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39.桜花国記(河童 前編)

お疲れ様です。

説明文が多いと思います。

 桜花国暦10年 7月


 ジメジメとした梅雨時期も過ぎ、太陽から燦燦さんさんと陽が降り注ぎ、セミがけたたましく鳴く夏。

 本日も、いつもと変わらない一日が始まる。


――……ピッ! ピピ「カチッ!」


 いつもの様に目覚ましのアラームが鳴り出すと同時に停止のボタンを押す。

 身体が慣れてしまったせいか、この時間位になると自然にこの動作が出てしまう。


 布団から抜け出し寝巻ねまきから運動着に着替える頃には、真白も布団から起きてきた。


 「おはよう、真白」

 「ワフ!」


 いつもの事と、真白も分かっているので眠気なんかちっとも感じさせる様子も無く挨拶を返してきた。


 「ウッ……ウゥ~」


 チャコもようやく布団から抜け出て起きたようだ。

 まだ眠そうだが……。


 「おはよう、チャコ」

 「……アン!」


 重い目蓋まぶたを細めて、俺の声がした方向に向かってチャコはえて返した。


 ……でもチャコ、そっちには俺はいないよ。


 まだ日も昇らないうちに外に出て、柔軟の後、身体の鍛錬もかねて湖の周囲を走る。

 ここに来て最初の頃は、罠の確認のため真白と走り回っていたが、最近はリアレスや他の村々で畜産にも精を出しているので罠を仕掛けて狩をする必用は無くなった。

 畜産用の牛や豚、鶏などはここで育てていた動物達を分けて渡したので、今飼育施設には、数等の馬と鶏だけが飼育されている。


 朝のジョギングは、湖の周囲を走るのだが、昔は何の整備もされていない草木が鬱蒼うっそうと生えた場所だったが、今では公園とも思われるほど整備が行き届いていた。

 これは、俺を含めアルフィーナやミナ、それとメイド達が計画をって整備したものだ。

 動物や植物など自然に配慮しながら、木々を移動して道を造り、湖に浮かべる船の船着場など多くの施設を設置している。


 「はっ、はっ、はっ、はっ」


 清清すがすがしい空気とともに、俺は徐々に走るスピードを上げていく。

 横には、2匹の犬ではなく、真白とチャコが追走している。


 チャコも順調に成長し小型犬から中型犬ほどの大きさになったので、最近はこのジョギングにも付いてくるようになった。

 ただし、1時間ほどのジョギングなのだが、チャコはまだ子供のためすぐに疲れて付いて来れないので、チャコがギブアップしたら魔法で運ぶ予定だ。


 家に帰りシャワーを浴びて身支度を済ませると、朝食を食べるためキッチンのある台所に向かうと、テーブルの上には10人分の席に朝食が配膳されすでに用意されていた。


 「おはよう、みんな!」

 「おはようなのじゃ」

 「マスター、おはようございます」

 「「「「「おはようございます」」」」」


 中に入ると同時に朝の挨拶をすると、全員から挨拶が返ってきた。

 毎日の同じ挨拶なのに、この時ばかりは少し嬉しさを感じる。


 各自定位置に座り、いただきます、をして食事を始める。


 やっぱり人数がいると楽しいな。


 「のう、マサキ、河童かっぱは、いつ跳ぶのじゃ?」


 食事中にアルフィーナから質問が飛んできた。

 しかし、河童が跳ぶとは珍妙ちんみょう物言ものいいかな。じゃなくて!


 「アル、河童じゃなくてカッパーだよ」

 「うむ、知っておるのじゃ! じゃが、告知の映像では、河童が映っておるのじゃ」

 「……まあ、そうなんだけどね」


 アルフィーナが台所に置かれた大型モニターに今映し出されたCMを指差す。

 そこには、河童が飛んだり跳ねたりしながら近日打ち上げ~と間の抜けた声と、桜花国宇宙開発研究所の文字


 「まあ、日本でもカッパーと名付けられたロケットは、河童のマスコットを描いてたからね」


 そう、このCMは、ロケット打ち上げの告知画像なのだ!

