23.リアレス開拓(リアレス学修校 入学式)
お疲れ様です。
入学式であります。
花見を終えても桜は未だに花を咲き誇り地面に舞い散る4月1日
40人の子供達とその親が学校の体育館に集まっていた。
「今日から皆は、このリアレス学修校で15歳までの期間に多くのことを学び、そして、ここを卒業し君達の親や兄弟、親戚や友人知人の助けになるべく知識を付けて欲しい。知識は必ず皆の助けになる!私も皆が楽しく学べるように努力するから、一緒に頑張
ろう!」
「「「はいっ!」」」
スーツにネクタイを締めた俺は、壇上に上がり慣れない挨拶をすると子供達は大きな声で応えた。
今日はリアレスの村で始めての入学式だ。
子供達は、お揃いの真新しい制服に袖を通して若干緊張しているみたいだ。
花見の時は、校庭にしか入っていないので当然かもしれない。
制服は、ミナがいくつかの制服の案を持ってきたので無難な紺色のブレザーを選んで、村の針子を担当してもらっている人たちに縫って貰った。
体育館の壇上に向かって最前列には、40人の子供達、年齢は5~14歳、パイプ椅子に10人ずつ横2列になって座っていた。
少し間を空けて、その後ろには子供達の親が同じ様にパイプ椅子に座っている。
壇上の左手、子供達から右手には先生として、アルフィーナとミナ、それにメイド達5人(今日は入学式なので全員リアレスの村に来て貰った)、最後に真白とバスケットに入ったチャコが並んでいた。
俺の挨拶が終わると、ミナとメイド達が拍手をしたので他の人達もつられる様に拍手をする。
仕事終えたので壇上を降りるため、壇上の横にある旗立台に立て掛けられた旗に礼をして壇上を下りる。
この旗は、日本国旗ではない。
さすがにリアレスは、日本ではないので日本国旗を掲げる訳にはいかない。
なので、急遽俺の発案で旗を作る事になった。
旗の柄は、白地に紅色の羽を広げた八咫烏だ、遠目から見ると日の丸にも見える。
俺に芸術のセンスを期待されても困るので、日の丸に似せて作ってみた。
なぜ八咫烏かと言えば、日本神話で太陽の化身ともされているのでピッタリだと思ったからだ。
ここで学んだ事をこの旗を見て思い出し、子供達が誇りに思ってくれると嬉しい。
「では、続きまして校歌斉唱、お集まりの皆様は、配られた紙に校歌が書いてありますが、歌うのは難しいと思います。なのでマサキ様とミナ様、私達5人が歌いますのでお聞き下さい。全員起立っ!」
月花が壇下の脇に設けられた司会進行用のマイクで号令すると、全員が椅子から立ち上がる。
歌は苦手なんだよな~、でも慣れた音程だから問題ないと思うけど……。
シンと静まり返った体育館の中で、備え付けのスピーカーから音が出て歌が始まる。
君が代は 千尋の底の さざれ石の
鵜のいる磯と 現るるまで
音程は全て日本の国家、君が代と同じものだ。
この歌は明治時代に君が代の2番として作られたものだ。
校歌を何にするか悩んでいる時に、日本の国家みたいなのがあればな~と、ぼやいている所にミナが、
「御座いますよ、君が代は、1000年以上前に編まれた短歌を基にしていますが、明治時代に同じ様に国の平和と繁栄を願った歌が、2番、3番と作られました。音程も同じで歌いやすいと思いますので、こちらをお使いになられては」
ミナのグッジョブな提案に乗って、今回校歌として使う事にした。
もう歌われていないのだから問題ないだろう。
なんせ、日本人の俺だって知らなかったのだから。
意味は、みんなが海の底が現れて鵜が留まる岩となるほどの長い年月栄えますように、という意味になる。
「着席、それでは、この後皆様には学校の校舎の中を案内します。それが終わると教室で明日からの授業の説明、最後に校庭で記念撮影になります。何か質問があれば受け付けますので、よろしくお願いします」
月花は、一礼するとマイクから離れる。
すると、舞花、蓮花、氷花、翠花の4人が子供達に近づいていき、子供達を5人ずつに分けて案内を開始する。
全員で移動するには、子供にその親達も多いので分けてから案内する事にした。
「ふう」
式も終わり一息つくと、舞花達が案内を終えたら教室に来るので子供達を迎えるため先に移動する。
「のう、マサキ、先ほどの歌は不思議な歌じゃのう」
一緒に移動するアルフィーナが、先ほど歌った歌の感想を言う。
「まあね、俺のいた国の歌詞と音程だからね、アルが不思議に思うのも仕方が無いよ。それも含めてここで学んでいくといいよ」
アルフィーナは、魔法と魔道具の教師を担当するが、他に子供達と一緒にここで日本語や計算を学ぶ事になっている。
