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28.リアレス開拓(驚きの連続)

お疲れ様です。

前回の続きです。


 いったいこれは、どういう事なんだ!


 ジニスは、口から漏れ出そうになる叫びを必死にこらえ耐え忍ぶ。

 現在ジニス一行は、ダンプカーに乗ってリアレスの村に向かっていた。

 ジニス達は、ダンプカーに恐る恐る乗り込むと、動き出した事に驚き、そのスピードに驚くの驚き通しでいた。

 そして今は、ダンプカーに乗りながら前方に見えてきたリアレスの村の違和感に恐怖に近い驚きを隠し切れずにいる。


 「こっ、これは……」


 ジニスやドルフ、トキラも目の前に広がる光景に口を開けたまま塞がれずにいた。


 何だこれは……。

 リアレスがある場所には間違いないはずだ。

 だが、これは、


 ジニス達の眼に飛び込んできた風景は、一面に広がる黄金色に輝く田畑、その後には、碁盤ごばんの目の様に整えられた道に並ぶ家々、日本では特にめずらしくも無い風景だ。

 しかし、ジニス達には、その家の大きさや様式が理解できないほどに違っていた。


 依然いぜん来た時は、フィルと変わらない、いや、水が少ない分畑は痩せ、家々はとても小さかった。

 だが今はどうだろう、作物は豊富に実り住む家は大きく、以前のリアレスと比べようも無いほど大きくなっている。

 それにあれだ、ガクルの姿にも驚いているが、時々見える男達や女達、子供に至るまで皆着ている物が、私達が着ている物とあまりにも違っている。

 これは、いったいどういうことなんだ!


 目に映るリアレスの光景を呆然ぼうぜんと、そして愕然がくぜんと見ながら一行は進んでいく。


 一行が驚き続けること数分、一行の進むダンプカーの先の方に見知った人達が見えてきた。

 ダンプカーが、その見知った人達の前まで来ると、停車してドアが開けられる。


 「おぉ、よう来たなジニス」


 見知った人達とは、フォートルにジェナート、ボルガに最後にアルフィーナが並んでジニス達を迎えるために待っていた。


 「おっ、おいおい大丈夫か?」

 「あぁ」


 ジニス達は、ダンプカーから地面に降りると、崩れるように倒れて地面に手をつき汗を流していた。

 乱れる呼吸を整えるために、ゆっくりと呼吸をして息を整える。

 ジニス達は、今自分が置かれている状況を理解できなくても、見知った顔が現れて少し落ち着いてきたようだ。


 「お主達、大丈夫か?」


 アルフィーナも心配になって声をかける。


 「こ、これは魔女様、ええ、はい、大丈夫です」

 「ええ、俺も大丈夫です」


 トラキだけは、まだ状況に混乱していたが、ジニスとドルフは持ち前の精神力で先に立ち直ると、立ち上がってアルフィーナに応えた。


 「しかし、これは、凄いですね。今、見ている物が信じられません」

 「うむ、すべてマサキのお陰なのじゃ!」

 「その通りです魔女様、のうジニス、私もここまでになるとは思っていなかったが、見えるように以前のリアレスとまったく違うのは、すべてマサキ様のお陰だ」


 ジニスのもっともな質問に答えるアルフィーナとフォートル

 全員で発展したリアレスの風景を見回し、リアレスの村の者達は頷きながらマサキに感謝と敬愛の念を送る。


 「ああ、この村にも驚いているが、お前達のその格好にも私は驚いているぞ」

 「おお、これか!」


 アルフィーナ以外のフォートル達の格好は、以前フィルに訪れた時とは、まったく違っていた。

 フォートルとジェナートは、上にはワイシャツにグレーの作業着を羽織り下はスラックス、足には革靴を履いており日本で見る現場や事務作業をする人みたいな格好だ。

 ボルガは、それとは幾分違く、ワイシャツは着ていなくて黄緑色の上着を羽織り(上着には羽出し用のスリット付き)、下は同じ色のズボン、足にはブーツを履いてズボンのすそをブーツの中に入れて随分ずいぶんと動きやすそうな格好をしていた。


