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32.開拓記(再び海へ 人化の魔法)

お疲れ様です。

海編、続きです。

 『まあまあまあ、何これ!美味しいじゃない』


 よほど美味しいのだろう、生ウニに醤油を付けて食べたアオイは、身をくねらせて喜んでいた。


 「本当ですね、この貝の身もコリコリとして美味しいです」


 トコブシの切り身を食べているアクサも同様にその美味しさに喜び、酒がグイグイ進んでいる。


 「あれ?水龍人族すいりゅうじんぞくの人達は、貝を食べないの?」

 「はい、好んでは食べませんね、砂のジャリジャリとした食感がいやで……でも、この貝はそんな事無く美味しいですね」


 どうやらアクサ達水龍人族は、貝の砂抜きを知らないようだ。


 「いや、これは驚きました。本当にマサキ様は凄いですね!色々と食べられる物をご存知で」


 ヨーギルは褒めてくれるが、これらの知識は日本にいた時に得た知識だ。

 別に俺が凄い訳じゃないんだけど……。


 照れ隠しに頭をかいて別の話題に移る。


 「えっと、アクサ」

 「はい、何でしょう?」


 トコブシを食べながら酒をあおるアクサが、俺が何かを伝えようとしているのに気付き手を止める。


 「今日、俺達が来た事なんだけど、この海辺に建物をてようと思っているんだ」

 「建物……ですか?」


 俺は、今日来た本来の目的を伝える。


 「ああ、塩を作る工場を建てたいんだ」

 「塩?」

 「そう、丘の者達は、塩が無いと生きてはいけないからね」

 「はあ、マサキ様がおやりになるのでしたら、私達に断る理由はございません」


 アクサは、工場と言うものがよく分かっていないようだ。

 まあ、見たことも無い物を想像するのは難しいから仕方が無い。


 「ミナ、工場が出来た時の建築予想図を出してくれるか?」

 「畏まりました。大型液晶を使って映像を映し出します」


 ミナは無限収納から、100インチ以上の大型の液晶モニターを取り出すと、同じく無限収納から取り出したバッテリーなどにケーブルに繋いでいく。

 周囲では、いきなり出てきた四角い大きな物に驚いて、ガヤガヤと騒ぎながらこちらを注目している。


 「こちらが、建築予定の建物です。このように海水をみ上げて、処理をほどこし塩の粉末にしていきます」


 周りにいたもの全てが、突如現とつじょあらわれた建物に驚いて、ある者は身を乗り出し、ある者はモニターの裏に回って確認するなど、ミナの説明などそっちのけで騒いでいた。


 『あなた達、いい加減になさい!』


 アオイの一括に騒然としていた人々が、一気に静まりかえる。


 『凄いじゃない、この絵が出てくる物!ここまで発展しているとは、丘に上がることは滅多めったにないから気付かなかったわ』


 アオイも身体をうねらせながらモニターに顔を近づけ確認するかのように、上下左右色んな方向からモニターを見る。


 「違うのじゃ!ここまで発展したのは、マサキが来てからじゃ!それまでは、青いのが知っている通り貧しい暮らしがほとんどだったのじゃ」

 『そうなの?』

 「そうじゃ!えーい、説明するのが面倒じゃ。ミナ、今のリアレスの暮らしぶりを紹介する映像はあるか?」

 「ございます。今、切替えます」


 ミナがそう言うと、モニターは工場から切り替わって現在のリアレスの風景が映し出された。

 以前の様な小さい家ではなく、大きな家が立ち並び、道路にはダンプカーが走り歩道には見たことも無い服を着た人々

 夜になると、街灯や家々に明かりが灯りなんとも綺麗な光景が広がっている。

 水龍人族達は、自分達とはまったく違う暮らしぶりに、ただただ呆然とするばかりだった。


 「どうじゃ、分かったか。これすべてマサキが行なったのじゃ!」

 「まあ、俺1人ではなく村の人々全員が、頑張ったからだけどね」


 アルフィーナは胸を張り自慢げに話すが、俺のした事など微々たる物だ

 皆が手伝ってくれたからここまで発展する事ができたんだ!

