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27.リアレス開拓(秋の訪れ、急な来訪)

お疲れ様です。

今回は、タイトル通りに秋と来訪です。

 夏の日差しも弱まると、米の稲穂は黄金色に色づきこうべを垂らす頃、ちょうど収穫の時期となる。

 水の無い田んぼには、機械が入り列をなす稲穂を順に刈り取られていく。

 刈り取られた稲穂は、天日干しにするべく、後続の車両で併設される天日干し用のバーの上にたばまとめられた稲穂は、二股にされて載せられていった。


 「そろそろ新米が、食べられるな」


 そんな秋の稲刈りの収穫作業を高台の上から眺めながら、俺は新米の美味しさを想像する。

 

 今日は多くの作物が収穫されている。

 米に始まり、麦にサツマイモ、栗にカボチャや梨、ブドウと種類は豊富で今日から、家庭では嬉しい悲鳴が聞こえてくるだろう。


 昨年は、飢饉ききんあえいでいたこの村が、嘘のように見えるほどの豊作の状況は、これを目にした者は目を疑うほどだろう。


 「もうすぐ1年か……」


 俺がこの世界に転送されて、そろそろ1年が過ぎる。

 アルフィーナや真白に始まり、多くの人々に出会い、助けられた。

 向こうの世界では、ここまで多くの人に1年で出会うことは、そうそうあった物ではないだろう。


 「マサキ、そろそろ会議なのじゃ」


 1面黄金色に色づく畑を眺めながら、この1年を振り返って感傷に浸っている所にアルフィーナが声を掛けてくる。


 この世界に送られて初めて出会った人がアルフィーナだったせいか、嬉しいようなムズ痒い気持ちが持ち上がってくる。


 「うん、今行くよ」


 俺は、田畑に背を向けると、アルフィーナと共に事業館会議室に向かう。


 「アル、今日は何が食べたい?」


 アルフィーナと肩を並べて歩いていた俺は、先ほど見ていた光景を思い出し質問してみる。


 「う~む、やはり栗ご飯なのじゃ!……いや、待て、茸ご飯も捨てがたい……う~む」


 アルフィーナも実りの秋に胸をおどらせているのだろう。

 その多くの食材に今日の晩御飯に悩むほどだ。


 いや、アルの場合、食べたい物が多すぎて悩んでいるだけかも……。


 「じゃあ、今日は栗ご飯、明日が茸ご飯でいいんじゃない?」

 「うむ、それでいいのじゃ!」


 両方食べられる事が嬉しいのか、満面の笑みで応えるアルフィーナ


 そんな事を話しながら事業館の会議室に到着する。

 中には、すでに全員集合していて残すは俺たちだけだった。


 「待たせてすまない。早速始めようか」


 会議の定刻前だったが、全員いるので早速会議を始めることにする。


 こういった面倒くさい事は、さっさと終わらせた方がいいからね。


 「では、始めたいと思います。まずは、現在の食料状況から……」


 今日の司会進行は月花の担当らしく、順々に会議の報告がなされて行く。

 内容は、今のリアレスの食料自給状況に続いて、開拓状況、家屋の建替え状況、医療に衣服の生産状況と様々だった。


 「最後によろしいでしょうか?」


 報告や今後の方針が決まり、そろそろ会議の終わりという所でフォートルが手を上げる。


 「構わないよ、どうしたの?」


 こんな会議の場だ、皆に伝えるべき事があるのだろう。


 「では、そろそろフィルの村の者達が、このリアレスに訪れる時期となります」

 「おお!そうじゃったのう」

 「むぅ、確かに」


 フォートルの発言にアルフィーナとボルガが続く

 今年の始めにフィルの村に行った者達だ。


 「そうだったな~、で?俺は何もしないで良いんだっけ?」


 フォートル達から特に俺が何かする事を言われてはいない。


 「はい、迎える者は、魔女様、それに私とジェナート、ボルガでフィルに行った者で迎えようと思います」

 「うむ、その方が向こうも話し易かろう」


 たしかにフォートルの言うとおり、フィルの村に行った者達で迎えた方が、来訪する人達に無用な緊張をかけることは無い。


 「ただ、マサキ様とのご面会もあるやも知れませんので、その時は……」

 「うん、その時は言ってくれればフィルの村の人々に会うよ」


 会えと言われれば会うけど、話す事あるのだろうか?


