19.リアレス開拓(新年の行事)
お疲れ様です。
最近は、季節とか行事とかを忘れるぐらいに仕事がががが……。
今回は、正月のお話です。
皆さんは、お正月の思い出ありますか?
私は幼い頃、正月は祖母の家に行っていたので古き良き正月を過ごしていました。
餅、雑煮、食べたい。
リアレスに到着すると、フォートルや村の人々が働いていた。
「あれ?今日は休みだよ?」
「おお!マサキ様、本日はお休みになられると聞いていましたが」
ちょうどフォートルがいたので話しかけると、驚いた顔をしている。
「ああ、休みだから村に顔を出してちょっとした行事をしようかと思って」
「私達はいつも仕事をしていたもので……しかし、行事ですか?」
なるほど、今まで年中無休で働いて糧を得ていたのだから仕方が無い。
それにこの村には娯楽が無いから、退屈で身体を動かそうと仕事をしてしまうのだな……。
「そう、行事をしたいから、そうだな……手の空いた順に村の中央広場に村の人々を集めて欲しい」
「分かりました。マサキ様が言うのでしたらそのように取り計らいましょう」
「助かる!舞花、月花、蓮花、3人も協力して村の人々に告げてくれ」
「「「畏まりました」」」
3人のメイドはフォートルと何か打ち合わせをすると、4者はそれぞれ別の方向に向かって行く。
「残りは、中央広場で準備をしよう」
「分かったのじゃ」
「畏まりました」
村の人々が集まると、前もってテーブルと椅子を準備して置いたのでそれぞれ座ってもらっている。
「何が始まるんだ?」
「さあ?マサキ様が集まって欲しい。て、言ったらしいんだ、何があるんだろう?」
周囲で、これから何が始まるのか?不安に思った村の人達がザワついた。
「マサキ様、全員揃いました」
「ありがとう!じゃあ、早速始めよう」
フォートルの報告の後、俺は椅子から立ち上がると村人全員の前に立つ。
「今日は働いているなかに集まって貰ってすまない。本当は身体を休めて欲しかったんだが、みんな身体がうずくんだろな!そこで、今日は餅つき大会を開こうと思う」
「餅つき?」
フォートルや村人全員が不思議そうに見つめる。
もちろん餅つきを知らないと思っていたので用意はばっちりだ!
「そう餅つきだ!みんなの目の前に置いてある木槌が杵、そして大きな木の寸胴な器が臼って言うんだ」
みんなの前には、10セットの杵と臼とぬるま湯を入れた容器が用意してあった。
もちろん杵と臼は前日に水を入れ浸しておいた。
俺はその1セットに近寄ると杵を持った。
「まずは手本を見せるよ、始めに蒸したもち米を臼に入れる」
蒸されたもち米の入った蒸篭を舞花が持ってきて臼の中にもち米を入れる。
「次にこの杵で体重をかけてこねる様にもち米の粒をつぶす」
杵の柄の根本を持ってこねる様にもち米をつぶしていく。
「ある程度もち米の粒をつぶしたら、次は杵で中央を叩いていく!」
もち米を叩くと言い感じでペッタンペッタンと鳴っている。
「この時にあまり強く叩き過ぎると、木とぶつかる音が聞こえるから注意するように!」
俺がもち米を叩いていくと、だんだんと粘りが強くなり杵に少し餅の状態になったもち米がくっ付いてきた。
「このようにもち米が杵にくっ付いたら、次の作業だ!ミナ返し手を頼む」
「はいマスター」
ミナがぬるま湯で手を湿らせて隣に付いたので、俺も杵の先をぬるま湯に付けて準備をする。
「一回ついたら返す、または数回ついたら休んで返して貰う、を繰り返す」
俺はミナと呼吸を合わせて一回ついたら返す、の作業を連続で行なう。
まるで流れるように一体となった一連の動作に全員が呆然と見入っていた。
「粒が無くなりなめらかになったら、叩くのをやめて金属で出来た四角い容器に粉をまぶし、これに餅を移して別の作業をする台に持っていく」
立ったまま作業が出来る台で月花と蓮花がいるので、ミナがバットに餅を移して持っていくと、2人は餅を二つに切り分け片栗粉をまぶして月花は一口大に丸めていき、蓮花が中に餡子などの具が入れていく。
他にもすでについて固まった餅を用意してあるので、そちらは氷花と翠花が汁物を担当するので、そちらに入れている予定だ。
「よし、みんなで順に餅を作って、それが終わったらみんなで食べよう!美味しいぞ~」
「……よーし!俺がやるぞ!」
「手伝うわ、あなた!」
ジェナートとメルザが前に出てきて杵を持ち、舞花がもち米を持ってくるとそれぞれが分担して作業をしていく。
「よし!俺達もやろう!」
「あいよ!」
その光景が呼び水になったのだろう、夫婦など男女がカップリングして作業をしだす。
持ちつき担当じゃないものは、月花、蓮花の餅を丸めて具を入れるか、氷花、翠花の汁物作りに割り振られた。
