42.閑話 夏だ!海だ!水着と海の家?
お疲れ様です。
今回のお話は、閑話となります。
夏と言えば水着回を入れないと! と言う使命感に襲われ書きました。
桜花国暦10年 8月28日
昨日のロケット打ち上げに次の日になっても興奮冷めやらぬ中、今日の夜には花火大会と言う事も相まってイラーイダ海水浴場の砂浜には多くの客で賑わっていた。
「おにーちゃん! アイスく~ださい!」
「ぼくもー!」
2人の可愛らしい水着のお客さんが前に立ち、握り締めていた100円玉を1枚俺に差し出した。
「はい、いらっしゃい! 何味が良いかな? ラムネ、イチゴ、バニラとチョコがあるけど」
首に吊るしていたクーラーボックスを地面に下ろすと、子供達に選んで貰うために蓋を開ける。
「えーと、わたしイチゴ!」
「ぼくは……ラムネがいい」
「はーい、2本で100円ね」
差し出された100円玉を受け取り赤と青2本のアイスキャンディーを取り出して2人に渡すと、それを嬉しそうに口に咥える子供達に笑みがこぼれる。
「毎度ありー」
姉弟なのだろうか仲良く手を繋いで元気良く走り出した子供達へ眼を細めながら見送り、俺はクーラーボックスを再度首に吊り下げるとスタスタと歩き出した。
俺の今の格好を説明すると、頭に麦藁帽子を目深にかぶり、上下に甚平を着てクーラーボックスを抱えて背中に「アイスキャンディー1本50円」の幟を立てて砂浜を歩いていた。
何をしているのかと言われれば、文字通りアイスキャンディーの売り子をしているのだ。
なぜそんな事をしているのかと言えば、やりたかったからと答えるだろう。
勤労に励むのは良いが休息も大事! と、周囲からの勧め(強制)もあり今日は皆揃ってイラーイダの海水浴と花火大会の見物に来ている。
ただし! 女性陣は海水浴に興じてもらい、男性陣は売り子や浜茶屋の切り盛りに精を出していた。
いつもと違う仕事をした方が、気苦労が和らぐだろうと思って浜茶屋で働いてもらっている。
俺がそうだからね。
「ただいまー、や~いっぱいだね!」
浜茶屋に戻ると、中は海水浴の客でごった返していた。
「こっ、これは、マ……いや、マサユキさん! アイスの売り子、お疲れ様です。 どうです少し休憩なさっては?」
ラーメンの配膳をしながらオーダーを確認していた頭角族の橋建タロスが、俺に声をかける。
ここで働く上での俺の名前は、真田真幸と呼んで貰っている。どっかの武将と一文字違いでカッコイイ!
「そうだね、そうさせて貰おうかな。 皆も順次休憩してね」
「「「へーい!」」」
タロスを含め厨房から元気の良い返事が飛んでくる。
厨房で料理を作っているのは、今や製鉄業界の一大企業でしかも社長業に励むドワーフ族の埋忠ロドルク
そして、建築業界の大手 大槌建設社長の大槌モルクと、土木工業の大手 大鎧工業を率いる大鎧ゾーフルだ。
皆社長業に勤しんでいるところを勝手ながら声を掛けたら、快く承諾し今に至っている。
他にも数名働いてもらっているが、全員何らかの企業重役ばかりで今回のロケット打ち上げなどに少なからず係わっている人々だ。
ちなみにここ浜茶屋の食べ物は全て男の料理を意識しており、ラーメンは魚介の出汁と焦がし醤油が効いた肉厚チャーシューのラーメンと、地元の鶏肉を使用したさっぱり塩ラーメンだ。
どちらも具沢山で食べ応えがあるので、大中小の3盛に分けている。
けっして具の少ないラーメンを3割引で提供してはいない。 浜茶屋だけにね!