 そしてこれからも……。


 『凄いじゃない!ねえねえ、マサキ殿どの!ここも同じ様に建物建てたり出来ないかしら?』

 「えっ!?ここもですか!」


 俺は、アオイの唐突とうとつな発言に驚く


 「いや、ここに家なんかを作っても住む人が、いないじゃないですか」


 そう、こんな海辺に建物を建てても住む人、働く人がいない

 水龍人族の人達は、足が無いから丘を歩く事ができない


 『あら?この子達がいるじゃない!?』


 アオイの言うこの子達とは、やはり水龍人族の人達を指しているみたいだ。


 「いやいやいや、建物は丘に建てるので」

 『?……ああっ!それなら大丈夫よ、魔力がある者なら人化じんかの魔法を使えばいいんだから」

 「人化の魔法?」


 アオイから聞いたことが無い魔法の名前が出てきた。


 「アル、知ってる?」

 「いや、聞いた事が無いのじゃ。名前から察するに人に変身する魔法じゃろうな、元々(もともと)人の我らには必要の無いものじゃから、そんなもの研究もされておらん」


 アルフィーナの言うとおり、元々人の形の者が、人化の魔法について研究することは無いだろう。


 「人になれるんですか?」

 『そうね、いきなりこの子達に魔法を使えといっても無理だから、私が使ってあげるわ』


 アオイの身体から凄い光があふれて、アオイの体全体が見えないぐらいにまばゆく光りだす。

 直視出来ないほど光ったかと思うと、すぐに光は弱まり収束した。


 「ほら出来た!ね、簡単でしょ」


 先ほど聖獣のアオイがいた場所には、アクサの様な姿をした30代の妖艶ようえんで美人なご婦人が立っていた。

 どうやら目の前にいるご婦人が、人化の魔法を使ったアオイみたいだ……だが、しかし


 「ほらほら、どこから見ても人族の姿でしょう!」


 人族の姿をしたアオイは、自分の姿が間違いなく人族だと言う事を見せるようにクルクルと回転する。

 それに合わせる様に、ウェーブがかった青い長い髪が踊るように周りを舞った。


 「……あの」

 「でねでね、この魔法の良い所が、最初に魔法をかけるだけであとは、微量の魔力で姿を維持できるの!寝てても維持できるほどに少なくてすむほどに!」


 アオイは、俺の前でピタリと止まると、人化の魔法の説明を始める。


 「いや、あの……」

 「これなら丘での生活も出来るわ!今までは、丘で生活できるほどの余力が、この子達には無かったから教えていなかったけど……まあ、魔力があれば使えるから何人かは姿を変えられるんじゃないかしら?」

 「あのっ!服を着てください!」


 そう、人の姿になったアオイは、今まで真っ裸で俺の前でクルクルと回っていたのだ。

 見目麗しい女性がする事じゃないだろうに……。


 「あらっ!そうだったわね……でも、この姿になるの何時以来いついらいか忘れるほど昔だから、人族の服なんて持っていないわ」


 別に気にした様子見ないアオイだが、さすがにこのままにする訳にもいかない。


 「ミナ、服や下着をアオイさんに作ってあげて」

 「畏まりました」


 ミナは、一瞬だけ、ほんの一瞬だけアオイの胸をにらみ付けたような感じがしたが、すぐに無限収納から生地を取り出してアオイの服を一瞬で作り上げると、メイド達と共にアオイに服を着せていく。

 あっと言う間に着せ終えると、そこには年齢相応に落ち着いたデザインの服を着た女性が立っていた。


 「あら、変わった服ね、今まで見た事が無い服だわ!」


 アオイは、めずらしそうに服を摘んだり引張ったりしているが、どうやら気に入ってくれたみたいだ。

 もし、水龍人族の人々もアオイと同じ魔法が使えれば、たしかにこの場所にも建物が必要になる。

 それに服も、食糧だって必要だ。


 「こういった服も出来るようになるのかしら?」

 「そうですね、全てがすべて1箇所で作るわけには、いかないですから。今回の塩の生産工場などが良い例です」

 「なるほどねぇ」


 アオイは、ウンウンと頷いて感心している。

 1つの場所で全てをまかなう事は出来ないから仕方が無い。


 「アクサ達は、構わないの?」

 「はい、マサキ様、私達もあのような暮らしや生活を送りたいです。……ああ、美味しいお酒、美味しい食べ物」


 アクサ達も承諾しているけど、アクサだけは何か違っていた。


 「さて、ここを開拓するとなると、ここ……え~と、ここの土地に名前ってあるの?」

 「う~ん、そうですね~、私達水龍人族は、この場所をイラーイダと言っています」


 やはりこの土地に先に住んでいる者達は、固有の名前を付けているようだ。


 「へえ、イラーイダか!よし、じゃあここイラーイダに村を作るか!それにここなら港も作れそうだし」

 「港ですか?」

 「そう、港!船……え~と、この土地に海から人族がやって来た時に海に浮かんでいた物だけど、それを乗り入れられる所だね」

 「ああ!あの木で出来た物ですか」


 ふむ、この魔界に辿たどりり着いた船は木船なのか……。

 まあいいか、それより港が出来れば漁港による魚の水揚げ、それに物資の移動も楽になる。

 まあ、リアレスやフィルは内陸にあるから今は関係ないけど


 「と言うことは、こんな砂浜の浅瀬じゃ駄目だな……アクサは、もっと海の深い岸辺を知らないかい?」

 「それなら、ここより少し行った所に、私達がカーナと言っているところがよろしいかと」


 アクサは、カーナの場所を指を差す。

 方向的には、北に少し行ったところか……。


 「分かった。アクサ達も構わないって事だし、一度リアレスに戻って他の者達と相談するよ」

 「はい、私達、水龍人族一同、微力ながらマサキ様のお手伝いを致しますので、いつでもお声をかけてください」


 アクサに続いて、その場にいる全ての者が、深々と頷いて同意の意思を示す。


 「ああ、その時は、よろしくたのむ!」


 明日、会議の議題にイラーイダの開拓の案件を出してみよう。

 リアレスにとっても、フィルにとっても、そして水龍人族の人々にとっても悪くない話だ

 おそらく、開拓する事が決まるだろう。


 開拓が決まった後の押し寄せる仕事量を思い、気が滅入……いや、気を一段と引き締める。







 「アオイさんは、どうします?」

 「白いのが怒りそうだから一緒には行かないけど、話し合いなどには同席するわ」

 「?、そうですか、分かりました」

 「ああ、でも、この服は気に入ったからマサキ殿に返しておくわ、また、人化の魔法を使ったときにでも貸して頂戴」


 アオイはそう言って、俺の目の前でスッポンポンになるのだった。


 あっれれ~?おっかし~ぞ~?


お読み頂き、ありがとうございます。

ようやく、人化の魔法が登場させる事が出来ました。

本当は、もう少し先のお話で登場させる予定でしたが、このままだと海の発展が遅れそうなのでやむなく。

次回は、魔界で初めての××××を作ります。

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