俺やミナ達が教えることも出来たが、本人が希望したので一緒に学んでもらう事になった。
どのぐらいの年月学ぶかは本人に任せたが、知識の吸収が早い彼女ならそう長い年月は必要としないだろう。
居室に入ると、机と椅子が並べられておりその上に真新しい鞄と教科書やノート、筆記用具など授業で使う物が一人ひとりの机の上に置かれている。
これは俺やミナ達が用意した子供達へのプレゼントだ。
机のすぐ脇の床には、上履きの靴と運動靴が置いてある。
「さて、そろそろ来るな」
正面の黒板脇にある大きな時計を確認すると、そろそろ案内が終了して教室に来る頃だった。
教室の正面と後ろに黒板がある。
この黒板は普通の黒板に見えるが、実はミナお手製の巨大なモニターになっていてタッチペンで文字を書いたり、映像を移すことが出来る特別仕様だ。
チョークやマジックで書くより経済的だろう。
廊下の方から、話し声と歩く音が近づいてくると、扉から教室の中に舞花を先頭に子供達と大人達が入ってきた。
舞花達先導してきた者が、生徒達の名前があいうえお順になるように席に着かせていく。
親達は、教室の後ろの方に並んでもらった。
「みんなの目の前にある物は、全て授業で使う物なので大切に使って欲しい」
「「「はい!」」」
子供達は元気の言い返事で返した。
「では、今後の日程や予定をお伝えします。覚え切れなくても、ご家庭の放送でもお伝えしますので安心して下さい」
ミナは、明日からの授業開始時間と時間割を伝える。
子供達に渡した教科書類の中に時間割が入っているし、ケーブル放送でも実物を見せながら説明するので問題ないだろう。
それに黒板の右側にも大きな時間割を張り出しているので、文字が読めるようになれば今後は紙でも確認できるはずだ。
「皆の座っている机の右上と椅子の後ろに文字が書かれているだろう。それが君達の名前だ」
机の右上と椅子の後ろ側には、名前入りのプレートが取り付けられている。
机の方は、物を描くときなどに邪魔にならない様に凹凸を感じさせないフラットな埋め込み型にしてある。
「後ろの棚には、授業で使う道具が入っている。ここには、すぐに使わないものや服なども入れられるので、一人ひとり同じ名前の付いたところに入れるように!」
俺が後ろに備え付けたロッカーを説明すると、すぐに翠花がローカーの一つを開いて中を見せる。
中には、授業で使う予定の色々な道具を納めた入れ物が上にあり、下は鞄を収める空間が開いていた。
教室を見渡すと、40人の子供が座る椅子と机があり後ろには親達が並んでいるが、それでもかなり大きく余るほどの教室になっていた。
あと20人ほどの机と椅子が並べられるくらいだ。
そして何より教室の隅の方には、折りたたみ式の机と椅子が備え付けてあった。
これは、ここでの授業を子供達だけではなく、仕事の手が空いた大人達が子供達に負けないように勉強してもらうため作ったものだ。
村の大人達への教育もここで行なえば、手間がなくていい。
「さて、他に伝える事は、その都度伝えるので最後に記念撮影をするから校庭に行こう!道具類はここに置いたままで大丈夫だからね」
子供達と大人達が教室を出て校庭に向かう。
校庭には、校舎側に1本のポールが立っており、そこにも八咫烏の描かれた旗が揚げられて風に乗ってゆったりと棚引いている。
その前には段になって40脚の椅子が置かれていた。
「子供達は椅子に座って、大人達はその後ろの少し高くなっているところに並んでくれ」
椅子に座る子供達を囲むように大人達を移動させると、俺も写真に写ろうと端の方に移動する。
「マサキ!何をやっているのじゃ、お主は真ん中に居るのじゃ!」
「そうですよマサキ様、マサキ様は教える方なので真ん中に居て頂かないと……」
別に端でも構わないと思ったけど、アルフィーナとメルザの言葉に加えて、アルフィーナに腕を引かれて子供達の後ろの中央に移動する。
両隣にはアルフィーナとミナが、親達の一番右端には、蓮花、氷花、翠花の3人、左端には真白とチャコ、舞花、月花が位置についた。
「それでは、私が写真を取ります」
月花が前方に移動して、三脚に載せられたカメラに歩み寄る。
このカメラは、ミナが作ってくれたもので高解像度に撮れるものらしい。
「……皆さん緊張しすぎです。特にジェナート様、肩を張りすぎて顔が凄い事になっています」
ジェナートを見ると、たしかに月花が言うとおり、緊張でガチガチに緊張していた。
他の大人達や子供達も緊張の面持ちをしている。
子供達は分かるけど、大人達までか……よし!
