(ユニーク10000人突破、感謝記念) 超未来語
お疲れ様です。
ユニーク10000人越え、ありがとうございます!
今回は、感謝記念としてず〜っと先の未来のお話です。
文章的には、短いのでササッと読めると思います。(たぶん)
ウェル・ボルスタンシーの記憶
――ピッピッ
ME(機械耳)を通して別の場所で作業をしている仲間から連絡が来た。
『ウィル、そっちはどうだ?』
「ああ、今終わったところだ」
彼とは、長年一緒にこの作業に従事していて親友とも言って良いほどの存在だ。
なんの作業をしてるかって?
そりゃ決まっているだろう。
人類の宇宙開発に欠かせない、巨大な宇宙船スペースブリッジの船外活動だ。
俺は、その船で機械工をしているんだ。
このスペースブリッジと言う船は、やたら図体がデカクて本当に機械工泣かせな船だ。
毎日ロボットが船体を巡回して壊れたところを修理して廻っているが、細かい部分の修理には、俺たち機械工がやらなきゃならない。
やれやれ、全部ロボットがやってくれれば良いのに何で俺達なんだ。
まったく骨が折れる。
ははっ、骨が折れるか……笑える。
もう、俺には……骨なんて無いのにな……。
「どれ、船内に戻るか!」
――ボッ! ガッガガッ……ザザ……ザ……(雑音)
人類が、宇宙に有人飛行したのは、いつだったろう?
それまでは、単一の国家が、敵国にに負けまいと宇宙開発をしていた。
最初はそれでも良かった。
多くの衛星を打ち上げ、軍事的に相手国を脅かし自国に利益を与えてきた。
それに合わせる様に一般の人々の暮らしも変化したから、悪いことばかりじゃない。
しかし、1つの国家が単独で宇宙を開発するには限界がある。
かさむ開発費は、国の財政に重くのしかかり悩みの種になった。
もちろん国民だって黙ってはいない。
最初の有人飛行では、アレだけ熱狂していたのに打ち上げの回数を重ねるごとに熱は冷めて行き、自ずとその開発費用に目が行き問題視する。
まあ、こればかりは仕方が無い。
誰かが言っていたが、人は熱し易く、また、冷め易いと。
限界を感じた国家は、単独での開発を止めて複数の国家で開発を行なうことを提示した。
もちろん独自で開発するのは、規模を小さくしただけで止めはしなかったがね。
その複数の国家には、もちろん敵である国も入れての開発だ。
それまで宇宙に人を送ったことの無かった国家も参加し、開発費は参加各国が負担する形で、有人飛行から50年、ようやく人類は、宇宙に居住スペースを確保する事が出来た。
まあ、宇宙って言っても地球の衛星軌道上なんだがね。
複数の国家で宇宙開発をやる前に人類は、軌道上より遥かに遠い月にまで行っている。
なのに、なぜ月に居住スペースを作らないのか? 基地を作らないのか? 疑問に思うだろう。
それは、月に磁気がないからだ。
宇宙とは、大量の放射線が無尽蔵に飛び交う場所だ。
もちろん浴びれば人が死んでしますほど強力な物も存在する。
じゃあなぜ地球にいる人が大丈夫なのか? と言えば、地球には磁気があってそれら放射線から地表を守っているからだ。
この磁気圏から外に出れば、恩恵に与る事は出来ず宇宙の放射線に生身を晒さなくてはならない。
そのため時類の活動拠点は、長い事地球の磁気圏から外へは出ることが出来なかった。
長いってどれくらいだと思う?
軌道上に居住スペースを作ってから数百年以上だ。
なんでそんなに時間が掛かったのかと言えば、
大国になろうと頑張った国家が、その頑張りに耐え切れなくなり破裂して争いの後に幾つかの小国家に分裂したり、その破裂で経済危機になったり、別のところで戦争が勃発したりと、長らく混沌とした時代が続いたから仕方が無いといえば仕方が無い。
そういった事の後にようやく人類は、地磁気圏外に活動できるようになったんだ。
いったいどうやって外に出たんだろう? って思うだろう。
もちろん生身で出たら放射線で身体に影響が出て、障害や最悪死んでしまう。
人間だって馬鹿じゃない、知恵を出して色々と研究はしたんだ。
薬で放射線の影響を下げようとか、新しい遮蔽材を開発しようとか、本当に色々と試していた。
まあ、結果的には、人類は己の肉体を捨てたんだけどな。
もちろん全人類じゃなくて、地球から外に出る者だけだけど……。
脳ミソ以外は機械に変えて、脳ミソも遮蔽材で覆って放射線の影響を抑えている。
そうしないと……機械の体でなければ外に出ることは出来なかったんだ。
そうした経緯を経て機械の体を手にした人類は、地球外で活動して劇的に活動圏を広げていった!
