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113.閑話 大怪獣決戦


 観艦式で予定されていた行事も全て終わり

 残すは、防衛大臣からの閉会の言葉で閉幕となる。


 しかし、何でだろう?

 閉会の言葉だと言うのに音楽隊が配置について何かを待っているようだ。


 『それでは、今回のみ特別演習をお送りいたします』


 「へ? そんな予定聞いてないんだけど?」


 間の抜けた顔で周囲を見回すと、明らかにアルフィーナや内閣総理大臣のポルトナ達が目線を逸らしている。


 あっ! つまり、俺にサプライズを用意したと言う訳ね。

 その意図が何であるか分からないが、まあ、彼等が用意するモノだから危険は無いだろうから、今は国民も見ている。

 聞きたい事は後で問い詰める事にしよう。


 気持ちを切替えてこれから始まる演習に集中すると、音楽隊の指揮者が指揮棒を上げて一気に演奏を開始した。


 「……これって……アレだよな?」


 この音楽も聞いた事がある。

 だってこれアレだよ?

 昭和から続く名作映画! 放射能で大きくなった怪獣のテーマソング……。


 「マサキ殿、今度は何があるのですか?」

 「ええと、私も知らされていないので分からないんですよ……」


 今まで心臓が止まるほど驚いていたアイリスだ。

 気が気でないのは分かるが、俺も分からないんだよね。


 でも、この音楽だ。

 嫌な予感しかない。


 ゆっくりと、だが確実に盛り上がって行くアノ音楽

 その音楽が、一周し再度重低音な音と共に仕切りなおされると、目の前の海面に明らかな変化が現れる。


 「なっ、なんだ!」

 「海面が盛り上がっている!」


 フォルフェバレクの人々から、そんな声を上げた。


 たしかに会場左側の海が、ゆっくりと隆起りゅうきしてくるのが分かる。

 その大きさは、我が国の潜水艦などを想像させるが、それよりも大きいのではないのかと思わせるほどだ。


 「なっ、なんでしょう! あの海から出ようとしているモノは!」

 「アイリス殿、ご安心を!」


 「「「皆さん落ち着いて下さい。 観客に危険はありませんから!」」」


 周囲で警護する者達が、慌てるフォルフェバレクの面々に大声で声をかけていた。


 そんな状態の会場だが、音楽は進み

 盛り上がっていた海面が、これ以上隆起出来ないと裂け目を作り自重で落下して行く。


 そして、その海水の下から何かが現れてきた!


 「あっ、アレは?!」


 その物体が、波しぶきを作りながら海面上に現れると、アイリスが驚きの声を上げる。


 現れたのは、とても大きく


 黒く硬質な鱗

 金色に光る大きな目

 白く鋭い牙がズラッと並ぶ


 それは巨大な黒龍だった!



 「……」


 俺は、その光景に呆然とする。

 アイリスや他のフォルフィバレク、ニカナの人々も同様だが、俺は違った意味で呆然とせずに入られない。



――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!!!


 「ひっ!」



 ようやく海面から半身が見えた時、その黒龍からすさまじい咆哮ほうこうが放たれると、生命の本能だろうかカエルが蛇ににらまれた様にアイリス達は身を硬直させて金縛りにあったように、それ以上動けなくなる。



――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!!!


 もう一度、凄まじい咆哮


 「「「………………お……おおおーーーーーー!!!」」」


 同じ様に呆然としていた桜花国民が、何かに気付いた様で一気にヒートアップして全員立ち上がった。


――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!!!


 それに応える様に黒龍も体全体を震わせながら咆哮を放つ。


 「「「ヲオオォォーーッ!!!」」」


 喜ぶ国民

 一方の国外の客人は、目が点の状態だ。


 そんな中、音楽隊の演奏がフッと止んだと思うと、続いて別の曲を演奏し出した。


 特撮が大好きだった訳ではないが、有名な作品だったため何度か見た事があったから、その曲を覚えていた。


 あぁ! これは、アレだ。

 キングな方の曲……。


 音楽と共に黒龍が現れた反対側

 会場から見ると右手の海が、こちらも盛り上がってきた。


 そして、同じ様に隆起した海が割れ、そこに現れたのは


 「リ、リバイアサンッ!」


 アイリスが口に手をあて必死に叫び声を押さえようとしている。

 ※言葉の名称は、地球で当てはまる言葉に変換されています。


 現れたモノは、その言葉を的確に表したように


 青い鱗

 蛇の様に長く巨大な胴体


 悠然ゆうぜんと鎌首をもたげたソレは、黒龍とは別種の青龍だった!

