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17.リアレス開拓(小さな鳴き声)

 お疲れ様です。


 今回は、少し短いです。

 学校の建設予定地に到着する。

 と言っても、まだ草木が生い茂って何も無い場所だけど、村の家がある位置からそれほど離れていない場所を選んだ。


 「さて、始めるか!」


 気合を入れて作業を開始する。


 「まずは、この草木を何とかしないと」


 いつもの様に魔法で草木を取り除き土をあらわにしていく。

 取り除く草木の面積は、幅200メートル、奥行き300メートルほどで、校舎とグランドを2つ設置する予定だ。


 魔法を使っているので草木を取り除くスピードは尋常ではない。


 これなら、時間を掛ける事無く校舎作りが出来るな。


 「――ッ」


 草木を取り除く音と共に何か聞こえた様な気がした。

 真白を見ると、真白も耳をピクピクと動かして周囲に首を振っている。


 気になったので作業の手を止め、耳を澄まして音の鳴る方を確認してみた。


 「――ッ、――ッ」


 また鳴った。


 「真白向こうかな?」

 「ワンッ」


 音が鳴っているだろう方向に見当を付けて、真白と共に確認しながら音の方向へ近づいてみる。

 音が鳴っている方にドンドン近づいていくと、音の正体が判明した。


 「ミューッ、ミューッ」


 草を別けて覗き込むと、それは震えながら小さい声で鳴いている、真っ茶色の犬の赤ん坊だった。

 産まれたばかりなのだろう、まだ目も開いておらず身体も濡れている。


 「ここで産んだ……訳でもないな、真白周囲に何かいるかい?」


 真白はすぐに首を左右に振って否定した。


 「となると、このままにしておく訳にはいかないな」


 「ミューッ、ミューッ」


 寒空の下このままにして置く訳にも行かないので、子犬を両手で抱き上げて懐で温めてあげると、子犬は何かを探すように移動しながら鳴いていた。


 「あー、もしかして、おっぱいかな?どうしよう……真白出ないよね?」

 「ワゥゥ」


 真白は、出ませんと言いたげに困った顔をする。


 「うーん……そうだ!」


 こんな困った時には、ミナ先生だ!


 『ミナ』

 『はいマスター、何の御用でしょうか?」


 ミナに通信を送ると、すぐに応答があった。


 『作業中悪いんだけど、こっちに来られる?』

 『問題ありません、ただちに向かいます』



 「お待たせしました」

 「いや、早くて助かる」

 

 通信が切れ5分もしない内にミナが現れた。


 ミナの作業エリアからここまで結構な距離があったはずだけど……魔法でも使ったのかな?


 「ミナ、この子にミルクを与えたいんだけど」

 「マスター、申し訳ございません。私は、まだ子を授かっていませんので授乳は出来ません」

 「うん、そんな事言ってないよ」


 ミナの本気かボケか分からない言動に冷静にツッコミを入れる。


 「無限収納に牛乳があるから、与えたいんだけど」

 「なるほど、哺乳瓶ですね。ですがマスター、動物によりますが牛乳の乳糖を分解できない場合があり、下痢など体調を崩す恐れがあります」


 なるほど、確かに聞いたことがある。

 人によっては持っている消化酵素が少ない場合、飲んだ牛乳でお腹を下す時がある。


 「どうしたら良い?」

 「お任せ下さい。乳糖を分解できる形に変化させます」


 さすがミナ、何にでも対処してくれる。


 俺がガラスで瓶を作ると、ミナがシリコンでニップルの部分を作り、次に牛乳から乳糖を取り除く。

 それをガラスに詰め込むと、ニップルを取り付け魔法で牛乳を人肌に温める。


 「この子、初乳を飲んでいれば良いんだけど」


 母親の初乳には、沢山の栄養と抗体が入っているので赤ん坊の身体を強くしてくれる。


 是非飲んでいて欲しい。と思いを込める。


 口元に哺乳瓶を近づけると、子犬はニップルに吸い付いて勢い良く飲みだした。


 「取り合えず今はこれでいいか、でも何でここ犬の赤ちゃんが居たんだろう?」

 「マスター」

 「ん?」


 不思議に思って首を傾げていると、俺の腕の中でミルクを飲む子犬を見つめていたミナが何かに気付いたみたいだ。


 「この赤ん坊は、真白様と同じ聖獣に近いと思われます」

 「えっ!聖獣なの!?」


 久しぶりに聖獣のワードを聞いて驚いた。

しかも聖獣の赤ちゃん!


 「はい、ですが真白様の様に完全な聖獣ではなく、聖獣の方が少なく獣の部分が多いようです。恐らく普通の獣の子として産まれたのでしょう」

 「なるほど、でも何でここに?」


 疑問はそこになる、聖獣は良いとしても何故こんな木々が生い茂る場所に一匹ポツンと居たのか、それではまるで……。


 「野生の獣には、生まれた子供に何らかの欠陥があると判断した時は、産んだ子を殺す場合があります。恐らくこの赤ん坊も親が、何かを察知して」

 「捨てた……か、殺されなかっただけ良かったのか……こんな寒空では、長く持たなかったろうに」


 野生の動物の行動は色々とあり、人間の感情で決め付けるのはよくない。

 しかし、子を捨てる親の気持ちと言うのは断腸の想いだろう。


 「マスター、この子をどうするんです?」

 「命を救った以上は、俺が育てるよ」


 もう一度捨てるなら最初から助けなければ良い。

 救った以上は最後まで面倒を見るのは当然だ!