 今、国を挙げて取り組んでいる事は、田畑の食糧拡充と国民の住居確保はもちろんの事で、他に技術向上があげられる。

 技術向上とは、産業、農業、工業などを含め、医療、その他多くの機関で日夜研究に取り組んでいる事で、今回の告知もその一つなのだ。

 この宇宙開発研究所では、今度ロケットを打ち上げて、この国で初めて軌道上に衛星をのせる計画になっている。

 計画自体は、国の機関としての宇宙開発研究所が行なうが、このプロジェクトのいしずえを担っているのは、実は今現在学修校で学ぶ生徒達が中心で進められている。

 とくに、リアレス学修校を来年卒業する朝永あさながファルターと、2つ下の木村きむらハリナの貢献が大きかった。

 2人の存在なくしては、この計画が立ち上がるまでには、あと10年以上待たなければならないと思えるほどだ。


 以前にもふれたが、フォルターは科学分野の天才児で教えられた事を瞬く間に吸収、応用、発展させる。

 今回のロケット実験は、このフォルターが日本の糸川博士の研究資料をもとに一から始めたものだ。

 最初は20cmほどのペンシルロケットから始まり、大きさを徐々に伸ばしていき今回打ち上げるロケットは、その全長20mを越える物になっていた。


 フォルターは来年卒業して研究所に所属する事になるが、もっと上の物事学べる組織の大学を作るべきかもしれない。

 もっとも、教授となる人材がいないから、そこら辺も踏まえてフォルター達に頼る事になるかもしれないけど……。


 「フォルター達が、頑張ってくれているみたいだね。今日の会議で打ち上げ時期を決定するみたいだし」

 「うむ、打ち上げが、楽しみなのじゃ! 小さい物を上げている時から立ち会っておるが、あの光景はなんとも爽快じゃった!」


 アルフィーナは、ロケットの打ち上げには必ず参加している。

 俺も出来る限り参加したいが、会議や視察などで忙殺され参加できない事が度々《たびたび》あった。


 「アルは、本当に色々な事に参加するね。この前は、複葉機ふくようきの初飛行に立ち会ってたよね?」

 「うむ、この国で起こることは、出来るだけ立ち会いたいのじゃ。あれは凄かったぞ! ミナに最初に見せられた飛行機ほどの衝撃は無かったが、この国の者達が一から作り、そして、飛んだのじゃ! あれには胸に来るものがあったのじゃ」


 嬉しそうに当時の状況を語るアルフィーナ

 アルフィーナの言っている初飛行とは、この国の研究機関で現在、飛行技術の研究が進んでおり、つい先日この成果の集大成とも言える有人飛行が行なわれた。

 飛んだのは、プロペラエンジンの複葉機で燃料を水素とバッテリーの電気・魔導機関で補った飛行機、桜花国初のパイロットは、二宮にのみやトダヤ、かつてはフィルの村の農業担当で今では桜花の農水関係の担当者になっているトキラの息子が操縦を荷った。

 俺も参加しようと仕事を頑張って片付けたが、初飛行に間に合わせる事が出来なかった。


 しかし、アルも医療関係と魔道具関係の研究機関の責任者で忙しいはずなのに、よく時間を空けられるな~。


 この時俺は、アルフィーナが直接立ち会う事に重きを置いている理由わけを、この時は、ただそのフットワークの軽さに感心するばかりで、気付いたのは、かなり後の事だった。


 「まあ、来月には単葉機を来月と明日予定らしいよ」

 「うむ、聞いておる。 前回の反省点を踏まえて修正しておると言っておったのじゃ!」

 「うん、そうだね。ロケットや飛行機などの進捗状況しんちょくじょうきょうも踏まえて、今日の会議で議題に出るだろうね」


 毎日開かれている会議では、国の問題点や国民の声、技術開発状況など色々な議題が出されていた。

 おそらく今日の議題では、技術開発の進捗状況でそれらの話題が取り沙汰ざたされるだろう。


 手早くご飯を食べ終えると、車に乗り込んでリアレスの街に出発する。

 当初は、真白の引くバス型の車で往来をしていたのだが、もう少し格好を気にして欲しいと、フォートル達に懇願こんがんされたので、今では大型バスでの行き来をしている。

 このバスは、ミナやメイド達が色々と魔改造をしていて、真白のスピード並みで移動出来、いつもの時間に着く事ができた。(もちろん、道路の交通管理をしている蓮花が裏で細工をしているのだけど)

 真白は最初のうちは、不満気にしていたが、バスの中で皆と話しながらの移動した方が楽しいだろうと伝えると、迷った末にOKしてくれた。


 それとなぜ、リアレスの街なのかと言うと、建国から7年もの月日が経つと、建国当初の開拓範囲が更に広がり、また、それに呼応するが如く人口も急増し、今のリアレスの人口は10万人を超える都市へと変わったからだ。

