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16.リアレス開拓(報告会議)

 お疲れ様です。


 今回は、色々と説明する物が多いので眠くなります。zzzzzz

 土煙を上げながら土砂を積んだダンプカーが道路を走り、パワーショベルが先端のバケットを爪に変えて、切り倒された材木を材木運搬用のトラックに詰め込んでいる。

 現代の日本では、よく見る光景だ。


 しかし、ここは日本ではなく異世界!

 しかも、ついこの前までは、人力で木を切り倒し運んでいた貧しい村だった筈のリアレスが、今ではこの様な近代的な機械を運用している。


 「だいぶ皆も慣れてきたな」


 遠くでは岩鎧族のゾーフルと、トロール族のモルク達大男集団が汗水垂らしながら木を伐採し、伐採された木は枝葉を切り落とされトラック積み込まれていた。

 機械を運転するのは、人族、獣人族、頭角族とうかくぞく兎族うさぎぞくの身体のサイズがあまり大きくない者達だ。


 運転を教えた当初は、おそるおそるといった感じで動きがぎこちなかったのに、慣れれば上手に運転をしているようだ。

 もちろん慣れは事故のもとなので、ミナと相談して色々な規制をかけている他にセンサーで停止する等事故防止機能を搭載している。

 本人達の安全な運転も日々教育を施しているので、しばらくは問題ないだろう。


 重機を導入した事で、凄い勢いで開拓が進んでいた。

 もちろん、ただ闇雲に開拓を進めるだけではなく、フォートル達村の者と相談しミナの予想食糧状況と生産力、消費量を鑑みて開拓している。

 このまま行けば2月から種まきを始められるだろう。


 そして、俺は何をやっているのかと言うと、村の東側に大きな道路と道路下に村のライフラインを魔法で作成していた。


 道路は中央分離帯を挟んで片側3車線、しかも自転車専用レーンと歩道を分けた作りをしている。

 なぜ、そんな大きい道路が必要なんだ?と疑問に思うのは当然だろう。

 俺も疑問に思ってミナに聞いてみると、


 「このまま行けば村の発展は確実でしょう。ただし、道や家と言う物は一度設置してしまうと広げたりするのが大変なので、作るのなら大きい道を作りそこから細い道を伸ばすのがよろしいかと」


 まあ簡単に言えば、何も無い空間で若木が成長して大樹になるのは問題ないが、周りに邪魔になる様な物があれば成長を阻害され木の太さは細いままになってしまう。


 たしかに分かる……でも、こんな大きな道が必要なのだろうか?


 ライフラインの方は、道の下に作っている。

 3層セル構造で一番下が下水、雨水が流れる配管を収め、真ん中のセルが上水道とガス(ガスはまだ見付けていない)、一番上が電気と通信用の光ケーブルが入る予定だ。

 中に収める配管やケーブルは、現在製作中で近日中に入る予定になっている。


 ここ1ヶ月は、真白に乗りながら大きな道と小さな道を次々作る日々だ。


 「真白、ゴメンな退屈だろ?」


 真白はそんな事無いといった感じに首を振って応えてくれた。


 他にも村人の生活に係わる事では、村人の服と靴を現在少しずつだが変化している。

 村人の大半は裸足だったのが、現在は草鞋とサンダルを自身で作って履いていた。

 草鞋やサンダルのどちらを履くかは好みの分かれるところだ。

 他にも下駄を教えたら何人か履いているのを目にしている。


 服の方も現在改善中だ。

 糸は植物を食べるかいこではなく、森に大きな蜘蛛くもがいて、その蜘蛛が作る巣の糸が蚕そっくりの糸だった。

 蜘蛛は桑の葉の様な植物を主食としていたので、金属の細い棒を何本か置いてそこに巣を作らせ出来上がり次第、蜘蛛をどけて巣を回収する作業を村の人々に頼んでいる。

 蜘蛛には申し訳ないが、餌を欠かさずあげているので許して欲しい。また、繁殖時期が分かれば交配と繁殖を行なっていく予定になっている。


 その蜘蛛の巣から糸を紡いで、それを織り機にかけて布を作る。

 現在、布の量産を目指していて、服の作り方など色々な裁縫方法をミナから村の女性に指導中だ。

 糸を紡ぐ機械と織る機械は、ミナの技術指導の元でロドルフとモルクの2人に作って貰った。(トロールのモルクは身体が大きいのに、木工作業が得意で細々(こまごま)とした物を器用に作れた)

