73.桜花国記(緊急対策会議)
会議室に入ると、あたりは騒然としていた。
色々な種族が色々な制服を身にまとい、モニターに表示される数字や画像を見ながら何か指示を飛ばしている。
まさにそこは、戦争をしているかの様な忙しさを見せていた。
それもそうだろう、ここは、国家安全保障会議の会議室の隣に設置された、緊急対策対応のための部屋
今ここでは、ありとあらゆる情報が送信され多くの者が、その対応に追われているのだから。
「ミナ、状況は?」
そんな中俺は、見ずとも居る事が分かるミナの名前を呼ぶ。
「はい、マスター」
すると、ミナが一礼をして俺から向かって右脇に立ち現在の状況について離し始めた。
現在の状況は、極めて切迫していた。
移住交渉を始めていたエルフ族、しかも、その中の長と言っても良い巫女族
この種族の集落で現在問題が発生している。
重大な問題は、
1つ、現在エルフ族の巫女の少女(巫女の家系)が、奴隷狩りの人族に追われている。
少女は、現在闘争中だが、時間経過ごとに奴隷狩りに捕らわれる可能性が高くなっている。
2つ、現在エルフ族の巫女である女性が妊娠中、しかし、胎児の状態が悪いのか母体の様態が悪くなっている。
このままだと、母子ともに危険な状態になるかもしれない。
3つ、これは現在交渉中のすべての集落に言える事で
集落は、食糧難で苦しんでいる。
交渉時の接触で少なからず食料を渡しているが、人が持てるのには限界があり、しかも警戒されているので改善の見込みは今のところ立っていない。
「残念ながら軍の対応に若干の遅れがあります」
「それは……仕方ないだろう」
ミナは、無表情ながら周囲に居る軍服の者達が申し訳ないと言った表情が出る。
これは、仕方ない事だ。
なぜなら我が国の領土に対して軍隊の数は、未だ不十分
我が国の人口は、この20年あまりでその数が伸びていた。
その数は、20年前から今までに1000万人の人口増を確認している。
世代ごとに分布が違い、前に行くほどその数は小さくなっている。
つまり、子供の数は多いが、大人の数はまだ足りない状況なのだ。
我が国の軍事関係そう人数は、10万人にも満たない。
総人口4000万人の我が国でこの数は少なすぎる。
日本と比べると同じぐらいかもしれないが、台湾と比べると台湾の人口役2300万人
この中で軍事は、20万以上を保持しているのだ。
我が国の領土、領海(領海については、日本側国際条約ではないので注意)は、数倍もあるのにいまだそれを守れる軍隊の確保が難しい。
まあ、今のところ我が国に攻めてくる国は無いのでGDPとの兼ね合いで今後増強していけば良いのだが、何とも歯がゆいモノだ。
「現状は分かった。 総理以下は揃っているのか?」
「マサキ様、ご足労大変ありがとうございます」
ミナに問いかけると、ミナが答える前に別の人物から返事が来る。
見るとそこには、初代総理大臣ジェナートが立っていた。
20年以上で初代とは? と思うかもしれないが、日本もそうだが桜花では、任期を明確に定めた法律は無い。
日本では政党で党首の任期年数を決めているので、それが反映される形になっている。
桜花もそうなのだが、今のところジェナートを越えるだけの国民に任期の国会議員が出ていない。
そのため現在も継続してジェナートが、首相をやっている。
やれやれ、王様もそうだが、首相なんて苦労する役職をしてくれているジェナートには感謝だな。
ジェナートを良く見ると、髪の毛はフサフサだが白髪が増えている。
それに顔には、シワが増え幾分疲れた表情にも見える。
「ご苦労さま、準備の方は?」
「はい、まだ全員は揃っていませんが、緊急なのですぐに始められます」
「うん、じゃあ、隣の会議室に行こう」
「ハハッ!」
俺が先に会議室に向かい歩を進めると、すでに先回りしたメイド達が扉を開け中に誘導する。
中に入ると、すでに会議室に待っていた大臣と関係閣員が、起立し頭を下げて迎えるので決められた席に着くと、楽にしてくれと言って着席した。
「では」
着席と同時に総理大臣のジェナートが会議の口火を切る。
「現状の報告はすでに知っていると思いますが、現在緊急の案件が入りました。 ここよりは、国民の代表である私内閣総理大臣よりマサキ様へお願いしたいと思います」
以前から決めていた事だが、今回の計画が内閣の決議と国会の決定を合わせて行っている。
まあ、王様が勝手に動いたのではないと言う建前を作ってる様なものだ。
もちろん国民の支持を得ているのが大前提だが……。
「ジェナートありがとう。 さて、事態は切迫しているのでサッサと決めて行こう。 まずは、現在奴隷狩りにあっている少女を救わねばならないが、どうか?」
俺の質問に防衛軍大将ボルガが立ち上がる。
「ハッ! 現在特殊作戦群がいつでも出動可能であります」
「それは、どこに集合している?」
「オーカス軍港です」
「食料、医療は?」
「すでに空母赤城に積載しております。 医師と救護班は抜かりなく、また赤城の中には緊急手術区画もあります」
食料は集落へ渡すための物、医療は部隊の負傷者のみならず、今回の件で少女が負傷した場合と、少女の母親の様態が思わしくないのに対応するため用意したものだ。
「何隻着いて来る?」
「赤城の他には、
護衛に長門、金剛、
愛宕、利根、
天龍、多摩、那珂、
綾波、敷波、潮、暁、響が共に行きます。 他は必要があり次第順次投入可能です」
ずいぶん多いが、緊急事態のためだからだろう。
「了解した。 私は現地に飛ぶので後の事は首相に任せても?」
「畏まりました」
俺の問いにジェナートは平伏して答え、他の物も首肯した。
「では、現地に向かう、ルトール一緒に来てくれ」
「ハハッ! 微力ながらお手伝い致します」
今回はエルフ族と言う事もあり、人族よりダークエルフの一族に交渉の前段階を任せていた。
向こうの族長へある程度話は行っているのだが、最後は私が直接会って話をしたいと思っていたのだが、事態が事態なだけに今回はダークエルフの族長にして国家公安委員長のルトールを連れて行く。
本来なら別のダークエルフを連れて行くのだが、本人が乗り気なので問題ないだろう……たぶん。
「では、緊急のためここで失礼する。 ミナ!」
「はい、長門へ連絡……承認、アンカーで転移域の安全を確認、長門艦橋への魔障壁展開……いつでも大丈夫です」
俺の後ろでミナが、関係各所に連絡と魔障壁の展開を済ませると、俺も立ち上がり魔障壁に足を向ける。
そして最後に、後はヨロシクとばかりに手を上げて魔障壁に飛び込んだ。
会議内容が薄いような気がするので今後修正したいと思います。