 「私もお手伝いします」

 「ああ、ありがとう……よし!作業も区切りを付けて戻ろう」

 「ワフッ」


 いつもその日の作業終了後には、事業館に集まり帰っていた。

 なので真白とミナと一緒に事業館に戻る。

 俺腕の中でミルクに満たされたお腹をパンパンに膨らませ、スヤスヤと眠る子犬を抱えて。



 事業館に戻ると、アルフィーナが待っていた。


 「何じゃ?その抱えている物は」

 「ああ、学校を建てる場所で拾ったんだ」


 アルフィーナに俺の腕の中で気持ち良さそうに眠る子犬を見せる。


 「家に連れて行くのか?あか子は大変じゃぞ」

 「うん、分かってる。でも、拾ったから最後まで面倒は見るよ」

 「そうか、分かったのじゃ!で?この子の名前は何じゃ?」

 「えっ!」


 アルフィーナの問いに言葉が詰まる。


 そうだった。うわー、なんだか最近は名前ばかり付けているような……。

 う~ん、どうしよう、うぅ〜〜ん………………よし!


 「茶子で!」

 「……いつものマサキなのじゃ。まあ良い、帰るとするのじゃ!」


 アルフィーナの余計な一言は聞かなかった事にして、皆で家に帰る。



 それからは、大変だった。

 チャコの世話は思いの他大変で、2~3時間に1回の授乳、俺か真白が離れると凄い勢いで鳴き出すので、絶えずどちらかがチャコの傍に居ないといけない。


 それでも学校作りを止める訳にはいかないので、チャコをバスケットに入れて学校を作っている時は真白が、他はなるべく俺がチャコの傍に付く事にした。


 学校の方は、順調に進んで4つの教室と、音楽室、工作室、理科室、保健室、職員室、給食準備室を作り、体育館とプールも建設した。

 グランドは、楕円状のトラックでトラックの中が芝生になったのが一面と、全てが芝生の野球とサッカーの出来る面を用意し、外に用具を入れておく倉庫も用意する。


 「これで大体の施設は出来たな。後は、用具とか細かい物を準備しなきゃ」

 「ミュ、ミューッ、ミューッ」

 「ん?」


 真白が傍にいるからミルクだな。


 すぐに無限収納から哺乳瓶を取り出すと、チャコを抱き上げて飲ませる。


 「よーしよし、たくさん飲めよー」


 最近はこのパパさん家業が手慣れてきた。

 あと、ワクチンなどが無いこの世界で、病気にかかったら大変なので効くかどうか分からないが、ミルクは魔素循環をして与えている。


 「あと、そうだな、上履きや運動靴、体操着とかも用意してあげないと……これは、ミナに相談するか、魔法の授業で用意するものはアルに聞こう!」

 「プフッ!」

 「ん?もういいのか?どれ」


 チャコの背中を軽く叩いてゲップをさせる。


 「ケプッ」

 「よし、真白、事業館に戻ろう」

 「ワンッ!」


 真白がバスケットをえてきたので、チャコをその中に入れて事業館へ戻る。


 事業館には、アルフィーナとミナが先に戻っていたので先ほどの事を相談してみる。


 「て事なんだけど、どうかな?」

 「靴のほうはお任せ下さい。運動服は型紙を布の生産と裁縫を担当している組に聞いてみましょう。子供の服なので時間が掛かる事は無いでしょう」


 ミナが靴を担当し、服のほうはこの村の女性達に任せるようだ。


 「うむ、私の魔法の授業では、使う物は後で用意するから問題ないのじゃ」


 魔石とか魔道具を用意するのかな?その辺はアルに任せよう。


 そんなこんなで開拓事業は着々と進んでいく。


 「そろそろ年越しの準備もしないとな」

 「何じゃ?年越しとは」

 「あー、えっと、年越しは……」

 「マスター、お任せ下さい」


 アルフィーナに年越しの説明をしようと考えていると、ミナが代わってアルフィーナに説明する。


 「マスターの元居た世界では、日が出て沈む、これを1日としてこれが365回、365日すると1年と言う単位になります」

 「ほう、なるほど」

 「そして1年の最後の日は、新たな神を向かえる意味や、お払いで厄を除ける意味もある大事な日です。ただ、マスターの居た国では、ありとあらゆる風習が入り混じっておりますので一概に何とは言えません」

 「う~む、つまり、神に祈りを捧げ気を引締めて、次の年を安全に迎えようとするのじゃな」


 さすがアル!ミナの説明のポイントを押さえて要約した。


 「そうだね、俺の家は神道という宗教だけど、ほかの宗教の行事をやっても誰も何も言わない。むしろ取り入れる感じかな?」


 神道は、多くの神を祀るのでそれぞれに違う行事もある。

 だから、仏教でもキリスト教でも神としてうやまうし、その行事にケチを付けたりしない。


 それに俺の家だって、クリスマスにはケーキが出たし、餅をいて鏡餅を飾るけど角松だって飾る。

 色々な行事が混じり易いとも言え、自分の所の行事さえ忘れなければ問題はない。


 「だから年越しの日や新年には、色々と行事があるんだ。美味しい物も出るから楽しみにしててよ!」

 「なんじゃと!それは良い事なのじゃ。料理は私もミナに教わりながら作るのじゃ!」


 アルフィーナも気合が入てるようだ。

主に食欲に。


 さて、餅搗き用のきねうすの準備もしないと……忙しくなるな。


 お読み下さいまして、ありがとうございます。


 今回で20万文字達成!


 さて、ようやくチャコの登場!

 まだまだ目も開いていない赤ちゃんが、未来語1まで、どの様に成長していくのか!これから頑張って考えます!いや、道筋は出来てるんですけどね。


 次回は、異世界での初めての年越しと新年、いったいどうなっていくのやら……。

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