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22.リアレス開拓(花と団子)

 お疲れ様です。

 今回は、お花見回になっています。

 夜は、まだ冷えるが、日が出ていると冬の寒さも和らいで草木に新芽が芽吹き、花を咲かせ始める3月中旬、今日も俺はリアレスの開拓にいそしんでいた。


 2月の畑への種まきを終えると、温室の作物は丁度食べ頃になり収穫された。

 今回、温室で収穫された作物は、葉物が多く村の皆に配給されたが、余ったものは俺の無限収納の中に納められた。

 必要な時に再度配給する予定だが、温室の野菜も順次収穫されるので、飢饉ききんにでもならない限りは無限収納の中で眠り続けるだろう。


 まあ、無限収納は時間経過が無いから、いつでも収穫したての状態だから問題ないだろう。


 他にもミナの作った石炭からのプラスチック製品の原料を作る施設も稼動したため、村の人たちに説明して管理してもらっている。

 管理と言っても、ほとんどオートメーション化しているため異常が無いかのチェックと警備が主作業になっている。

 この施設には、ビニールや繊維にする施設も入っているが前記の通りなので似たような状況になっていた。


 鉄などの金属製錬は、石炭をコークスにして使っているので高い火力で製錬できるようになり、より多くの金属加工が出来るようになった。


 電気も十二分に……と言うか、現在、絶賛余っている状態なので、新しく電気釜を作ってコーヒーカップや皿などの器を作って焼いている。

 ここで出来た製品は、村の人々に配給して使って貰い、使用感などを確かめている。


 家の方は、材料を加工する施設を作り、現場で組み立てるといった方式に切替えたので、家を作る速度が格段に上がっていた。

 家に必要な部品等は、ロドルク達、鍛冶職人が金属を加工し頑張って作っているので、大量生産ほどのスピードは無いが、家を建てる速度に合わせて順次作っているので問題は無い。


 目下の問題は、村人達が読み書き計算が出来ないところだ。全てを俺やミナ達でやる訳にいかない。

 現在、ケーブル放送で文字や計算なども一緒に教えているが、やはり人が直接教えて質問や疑問に答えてあげる方が良いので学校の開校が必要なところだ。


 その学校も来月4月から開講する。

 講師は、俺とアルフィーナ、ミナとメイド達が担当する。

 俺の担当は日本語の読み書きと道徳、それと図画工作、アルフィーナの担当が魔法と魔道具について、ミナとメイド達は理数と歴史を教える予定だ。

 歴史と言っても魔界の歴史は誰も知らないので、日本の歴史を教えていこうと考えている。

 世界は違うが、過去から学ぶことは多い。


 そして、今俺は学校の開校に向けた資料を作るため、開拓事業館の一室にある机でパソコン(ミナ本体)とにらめっこしていた。


 「ですので、日本語を教える習字などの授業は問題ないと思います。道徳についていかが致しますか」

 「道徳は……そうだな、日本の修身の内容を魔界に合わせて作る事にしよう。あれは当時の日本を知らないと読んでも理解できないからね」

 「畏まりました」


 画面のミナと資料について打ち合わせ中だ。

 体の方は、村の人々にプラスチック製品生産施設の説明をしている。


 意識を分割しても問題ないとは、サイバーな世界にミナは生きているな。


 ミナとの打ち合わせも一区切りついたところで、机から立ち上がると窓から外の景色を見ながら背を伸ばす。


 「ふう、……そろそろ花見の季節だな」


 窓から見える山桜の木々には、つぼみが開いた花がチラホラと見られた。


 「マスターご提案の花見の催し物は、ケーブル放送でニュース番組の後に流しております」

 「ああそうだね、皆来てくれるといいな?」


 現在のケーブル放送は、朝の5時から7時、夕方4時から8時に時間帯を分けて放送している。

 なぜ時間帯を分けているのかは、その時間は寝ているか、働いているかなので放送していない。


 内容は、


 「皆様、こんばんは、本日の放送を担当する月花です。本日のニュースは、フォートル様の家が完成したので仮設住宅から移動しました。現在はボルガ様、ロドルク様、が仮設住宅で現在生活中で、新しくガルク様一家が仮設住宅に移って頂きます。仮設住宅にお住まいの皆様には、大変ご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いします。つづきまして……」