他にも大きな具の入った野菜ゴロゴロカレーや、モヤシとキャベツ、それに干しエビとテンカスの入った焼きソバなど色々なメニューもある。
店を出ると、女性陣が集まっている砂浜に向かってみる。
「皆楽しんでるかな?」
そんな事を思いつつ女性陣が集まっているだろう一角に向かって行くと、どうも様子がおかしい事に気付く。
このイラーイダの砂浜は、いくつものパラソルが立ち並び、そこまでゴミゴミと混雑はしてはいないが、それでも多くの海水浴客で賑わっている。
しかし、女性陣がいるだろうパラソルの周囲だけは、少し離れた位置に他の海水浴客のパラソルが設置され、その一角だけまるで結界が貼っているようだった。
「や~どうだい? こっちは」
いくつか並ぶパラソルから中を覗くと、そこには見知った顔があったので声をかける。
「どうだも、こうだも無いのじゃ!」
いち早く俺の呼び掛けに応えたのは、アルフィーナだ。
その姿は、紅葉色のビキニと淡い桃色のパレオを巻いて出るところは出て、引っ込むところは引っ込んだ見事なプロポーションを持っていて、本当に大食い競争をする食いしん坊魔女さんとは思えないほどよく似合っていた。
「どうしたの?アル」
「アレを見るのじゃ!」
アルフィーナがアゴで指す方向に目を向けると、遥か沖をまるで魚が泳ぐように凄い速さで水中を泳ぐアクサと、それにまったく引けを取らずに舞花と氷花が、水飛沫を宙に巻き上げて泳いでいるのが見える。
ありゃ、どう見ても人間が出せる速さじゃないな。
「それにアレもじゃ」
次に砂浜に設営されていたビーチバレーの会場を指すと、そこにはミナと、月花、蓮花、翠花のメイド3人が、傍から見るとボールが破裂するのではないかと思えるほど、凄いスピードのビーチバレーを展開していた。
それはまるで、ピンボールをとんでもない速さでプレイしているように右へ左へボールが行き交っていた。
おいおい、その競技は、そんな残像を残すほどの速さでやるスポーツじゃないから!
「は、ははっ、なるほど」
この状況に乾いた笑いしか出せないほどに、周囲から浮きまくっている。
これじゃあ周りの人達から一定距離空けられるよな。
「他の人は?」
「うむ、真白は終始日向ぼっこで寝ておる。チャコは遊びつかれて同じく寝ておるのじゃ。 アオイは、そこで婦人達と会話を楽しみながら酒をアオっておるわ」
一つの先のパラソルの下には、現在浜茶屋でお客さん相手に汗を流す男達の嫁さん達が、輪を作って井戸端会議に花を咲かせていた。
同じ様にアオイも輪に加わり、皿に盛られた菓子を肴に酒を飲んでいる。
「おや! まーー……、マサユキ殿! こちらに来られていたのか」
ゆったりとした動作で、右手にグラス、左手に酒瓶を持ちながらアオイがこちらにやって来た。
すでに結構な量を飲んでいるだろうけど、その姿はさりとて酒に酔った感じもせず表情は、いつも通りだった。
「まあ、休日だから問題ないですけど、飲み過ぎないように!」
「うふふ、分かっていますわ。 ほどほどにして置きます。 ほどほどにね」
語尾にハートマークが付く様な口調でアオイは、口元を覆い妖艶に笑ってみせる。
彼女はアルフィーナと同じく紫のビキニ姿で腰に淡い青色のパレオ結び、薄手の布を肩に掛け気品のある御婦人の様な出で立ちをしていた。
アオイの中身を知らない者が見れば、その艶麗な姿は、とても魅力的に感じるだろう。
「そ・れ・よ・り・も! マサユキどの~、日焼けが心配だからオイル塗って下さらない?」
肩に掛けていた布を取ると、アオイは近くのマットの上にうつ伏せになり、尚且つブラの紐まで取って結構な位置まで半球が見えた。
何て反応だ! 目にも留まらぬ速さとは、まさにこの事!
「いやいや、俺は」
「あら~ん、少し塗るだけですから、お願い聞いて下さらない?」
素早く離れようとする俺の腕をアオイは掴むと、まるで獲物は絶対に逃がさない蛇の様な瞳でこちらを見る。
何この圧力……くっ! 私にプレッシャーを与えてくるだと!
「まあ待て、私が塗ってやるのじゃ」
「い・い・の! マサユキ殿にお願いしたいの!」
アルフィーナとアオイが目と目で牽制しながら、日焼け止めオイルの入ったボトルを取り合う攻防を見せる。
うわ~、なに? なんなの? この状況!
