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83.閑話 悩む者1


 春に咲く桜を見て悩んでいる者達がいた。


 彼らは、美しい桜を見ては、「う~む……はぁっ」と悩んだり溜息をついたりと桜を堪能しながら悩むのだった。


 彼らを悩ましているのは、たった1つ



 「ソメイヨシノが見たい」



 だった。



 彼らが見つめる先にあるのは、桜花国の名の由来になった山桜

 葉のつき方や花の量など、ある程度の違いはあるが、桜花に咲く桜はすべて山桜だった。


 マサキが、この世界に持ち込んだ祖母の遺品である種子類の中に桜の種はあったが、ソメイヨシノの種子は無かった。

 それもそのはず、ソメイヨシノは種子での発芽ではなく接木つぎきし木でクローンを作って数を増やしていった物なので種子で咲いた物では無いのだ。

 ただし、ソメイヨシノと他の桜なら受粉し発芽するが、同じ様に咲くかは分からない。


 それだからか、彼らは桜が咲くたびに見れない桜、ソメイヨシノが見たいと思い。

 そして、年月が経つにつれ、その思いは一層強くなっていく。


 ある者は、

 突然変移種であるソメイヨシノ

 この桜は、もしかすると桜花でも野生で花を咲かせているかもしれない。

 と桜花中をくまなく散策しソメイヨシノの発見に夢中になった。

 しかし、苦労の甲斐なくソメイヨシノは発見できず空振りに終わる。


 じゃあ、どうする?


 そこで、ある時、ある者が、ある事に気付く。


 無いのなら作ればいい!


 そこで植物学や遺伝学に精通した者達が集い。

 昼夜を問わずソメイヨシノの開発に勤しむ事になった。


 彼らの熱意は、それはもう常軌を逸した物で周りの者が心配するほど開発に没頭するのだった。


 そして、彼らの苦労が報われる日が来る。

 そう、ソメイヨシノが生まれたのだ。


 遺伝子的に違うのだが花の付き方や葉の様子など、どれを取ってもソメイヨシノに瓜二つの桜が誕生した。

 しかも副産物として接木や挿し木での繁殖ではなく、同種の種子による受粉で発芽繁殖するソメイヨシノが作られたのだ。


 数年後にこの桜が満開になったその時、彼らが狂喜乱舞したのは疑い様もないだろう。


 この桜を王様であるマサキに見せたところ。

 マサキは笑みを浮かべ 「あぁ、キレイだな……」 と感動したと言われている。


 さらにマサキがこの桜の品種を尋ねると、こぞって「ソメイヨシノで御座います」と答えたのには、マサキも困った表情で「そうか」と微笑んだ。





 この桜は、記念として何本か天之神社に奉納され植樹される事になり、春の時期になると満開の桜が咲き誇り、参拝客の目を楽しませる春の風物詩ふうぶつしとなるのだった。


 その後も八重桜やえざくら枝垂桜しだれざくらと開発されて行くのだが、

 それは、また別の話


ネタ回でした。 すいません

次も同じです。

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