「おい、ジェナート、お前が入学する訳でもないのに……いや、入学させた方がいいか」
「そうですね、マサキ様ウチの人もポルトナと一緒に教えて下さい」
俺の一言にメルザも乗ってきた。
「えぇっ!私は……その……」
少し焦るジェナート
ジェナート自身もポルトナに負けないように日々開拓事業館で勉強している。
文字の読み書きや計算は、小学生の真ん中ほどの学力がついていた。
「いや、開拓事業も手伝って貰わないといけないから、そうだな……甘い物は計算や読み書きをする時に良いらしいからメルザ、ジェナートに甘い物を作って食べさせてやれ」
ジェナートは甘い物が苦手だが、ジェナートの妻のメルザは甘い物には目が無い。
最近では、事業館で家に帰ると甘い料理が多く出されると、ジェナートがボヤいていた。
「お任せ下さいマサキ様!今、ミナ様に美味しい料理を教えて頂いているので、あっま~~~い料理をウチの人に食べさせます!」
「やっ、やめてくれー甘い物は、もう食べたくないよ!?」
焦るジェナートに不敵な笑顔で向き合うメルザ
それを見た周りの者が、我慢しきれずに笑い出す。
「あっははははー、どれ、みんな前を向いて写真撮るぞ」
「では撮ります」
月花は素早く左端に移動する。
月花が戻ったタイミングに合わせる様にカメラからカシャッと音が鳴り写真が撮られた。
「よーし、今日はこれで終わりだから、みんな持ち物を持って返っていいよ~、あとメルザ、ほどほどにしてやれよ」
帰りの合図とメルザに釘を刺しておく。
「分かってますよマサキ様、甘い物を毎日なんて食べませんから安心して下さい」
言わずもがなメルザも分かっていたようで、ジェナートはホッとしていた。
後日、一枚の写真が各家庭に配られた。
その写真はもちろん入学式に撮影された記念写真で写し出された全員が笑顔で撮影されている。
ジェナートだけが、若干引きつっているが……。
ある博物館に一枚の写真が展示されている。
それは、子供達が椅子に座って微笑んでいる入学式の写真だ。
子供達の後ろには、子供の親達だろう、多くの大人達も写っている。
写真の下には説明書きがされており
そこには、
この写真は、我が国で初めて学び舎が作られて、その学び舎で初めて入学式が行なわれた時の写真です。
ここに写っている子供達は、王祖様に直接学問を学び、我が国の発展に大きく寄与致しました。
そして、ここより王祖様に直接教えを受けた者達を、“ 始まりの世代 ” と言われています。
と書かれていた。
お読み頂き、ありがとうございます。
学校がようやく始まり日本で勉強するような知識が、子供達や学校で授業を受けた大人によって浸透していきます。
これでマサキと村の人々との会話で現在日本で使う普通の会話に出来ます。ようやく、ここまできた~!
いままで現代の名称や英語など制限を制限してきたので皆様には、非常に読みにくかったと思います。すいませんでした。
私の中の設定でしたので説明文などを入れた方が、よかったのかもしれませんね。
次回は、学校などを中心に開拓していきます。
頭角族とは、某プロ野球チームのヒロインマスコットではなく、普通の見た目の人の頭に牛みたいな角と耳、お尻に牛の尻尾とお考え下さい。
今後とも、よろしくお願いします。