 と言う感じで少しずつ村人の服装が変化してきている。


 「はぁ……、色々と変えて行きたいんだけど……まだまだ時間が掛かりそうだ」

 「クゥーン」


 真白が振り向いて心配そうに鼻先を近づける。


 「大丈夫だよ、今日で道路作りも一区切りだから。よし、戻ろう!」

 「ワンッ!」


 真白と一緒にみんなが報告に集まる建物に向かう。

 いままではフォートルの家を報告や会議として使っていたが、手狭てぜまになったのと、ちゃんと事務が出来る様に村の北側に建物を新たに建築した。

 建物の作りは石造りの2階建て、色々な事が出来るように大小様々な部屋がある。

 建物の入口脇の壁には、リアレス開拓事業館の日本語の入った看板が掲げてあった。誰が名前を付けたかは言わない。


 この建物の脇には、イザと言うときに泊まれるように宿泊施設が隣接している。

 こちらの建物も2階建てで和室、洋室、大小用意してお風呂と炊事場、大食堂なども造られており、この2つの建物は電気と上下水道がすでに通っている。


 そんな会議室にマサキ以下全員が集まった。


 「では、ご報告から始めたいと思います」


 いつもローテーションで魔導人形達の中から2~3人連れてきては、村開拓の手伝いをして貰っている。

 今日は舞花が会議の司会進行を務めるみたいだ。


 「まずは、ミナ様から」

 「はい、マスターご提案の温室の建設は、予定通り明日には終了します。稼動関係の確認を行なった後、計画通り種まきを行ないます」


 ミナは今、冬でも野菜を育てられる様に、超硬質ガラスを使った大型の温室栽培施設を作っていた。

 これによってリアレスの村の住人の食料事情が、季節に限られる事が多少無くなるだろう。


 「また、マスターのお作りしている廃棄物総合処理施設も近日中に稼動できます」


 こちらも俺とミナが作っている廃棄物処理施設だ。


 総合とは、文字通りの事で気体、液体、固体問わずに全ての廃棄物を処理できる施設の事

 構造は、廃棄物を魔道具で粉末状に粉々にした廃棄物を更に液体状にし、魔障壁を幾重にも展開した筒状の空洞にバッチごとに投入する。

すると展開している魔障壁は、各原子ごとに受け止められ採取される。

採取された原子は、利用出来事は再利用して、今のところ使う予定のない物は貯蔵される。


 「ですが、このまま施設を稼動させていくと電力が足らなくなる恐れがあります」

 「やはり足りなくなるか……」


 現在、この村の電力は水力と風力の発電で賄っている。

 これだけで今の村の住人の生活なら問題なく支えられるだろう。

 しかし、工場などの施設は多くの電力を必要するので、ミナは将来的に限界が来ると言っている。


 「はい、なので例の施設の建造も考えて頂きたく」

 「ああ、アレかぁ」


 ミナの言う例の施設とは、まずは四方を厚い金属で囲んで上下に魔障壁を展開させ水素のみを通す空間を作る。

 次に中央に向かって水素を加速させる魔障壁を上下に幾重にも展開させ、高速になった水素同士をぶつけてヘリウム4が出来るまで融合させて、金属の四方のどこかからヘリウム4だけを通す魔障壁を配置してヘリウム4を抜いてやる。

 融合時のエネルギーや放射線のエネルギーを余すことなく取り込むため、中央付近などにはエネルギーを吸収する魔障壁を張ってエネルギーを抜き取り電気エネルギーに変換する。と言った流れだ。


 簡単に言うと、魔障壁のミルクレープで電気を作ろうと言うものだ。

 この施設は得ようとする電気エネルギー分だけ大きくなり、日本の1都市を賄うのに8畳ほどの部屋が必要になる。

 加速は段階的に行われる事で使われるエネルギーが少なく、得られるエネルギーが多いのが特徴だ。


 「ヘリウムは今のところ使う予定が無いんだけどな……でも、背に腹は変えられないか!分かった、ヘリウムの取扱いと、高速になった水素が外へ逃げないように注意して作業をして欲しい」