ジェナートとメルザの様子を見に行くと、ポルトナ達子供が集まって作業を見ていた。
「みんな、ジェナートが餅をついた時、よいしょ!て、掛け声をかけるぞ、いくぞ~……よいしょ!」
「「「「よっ、よいしょ!」」」」
その後は、周囲の人々も掛け声をあげて餅をついていくと、なんだか楽しくなりジェナートも誇らしげに自分がついた餅を見ていた。
餅もつき終わり、全員のテーブルに餅料理が並べられる。
全員に餅が行き渡ったのを確認すると、
「それじゃあ、食べよう!いただきます!」
「いただきます」
村の人々は食前の挨拶に慣れていないので、いただきますが少しぎこちない。
別に強要するつもりは無いのでそこは、それぞれのやり方に任せた。
今回用意した料理は、丸めた物に色々と入れてある餅、四角い餅を焼いて醤油や具材を絡ませる等の料理と、3つの汁物だ。
1品目は、醤油をとだし汁をベースに大根、ニンジン、ほうれん草、三つ葉切って、小さめに切った鶏肉と一緒に煮込んで、焼いた四角い餅を器に入れてそこに先ほど煮立てた汁を注いだ雑煮
2品目は、昆布出汁をとり、そこに大根やニンジン、里芋などを入れて煮込んで白味噌で味を調え、茹でた丸餅に注いだ雑煮
最後は、小豆を煮て砂糖で甘くした物を、茹でた餅にかけた雑煮だ。(これとは別で甘くしないで醤油などで味を調えたものもある本来はこっちだと言う人もいるから意見は分かれるのだろう)
みんなそれぞれ手に取り餅を味わっている。
真白も歯にくっ付く餅に格闘しながら味わっていた。
「ミューッミューッ!」
バスケットの中から、真白の美味しそうに食べる様子を見ていたチャコが物欲しそうに鳴いていた。
「ゴメンな~チャコには、まだ早いからこっちで我慢してな」
頭を一撫でして抱き上げると、無限収納からミルクの入った哺乳瓶を取り出して口元に近づけてやると、チャコは勢いよくミルクを吸い出す。
「マサキ様これは美味しいです!」
小豆を使った雑煮と大福を頬張って感想を述べたのはメルザだ。
周りを見回すと、メルザと同じ様に食べている人達は、大体女子か子供だった。
やはりどこの女性も甘い物には目が無いのだろう。
「餅を喉に詰まらせない様に、注意して食べてくれ」
日本でも、毎年喉に詰まらせる事故が起こっている。
子供や高齢者は、特に注意が必要だ。
「マサキ、これは良いのう、この餅と言うのは何にでも合うのじゃ」
アルフィーナは、何杯目かの御代わりした雑煮を口にしながら言う。
「まだまだあるから、ゆっくり味わって食べてね。でも食べ過ぎには注意してよ」
「分かっているのじゃ!まだまだ余裕じゃから安心せえ!」
この食いしん坊魔女さんは……、
いったいその細い身体のどこに、これだけの量が入るのだろうか?もう全種類の雑煮を制覇しているぞ。
ミルクを飲み終えお眠になったチャコをバスケットに戻し布団に包んであげると、スヤスヤと眠り出した。
周りを確認すると、子供達は食事を終えて手持ち無沙汰になっている。
ここは何か遊び道具でも出すか……。
そう思った俺は、無限収納から木材と鉄、紐と紙に牛皮を取り出して製作に取り掛かる。
まずは、鉄を加工して高さ1センチ、幅3センチほどの三角の円柱を作り出すと、円の縁を角ばらせて8角形にする。
三角の部分は渦を巻くように形をかけて、平らな面にはカタカナとひらがなの50音を入れてやれば完成だ。
あとは舞台となる台を作るのだが、ゴザのストックが無かったので樽上に木材を変化させてその上に皮を少し弛みをもたせて紐で固く縛れば台も完成した。
「ポルトナ子供達を集めてくれ」
「はい、マサキ様」
奥様方と世間話をするメルザの脇で、足をプラプラさせて座っていたポルトナに子供達に声をかけるように頼むと、ポルトナは俺が何か作っているのを見ていたので、期待した目で頷くとすぐに走り出した。
ポルトナが戻ってくると、俺の周りに20~30人の子供達が集まってきた。
「さて、ちょっとした遊びを思いついたから、みんなで遊ぼう」
「マサキ様、それは何ですか?」
ポルトナが指を差すのは、100個の小さな金属の物体と直径40センチ、高さ40センチの樽に皮を張った物だ。
「これはな、ベーゴマって言うんだ」
「ベーゴマですか?」
ベーゴマが分からずに首を傾げるポルトナ
「そうだ、この紐に2個結び目を作って尖った部分を挟める様にあてる。そうしたら縦に一周回し、2個結び目から回しグルグルと内から外へキツク巻き付けて、平らな面を上に向け親指と人差し指で挟めて、ベーゴマから余った紐を残った指に巻きつけて放さない様にする」
子供達の前で説明しながらベーゴマに紐を巻きつけて、それを2つ作って右手と左手に紐と一緒に握り締める。