 


――KYUuuuuuiii!!!

――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!


 青龍が身をうねらせながら咆哮を放つと、同じく対面にいた黒龍が応えるように咆哮を放つ!


 「「「おぉぉーーーーーー!!!」」」


 2体の龍が、お互い認識し睨みあうと、会場は更にヒートアップ! 大きな声援と共に拍手が鳴り響く。



――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!


 それが合図だったのだろうか?


 黒龍が口を開けたかと思うと、そこからまばゆい光線が一気に放たれた。


――KYUuuuuuiii!!!


 すると同時に青龍の口からもジェット水流らしき物が放たれ光線とぶつかり合った。


――DooooooNNN!!!


 大きな爆発音と、水蒸気が一気に辺りに立ち登った。


 ただし、大きな音のわりに衝撃波も無く。

 耳を押さえるほどの大音量でもないので、配慮しているんだろう。


――KYUuuuuuiii!!!

――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!


 続いて両者が咆哮を放つと、凄い勢いで前に向かって進む。

 かなりの距離があったお互いの距離は、すぐに縮まり黒龍の方が先に動く。

黒龍は自身の尻尾を使い青龍の顔面をぎ払おうとする。

しかし、青龍は青龍で海面を這うようにソレをかわすと長い身体を生かし黒龍に巻き付くと、蛇の様に締め上げた。


――GYAAAAAAooooooooNNNNNNN!!!

――KYUuuuuuiii!!!


 巨大な龍が海上で暴れるさまは、大迫力で見応みごたえがあり、もし俺が当時の俺だったら特撮でなくリアルで起こっているソレを目にすれば、手に汗握り興奮していたに違いない。


 そう、当時の俺だったらの話しだ……。


 「何をやってるんだ? 彼女達は……」


 盛り上がっている国民には悪いが、頭を抱えたくなる。


 「アル……って、いないし……ポルトナは、知っていたのか?」

 「……はい、マサキ様、夜空様の提案でしたが、アルフィーナ様がソレの乗り、アオイ様がじゃあ私も! と意気投合してしまい……」

 「内閣に提案したと……許可しなければって無理か、あのメンツに言われたら」

 「はい……」


 肩を落とすポルトナ

 仕方が無い事だ、アルフィーナは第1王妃にして建国の立役者

 それにポルトナ達には、魔女様と慕われてきた。

 それに夜空は第2王妃で聖獣

 アオイの方は、聖獣にして王家の侍従長(絶大な影響力)

 いくら内閣と言えども逆らうのは無理だろう。


 「なら俺に言ってくれたら」

 「……マサキ様には言うなと、口止めを……それと、アルフィーナ様がミナ様にこの事を緘口令とする念の押し様……」


 ああ、つまりアルフィーナは、ミナと共同戦線を張ったわけか。

 どうせミナに聞いても「問われなかったので」と言うだろうしね。

 ミナは俺に危険や不利益にならなければ、だいたい許可するだろうから。


 「はぁー……っ、しかし、どうしよう。 どうやってこの騒ぎを収拾するんだ?」

 「どちらかが倒されれば終わるのでは?」

 「負けず嫌いの夜空と、久しぶりの表舞台(最近出番が少ない)アオイさんが、すぐに終わるとも思えないな」


 そろそろ終了してくれないと、観艦式の終了予定が延長される。

 そうなれば一般参加者の帰る足に影響が出てしまう。

 それは、自分達だけなら良いが、他の人には迷惑な話だ。


 「しょうがない、俺が行って2人を止めるか」

 「マスター、お待ちを」


 椅子から立ち上がろうとすると、ミナがそれを止めた。


 「マスターが、夜空様たちを実力でお止めになると、国民の目には夫が妻に暴力を振るっていると映るやもしれません」

 「別に暴力を振るうわけではないけど、う~ん……そう見えるかもしれない」

 「はい、あの2人が、ボコボコになるのは構いません、むしろ望むところ、胸がスッとします」


 胸がスッと? 胸だけにあの2人の胸の大きさに不満があるのかな?

