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50.桜花国記(チャコの変化)

お疲れ様です。

チャコのお話です。

 夜空が、我が家に着て1週間程経っていた。

 あの日龍翼人族の里から帰って来た時のバスの中で、夜空はチャコが半分聖獣である事に気付くと、俺だったら鬱陶うっとうしいと感じる位可愛がっていた。

 そして、家に着いた夜、俺の部屋にいなかったのは、夜空が自分の部屋でチャコと一緒に寝てたためだ。

 チャコの方も気にした様子も無く夜空の可愛がり攻撃を受けつつ、いつも通り俺に甘えていた。


 そこまでは、いつもの日常だった。


 でも、 最近チャコの元気が無い。

 理由は分かってる。

 人化の魔法で人の姿(獣人)に変化した真白が原因だ。


 生まれてから今まで真白は、獣の姿で生活していた。

 チャコも真白のその姿しか見ていなかったから、これが普通の事だと思っていたのかもしれない。


 しかし、あの夜、真白が人化の魔法を使って姿を変えた次の日から、チャコは元気が無くなった。

 日課の朝のランニングに行っても元気が無く。

 夜空と一緒に学修校へ行っても、友達といてもあまり元気になる事は無かった。


 ちなみに夜空がなぜ学修校へ行っているのかと言えば、文字の学習と桜花の社会常識の勉強のためだ。


 休日の今日は、俺もみんなも仕事が休みなので家にいるのだが、やっぱり今日も元気が無かった。


 「どうしたチャコ? たくさん食べろ、大きくなれないぞ!」

 「クーン……」


 夜空の言葉にもチャコは、気の無い返事で返している。


 「チャコ食べないと元気が出ないよ、ほら、チャコの大好きなアスパラガスだよ」


 膝に乗るチャコにアスパラガスをお箸でつかみチャコの口元まで運ぶ。


――パクッ……モグ、モグ、モグ


 最近は、いつもこんな感じで俺の膝の上でしか食事を取らない。


 う~ん、時間では、どうにも解決出来なさそうだな。

 よし! 食事が終わったらチャコと話そう!


 朝食を終え、居間のソファーに深く腰掛けると、離れたくないとばかりにすぐにチャコが膝の上に登る。


 「いいかい? チャコ」


 俺と向き合うような格好にチャコの身体の向きを変えて、チャコの目を見て話しを始める。

 チャコの眼は、少しうるんでいるような悲しい表情をしている。


 「チャコ、真白の姿が変わったのに自分が変わらないのが、さみしいんだね」

 「クーン、クーン」


 今にも泣き出しそうな声を出すチャコ


 「人の歩幅ほはばは、人それぞれ違うんだよ。 真白には真白の、チャコにはチャコの歩幅があるんだ」

 「クーン……」

 「だからチャコもいつかは、真白の様な姿に変わる。 でも、すぐにじゃないんだ。 チャコの成長に合わせて変わるんだから」

 「……アゥゥ」

 「だからね、寂しくない様に俺は、いつでもそばに居るからチャコの早さで成長して欲しい」

 「ゥゥゥ……アウ、アゥゥン」


 俺はチャコに無理をしないで成長するようにさとすが、チャコは右前足を俺の胸に当てて一生懸命に何かを言っている。

 だけど、チャコの言葉は分からない。

 でも、理解は出来る。

 チャコは、「だけど、寂しい」と、一生懸命訴えていることを……。


 「アゥゥン、アゥゥン、アウーン、アオーーーーン」


 チャコの瀬無せない思いが、鳴き声を大きくしていく。

 泣きたい時には、泣けば良い。

 泣いてスッキリすれば、心のモヤモヤも無くなると信じて。


 「どっ、どうした? チャコ、お腹痛いのか? 嫌な事あったのか?」


 ソファーの後ろでオロオロとする夜空

 そんな夜空をアルフィーナとミナが、両脇から掴み何も言わずに俺達から少し引き離した。

 真白は、チャコと俺のそんな様子を離れた位置から見守る。


 「アオーーーーン、アオーーーーン」


 チャコの鳴き声が、どんどん大きくなり目からも大粒の涙がこぼれ出した。


 そんな時だった!


 「アオーーーーーーン」


 一際ひときわチャコの鳴き声が、大きくなった時それは起こった!

 声に共鳴する様に淡く身体が光だす。


 「アオーーーーーーン」


 大きな声でもう一度鳴くと、身体全身が眩く光った!


 ……そして、


 光が弱まり……無くなると、俺の膝の上に茶色い毛並みをした、10歳ほどの小さな女の子が座っていた。


 「ウ! ゥ、ウア!?」


 自分の身体の変化にようやく気付いたチャコは、何だろうコレ? とばかりに自分の両手をマジマジと見つめる。


 「おめでとう。 チャコ、よくやったね」

 「ウ、ゥ、ウアーーーーーン!」


 ようやく人化の魔法を行使出来たチャコは、俺にガシッとつかまり胸でひたすら泣いている。

 さっきまでの寂しい涙ではなく、嬉しい涙で。


 「ウッ、ウッ、ヒック」


 ヨシヨシと優しくチャコの頭を撫でてやると、チャコも落ち着いたようで涙が治まって来た。


 「やったのじゃ! チャコ、よくやったのじゃ!」

 「おめでとうございます。 チャコ様」

 「「「「「おめでとうございます」」」」」


 アルフィーナとミナ、それにメイド達が、チャコの人化の魔法成功に喜ぶ。


 「……ッ、……ッ」


 夜空だけ少し離れた位置で背を向けて肩を震わせている。


 泣いているのかな?


