表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/124

25.リアレス開拓(プールと夏野菜)

お疲れ様です。

タイトル通りのお話です。


 7月に入ると、リアレスも日本と同じ様に夏になりジリジリと強い日差しが照りつけ、気温も上昇し汗ばむ季節になった。

 そんな暑い季節に俺は、プールに入って水着を着た子供達と戯れていた。

 別にロリコンに目覚めたわけでもショタコンになった訳でもない。

 今日はお昼前の授業にプールがあったので、皆でプールに入っているからだ。


 もちろん授業なので日本で教えている近代泳法と、日本独自の古式泳法を授業の最初に教えてある。

 ただ泳ぎ方を子供達が覚えた後は、各自自由に泳ぐようにした。

 堅苦しく1人ずつ泳がせるより、自由に泳いで泳ぎ方を馴染ませれば良いと考えたからだ。


 ここリアレスでは、もともと川の水が少ない事情もあり、泳ぎが出来る子がまったくおらずプール開き開始当初は、子供達は水を泳ぐのを恐がっていたが、子供達の覚えが早くすぐに泳げるようになったので、後は自由時間にした経緯もある。


 土日の学校が休みの日は、プールを開放しているので子供達以外の大人もプールを利用している。


 「本当なら、美味しくない焼きそばやラーメン、フランクフルトにアメリカンドックなんかを売るお店なんかあれば最高なんだけどなぁ……まだ通貨の概念がないからなぁ」


 アルフィーナのいた王国には、金貨や銀貨などの通貨制度が導入されていたらしいが、ここ魔界には、まだ国というものがない。

 国が無いので通貨制度も無い現在は、作物や日用品を村人に必要分、分け与えている。

 今のところは、これでも問題ないが、恐らく将来的にこの方法は破綻する。


 人間に欲がある限り、この方法は成り立たない。

 俺自身だって欲しいものは、自分で作ったりミナ達に頼んだりして生み出している。

 これ自体も欲望なのだから仕方がない。


 そのような欲求が表面化するまえに通貨制度を導入するべきだろう。

 ただし、導入する時期は、村人が通貨制度や法を理解して、通貨の価値を国が保障しなければ通貨を発行してもただの紙くずになってしまう。


 「出来るだけ早い段階でリアレスか隣のフィルで国を作って欲しいなぁ」


 プールに大きな浮き輪を浮かべて、子供達が起こす波に揺られながら、現在プールではしゃぐ子供達が将来作ってくれるだろう国を思い描く。


 このリアレス学修校のプールは、2面に分かれていて水深110センチの長さが50メートル7レーンに分かれたプールと、水深50センチ25メートル四方のプールの2つがある。

 俺は今深いほうのプールの隅で浮き輪にお尻を入れた状態で浮かんでいる。

 もちろん、授業なので危険がないか監視しているのだが、監視員の如く高い椅子に座って監視するよりプールに入っていた方が涼しい。

 もしおぼれている子供がいれば、魔法でその子を持ち上げてやればいいのだから問題はない。


 隣の浅いプールの方を見ると、まだ深いほうで泳げない子供達が戯れていて その中に真白の姿も見える。

 真白には、浅い方のプールの監視とチャコのお守りも同時に行なってもらっている。

 チャコは、子供ながらに犬掻きが達者で、家にある温泉でいつも泳いで遊んでいた。

 なので、今は子供達と泳いだり真白の上に乗ったりして遊んでいた。

 暑い陽気だからだろう、真白も気にした様子もなくプールに浸かって涼んでいる。


 子供達の水着や帽子は、ミナに頼んで伸縮性の高い石炭を使った繊維で作ってもらった。

 ミナが言うには、「この女の子用の水着は旧スクです!」と言うのだが、俺には新と旧の違いについてはよく分からない。

 男の子は短パン、俺はハーフパンツ型の水着を着用している。


 ふと反対側のレーンを見ると、今、もの凄い勢いで泳いでいる2人女性がいる。

 アルフィーナとミナだ。


 この2人は、早急に手を付ける案件が無かったので学校のプールで泳いでいたのだが、いつの間にかアルフィーナは覚えたてのクロールでミナと競争していた。

 アルフィーナの姿は、紺のワンピース型競泳水着を着ているのだけど、ミナの方は何故か子供達と同じ水着を着て胸のところに白い生地を縫い付けて、ひらがな大きく「みな」と少し歪んで書かれていた。


 まあ、ミナ自身が選んだ水着だし、個人の趣味はこのさい別に置いておこう。


 「プハーッ!負けたのじゃあ」

 「アルフィーナ様も少しずつですが、クロールが上手くなっています」


 ミナが圧倒的な速さで先にゴールすると、遅れてアルフィーナもゴールに手をついて水面に顔を出す。


 アルもミナの凄さは知っているだろうに

 それに抵抗が大きいアルには、ハンデが……っ!!!


