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55.桜花国記(結婚式)

お疲れ様です。

今回、箇条書きの様になってしまいました。

直せれば直したいと思います。

 桜花国暦12年 6月29日


 雲1つ無い晴天の青空

 夏の日差しが容赦なく照りつけるこの日

 桜花国が建国して初めての王族の結婚式が執り行われる。


 今俺は天乃神社の入口、つまり鳥居の前にいる。


 俺の格好は、白い服(明衣みょうえに似ているが違う)を上に着て、下には差袴、そしてなぜか腰に白い脇差を差している。

 お公家さんの衣装に似ているが、かんむりを被っていないし、しゃくだって持っていないので似て非なるものだ


 さて、こんな仰々《ぎょうぎょう》しい格好で、しかも日差しが強い日中に何をしているのかと言えば、俺はある人物を待っていた。


 しかし、もうそろそろ来ても良い頃合なんだが……。


 周囲には、ある一定の距離を置いて人垣が出来ている。

 参拝ではなく、おそらく見物人だろう。


 その人垣の遠くの方が随分と騒がしい。

 そちらに目をやると、人垣が分かれてどうやら目的の人物が来たようだ。


 その人物は、持ち前の美しい赤い髪の毛が綺麗に結われ。

 頭に角隠し被り、着ている物は真っ白だが、そこにあでやかに山桜の木が咲き誇った刺繍がされている。

 

 「ど、どうじゃ、変かの?」


 そう、その人物は、本日俺のお嫁さんになるアルフィーナその人だ。

 そして、今日から彼女の名前は、素鵞そがアルフィーナと名が変わる事になる。


 「ううん、似合ってる。 綺麗だよ」

 「……あほぅ」


 アルフィーナは恥ずかしそうに頬を赤らめる。

 けど、とても嬉しそうな表情だ。


 「では、参ります」


 先頭に立つミナから出発の合図が送られる。


 すると、独特の音色の雅楽が始まり、列を作った集団が鳥居をくぐり、天乃神社の参道を中に向かってゆっくりと歩き出した。


 白い神職の装束しょうぞくを着たミナが先頭に、巫女服の舞花と月花、その後ろに俺とアルフィーナが後に続き、後に巫女服の蓮花、氷花、翠花が歩き

 その後方からは、王国音楽隊が雅樂ががくを演奏しながら付いてきて、その後を宮司見習いの者達が続いて歩いていた。


 どんどんと境内の中を進んで行く。

 境内内にもジャマにならない所に多くの人だかりが出来ている。

 それでも、すぐに儀式殿に到着すると、後ろにいた人のみ儀式殿に入っていった。

 本来は、ここで神式の結婚式が執り行われるのだが、今回は特別らしく俺とアルフィーナ、それにミナとメイド達だけ本殿に入って儀式を受ける事になっている。


 本殿での儀式は、通常では行なわれない。

 というか、人が入る様に設計されていないのである。


 しかし、今回は宮司のミナのはからいで、ここ本殿で特別に儀式を行なう事になった。

 おそらく何かの古事こじのっとっての事なのだろう。


 本殿に入ると大鏡の前でミナが、俺とアルフィーナの前に立ち祝詞のりとをあげる。

 目の前で祝詞をあげているのだが、どう聞いても日本で聞いた祝詞と異なっているような気がする。


 と言うか、日本語に聞こえない。


 かろうじて聞けたのは、ミナの名前の由来である「天之御中主神あめのみなかのぬしかみ》」の名前が出た事だけだ。


 この神社は、俺の爺ちゃんと婆ちゃんからずっと先祖代々守ってきた祠の神様が祀られているはず。

 なんで、天之御中主神の名前が出たんだろう?


 祝詞が終わると、ミナが御幣ごへいを振って儀式の終了を告げた。


 「う~ん、ミナ、良く聞き取れなかったんだが、なんて言ったんだ?」


 神前で失礼とは思ったが、気になって思わず聞いてしまう。


 「はい、神の前でお2人が夫婦になったことを告げ、千代ちよ八千代やちよに中睦まじく幸せにいられるように言いました」

 「へ~、そうだったんだ」


 と言う事は、ウチが守ってきた神様だけではなく、天之御中主神を分御霊わけみたまでもしたのかな?

 まあ、名も無き神様、1はしらだけでは寂しいから多くの神様をおまつりしたん方が良いだろうな。


 特に気にせず次は、一般的な神式結婚式を行うので儀式殿に移動しなければならない。

 なんせ今日は、多くの予定が詰まっているので急がねば!