 「チャコ、言葉を話してみるのじゃ! 何か喋れるか?」


 アルフィーナのそんな問いかけにキョトンとした表情のチャコ

 でも、その言葉の意味が分かると、一生懸命に口をパクパクさせ始めた。


 「う、ぁ、う……お」

 「?」


 チャコが俺を見ながら何か声を出そうと頑張っている。


 「お、お」


 一生懸命頑張っているチャコを見つめ、俺はソレが出るまでひたすら待っていた。


 「お、お、お……おとょーしゃわ」


 たどたどしいが、ハッキリとチャコが声に出して、お父様と言ったのが聞こえた。


 「なんだい?」

 「!。 お、おーとしゃま、おとーしゃま!」


  込み上げて来る嬉しさを我慢して、優しくその呼びかけに応えるとチャコは大喜びでお父様を連呼する。


 「よかったですね、チャコ」


 そこへ、遠くで見守っていた真白も近づいて声をかけた。


 「お、おかーしゃま?」


 真白の姿を見つけたチャコは、今度は真白に向かってお母様の言葉で呼ぶ。

 しかし、真白は


 「違います。 私の事は、お姉様と呼びなさい」

 「おねーしゃま?」


 おいおい、真白別に良いだろうに……。


 「そうです。 だいたい私は、子供を生ん」

 「真白! やめなさい」

 「クーン、はい」


 真白は、俺の声に耳を伏せて返事をした。


 ゴメンね真白、でも、それを言うのは、チャコにはまだ早い。

 もっと大きくなるまで、チャコには言わないでおこうよ。


 「どれチャコ、買い物に行かないとな! 色々買わないと」

 「う?」


 人になったら生活用品や学修校へ行くための多くの物が必要になってくる。

 明日は平日学修校があるので、それらを今日中にそろえないといけない!


 お知らせて、チャコのお友達に心配かけさせるわけには行かない。

 ただせさえ、この1週間心配していたはずなのだから。


 「っと、その前にミナ! チャコに着る物を」


 裸のままで外に出す訳には、いかないからね。

 

 「お任せ下さい」


 ミナは、夜空の時同様に無限収納から生地を取り出し、手早く服を作り上げる。

 下着、ブラウス、スカートと仕上げていくと、メイド達が順に着替えさせていく。


 「終わりました」


 最後に髪をサッとすくと、俺の目の前には可愛らしい獣人の女の子が立っていた。


 「おお!可愛い!」

 「うむ、似合っているのじゃ!」


 俺とアルフィーナの率直な感想が口に出る。

 その言葉にチャコも嬉しそうに尻尾を振って応えた。


 「えへへ」


――……ストンッ!


 何と! チャコが照れた表情でそのまま倒れた。


 「ッ!……と、良かったソファーの上か」

 「う、あ」


 どうもまだ立つ事に慣れていないらしく手足をバタつかせる。

 どうも足にかける力とバランスが難しいみたいだ。


 チャコに手を貸して歩行訓練もかねてデパートに買い物に出かける事にした。


 もちろん手を繋いで、倒れないようにしながらね。


 そんな状況もチャコには楽しいらしく、終始ご機嫌の表情で笑顔が絶えない。

 お尻の尻尾も勢い良く振られれている。



 それにまあ、デパートも大変だったんだけどね。



 バスでデパートまで来ると入口から中に入る。

 入口には受付の従業員が2人ほどいて、元気の良い来店の挨拶が発せられた。


 「いらしゃいませー、っ! これは、マサキ様!」


 俺に気付いた店員が、慌てて頭を下げるので私用なのでと頭を上げてもらう。


 「こんにちわ、ちょっと娘の服なんかを見せてもらうよ」

 「マサキ様のむすめ? もしや……ちゃ、チャコ様!」


 呼ばれたチャコが俺と手を繋いでない方の手で嬉しそうに店員に手を振る。


 「ほ、放送を!」

 「はいーーーーーーーっ!」


 突然入口にいたもう1人の受付が、ダッシュでサービスカウンターに入っていった。


 『緊急招集! 緊急招集! 当店1階メインゲートにマサキ様と、じ、人化の魔法を使ったチャコ様来店! 各担当チーフは、ただちに集まるように!』


 それからは、集まった従業員が案内してくれたのだが、なぜか途中から、その店の偉いさんが汗を流して飛んできたり、どこで聞きつけたのかフォートルやボルガ、他リアレス開拓当初からいるメンツが押し寄せてきたりとお祭り状態になった。


 何故こんな事になったのかと言うとチャコは、その愛くるしさと半分聖獣だと言う事実に国民から絶大な人気がある。


 その事実は知っていたが、ここまでとは……これは、異常じゃないのか?


 現在、急いで必要な物だけ購入すると、早々にデパートを引きあげてある場所にバスで向かう。


 そのある場所とは、桜花の国民なら誰でも知る。


 天乃神社あめのじんじゃ


 「じゃあ、撮るよー」

 「お父さまー、早くなのー」


 早く早くと手を振るチャコのもとに向かい、白と茶色の狛犬をバックに記念写真を撮る。


――パシャッ!


 そこには、嬉しそうに微笑むチャコと仲間達が写し出されている。


 写真の裏には、


  チャコ、人化の魔法 成功記念!


 それと、


 おめでとうチャコ!


 の文字が書き込まれていた。


お読み頂き、ありがとうございます。

とうとうチャコも人化の魔法が使えました。

真白の後にと考えていたので、このようになりました。

次回は、桜花以外はどうなっているのかです。

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