 そんな事を2人を見ながら考えていると、ミナが無表情のまま、こちらに顔をクルッと向けたので驚いてしまった。

 やっぱりミナは心を読むのではないのだろうか?


 「マサキ!この水中メガネと言うのは凄いのう!お主の乗っている浮き輪にも驚いたが」

 「そうかな?アルだって、さっきまで子供達と浮き輪で遊んでいただろ?」


 浮き輪は各種色々な形を用意して好きに使うように言うと、空気を入れた状態で並べて置いておいた。

 当初は子供達も遠慮気味だったが、俺が率先して浮き輪で遊び出すと徐々に子供達も使うようになり、今では好きなように使って遊んでいた。


 「そうじゃが、使ってみると、その感激は一入ひとしおじゃ!」


 そうかな?でもまあ、見慣れている俺に比べれば、アルや子供達の方が新鮮に感じるのだろうな。


 「そうだね、後は流れるプールや滑り台なんかもあればいいんだけど」

 「おおっ!あの映像で出ていた物じゃな!」


 アルフィーナのみならずリアレスの人々に向けて、現在、放送中の番組で日本の民間プールの映像を見せていた。


 アルも映像に出ていたトグロを巻いたような滑り台や、加速して豪快に滑り落ちる滑り台に目を輝かせていたな。


 「うん、でも、今作っても管理出来ないから、もう少し先になるかな……」


 魔法で作ることは簡単でも、俺やミナ、メイド達はそれぞれに仕事を抱えているので維持・管理することが出来ない。

 作ってもその場だけでは問題がある。

 先ほど思った通貨制度と同じく今後に期待するしかない。


 ふと時間を確認すると、そろそろ授業終了の時間なので号令をかける。


 「よーし!今日はここまで!プールから上がって後片付けをしたらお昼にしよう!」

 「「「はーいっ!」」」


 お昼前に運動したからお腹がすいたのだろう。

 子供達は、大きな声で返事すると、水から上がって使っていた道具類を片付け始める。


 俺も自分で使っていた浮き輪の空気を抜いて片付けると、隅に置いてあったバスタオルで真白やチャコの身体を拭いてやる。

 チャコはまだ遊び足りないのか、プールへ戻ろうとするが真白に首を加えられて退場していく。

 後には、キューンキューンとチャコの鳴き声だけが聞こえるだけだった。


 今日のお昼は、夏なので冷やし中華だ

 麺が、お酢と醤油にごま油を混ぜたタレに絡まると何も言えないほどに食欲を刺激する。


 「御代わりは十分あるから、ゆっくり食べなさい」


 タレは、ボトルに入って置いてあるので自分で好きに使えるようにしてある。

 麺は、小分けに丸めて纏められているが、多過ぎると思えるくらいに量があった。


 アルフィーナも含めて子供達は、無心で麺をすすっている。


 アルは一番泳いでたし、お腹が空いてたんだな。


 皆の様子を見ながら、麺が多過ぎる位にある事にホッと胸をなでおろす。


 午後になると、皆泳ぎ疲れたのだろう。

 机に身を預けて寝ている者が多い。


 午後は復習や相談の時間なので時間が来るまで起こさない様にした。

 あと、エアコンの設定温度を少しだけ上げておく。


 風邪引いたら大変だからね。


 チャコはポッコリと膨らんだお腹を上にして仰向けで真白に身を預けて眠っていた。

 チャコはようやく少しだけ離乳食を食べるようになったが、やっぱりまだメインはミルクのようだ。

 真白の少し湿った毛が心地よいのだろう、スピーッスピーッと鼻から音を出して眠っている。


 真白もチャコをお腹で受け止めながら、丸まって眠っている。


 周り見回しながら確認していると、眠らずに勉強している2人を見つけた。

 両方とも人族の男の子と女の子だ。


 男の子の名前は、ファルター

 今年7歳になるけど科学にのめり込んでいる天才少年だ。

 俺やミナに科学について質問してくることが多く、特に最近はミナに色々と聞いている。


 もう1人の女の子は、ハリナ

 今年5歳なのだが、なぜか年上のファルターにライバル意識を燃やしていて、何かと張り合っている。

 ただ、どうしても科学の分野では、圧倒的にファルターなので他の分野で頑張っているみたいだ。

 最近では、天文学に興味を持ち始めて星について色々と聞いてくるのが多い。


 「2人とも無理せずに寝てもいいんだよ?」


 無理に勉強しても頭に入ってこない。

 頭がスッキリしたときに勉強すれば覚えられる量も違ってくるだろう。