 「ああ、それも含めて、村を案内しよう。以前とまったく違うから一つ一つ説明しないとならんからな。トラキも大丈夫か?」

 「は、はい……大丈夫です」


 トラキにフォートルが聞くと、まだ若干混乱しているものの何とか立ち上がりトラキは応える。


 ジニス一行が立ち直ったのを確かめると、一行の傍に何かが近づいてプシューと抜ける音とともに止まる。


 「……これは、だんぷかーとは違うな」

 「ああ、これはバスといってな、先ほどお前達が乗ってきたダンプカーは物の運搬などに使うもので、これは多くの人を乗せて運ぶものだ」

 「なんだと、多くの人を運ぶだと!」


 ジニスは驚いてバスを見ると、バスの前後に備え付けられた扉が開いた。


 「ほれ、ジニス乗るのだ、説明するのが多く時間が掛かるからな」

 「お、おう」


 フォートルに肩を押され驚きながらもバスに乗り込むと、備え付けの椅子に座る。

 他のメンツもアルフィーナ達に誘導されて乗り込む。


 一行のバスは、開拓して大きくなりちょうど今収穫中の畑、金属製錬所などの各施設を順に回っていく。

 もちろん、フォートルは各施設で説明しながら回るのだが、ジニス達は自分の目が信じられないといった感じで呆然としフォートルの説明は聞こえてない様子だった。


 「なんだ、ジニスじゃないか!?」

 「ロドルク?ロドルクなのか?!」


 製錬所から出てきた金属を加工する所でジニス達を見つけたロドルクはジニスに声をかけた。


 「お前もその格好……」

 「んっ?ああ、これか!」


 ロドルクは、以前の髭だるまではなく、髭は生えているものの短く切られチヂれた髪は後ろでに縛られ纏められている。

 そして、その格好は灰色のツナギを着ており、見るからに作業現場の人といった格好をしていた。


 「まあ、なんだ、鉄の道具も揃ってな、かかあから切れ切れうるさくてな」

 「なんだと!これは全部鉄なのか!」


 驚くのも無理は無い、ジニスの知っている鉄は隕鉄、鉄の豊富な隕石が落下して大気摩擦に燃えずに残ったものだ。

 その希少性に使われるのはわずかでジニスやドルフの持つ槍に使われるのみだった。


 「先ほどから説明しているだろうが!まったく聞いていなかったのか」

 「……すまん、もう、何て言えばいいのか分からん」

 「まあ、しょうが無いな、こうなるとは思っておったわ」


 ジニス達の呆然としてる姿にフォートルは、ヤレヤレとしながらも当然こうなる事は予測できた。

 それほど劇的げきてきにリアレスは変化していたのだ。


 「ジニス、今は考える事はせずに聞くことじゃ!考えても理解するには時間と勉強が必要なのじゃ」

 「ま、魔女様……分かりました。今は考える事をやめます」


 ジニスは、アルフィーナの言うとおりに自分が理解できない事を一旦棚に上げ、今はリアレスに出来た施設や物を見て回ることに決める。

 他の2人も同様のようだった。


 施設の案内はどんどん進み最後は、その日に取れた収穫物の説明だった。


 「これは……芋なのか?ずいぶんと毒々しい色だが?」

 「そうだ、それはサツマイモと言ってマサキ様の居られた国で食べられていた物らしい、中は黄色くとても甘い、煮ても焼いても旨いぞ!」

 「おお、良い出来なのじゃ!う~む、今日は大学イモか、それとも天ぷらか……悩むのじゃ」


 ジニスは、大きな赤紫色の芋を一つ取り上げて、フォートルの説明にあった甘い芋を不思議そうに眺める。

 それもそうだろう、今までジニス達は、甘さはほとんど無く、どちらかと言えばジャガイモのような物を栽培して食べてきたからだ。


 「しかも、これだけの量を……」


 そして見上げるほどに積まれた芋の入ったカゴを眺める。


 はたして、この量はフィルの村と比べると、どれほどになる事やら……。


 ジニスは、自分達の収穫量の何倍もの量をの当たりにして押し黙る。

 これだけの量があれば飢える事も無いと考えつつ。


 「どれ、最後にマサキ様に紹介するから一緒に来い」

 「ああ、頼む!その魔女様のお連れに会わせてくれ!」


 ジニスは、ここまでリアレスを変えたマサキと言う男に、会いたいという思いが高まっていた。


 「マサキ様だ、ああっ!もう、こんな時間か急ぐぞ」

 「分かった」


 ジニスは頷いて急ぐフォートルの後に付いて行く。

 残りのメンバーも2人と一緒に続いて歩きだす。


 しかし、ただ1人ドルフだけは、別の事を考えながら歩いていた。


 やっと、魔女様の連れだとか言っている奴に会うのか!