「このように出来たら台の近くで前に押し出した時にベーゴマを放し、素早く紐を引いてやるとベーゴマが台で回りだす」
右手に持っていたベーゴマを説明通りに放つと勢いよく台で回りだした。
「「「おおーーーーっ!!!」」」
子供達から驚きの歓声が出る。
「本当は2人同時でベーゴマを回すけど、今は俺がもう一個回すから」
左手に持っていたベーゴマを右手に持ち替えて、先ほど度同じ様に回してやると、2つのベーゴマは台の上で勢いよく回りだしてカチカチとぶつかって弾きあっている。
すると、一方のベーゴマが強く弾かれ台から外へ飛び出した。
「このように台から弾き出されたら負け、台から出なくても回り続けられない方が負けになる。そして勝った方は負けたベーゴマを貰えるんだ」
子供達にベーゴマを3つ、紐を2本説明しながら渡していった。
「でもまあ、そんなに多く持っていても仕方が無いから、1個も無くなった子にあげるのも大切だよ!そうじゃないと、長くみんなで遊べないからね」
子供達は俺からベーゴマと紐を受け取ると、早速先ほど見たように紐を巻きつけてベーゴマを回していく。
始めは上手く回せていない子もいたが、子供の順応性は高くすぐに上手に回し出した。
そのほかにも、女の子やベーゴマを上手く回せない子ようにと、羽子板と凧も用意して実際に使いながら説明し、子供達に遊ばせていると何故か大人達も物珍しそうに見たり、子供達に借りたりして遊び出した。
娯楽の無かった村なので仕方が無い。
俺は大人たち様にも用意し、遊びたい人はすきに持っていくようにテーブルの上に山積みにする。
ちょうどテーブルの近くでメイド達が、大人達が手にとって游ぶ様子を見ていた。
「はい、舞花、月花、蓮花、氷花、翠花」
俺はメイド達の手に、平らな面にそれぞれの名前が描かれたベーゴマを1個ずつ渡していく。
「これは……頂いても、よろしいのですか?」
「ああ、みんなも遊んでみなさい」
「この様な物を頂き、誠にありがとうございます」
5人が頭を下げて礼を言う。
「気にしなくていいよ」
お礼を笑って返すとメイド達のもとを後に、アルフィーナや真白の元へ向かう。
このことが、後にメイド達によるベーゴマ大会になるとは、この時は、知る由もなかった。
夕方近くまで、みんなで遊んで帰宅する。
ベーゴマや遊び道具は、村の人々にそのまま引き取ってもらった。
その日の夕食が済みお風呂に入った後、居間で
「ミナ、現在の光ケーブル敷設状況は?」
「はい、97%です」
ミナに質問すると、すぐに現在の進捗状況が聞けた。
「それじゃ、例の家庭へ液晶モニターの配布は出来るかな?」
俺は、一般家庭に液晶モニターを設置して放送を開始しようと考えていた。
放送内容は、数字や文字を教える教養、料理番組とニュース、娯楽関係として日本での映画やアニメなど色々と放送したい。
そうすれば、学校を開設する前に子供のみならず多くの人に教養が、少しでも多くそして早く身に付くと思っている。
ここで放送する、また学校で教えようと思っている文字と数字は、日本語の漢字、ひらがな、カタカナの文字を教えて、数字はアラビア数字、ローマ数字、漢数字などを教える予定だ。
「はい、今まで石油が発見出来ていなかったので、石油を利用した樹脂等が製造できませんでした。しかし、鉱山から金属類のほかに石炭も掘り出され、これを石油の代替としてプラスチックやその他樹脂を作るのに成功、現在、量産体制に向けて動いておりま
す」
この魔界の地は、思いのほか地下資源が豊富で魔鉱石や金属、つい先日には石炭も出てきた。
現在はミナの技術指導と資源管理の元で掘り出された鉱石を利用し石炭は、ミナが試作した機械でプラスチックやビニール類を製造している。
この機械は、まだ小さいので製造量は多くはないが、将来的には施設の規模を大きくして量産出来るようにしたい。
「色々と仕事が多くて大変だろうけど、頼んでいいかな?」
「お任せ下さい、製造は私が、組み立ては舞花達に任せるので問題ありません」
ミナが頷くと、後ろに控えるメイド5人が一糸も乱れずにお辞儀をする。
「うん、よろしく!」
深く頷くと、近い将来の放送に思いを巡らせた。
これによって、魔界では電波放送より早くケーブル放送が配信される。
この事が後に魔界の放送関係に一つの道筋を作っていくのだが、それはまだまだ先の話
お読み頂き、ありがとうございます。
雑煮って地域で色々とあるんですね。
基本は、汁物に餅が入ってれば雑煮だそうです。
郷に入っては、郷に従えと言いますし、その地方の雑煮を食べてみたいですね。
インドだと、スープカレーに餅、になるのかな?美味しそう……ジュル。