……とは言えない。
簡単に言うと、宇宙に出た人類と地球に残る人類とで争いが起きたんだ。
俺にも細かいことは分からないんだが、どうも利権をめぐっての争いだと教えられている。
他にも地球に住む者達は、最初の内は喜んだが自分の姿と異なる宇宙開拓者達をだんだんと蔑む様になったのも争いの1つの要因だろう。
人類とは、争いをしては停滞し、発展しては争う。
なんと争いが好きな者なんだろうか。
それでも長い月日をかけて多くの人材・資材を投入して、少しずつだが人類の活動圏を広げて行ったんだ。
そして、ようやく人類が、初めて太陽系の外へ進出することが出来た。
それが、ついこの間の話だ。
その航海は険しく、多くの犠牲で成し遂げられたものだった。
でもな、本当は太陽系の外に出る必要は無かったんだ。
船のスピードや費用を考えると、そこまで外へ行く必要も無いし、今のところ地球の近くを開発していけば十分生活が出来るレベルだからだ。
ただ、夢を実現したかった、ロマンを求めて太陽系外に出だって感じだ。
なあ、オウカって知っているか?
大海に浮かぶ小さな島の集まった国家だ。
なんでも千年以上前に出来た国家らしく、ニカナ国と同じくらい長い歴史を持っているらしい。
らしいってのは、だれも知らないんだ。
オウカがどんな国で、どんな人達が暮らしているかを誰も知らない。
あの国は、どことも国交を結んでいない。
唯一関係を結んでいるのは、ニカナ国のみ。
昔は他にも、もう1つ関係を結んでいた国があったそうだ。
何でも千年以上前に当時の王様が、互いに交わした約定で関係を結んでいるらしいが、ニカナ国は、今でも帝王が居るので約定は有効らしい。
しかし、もう1つの国では、国民の革命で王様の殺して血筋も根絶やしにしたために約定が破棄されたと言われている。
まったく、千年以上前の約束って、そんなの今の人間には関係ないだろうに
当時の事を知っている人間などいないのだから。
約束した人間だって、とっくに死んでいる。
昔大きな国家が、分裂した時に国の機密文章が一部流出した事があった。
そこには、何度かオウカに戦争を仕掛けた事、そして、その全てがことごとく跳ね除けられた事、そんな事が書いてあったとか聞いた事がある。
しかも、1つの国だけで挑んだ訳じゃなく、多くの国が連合となって挑んだが歯が立たなかったそうだ。
嘘みたいだろ。
当時の事だから、飛躍したとか、脅威を煽り金を稼いでるんだとか、ゴシップだとか多くの憶測が飛び交っていた。
もちろん取材したいという報道記者もいて、ニカナ国にある大使館にアポを取ろうとしたけど全面拒否。
無理に大海に出てオウカに近づいても、
ほら、聞いた事あるだろう。
「こちら、オウカ国である」
ってさ、
有名な話さ、当時の映像も残っている。
レーダーも何も使った形跡が無いのに、いつの間にか近づいてきて警告するんだ。
もちろん警告を無視すれば海だと撃沈、空だと撃墜されるんだけどな。
ただ不思議な事に多くの国家は、まるで腫れ物にでもさわるようにオウカを表面上は無視して、自国民に接触する事を厳しく規制しているんだ。
あの国を知っているだろ?
なんでも力で強引に圧力をかけて自分の利益にするあの国だ。
なんとあの国も例外なく、オウカに係わり合うのをやめたんだ。
ああ、今なんでオウカの事が話に出てくるのか疑問に思っただろう。
実はな、先に話した太陽系外に出た船に繋がるんだ。
俺も聞いた話だから詳しくは知らないんだが、その太陽系外に出た船の乗組員が、まことしやかに話してたって話を耳にしたんだ。
それは、多くの月日と幾多の犠牲を払い、たくさんの困難を乗り切ってようやく太陽系を脱した時、船に呼び出し音が聞こえてきた。
呼び出し音は、通信で使うもので乗組員は、いつもの地球からの通信かと思い受信した回線に接続したんだ。
すると、そこから聞こえてきたの何だと思う?
あの有名な警告が聞こえてきたんだとよ、
「こちらオウカ国である!」
って……。
――ピーーーーーーーーー!これ以上のデータを読み取る事は出来ません。 再生を停止します。
「マスター、データで残っているものはコレだけですね」
「なんと、地球の関係者じゃったのか!」
「ふむ、地球の機械人か、この宙域に流れてきたと言う事は、事故でもあったんだな……」
「身体を捨て脳だけとは、なんとも言えませんね主様」
「人なの~? 死んじゃったなの~?」
「旦那様、なぜ、そこまでして外に出たかったのでしょうか? 私達は、他の国を壊したくないので外に出たのに……」
「さてね、俺にも分からないよ。 俺はただ、桜花国のみんなが笑顔でいて欲しかったから、そう行動しただけだからね」
全員黙祷後、
ウェルの遺骸は、彼の国の国旗に丁重に巻かれ宙に水葬される。
彼の御霊が、家族の下に戻るように……と願いを込めて。
お読み頂き、ありがとうございます。
宇宙に飛び出す人類には、やはり放射線が最大の敵になるでしょう。
それでは、桜花はどうやって? それは、そのうち語られます。