 こんな感じで、村で起きた出来事や情報を伝えている。

 ニュースの単語の説明は、放送開始時に説明済みで、数回同じ説明をしているので恐らく理解してくれているだろう。


 ミナの言ったのは、この後に3月26日に山桜が、予定よりも早く満開になりそうなので学校の敷地で花見を開催する事を放送して貰っている。

 学校の建屋やグランドの周りに山桜を植樹したので良い花見が出来るだろう。

 他に目的として、子供や大人達に学校を見てもらうのと、子供達が通学するのに事前に通学経路を確認してもらう狙いがあった。


 団子なんかの甘味やお茶、それと、お酒も用意しようかな。


 小さいながらも醸造施設を作ったので、日本酒やウィスキーなどを作っている。

 ウィスキーは熟成中だが、日本酒の新酒なら提供出来るだろう。


 そんな事を思いながら窓の風景を眺めていると、


 「ミーーーーーッ!ミーーーーーッ!」


 けたたましい鳴き声が聞こえてくる。


 「また、チャコか」


 3ヶ月経ったチャコは随分と大きくなり、見付けた時は片手に収まるほどのサイズだったのが、両手の手の平ほどのサイズに成長した。

 普通の犬猫の子供なら、とっくにミルクは卒業のはずなのだが、チャコは未だにミルクしか飲まず離乳食を嫌っている。


 聖獣は、普通の犬猫とは違うのかもしれない。


 最近は、若干おぼつかない足取りだが元気に歩き回り、興味を持ったものに夢中になって遠くへ行き、俺と真白が近くに居ない事に気付くと今みたいに必死に鳴いて探し回るのだ。


 「真白……いや、ちょうど手が空いたから俺が行くよ」


 真白もチャコが鳴いている方向に耳を向けて立ち上がろうとしているが、ちょうど立っていて手が空いている俺が行った方が早いだろう。


 「ミーーーーーッ!ミーーーーーッ!」

 「はいはい、今行くよー」


 扉を開けていたので部屋の外に出てしまったようだ。

 念のため途中には、フェンスを設けチャコが勝手に遠くに行けない様にしている。


 部屋を出ると、チャコの鳴いている方向に歩き出す。

 まだまだ子供なので、そう遠くに行かずに隣の部屋にいるみたいだ。


 隣の部屋の扉も開いていたので顔を入れて探してみると、会議用の机の下でチャコが鳴いているのを見つけた。


 「ミーーーーーッ!ミーーーーーッ……キューン、キューン」


 俺の姿を見つけたチャコは、ヨタヨタしながら俺の足元に向かって歩き出す。


 「こーら!チャコ!駄目だろ勝手にいなくなっちゃ」

 「キューン、ウッ、ウゥゥゥッ」


 チャコに近づき両手で抱き上げ叱り付けるが、チャコにはまだ理解できないので抱き上げてる両手に甘噛みしたり舐めたりしながら、両手両足をバタつかせて俺に近づこうともがいている。