 「畏まりました」


 マサキは気付いていなかった。

 これが人類の理想とする常温核融合の誕生だと。


 「他には?」

 「はい、次は私がご報告します」


 蓮花は姿勢を正して俺に向き直る。


 「食糧事情の早期改善として、周辺の森や山中から自然薯、ゴボウ、キノコ類など天然で得られる食料を現在採取し配給しています」

 「うん、キノコの菌が入っている原木は、湿度の高い場所に集めて管理してね」


 栽培にめどが立てば、美味しいキノコ料理がたくさん作られるだろう。


 「畏まりました。他、マサキ様が提案した例の物が食べ頃になったのでご用意しました」


 蓮花がそう言うと、氷花がワゴンを引いて何かを運んでくると、舞花、蓮花と共に皆の座っている前に一皿ずつ並べていった。


 「おお!干し柿、出来たんだ」


 そう、それは1ヶ月ほど前に村の皆で集めて干した柿が、完全に乾燥してシワシワになった状態で皿に2個乗っていた。


 「はい、食べ頃になったのでご賞味下さい」

 「うん、じゃあ皆も食べてみよう!」


 フォートル以下村の者達は、半信半疑のためか恐る恐ると言った感じで口に運ぶ。

 そんな中、アルフィーナだけは、何処吹く風と言った感じで勢い良く干し柿に被りついた。


 「おお、甘い!それに旨いのじゃ!」

 「うん、みんなが良く揉んでくれたから甘味が増して美味しい!」


 真白もヘタの取られた2個の干し柿をペロリとたいらげた。


 「……」

 「……」

 「……」


 フォートル達は信じられないと言った感じで自分の歯型が付いた干し柿を眺めていた。


 「いや、マサキ様が仰ったので嘘ではあるまいと思っていましたが、これは……」

 「うむ、これほど甘い実だったとは」


 フォートルが感想を述べるとボルガも後に続く。


 「みんなのお陰だよ!フォートル、出来た干し柿は全部村の人々に別けて欲しい。子供達が喜ぶからね」

 「ははっ!」


 甘い物は、どこの時代でも子供達に喜ばれる。


 「じゃあ、次は?」

 「はい、私からご報告が!」


 ビッとした姿勢で氷花が俺に向く。


 「製鉄炉は完成しましたが、現在銅鉱石が取れたと言う洞窟までの道路を建設中です。道路が敷かれましたら採掘を開始しダンプカーで運搬が可能となる予定です」


 鉱石類は、無限収納から提供しても良かったが、それでは村人のためにならないので自分達で鉱石を採掘し炉で製錬する方針にした。


 「分かった。採掘には事故が付き物だ、安全に作業出来るように計画と採掘法を検討してくれ」

 「承知!」


 氷花は一礼して着席する。

 なんだか、武士みたい喋り方だ。


 「最後はアルかな?」

 「うむ!マサキから頼まれていた村の住人全ての魔力と魔力紋の調査が終了したのじゃ」


 アルフィーナには、村人の怪我などの治癒の他に魔力と魔力紋の調査をして貰っていた。


 魔力紋とは、人それぞれ魔力の波形が異なり、一つとして同じ物が無かった。

 なので薄いカード状にした魔結晶を用意して、村の人達にそのカードを持って魔素循環を行い魔力紋の情報を取り込む作業をしていた。

 将来的にこれを使って個人情報の管理が出来るはずだ。


 「それとなマサキ、村の住人の魔力量は魔法を使えるほどにはある様じゃ」

 「と言う事は、やっぱりアレ、必要だな」

 「じゃな」


 アルフィーナは、真剣な顔で俺に向かって頷く。


 「うん、フォートル、ジェナート、ボルガ」

 「「「はっ」」」


 俺の一言で3人が立ち上がる。


 なんだ、このノリは?別に普通にしてくれても……まあいいや。


 「今から、えーと、120回ほど日が昇った頃に学校を開設したいと思っているんだ」

 「ガッコウですか?」


 フォートルが代表して俺に聞いてきた。


 「そう、学校とは子供達が色々な事を学び、その身に修める所だ」

 「学び……修めるですか」

 「そうだ、子供達に俺やアル、ミナ達が文字や魔法の使い方などを教えて行きたい。食料の状況も改善したから出来ると思うが?」

 「はあ、確かに食料が多く有りますので、子供達に課す仕事がほとんど無くなりました」


 どこの世界でもそうだが、子供も立派な労働力として、この村でも子供を使っていた。

 しかし、ミナが作ってくれた重機類、俺の作った施設や設備、アルフィーナの怪我の治癒、村の者達に作らせた道具などで状況が大幅に改善され、子供達を労力として扱う事が少なく、いや、無くなっていた。


 「子供達が文字を書ける様になれば、この村の畑に起こった失敗も少なくなる。他にも色々と良い事があるから是非やりたいんだが!」

 「……マサキ様が行なうのであれば、この村の者達は喜んで協力します」


 他の2人も頷いて応える。


 「よし!ミナから対象となる子供を伝えるから、子供達の居る各家に回って説明して欲しい。ああ、それとジェナート、お前の子ポルトナも対象だからな」

 「え!ポルトナがですか⁉︎」

 「そうだが、何か問題か?」

 「い、いいえ、よろしくお願いします」


 ジェナートが頭を下げ承知する。


 今回、対象とした子供は、ミナが年齢を割り出してくれた5歳から14歳を対象としている。

 ジェナートの子ポルトナも7歳なので対象となる。


 「これで、報告は終わりかな?」

 「はい、以上となります」

 「じゃあ、俺は早速学校の建設を開始する」

 「もう作業を始めるのか?」


 アルフィーナは驚きの声を上げる。

 それもそうだろう、さっき決まった事をもう始めるのだから。


 「早めに作って必要な物を割り出したいからね」

 「なるほど、確かに私が魔法を教えると言っても、必要な物を揃えねば教えられぬのじゃ」

 「じゃあ、そう言う事で解散!」


 全員が一同に立ち上がって自身が携わっている作業に戻る。

 俺も真白を伴って会議室を出ると、学校を建設する場所に向かって歩き出す。

 お読み下さいまして、ありがとうございます。


 設定って考えても言葉にするの難しいですね。

 おかしな文章などは、後日見返して直したいと思います。


 次回は、あの子が登場します!やっと出てくるよ!

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