 ドルフは、今まで呆然としていた顔を引き締めると、持っている槍を強く握り締めた。

 その目をギラギラとぎらつかせて……。




 今俺は、会議室ではなく自身の執務室で今後の開拓状況や、学修校の授業の進捗状況をグラフ化したものを見て今後の事をミナと相談していた。

 なぜ会議室ではないのかと言えば、他の皆が帰ってくる時間が分からないから上、会議室より小さい執務室で待っていた方が楽だと考えたからだ。


 「マサキ様、真白様がお戻りになりました。扉を御開けしても、よろしいでしょうか?」

 「ああ構わないよ」


 許可を受けた舞花が執務室の扉を開けると、そこにはチャコが入るバスケットをくわえた真白が立っていた。


 ここ最近のチャコは、元気が飛び切りに良くて学修校の授業が終わった放課後は、子供達とグランドを走り回ったりと色々と遊ぶようになっていた。

 しかし、遊びに夢中になっていても、何かのキッカケで俺か真白の姿が確認出来ないと寂しくて鳴いてしまう、まだまだ甘えん坊な子供だった。


 真白は開いた扉から執務室の中に入ると、マサキが座っている執務をしているそばの傍まで来ると、絨毯じゅうたんの上にバスケットを下ろして自らも床に座る。


 「お帰り~、チャコは……眠っているか、真白ご苦労様」

 「ウォンッ!」


 チャコは遊び疲れたのだろう、バスケットの中でスヤスヤと寝息をたてて眠っていた。

 真白も分かってます、とばかりに一鳴きして応える。


 「……ッ!!、マスター、バスが玄関に到着しました。恐らくフォートル様たちが、フィルの村の方々を案内してきたのだと思います」


 ミナは玄関側を向いて言うが、俺の耳にはまったく聞こえなかった。


 ミナの聴力は凄い!


 ミナの言葉を聞く前に、舞花、氷花の2人のメイド達もすばやく動いて、氷花が扉の脇に舞花は邪魔にならないようにお茶などを片付けていく。


――コンコンッ


 「どうぞー」


 扉がノックと同時に入室の許可を与えると、氷花が扉をゆっくりと開けて来訪者を迎えた。


 「失礼致します。マサキ様、遅くなって申し訳ございません。フィルの村の者達を連れてきました」

 「ああ、分かった」


 フォートル達がゾロゾロと入室すると、壁側に一列に並んでいく。

 アルフィーナは、俺の執務机のかたわらまで来ると、邪魔にならないように少し脇にずれた。


 次にとフィルの村の人達だろう3人も執務室に入ってきたので、俺も迎えるために椅子から立ち上がり身嗜みだしなみを整える。


 「始めまして。私は、フィルの村を纏めているジニスと申します」

 「ああ、私は、素鵞真幸そが まさき 皆はマサキと呼んでいます。ようこそ御出おいで下さいました」


 1人の獣人族の男性が、一歩前に出て俺と正対せいたいすると頭を下げて挨拶をしてきた。

 俺もジニスという獣人族の男性に軽くお辞儀をすると、マサキも丁寧に自己紹介をする。


 「マサキ様、ジニスも分かっております。どうぞ普通にお話下さい」

 「そうじゃマサキ、普通にするのじゃ!」


 フォートルやアルフィーナが、いつも通り話す様に言ってきたが、何がおかしいか分からない。


 あれ?これが普通なんだけど……おかしいな?


 頭を掻きながら机を迂回してジニス達の前に出ると、頭を下げていたジニスは頭を上げて俺と正面で向き合う。

 大きな獣人族のジニスと向き合うと、なぜかジニスは驚いた顔をしていた。


 「……とても、お若いのですね。あなたが、リアレスをここまで大きくしたのですか?」


 どうやらジニスは、自分達、獣人族より一回りも二回りも小さい、見た目が年若い人族の俺を見て唖然としたようだ。


 「いや、魔女様のお連れの方、見た目とは違うのでしょう」


 ジニスはかぶりを振り、おのれの考えを改めて、次の言葉をつむごうとする。


 「てめーーーが、魔女様のっ!」


 突然の怒鳴り声と共にジニスの後ろにいたジニスと同じ獣人族の男が前に出てきた。

 その手には槍を持ち、その目は眼光鋭がんこうするく俺をにらみ付けている。


 これだけの殺意や怒りを向けられたのは、いつ以来だろう?


