69.閑話 桜花国報告書 魔についてのアレこれ
補足説明もあります。
今後の物語に係わって来るのですが、作中に説明を書くのを忘れそうなので。
2月4日 読んでいるモノを冒頭で書き忘れてましたので追加・修正します。
王宮執務室
今誰も居ないはずのこの部屋に何やら霧の様な物が起ちこめている。
その霧は、何か意思を持つ物体の様にマサキの机の上にある資料を眺めていた。
そこには、数件の論文や報告書がある。
これは、妻のアルフィーナが研究で得られたデータや研究論文だ。
他にも、マサキ本人が各研究機関に報告した書類などもあった。
では、この書類に何が書いてあるか簡単に見ていこう。
【魔素・魔石について】
魔素とは、魔力の根幹である。
その存在については、物理的、化学的に裏付けられているが未だ未確認物質
なぜかと言うと魔素は、いかなる物質、物体も通り抜け、しかも、原子まで通り抜ける素粒子よりも小さいと考えられているからだ。
しかし、この魔素が唯一留まる物質がある。
それが、魔石と呼ばれる物質である。
魔石は、桜花国内で大量に採掘出来るが、国外では極めて少ない稀少鉱物
この魔石を利用する事で魔法、魔道具が作られると考えられる。
ふむ……魔素は、それ自体の存在は立証されているが、未だ確認出来ていないみたいだ。
それ自体が全てを透過してしまい、唯一透過出来ない留める物質として魔石が存在するのか。
では、次に行こう。
【人体での魔力の有無について】
桜花国民は、全ての者が魔力を保有している。
これは、外の世界で極めて異常な事だと言っておく。
普通(私のいたフォーカナス王国と比べ)は、100人または、1000人に1人魔力が大小の魔力を保有するからだ。
ここで私は、桜花国民がなぜ魔力を保有するのか考えてみた。
私が移住した時(海での遭難による魔界渡来)、同じく移住した人々は、私以外魔力を保有する者は、1人ないし2人だった。
しかし、現在その子供(子孫)全員魔力を保有している事から、個人の才能でなく環境が魔力保有に影響していると考えられる。
では、外の世界と桜花の違いを考えて見る。
外と世界と桜花との一番違うところは一つしか思いつかない。
それは、桜花の国土全体から魔石が取れる事だ。
しかもその魔石は、他と違い純度・産出量に雲泥の差がある。
これが意味するところは、土中に大量の魔石が含まれている事を意味しており、地下水、河川水、雨水などからも微量の魔石が含まれ、さらに微量であるが、大気中にも確認出来た。
※地質学の研究報告で地下に行くほど魔石の純度が濃くなって行く報告がある。
また、これについて天文学を研究するハリナから面白い仮説が報告されているが、私は門外漢なのでここでは割愛する。
植物、プランクトン、魚や動物などを調査したところ極微量の魔石が確認出来、人にも魔石に似た物質(先に上げた動植物とは、違いが見られる)が確認された。
これらを考えると動植物が極微量の魔石を体内に摂取し、それを人間が食して体内に蓄積している可能性がある。
これは、血液検査と細胞検査から魔石に良く似た物質が検出されている事から可能性が指摘されている。
※アトアに外洋に出たら海水を採取してくる様に頼んだところ、外に行くほど濃度が薄まって行く事からこの地に魔素が引き付ける何かがアルかも知れない。
これについては、別の研究チームが調査中
(桜花国軍、沖野アトア中佐は、この依頼を受けた時、艦隊司令官を拝命していた。 しかし、アルフィーナから直接依頼されたので本人自ら直接サンプルを採取する作業に従事して
いる)
それと、地面から大気に向けて魔素放出も確認した。
これらの事実を総合的に考察すると、桜花の地で育った動植物を摂取し、水を飲み大気を吸い込む
そして、地面からの魔素放出を受けた人間は、その体内に魔石に誓い物質が形成され魔力を保有するのでは無いかと考える。
これは、私自身の事にも当て嵌められる。
私が産まれ育ったグラディム騎士爵領、しかも我が家の真下から大きな魔石鉱脈(桜花と比べるまでも無く、極めて少ない)が発見された事は、私が魔力・魔法が使える事に起因する可能性が高い。
上の兄と、姉はこの家に移り住む前に生まれており魔法が使えない。
以上を持って桜花国民全員が、なぜ魔力を保有するのか? 外の世界の魔力保有の有無について考えた。
ただし、現在詳細な試料採取と、研究を継続しているのでハッキリと言及する事は出来ないので、今後新たな発見を見つけ次第報告します。
なるほど、魔素と魔石の影響が人体に魔法としての特性を付与していると言う訳か……。
しかし、未だ未確認、未立証の部分が多く言及を避けているようだ。
続いて、ナノマシンの報告か……。
【魔導ナノマシンの開発と運用について】
魔導ナノマシン、以下ナノマシンは魔結晶と魔導金属を付与することによって、ナノマシン単体で外部からエネルギーと情報を得られる仕組みになっている。
・エネルギー