「それなら私が塗って差し上げましょう」
2人のやり取りに俺が困惑していると、いつの間にかビーチバレーから戻ったミナがアオイの手から素早くボトルを奪うと、目にも止まらぬ速さでオイルを手に広げる。
「あ、あら~、ミナさん、私はマサユキ殿に」
「いえいえ、マスターはお疲れですので私が」
アオイを無理やりうつ伏せにさせると、背中、肩、そして胸にオイルを塗って行く。
「い、いや、ミナさん聞いてます? 私は、ハンガーーーーッ!」
ミナに声をかけようと後ろを振り向こうとしたアオイから変な声が漏れる。
しかもまったく色っぽくない声で……。
「ミ、ミナさん、胸に塗る力が、……ちょ、ちょっと強すぎで、フギィーーーーッ!」
「そうでしょうか? 普通かと思いますよ」
「いや、つよイギィーーーーッ!」
「そうですか、でも大丈夫ですよ、胸の1つや2つ潰れようと」
「胸は2つしかないからーーーー!!」
2人のやり取りを耳に入れないように空を見る。
「ああ、今日は快晴だから、さぞかし花火は綺麗だろうな」
「あの、マサキ殿、たったすがぁぁぁーーーーっ!」
海から吹き上げる浜風が身体に吹き抜ける。
あぁ、風が気持ち言い!
「ニギャーーーーーーーッ!」
突き抜けるような青い空に妙な叫び声が木霊する。
ミナの事だから手加減は十二分にするだろう……胸に何の恨みも無ければ。
夜は営業せずに夕方になと、さっさと店仕舞にする。
夜まで営業すると、花火大会の出店に迷惑を掛けるとの配慮のためだ。
そして、泊っているホテルの屋上を御座敷にして酒や料理をテーブルに並べて花火見物準備は万端だ!
このホテルは、今日だけ貸し切りにしてあるのでここに居るのは関係者のみ、ホテル従業員も最低人数にして貰っている。
「マサキ様! 身体を動かして働くというのは、良いものですなー!」
「うむ、最近は書類と睨めっこで肩が凝ること」
「まったくだ、現場に出るのは視察だけ、あとは客と話したり企画の説明を受けたりと、身体が鈍っていかん」
皆それぞれ、重役としての責務に励んでいるけど、やっぱり現場の人間、今の生活に少なからずストレスを感じていた。
男達は昼間の仕事で疲れた身体を休め、すでに酒を酌み交わし出来上がっていた。
「マサキ! 皆準備は出来たのじゃ!」
屋上の入口から女性達がやって来た。
皆綺麗に染められた浴衣を着ていてなんとも華やかな状況だ。
「ありがとうアル、皆とても綺麗だよ」
「うむ!」
「ありがとうございますマスター」
「「「どうも、ありがとうございますマサキ様」」」
お世辞ではない言葉を全員にかけると、アルフィーナやミナ、他の女性陣それぞれ返礼の言葉で返す。
そして、全員席に座ったのを見てビールがナミナミと入ったジョッキを片手に立ち上がる。
「えー、では! お疲れ様でした!」
「「「お疲れ様でしたーーーー!!」」」
長い話は抜き、簡単に乾杯の音頭を済ませると、一気にビールを煽った。
「ーーーーッ……クーーーーッ! 効くなー」
「わはは、さあもっと飲むのじゃ!」
「あら、私が注ぎますから大丈夫ですよ」
両隣に座るアルフィーナとミナから同時にグラスにビールを注がれる。
そんな勢い良く注がんでも、まだ始まったばかりなんだから。
――シュッ………………ドーーーーーーンッ!
頭上で大きな炸裂音と色鮮やかな火花が、夜の空に大輪を咲かす。
花火大会の始まりだ!
「「「おぉーーーーーー!」」」
――シュッ………………ドンドンッ! ドーーーーーーンッ!!!
続けざまにいくつも色取り取りの花が咲き乱れる。
「たまやー」
「かぎやー」
どこからともなく花火に向け掛け声が掛かる。
この玉屋と鍵屋の掛け声は、古く江戸時代まで遡る。
両国の川開き花火大会で人気を博し評判の鍵屋
鍵屋から暖簾分けして同じ様に人気になった玉屋がルーツとなっている。
桜花国でも先駆者に尊敬の念を込め、同じく玉屋と鍵屋が花火職の2大大手として日夜凌ぎを削っている。
「うん、綺麗な花火だ」
「うむ、マサキのおった国、日本の夏の風物詩じゃが、この桜花の国でも夏の風物詩となっているのじゃ」
全員大空を見上げ、花の咲き乱れる夜景を魅入る。
「でも、明日から仕事かー」
「マサキ様、今はそれを言わないでくださいよー」
「「「あははははっ!」」」
俺の盛大な愚痴に周囲からのツッコミ
そして、笑い声
夏の夜空に咲く花を観ながらグラスを傾け、談笑をする。
これは、なんて贅沢な事だろう。
お読み頂き、ありがとうございます。
いやはや、アオイの胸は大丈夫でしょうか?
ちなみにアオイのバスとサイズは、85~87を設定しています。
次回は、少し展開が進みます。
Qバトルなんですか?
A違うと思います。