 「はい、でもマサキ様、僕は大丈夫です。それよりも気になってる事が多過ぎて眠れません!」


 ファルターは興奮しているのだろう、まったく眠る気は無い様だ。


 「わっ、私も大丈夫です!」


 ハリナは目を真っ赤にさせて応えるが、説得力が無い。

 恐らくファルターへの対抗意識のせいだろう。


 「うん、分かった。無理しないでね」

 「「はい」」


 2人とも揃って応えると、ハリナはファルターをにらみ付けるが、ファルターは引き続き教科書の世界に没頭する。


 こういった事は止めても仕方ないのでヤレヤレと肩をすくめて俺は元の位置に戻ると、引き続き教室に漂うゆっくりとした時間を楽しむ。





 帰りの時間に子供達を起床させて家に帰すと、俺はアルフィーナとミナ、真白にチャコを引き連れて開拓事業館ではなく今日は、夏野菜の収穫の日なので収穫物集積場に向かう。

 収穫物集積場とは、簡単に言えば市場なのだが通貨の無いリアレスでは、そこで個々に必要な量を分けて配っている。

 余ったものは、俺の無限収納に入れて保存するので継続的な配給を可能としていた。


 「おー、トマトもキュウリも瑞々(みずみず)しくて美味しそうだ!」


 朝の内に収穫された作物は、早々に配られて今残っている収穫物は、この空調と加湿が効いた集積所に集められた残り物だ。

 野菜などの作物は、自重で潰れないように工夫されたプラスチックの容器に纏められていた。

 このプラスチックの容器は、全てミナが春に作って用意したものだ。


 「はい、すでに配り終えたのですが、これだけの量が残りまして、あとはマサキ様にお願いしようかと」


 春の時もそうだったが、フォートルは収穫量の激増に頬が緩み満面の笑みをしている。


 それでいい、辛い表情より笑顔の方が価値がある。


 「分かった。俺も少しだけ分けて貰うが、必要になったら言ってくれ!」


 一つ頷くと、野菜を無限収納に入れていく。


 「全てマサキ様に、と皆思っているのですが……やはり、お変わりになりませんか」

 「あたり前だ!というか、この問答は春にやってるだろう。俺の答えは変わらないよ!」


 フォートル達は、全て俺に渡すと春の収穫の時に言ってきたが、こんな量俺では消化しきれないし必要ない。

 共同で栽培したのだから、必要あり次第提供するのがあたり前と今は思っている。


 「そうですか」


 フォートルは、少し溜息混じりに応える。


 「今日の放送でも、夏野菜を使った料理を放送するから、恐らく今日の食卓に載るだろうから期待すると良い」

 「それは喜ばしいことです。メルザの奴もジェナートにアレコレと聞いていたようですから」


 ミナが厳選した夏野菜料理を収穫前に放送していたので、今日の食卓は豪華になる事間違いないだろう。

 これだけ美味しそうに実った作物があれば色々な料理に使える。


 ウチの今日の夕飯はなんだろうな?


 野菜を無限収納に入れながら、今日の夕飯の献立を想像する。


 「本日は夏野菜カレーです」

 「っ!!」


 何も言っていないのに心を見透かすミナに驚いて顔を向ける。


 「いえ、先ほどのフォートル様との会話と、野菜を見るマスターの顔にそう書いてありましたので」


 ヤレヤレ俺もアルみたいに食い意地が、顔に出るのかな?


 「分かった。期待しているよ!」


 ミナにそう応えると、空になった収穫物集積所の電源を落として外に出る。


 外では、今日の収穫に沸いている声がそこかしこで聞こえてきた。

 この声を聞いていると不思議と嬉しくなり俺も笑顔になる。


 「ははっ、俺もフォートル達と一緒だな」

 「それはそうだろう、嬉しい時はみな笑顔になるものじゃ」


 隣に歩くアルフィーナを見ると、こちらも目を細めて微笑んでいた。


 「そうだね」


 アルフィーナに短く応えると、しばらく村の人々の活気を眺めていた。



 夕飯はミナの言っていた通りに夏野菜がふんだんに使われた、辛めのカレーだった。

 暑い夏の日には、辛いカレーを汗を流しながらヒーヒーと言って食べる。

 カレーの辛さに夏野菜の甘味が加わりとても美味しい!


 美味しい野菜料理が、しばらく続くことを考えながら夏の夜は今日も過ぎていく。


お読み頂き、ありがとうございます。

幼女は?少年は?ははっ、無かったですね。すいません

次回も夏で花火と祭りの回です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