ナノマシンの活動に必要なエネルギーは、ナノマシンを注入された人物本人の魔力を使う事になる。
これによって本人が存命中ナノマシンは稼動し、死亡によって機能を停止する。
加え他者へのナノマシン混入・感染を防ぐためにも本人の魔力を持って活動させる必要がある為だ。
・情報
情報とは、
ナノマシンが人体で活動するに当たって、人体に害益になる細胞、バクテリア、寄生虫、ウィルスを判断するための情報である。
情報によってナノマシンが、どのように選択肢除外して行くか判断する材料になる。
情報は、注入前に記憶させる方法と、注入後にバージョンアップさせる方法の2種類がある。
これは、注入した人物の魔力紋と異なった波長の魔力で情報を記録させなければならない。
他にも情報誤認を防ぐために、情報記録用の魔力紋には、特殊な物を使用し本人の脳内での許可が必要である。
ナノマシンを動かす情報とは、別に他に本人に情報を送るシステムについて
このシステムは、ナノマシンが人体に有害な物を判断する以外に、外部から被検体本人に情報を送る方法である。
外部デバイスを通じて、直接データを被検体の脳に送る方法で、脳の使われていない部分を使用して処理を行い被検体に情報を送る。
このデバイスを通じて被検体の承認や被検体からの情報を送る事も可能である。
つまり、インタネットの様に情報の相互利用が出来、そして、被検体の脳で処理された内容によっては、疑似体験や擬似映像などの仮想現実が利用可能
ただし、これらの技術は未熟で今後の発展に期待している。
なお、この技術は、まず軍で利用し可能であれば一般に利用して行く事になるだろう。
これを読むと、身体を守り管理するナノマシンと、外部からの情報を得るインターフェイスとしての役割が出来るナノマシンがあるみたいだ。
これがあれば、会話やネット検索が、頭の中で出来る上に仮想現実で遊んだりする事も出来るだろう。
しかし、まだ未成熟な部分も多々あり、脳への負担を考えると今後の発展に期待しなければならない様だ。
では、次にマサキが報告した書類に目を通そう。
【魔障壁の利用について報告する】
魔障壁は、現在何かを通す、まやは、何かを通さない、と言った利用法がある。
これは、先に利用したエネルギーの変換、放射線の完全遮蔽などが、最たるものだ。
他にも魔素通信などにも利用されている。
さて、他にも利用方法があるだろうと私は考えた。
一つが、光(光子)の移動。
これについては、光によって波長が違うので現在研究中
もう一つが、物体の移動だ。
これは、魔素通信と同じく2つの魔障壁間で行なわれる。
つまり、A魔障壁からB魔障壁に移動すると言う物だ。
ただし、魔素の様に小さなエネルギーで移動出来る訳でなく、物体の大きさで使用エネルギーも大きくなる。
(エネルギー効率を考えると、小さな物を小分けに送るより、大きな物を一気に送った方がエネルギーの量は減る様だが、その辺は現在調査中)
さて、ここで物は送れるが、生き物、強いて言えば人間は送れるのだろうか? と疑問に思う事だろう。
先に結果を言ってしまえば、送れる。
これは、ミナの協力の元で小動物を送る実験をして、可能である事が証明されたからだ。
※実験による小動物には、異常などの問題無く、このあとスタッフが美味しく頂きました。
なるほど、魔障壁で光や物体を移動させられる事が可能の様だ。
しかし、こちらもまだ研究段階の様で今後に期待したい。
……ん? 何やら手書きされたメモ紙が挟まっている。
殴り書きされたその紙は、おそらく報告する気の無いマサキ本人の考えを纏めるのに使った物だろう。
読める部分には、先の魔障壁の利用が色々と書かれている様だ。
メモ紙の下の方にいったん書いたけど、すぐに消した文字がある。
消してはいるが、うっすらと読むことが出来る様だ。
ナニナニ
……自分の魔力を利用して無理やり魔障壁を作って空間移動を試みた。
もちろん自分自身の身体で。
しかし、すぐにミナに見付かり無表情の凍てつく波動で怒られた。
何故だ!
ちゃんと移動先の安全確認用のアンカーを飛ばしてから行なったのに……。
魔力消費は、魔障壁を使うものより大量に消費されたと思う……と言うか、私には良く分からない。
今後は、ミナ達が実験してその消費量も調査するよう様だ。
……実験に自分の身体使うなんて、何やってんだ? あいつ……。
俺と同じで無茶も力技で何とかする奴なのかもしれないな……。
おっと! そろそろ時間のようだ。
あの方や、姉達に気付かれる前に帰るとしよう。
他にも各研究所から提出された、魔導筋肉の利用方法や万能細胞、果てや重力制御について書かれた報告書などもある。
これらは、今後の桜花国をいっそうに発展させて行く事になるのだろう。
その時、ミナは無表情のまま王宮のある方の一点に目を向け一言放つ。
「ハナですか……何しに来たんでしょう」
誰にも聞こえる事の無い言葉
そして、それは誰かが聞いても分からない言葉だった。