 さすがに村と言える人口ではないので街と呼んでいるが、将来的には日本同様に市町村を置こうと思っている。

 今の人口は、フィルの街がリアレスに次ぐ7万人ほど、イラーイダ・カーナでは、3万人ほど、他にも小さな村々があるが、そちらはおおよそ1万人前後となっている。


 それほど時間をかける事無くリアレスの王宮の前に到着すると、皆それぞれの持ち場に向かって分かれる。


 「じゃあ、皆、会議と昼食に会おう!」

 「うむ! 後で報告等があると思うので、それまでなのじゃ」

 「では、私共も各現場に向かいたいと思いますので、この辺で失礼します」


 俺は王宮執務室に行き、俺の採決が必用な書類が無いかの確認しに、アルフィーナは医療関係機関と魔道具関係機関に向かい、ミナとメイド達は各自担当の持ち場へ向かう。


 「真白~、チャコの事よろしくね!」

 「ワフッ!」


 真白はチャコの学習のためにリアレス学修校に引率してもらっている。


 「チャコも勉強頑張るんだよ~」

 「アンアンッ!」


 チャコの頭を撫でてやると、チャコは嬉しそうに俺にしがみ付いてきた。

 そろそろ10歳になるのに、まだまだ甘えたい盛りは続いているようだ。

 アオイの見立てでは、聖獣より獣の特性が強いので成長は遅いが、そろそろチャコにも人化の魔法を使えるだろうと言っていたので、近いうちに人型のチャコの姿が見られることだろう。


 その時には、記念に写真とか取らないとな~(親バカ)

 でも、聖獣は人化の魔法が使えるなら、何で真白は使わないんだろう? ……まあ、本人が使いたがらないのだから深くは考えまい。


 真白にチャコを任せて俺は王宮執務室に向かう。


 「おはよう!」

 「おおっ! 今日も早いなマサキ殿」

 「おはようございます。マサキ様」


 執務室の扉を開けると、同じ青い髪をした2人の女性に出迎えられた。

 片方は、聖獣で蒼水龍の富貴ふうきアオイ、彼女にはこの王宮に関する事に対応してもらっている。

 なぜ、この様な仕事をしてもらっているのかと言えば、王宮が出来た時に「ねぇ、マサキ殿。私の仕事はなぁに?」と言われ何も考えていない事を告げると、「あら、このまま無料ただで寝食をするのは心が痛むわぁ。ねえ、私にも仕事ちょーだい!」との事を続けて言われ、無碍むげにする事もできないのでこの職に付いて貰った。

 職種にすると、宮内省の長官みたいなものだ。(絶対に誰も逆らう事が出来ない)


 そして、もう1人の女性は、海波かいばアクサ、彼女は当初、イラーイダの纏め役、村長や族長といった立場だったが、その役割りを成人した娘に任せ軽い身になったところで、本人は、余生を娯楽(酒、食事、文化、酒酒酒……)を楽しもうとしてたみたいだが、アオイの「あらぁん、1人だけずるいじゃないかしら?」の一言でアオイに確保されて(捕まった)補佐役に納まった。

 今では、この職も満更まんざらでもないみただい。

 アクサの婿養子である海波ヨーギルは、ボルガの下で海上の安全の確保に日夜励んでいた。もっとも嫁としゅうとめには、頭が上がらないらしいが、頑張れマスオさん!


 この2人が執務の細々《こまごま》とした要件を取り仕切ってくれているので、1人でやるより大分だいぶ楽に政務に励んでいられる。


 「さて、今日の書類はどれかな?」

 「今日は緊急な物は無いから、そっちの箱に入っているのが全てね」


 アオイが指す箱に手を入れて書類の束を取り出すと、椅子に腰をかけて書類を読み出す。


 やれやれ、あと1時間ほどで会議が始まるから、それまでに書類を片付けないとな。


 こうして、いつもの日常的な政務が始まった。


お読み頂き、ありがとうございます。

剣と魔法と獣人のファンタジーが、いつの間にか近代兵器へ! 次回は後編となりますが、こちらも説明文が多くなります。有名作者様なら、もっと上手に組み込むのかと思いますが、完全に私の技量不足ですね。

読みづらい文面で大変申し訳なく思っております。

次回もまた、よろしくお願いします。

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