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90.桜花国記(マサキ他国の大地に降り立つ)


 桜花国歴67年10月

 西の港湾都市 フィレーナ




 「どれ、到着したようだし行こうか」

 「うむ、映像では見てはおるが、実際に見ると思うとワクワクするのじゃ!」


 アルフィーナの手を取り帆船の船室から外へと出る。

 この船は、相手の文明レベルに合わせるため特別に桜花で建造した木船で、相手を過剰に刺激しない様に、さりとて相手に舐められない様に、そんな意味で相手の最新鋭の船を参考に作ったものだ。

 もっとも、内部は少しだけ違うのだが、外観からは分からないので問題ないだろう。


 「マスター、すでに迎えの者達が待っているようです」

 「ああ、たしか軍務卿さんが来てるんだね」

 「はい、間諜に気取られ無いようにと、女王は王宮で待っているようです」


 ミナの言うとおり今回の条約調印は、表立っての発表は控え秘密裏に調印される。

 これは、他国のスパイや聖光教の者達などに調印の余計な邪魔されるのを避けるためだ。


 まあ、いつかは気付かれるものだから今回だけ使える手とも言えるが……。


 メイド達が赤絨毯をタラップの上に敷いたのを確認すると、ゆっくりと階段を下りる。

 こういった事は、外聞もあるので慌てて降りるようなマネはしないのだそうだ。

 タラップの下には2人の人物を前に多数の騎士達が並んでいるのが見て取れる。


 どうやら前の2人が、ハルダー軍務卿とナバル子爵だな。


 「どうも、桜花国王そが 素鵞真幸まさきです」

 「「……」」


 軽く会釈をして挨拶をしたのだが、2人は口を開けて唖然としていた。

 どうもハルダーは俺の見た目と想像していた姿とが、あまりにも乖離かいりしていたせいで驚いているようだ。


 まあ、仕方が無いよね。

 見た目20歳の若造が王様って……それに日本人の俺は、より若く見えるだろう。

 他にも聖光教では、俺の事を魔王とか言っているモノだからさぞや恐ろしい姿を想像していたに違いない。


 普通なら無礼な行為にあたるのだろうが、気にしても仕方が無い。

 とりあえずコチラから先に挨拶をしてしまう事にした。


 「それとこっちが、わが妻のアルフィーナです」

 「素鵞・アルフィーナじゃ」


 「あ、あっああ……イヤ、失礼、我がフォルフェバレク王国へようこそお越しくださった。 私はフォルフェバレクの軍を預かるバルト・ハルダーであります」

 「私は、この港の領主で名をナバル・セレーンと言います」


 アルフィーナの紹介でようやくハルダー達も我に返ると、礼儀正しく返した。

 これが普段の彼なのだろう。


 「えぇっと……その……随分と降りてくる人数が少ないようですが?」


 俺の見た目を言及するのは失礼と判断したハルダーは、別の事を気にしだした。

 どうも後から降りてきたメンツを見て人数が少ないと感じ辺りを見回しているようだ。


 まあ、それもそうだろう。

 タラップを降りてきたのは、俺とアルフィーナ、それにミナと5人メイド、その他には外交官が数人だけなのだから少ないと感じるのは当然だろう。


 「失礼します。 マサキ様ここは私から」

 「ああ、そうだね」


 後ろから一礼して俺の横に付いたのは、これまで条約の話を詰めていた外交官だ。

 彼がいなければ条約の条件や今回の来訪も難しかっただろう。


 「女王陛下にお会いするのは、我が王マサキ様、アルフィーナ様、そして私共を含め10数人になります」

 「護衛の者は?」

 「おりません」

 「な! 護衛を付けていないのか!」

 「ええ、今回は騒ぎ立て無い様にと配慮して人数を限定しました。 それと護衛の者がいないのは、貴国への信頼のあかしとお受け取り下さい」


 護衛を付けていない事に驚いている様だが、これでも内閣から「どちらの国を滅ぼしに行かれるのですか?」と心配されるメンツなんだけどな……。


 それに夜空と真白、それにアオイさんも行きたいと言い腕に覚えのあるボルガや、アトア、ルトールなんかも名乗りを上げたのだから困ったものだ。


 だからと言って全員を連れて行く訳にも行かない理由があった。


 フォルフェバレク王国ではそれほどでもないが、数年前まで人族以外の種族を問答無用で奴隷に落とした国家が隣国に多く存在していたからだ。

 この王国内では聖光教の教えは浸透してないと言う話だが、民衆の中には聖光教徒がいる可能性が高い。

 そんな中、俺が別の種族を連れて来訪したとなれば余計な騒ぎを起きるのは明白だ。

 そんな面倒ごとは、無いので今回は外交官を初め船員全て人族で構成したのだ。


 もしもの時は、少人数の方が動き易いしね。


 ナバル子爵や後ろの騎士達も一様いちように驚いているが、我が国が本気の護衛を行おうとすれば色々と問題が起こるので仕方が無い。


 「積もる話もあるとは思いますが、早朝とは言えここでは目に付きますので……」

 「そうですな、では、馬車を要してありますのでコチラへ」


 女王の待つ宮殿に移動するため迎えの馬車に案内された。

 その迎えの馬車を見ると、凄く豪華! と言う訳でないが、そこそこ豪華な馬車が用意されていた。

 馬車の横には、ハルダー伯爵家の紋章が刻まれておりこの馬車がハルダー伯爵所有の馬車だと分かる。


 「内々のご訪問のため当家の馬車を用意しました。 ご不満と思いますが、ご容赦願いたい」

 「いえ、私は構いません。 ご用意頂き感謝します」


 本来は他国の客人を迎えるための馬車があるみたいだが、今回はお忍びの訪問なのでその辺の配慮だろう。


 「では、失礼して」と馬車に乗り込むと、続いてアルフィーナとミナ

 大きい馬車だが、4人が限界そうだったので他にメイド1人が乗り込む事になったのだが……いや、ここでジャンケンしなくても良いだろうに……。

 結局、同乗するのは蓮花れんかと決まり他は、別の馬車に割り振られた。


 馬車に乗るとすぐに王都を目指して走り出した。

 同行するフォルフェバレク関係者は、ハルダーと一部の護衛の騎士たち。

 ナバルと残った騎士たちは、他の者が船に近づかない様に船を警備するようだ。

 

 港湾都市フィレーナから休憩や宿を取りながら進み3日ほどかかり、ようやく王都に到着するのだった。







 馬車の中で


 「まああぁぁぁぁさぁああぁぁきいぃぃ、酷い揺れなのじゃあぁぁぁぁ」

 「そうだねぇぇぇぇ、道路が未舗装だしぃぃ、この馬車サスペンションも無いようだねぇぇぇ」


 豪勢な馬車なので椅子のクッションはとても柔らかいのだが、それでも吸収しきれない振動にアルフィーナと俺は襲われていた。

 ちなみにミナと蓮花は平然としているのだが、この2人は規格外なので気にしないで置こう。


 「とりあえずぅぅ、重力魔法で空間内座標を固定するからぁぁぁ……」


 馬車の内部空間に位置する俺とアルフィーナの身体の位置を振動範囲外の位置に固定する魔法を発動すると、ようやく激しい振動から開放された。


 「ふう……油断していたのじゃ、これほど揺れるとはのう」

 「そうだね、百聞は一見にしかず と言うし実際体験しないと分からないものだね」


 何回も弾ませたお尻を擦りながら他の人達は大丈夫だろうか? 心配になる。


 それと、これ帰りもあるんだよね……。


何回も書き直しているので色々と問題箇所が多い気がします。

だれか私に文才を下さい。

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