 俺はのんきにそんな事を考えていると、槍を持つ獣人族の男は俺に飛び掛らんばかりの勢いで前に出てきた……が、それは一瞬で終わる。


 人間の目では、おそらく付いてこれないほどのスピードでソレは起こった。


 まず、舞花が一瞬で俺と獣人族の男性の間に入ると、獣人族の男性の槍を素早く奪い取る。

 次に氷花が、男性の腕を取って流れるような動きで関節を決めて男性を床に押し付けた。


 といった流れだったらしいが、俺も実際に見た訳ではなく、後からミナが見た映像をスロー再生で確認してやっと分かるくらいだ。


 「ぐがぁあぁあ、離せーっ!くそ、何で人族の女にこんな力があるんだ?」


 暴れようとする獣人族の男性を押さえつける氷花は、自分の何倍もある者が暴れようとしても一切微動だにしていない。


 あー、アレはたぶん、ミナの改造と俺の魔道具が原因だろうな。


 この1人、俺とミナはメイド達のバージョンアップを欠かさなかった。

 ミナは、メイド達、魔導人形のエネルギーとして俺が考えた魔導核融合炉を更に小さくコブシほどの大きさに小型化して魔石とは別に取り付けたのだ。

 この核融合炉は、小型だがその制御があまりにも複雑で、人には制御できないがメイド達なら問題なく行なえると言っていた。


 まあ、制御が出来なくてもエネルギーが生み出されなくなるだけだから大丈夫だろう。


 次に、メイド達により繊細な動作や料理の味を覚える様に、触覚と味覚の神経などを取り付けた。

 これによって、メイド達は現在、料理を食べる事も可能になっている。


 ただ、俺が一緒に食べようと勧めても、

 「メイドが主と食事をするなんて、同衾ならともかく同席は許されません!」

 と訳の分からない事を言ってかたくなにこばんでいた。


 俺の方は、メイド達から体重が軽すぎるので重くして欲しいと、頼まれて魔道具を作っている。

 体重が軽いことは悪い事ではないだろうと思ったが、どうやら重い物を持つさいにバランスが取りづらいらしい。

 なので、メイド達の手首と足首、それに腰に目立たないバンド形の魔道具を作成した。

 これは、重力制御が可能な魔道具で、以前俺が物を運搬するのに宙に浮かせて運んだ重力制御の応用である。

 しかし、この重力制御には、膨大な魔力が必要で俺かミナにしか取り扱えないのだが、どうやらミナの取り付けた小型核融合炉を電気―魔力変換する事で問題なく取り扱えるようだ。


 そんな訳でパワーアップしたメイド達の前では、大きな身体の獣人族の男でもさすがに身動き一つ取れないようだ。


 「この大馬鹿者がっ!マサキ様、大変申し訳ございません。アレは、ドルフと言いまして私の愚息ぐそくで、どうも物事を腕力で解決するふしがありまして……本当に申し訳ございません」


 ジニスは、眉を寄せてひたすら謝っている。


 なるほど、ようは脳筋のうきんって訳ね。でも、何で俺を襲ったんだろう?


 「いや、怪我した訳でもないから、いいよ、それよりその息子さんはどうしよう?」


 自分を襲う理由が分からないが、このままだとジニスと話をするのもままならない。


 「ふー、この様な場面で槍を取り出すとは……マサキ様、私がコイツの性根を正そうと思いますので、よろしいでしょうか?」

 「ボルガが?」


 この獣人族の男をボルガも知っているのだろう。

 こういった事は、初めて会った俺よりも知り合い同士に任せたほうがいいだろう。


 「分かった。この件はボルガに任せるよ」 

 「ありがとうございます。では、早速修練場に向かいます。氷花殿、離すとそいつは暴れだすので、そいつを訓練場に連れてってはくれまいか?」

 「氷花、俺からも頼むよ」

 「はっ!ご命令とあらば」


 氷花は俺に返事すると、腕の間接を決めたまま自分の何倍もある獣人族の男をヒョイと持ち上げて退室する。

 ボルガも後に続いて退室して行き、後に響くは獣人族の男性の悲鳴だけだった。

 どうやら、俺に罵声などを浴びせようとする度に、氷花は腕を強く締め上げて叫ばせない様にしたみたいだ。


 といった出来事もあり、一時は騒然とするもののジニスとの話し合いは続く。


お読み頂き、ありがとうございます。

今回で終わらせようとしたんですが、色々と詰め込みすぎて終わりませんでした。

次で終わらせたいのですが、はたして……。

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