先生はひょっとして…私の同士?
「もう~先生!堂々と浮気しないでよね!」
「浮気とは何だ!浮気とは、人聞きの悪い!」
私が先生が同士である可能性に行き着いたとき、ミリアちゃん甘い声が響く。
「私以外の女の子の頭を撫でるなんて~浮気よ!」
「どこがだよ!先生なら普通だろ?」
生徒達は「この歳でそれは普通じゃない」とかおに書いているが、心の中に留めている。
きっと、面白がっているのだろう…会ってまだ二日だが、先生は優秀だがどこか抜けているところがあるのは分かってきた。それが面白いため、私も静観する。
「ひ、酷い!そんな軽い気持ちで私のことを…」
「言い方がなんか違う!」
「こうなったら…えいっ!」
「ちょっ!…いきなりは危なっ…!」
--ドッ
いきなりエンド先生へと飛び込んだミリアちゃんを彼は初めは支えれていたが、ミリアちゃんが先生の腕に胸を押しつけた瞬間、彼は動揺して体勢を崩してしまう。
先生はミリアちゃんを守るために、咄嗟に自分を下にして、二人で倒れこむ。
「…んっ!……先生、皆の…はぁん……前でなんて、大胆ん!」
「ん?…………いや!違っ、これは!」
「ちょっと!あんた達、教室で何を!」
「今の見てただろ!不可抗力だ!」
「だったら、早く手を離しなさいよ!」
…エンド先生は私が、喉から手を出して揉みたかったミリアちゃんの胸を…うらやま…じゃない、許せん!
それに、あのミリアちゃんの表情は何だ!
顔を赤くしながら先生を見ている。その表情は全く怒っているように見えない。むしろ、先生が手を離したことを残念に思っているような…
エンド先生にミリアちゃんの胸を奪われたというのに、そんな表情を見せられたら、私!
「ブハッ!」
(あぁ、ここが…エデン……か)
「え?…委員長?……委員長ー!!」
クラスメイト達が心配そうに駆け寄ってくる。そんな皆を安心させるように声をかける。
「そんな…顔しないで、皆。……私は、満足…したから。…悔いは、ない、から」
「何言ってんだよ委員長!これからだろ…まだ始まったばっかりだろ!」
アルマ君が必死に呼びかけてくる。だけど、済まぬ…私はサティスファクションしてしまった。ミリアちゃんのあの表情を見たときに。
あぁ、もうダメみたいだ…目が回る
「あれ?…委員長、それ」
エンド先生が私の手もとを指差し、何かを伝えようとしている。
私はぐるぐるする視界で自分の手もとを見る。そして、何とそこには…
「…でき、てる」
「あぁ、できてるな」
ずっと掌で放置していた魔力が渦の形になっていた…
「視界がぐるぐるして、魔力もぐるぐる…なるほど」
「委員長!やったな!」
エンド先生が頭を撫でてくれる。なるほど、悪くない…
「だが、最期は可愛い女の子に撫でられて逝きたかった…」
--ガクッ
「委員長ーー!!!」
午前の授業の終わりを知らせる鐘の音とともに、クラスメイト達の声が学園に響き渡った。
すいません書きたいこと書いていたらかなりの文字数になって全話と分割しました。
~裏設定コーナー~
実はエンド先生がしている魔力吸収は今後重要になってきます。
まぁ、かなり先の話なんですが…