 俺との会談が無いことを祈りつつ会議は終了する。


 窓から外を見ると、だんだんと紅葉に色付いてきた山々と、黄昏の夕焼けと同じように金色の田畑、そして、そこを飛んでいる赤とんぼの秋の風景だった







 その数日後、

 俺は、いつも通り学修校の授業を終わらせて開拓事業館に戻ると、会議室にはミナやメイド達だけでアルフィーナやフォートル達はまだ来ていなかった。


 「あれ?いつもなら、この時間には、皆集まっているのに?!」


 会議は毎日ではないが水曜と金曜の週2回15時から、いつも行なっている。

 この時間には、俺やアルフィーナかミナ、メイド達が学修校の授業を終えて会議に来るのが最後のはずだ。


 「アルフィーナ様、フォートル様方は、現在、フィルの村の人々を迎え案内しております」

 「ああっ、今日だったのか!」


 いつもと違う状況に首を傾げていると、ミナが説明してくれ合点がてんがいった。


 何とも、事前に連絡が取れないとは大変なものだ。


 「それじゃあ、今は?」

 「はい、村の施設、収穫物などをご覧になっているかと」


 どうやら、フィルの村の人々の来訪を知ったフォートル達が、今はアルフィーナと一緒に案内をしているようだ。


 「はー、じゃあ、今は待つしかないか……」

 「はい、時間も掛かりましょうから、お茶にでも致しましょう」

 「おっ!いいね、今日は何が用意できてるの?」

 「甘食です」


 突然の来訪に方に力が入るけど、俺が緊張しても仕方が無い。

 ミナの提案どおり、お茶を飲みながら皆が戻ってくるのを待つしかない。


 すぐにメイド達が機敏な動作でお茶と茶菓子を用意する。


 「どれ、あむっ、んー!素朴な味で美味しいな」


 甘食だけを食べると、口の水分を持ってかれるので、お茶で流し込みながら甘食を食べる。


 甘食って、関東では非常にポピュラーな商品だけど、関西では無いんだよね。

 まあ、どこどこの商品は全国にあるんだと思っていたーーーっ!って、声はよく聞いたな

 たしかあれは、静岡出身の新人が、俺のいた会社に入社して上京数日した頃だった。


 「先輩、○ちゃんラーメンて人気なんですか?どこの店探しても見付からなくて」

 「いや、それ全国展開してないから」

 「ええーーーー!!!」


 あの時の新人君の驚愕の顔は、いつ思い出しても笑ってしまう。


 甘食をもう一つ手に取ってお茶をすする。

 アルフィーナ達が上手くやっている事を祈りながら。



□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□



 「……!」

 「……!」

 「……!」


 今日は私ジニスと息子ドルフ、そして、農作を担当している鳥人族ちょうじんぞくのトキラと一緒にリアレスに訪れている。

 いや、訪れているはずだ。


 しかし、目の前に広がる光景は何なんだ?

 険しい山や谷を越えて森を抜けると、そこにはリアレスに続く細い道があったはずだ。

 なのに、今、眼前に広がるものは、硬い一枚の岩?で出来た、平らでどこまでも続いている道?らしきものだった。


 「おっ、親父おやじ、これはいったい?」

 「う、うむ、今すぐには何とも言えんが、おそらくこれは……」


 ドルフの質問に応えようとすると、リアレスの方から何かが近づいてくる。

 音は地を引きずる様な音が聞こえるだけだが、恐ろしく早い何かだ。


 トキラは、それに怯えてすぐに林の中に入り身を隠す。


 私とボルガは、これでも腕に覚えがある者

 一目散に逃げては、村の者達に笑われる。


 取り合えず、向かって来るものが何かだけ確認しなくては。


 「ドルフっ!」

 「おおぅっ!」


 ドルフと私は、手に持つ槍を前に出し身構える。

 最初は小さい点だったが、あっという間にそれは近づいてきて、よく見えるところまでソレは近づいてきた。


 「デカイ!まるで家が動いているようだ。分かるかドルフ!」

 「分からねえ!生き物には見えねえ」


 近づいてくる!