 「はぁ、やれやれ」


 まだ、赤ちゃんのチャコに言っても仕方が無い。

 赤ん坊とは、そういう者だと諦めて元の部屋に戻ると、真白と一緒にチャコの面倒を見ながら窓の外の桜の蕾を見ながら花見へと思いふける。




 3月26日、花見の日


 今日は村の人々と共に花見をする予定になっている。

 参加は自由なので何人の村の人々が来るのかはわからない。

 しかし、準備をおこたるわけには行かないので朝から大忙しだ。


 夜も明けないうちから、学校の調理室に入るとミナとアルフィーナ、それにメイド達に手伝ってもらって花見に出す料理の調理に掛かっていた。

 出す物は、羊羹ようかんや団子などの甘味類、もちろん和三盆などの和菓子も色々と作る予定だ。


 甘いものが苦手な人用の料理も忘れずに作っておかないとな。


 朝日も昇ると、軽めの朝食を済ませて校庭にテントを建てて、中に机と椅子を入れ、机の上にお菓子や料理を並べていく。

 校庭の芝生には、ブルーシートを何枚も敷いたので


 「なんとも変わった食べ物じゃな」


 アルフィーナは、和三盆を手にとってアルフィーナは眺めるように見ている。


 「アル、これだけ有るんだから1個ぐらい食べても良いよ」

 「よいのか!」


 村の人々と共に食べるため遠慮していたのだろう、アルフィーナは食べても良いと言われて身を乗り出すほど喜んでいる。


 「はい、真白も」


 真白の口の中に和三盆を一つ入れてあげる。


 「なんと!甘いのじゃが、その甘さが冷たいように感じてスーッと消えるのじゃ」

 「和菓子は緑茶などのお茶と一緒に頂くと、最高に美味しいから是非ためしてごらん」


 アルフィーナに説明しながらお茶っ葉の入った円柱型の容器を並べる。

 用意したのは、緑茶、ほうじ茶、玄米茶などのお茶と、グランドの一角に本格的な茶道の茶室の如く、畳を敷いてお湯を沸かす茶器類が置かれたエリアがある。

 これは、ミナの提案で置いたものだ。

 俺には、茶道の真似事まねごと程度の知識しかないので、ミナに任せるしかない。


 ある程度時間が過ぎると、校門の方から村の人々がゾロゾロとやってきた。


 「これはマサキ様、今日は花見……でしたか、なにやら花を見ながら宴を開くとか」


 フォートルが村人を代表して聞いてきた。


 「そうだ、今日は、甘い物や酒も用意している。美しい花を見ながら飲んで食べて、ゆっくりしよう!」

 「「「わーーーっ!」」」


 俺の一言に歓声が上がる。

 男達と言うより、主に女性と子供の歓声が大きいようだ。


 その後は、村人全員が、皿を手に取りテントの食べたい料理の前にキチンと並んぶとメイド達が料理を配る。

 最初だけは料理を配り後は、ビュッフェ方式で各自自由に食べてもらう事にした。


 1人で料理を独占する様な、恥ずかしい真似をする人はいないから安心だな


 全員に料理が行き渡り、思い思いの場所に座ると花見の開始だ。


 「それじゃ、皆楽しんでくれ!」


 俺が器を掲げると、男達は真似するように掲げ、女達は控えめに摂げた。

 それからは、自由に花見を楽しんでもらう。


 舞花と氷花が、何処から取り出したのか琴を二つ出して演奏し始めた。

 2人の様子を見ていた村の人々は、2人が放つその美しい音色に酔いしれているみたいだ。


 美しい音色に耳を傾けて、満開の山桜を眺めると本当に心地よくなるな。


 「マサキ様、この日本酒と言うのは、美味しいですな」

 「うむ、この辛口と言われた日本酒は、口当たりが良い」


 フォートルとボルガが日本酒を口にして感想を漏らす。

 どうやら男達の方は、料理と酒に酔いしれてるみたいだ。


 周りの声の中、一つのブルーシートに女性だけで集まった所があった。

 その中では、アルフィーナと真白がメルザ達村の女性に混じって、花などそっちのけで甘味に舌鼓打っている。


 「やれやれ……ん?真白が食事をしていると言うことは……チャコは!?」


 チャコを探すため周りを見回すと、チャコは桜の木下で木漏れ日を浴びながらスヤスヤと眠っているのが見えた。


 遠くに行っていない事にホッと胸をなでおろすと、起こさないようにチャコの元に歩み寄って近くに座ると、そーっと膝の上にチャコを乗せる。


 「マサキさまー!」


 子供達が大声を出して近寄ってきたので、口元に指を当てて静にする様にジェスチャーをしてみた。


 伝われば良いのだが。


 子供達は、俺の仕草がすぐに何を意味するのか分からなかったようだが、俺の膝で眠るチャコを見て大声を出すのをやめてくれた。


 「マサキ様、ここが学校なんですね」

 「そうだよ、4月から君達が通う学校だ」


 ポルトナと歳の近い数人の男の子と女の子が集まってくる。

 みんな4月から学校に通う子供達だ。


 「この学校で、皆で楽しく勉強出来るようにするから頑張ろうね!」

 「「「はいっ!」」」


 子供達は、ニコニコの笑顔で元気よく返事をする。


 みんな学校が、楽しみなんだろうな。


 「ミュッ!?ミーッミーッ!」


 返事が元気良すぎたようでチャコが目を覚まして鳴いてしまった。


 「ほーらチャコ、今度学校で学ぶみんなだよ!」


 俺が傍に居る事に安心したチャコは、鳴くのをやめると子供達を興味津津きょうみしんしんの様子で見ている。


 「よろしくね、チャコちゃん!」


 最初にチャコに挨拶したの女の子は頭角族のメルタ、頭に小さな牛の様な角と耳があってボンボンの様な尻尾がチャームポイントの6歳の女の子だ。


 「ミューーーーッ!」


 他の子もよろしくと挨拶すると、堂々とした面構えで鳴き声をあげる!……俺の膝の上だけど。

 子供達と相性が良いのだろう、お尻の尻尾が振られているので喜んでいるみたいだ。


 他にも多くの子供達がいるけど、みんなで楽しく勉強が出来れば良いな。


 子供達が授業でどのように成長してくのかを想像しながら空を見上げると、頭上の山桜がまるで祝福するかの様に咲き乱れていた。


 お読みいただき、ありがとうございます。

 次回は、いよいよ学校の開校になります。

 ここで学んだ子供たちが、どのように成長して未来に繋いで行くか、楽しみですね。

 今後も時間が加速していきます。本当はゆっくり丁寧に語りたいんですが……難しいですね。

 皆様に楽しんで頂くために頑張りたいと思います。

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