 儀式殿での結婚式は、日本で見ていた結婚式と同じだった。

 同じ様に祝詞を上げ、夫婦の誓いを告げ、指輪をお互いの指にはめて、お酒を口に含む。

 どれも、日本で見たことがある結婚式なので、最初の本殿儀式だけが違ったようだ。


 指輪の方はアルフィーナと相談して、白金にピンクダイヤモンドで一輪の山桜をあしらった指輪を用意した。

 他で作った物ではなく、俺の魔法で形成した手作りの物だ。

 あまり派手な物は、お互いに好まないのでこれ位がちょうど良い。



 神社での結婚式が終わると、今度は神社から王宮までの距離を馬車でパレードする事になっている。

 先頭は護衛と道の整理のための、公安バイク部隊、そのあとを黒塗りの車が続き、中央部には、俺とアルフィーナが乗る馬車が走る。

 走る道路の脇には、等間隔で2種類の旗が掲げられている。

 1つは、桜花国の国旗、もう1つは、素鵞王家の家紋、丸に山桜だ。


 アルフィーナは、白無垢から着替えて今は白を基調としているが、とても華やかなドレス姿

 俺の方は、黒の燕尾服に白いタイと、普通の紳士服だ。


 道の両脇の歩道には、結婚式を見に来た人達で道幅いっぱいに多くの人で埋もれている。

 立ち並ぶビルの窓や屋上からも「おめでとー!」と「お幸せに!」の歓声が聞こえてきた。

 俺とアルフィーナは、その声に応える様に馬車から笑顔で手を振っていた。


 「なんじゃ、この人だかりは……」


 隣に座るアルフィーナは、その人の量に気圧され笑顔を作ってはいるが、若干引きつっているようだ。


 「なんか、お祭り騒ぎだね」

 「おかしいじゃろ、なぜ、こんなに来るのじゃ」

 「さあ? 建国以来、初めての結婚式だから?」


 なぜ、ここまで熱狂するのか良く分からずに馬車の上から手を振り続ける。

 馬車の通ると、それは大きな声援が道の先々まで聞こえていた。


 

 王宮に着くと、今度は披露宴が行なわれる。


 今回、結婚式に招待した人数が多かったので神式結婚式に参列出来なかった者は、王宮で先に待っていた。

 桜花国王初めての結婚式とあって関係者が多すぎて、披露宴も数回に分けて行なわないと、すべて捌ききる事ができないという事態が発生してしまった。

 ……ほんとうに疲れるよ。


 披露宴から、俺の格好は燕尾服えんびふくに山桜の章を胸にかけ、肩からお腹の辺りでくの字に折れて掛けられた大綬だいじゅ

 けっして華やかではないが、礼節に則ったしっかりとした格好だ。


 勲章の方は、今まで気にした事がなかったので日本を参考にしている。

 披露宴に参加している人達も同じ様に燕尾服を着用しているが、みんな勲章を所持していない。

 唯一ボルガ達将校だけは、階級章しているので違って見えているけど、今後は勲章の授与なども検討しないといけないだろう。


 しばらく待っていると、アルフィーナも綺麗なドレス姿で入ってきた。

 アルフィーナの前にはチャコが花を撒いて先導する。

 こちらも綺麗なドレスで着飾っていて、父親としては写真に取っておきたい衝動に駆られてしまうが、結婚式も披露宴も全て国民に向けて放送されているので下手なことは出来ない。



 そんなこんなで披露宴も恙無つつがなく終わり、披露宴後の夜を迎える事になった。


 「あーーーー、疲れたのじゃ! なんじゃ結婚式とは、これほどハードなモノなのか」


 キングサイズのベッドに仰向けに倒れこんだアルフィーナの顔には、疲労困憊といった感じの表情が見て取れた。


 「ふー、そうだね。 ここまでとは聞かないけど、同じくらいに疲れるみたいだよ」


 俺もアルフィーナと同じ様に倒れ込むと、その疲労感から柔らかなベッドに躬を預け身体を癒す。


 「もう、これ以上いらないのじゃーー」

 「そうだねーー」

 「……のう、今日は、その、しょ、しょ、初夜と言う夜なのじゃ」

 「そうだねーー」



 「その……するのか?」

 「……」



 「のう、マサキ」

 「スピー」


――ボスッ! 「ボハッ!」


 枕で殴られた。


 「ゴメンゴメン」

 「まったくお主は! もう知らん!」


 アルフィーナは真っ赤な顔で布団の中に隠れてしまう。


 「今日は疲れてるだろ? アル」

 「うるさい!」


 布団を被るアルフィーナ上に覆いかぶさる。


 「俺は毎日鍛えてるから、余裕あるけど……アルは大丈夫なの?」

 「うるさい!」


 アルフィーナの被る布団にそっと手をやり少しずつどかせると、そこには真っ赤な顔でそっぽを向く彼女の顔があった。


 「じゃあ、するよ」


 耳元でそっと声をかけてアルフィーナに軽くキスをする。

 

 「うっさい……ばか……」


 そう、アルフィーナが呟くと、部屋の明かりが徐々に弱くなっていった。


宿屋主人「ゆうべは、お楽しみでしたね」


お読み頂き、ありがとうございます。

ようやく結婚……次回は、どうなることやら。

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