 何なんだ、あれは??金属にも見えるが、いったい何なんだ?!


 近づいてくる物に恐怖し焦る中、私達は必死に踏みとどまる。

 それが何かを確かめるまで!そしてリアレスに何が起こったのかを確認するまで!



 「あれー?あんた、ジニスさんじゃないかね?それに、その片目はドルフじゃないか!いや、久しぶりだな!!」

 

 見知った者が、その大きな何かから降りてくる。


 「おおっ!ガクル!ガクルではないか!!」

 「ガクルさん……なのか?」


 降りてきたのは、リアレスに住む同じ獣人族(狼)のガクルだった。


 ドルフよりだいぶ先の生まれで最後に会ったのは、ガクルが結婚した時だったか……そう言えば、フォートルからジェナートの子ポルトナより先に生まれた息子がいると聞いていたが……。


 久しく会っていなかった若者は、その顔に幾重にも苦労してきたのだろう。

 相応に老け込んで、ところどころに白い毛が見受けられる。


 しかし、最後にあった時とは、まったく印象が違っていた。

 全身を毛の色に似た色の茶色い服で覆われて、足には何か黒い物を履いて、頭にも黄色い物を被っている。


 「いやー、来るとは聞いていたが、今日来たのかー。それじゃあ、皆にも知らせないとな」

 「あっ、あぁ、しかし、ガクル、これは何なんだ?」


 目の前に止まりガクルが降りてきた、黄色く大きな金属の塊に指差して聞いてみる。


 「あー、驚かせちまったな、俺も最初は驚いたもんだ!これは、ダンプカーと言う乗り物だ」

 「だんぷかー?」


 聞いたことも無い単語に頭が混乱しそうになる。


 「ちょっと待ってな、今連絡するから」

 「連絡?」


 今から、リアレスにでも走って知らせるのかと思ってガクルを見ると、ガクルはだんぷかーに飛び乗り何やら黒い物を手に取る。


 「あーあー、こちら1-8、こちら1-8、聞こえますか?」

 「………………ジッ!はいはい、ガクルさんどうしましたか?」

 「っ!」


 ガクルの様子を伺っていると他の誰かの声が聞こえてきた。

 驚いて周囲を見回すが、人らしき姿や気配も無い。

 声だけが聞こえるだけだった。


 「坑道前の道でジニスさん達を見つけたんだ、俺が村まで送るからフォートルさん達に連絡してくれ」

 「ああー、今日来たんだー!あいよ、連絡しておく、色々大変だろうけど送迎よろしく!」

 「了解!」


 いったい誰がどこで話しているのか分からないが、ガクルは当然の如く平然と降りてきた。


 「それじゃあ、村に送りますので、乗って下さい」

 「こっ、これにか!」

 「ええ、その方が早いので」

 「………………分かった」


 だんぷかーなる物がいまだに分からないが、ガクルが平気で乗っている物だから信用して肯定する。

 ドルフは、だんぷかーの周りをうかがうように見回し、時には持っている槍で軽く突いている。

 トキラは、ようやく茂みから出てくると、恐る恐るといった雰囲気でゆっくりと近寄ってきた。


 だんぷかーや先ほど誰かとの会話で頭は混乱していたが、フィルの纏め役として然と構えて心を落ち着かせる。


 いったいこの先に何がまっているのやら……。


お読み頂き、ありがとうございます。

今回は、長くなりそうなので来訪の前半部分です。

残りは次回にまわします。

なんせ、一から説明が入る部分があるので、すいません。

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