 おっと、まったくの無表情だが、ミナから冷たい眼差しが!


 「しかし、もともとは、ミナが俺にもっと早く……と言っても仕方が無いか、で? そう言うなら何か代替案があるのかな?」

 「はい、ここはメイド達にお任せ下さい。 彼女達なら無事に鎮圧して見せましょう」


 ミナが目配めくばせすると、いつの間にかメイド達が頭を下げて並んでいた。


 「ん~……分かった。 任せるよ! でも、どうやって? 素手と言う訳ではないよね?」

 「はい、私はマサキ様に頂いたコチラを使います」


 最初に応えたのは舞花

 片手には、身の丈以上もある金属の柄がついた巨大なハンマー


 常人なら持つ事すら不可能なそのハンマーは、たしか……前に舞花から武器を作って欲しいと懇願こんがんされて作ったものだ。

 なんでも捕えたいモノが、いるとかで作ったものだけど、渡した後に凄く巨大な牛を捕まえて来たのには驚いた。


 その時


 「使用する前に大人しく捕獲されたので使用できませんでした」


 となげいていたけど牛の方は、どこかホッした表情だったような……まあ、その時のハンマーを持っていた。


 「これで頭を軽く叩けば、御2人とも目が覚めるでしょう」


 胸を張って応える舞花

 いや、ソレで殴るとマズイと思うよ。



 「私はコチラを」


 次に蓮花

 彼女は、トンファーを持っている。

 アレも舞花が武器を作って欲しいと言った時に、「でしたら私達も!」と懇願され一緒に作ったモノだ。


 「上下左右に殴打すれば、すぐに大人しくなります」


 回転の遠心力で相手にダメージをあたえるモノだけど、それで殴ればタダではすまないよね?



 「ふふ、私はコレですね」


 月花が取り出したのは、いくつもの短剣

 小型で取り回しが良く、コンバットナイフより小さい代物しろものだ。


 「コレなら斬るだけでなく、複数あるので縫い付ける事も可能です」


 縫い付けるって……。



 「続いて私はコレですね」


 翠花は、大きな和弓だ。

 ただし、金属製なので普通の人なら引く事すら出来ないモノだ。


 「眉間に1発必中です」


 眉間に必中させたらダメでしょ!




 「最後は、私ですね」


 氷花が取り出したのは、かなり長い刀だ。

 細身で物干し竿の様に長い刀は、すぐに折れてしまいそうだが特殊な金属を使っているので日本刀の折れず曲がらずを体現している。


 「ふふふ、ウナギのさばきならお手の物です。 背開き腹開きどちらでも捌いて見せましょう」


 うんうん、関東は背開き、関西は腹開きだからね! って、そうじゃないよね!



 「この者達なら、必ずや使命を果たしましょう」


 ミナが自信たっぷりに宣言すると、彼女達が馴染ませる様に武器を振る。

 建国前に作った物に懐かしさを感じていたが現在そんな姿を見せられると、この後どんな結末が待っているか想像出来て不安になってしまう。



 「………………うん、でも、まあ良いか! じゃあ、ヨロシク!」

 『『ヨロシクじゃない(わよ)!!』』


 俺が爽やかに笑ってメイド達を送り出そうとした時、大音量で上空からツッコミが入る。

 見上げると、夜空とアオイが慌てた様子で船の近くまでせまっていた。


 「いや、君達が治まらないと思って……」

 『どう見てもオーバーキルだろうが! それでも私の旦那かっ!』


 夜空が涙目で訴える。

 でも仕方が無いでしょ! だからここは、涙を呑んで……。


 『ふーっ、私達も度が過ぎたわ。 だからマサキ殿も怒らないでちょうだい』

 「でしたら分かりますよね?」

 『ええ、今から船底で着替えるわ! クロ、行きましょう』


 2人が海中に沈み数分すると、元の夜空とアオイが現れた。


 「まったく! 楽しませたいのは分かるけど限度ってモノがあるからね」

 「分かってるよ」

 「ハイハイ、私も分かってるわ、だからね!」


 夜空は、ときどきブレーキが効かない時があるけどアオイは、確信犯的な所があるんだよな。


 「あの、マサキ殿……先ほどのは……」


 ようやくフリーズ状態から脱したアイリスが、心配そうに聞いてきた。


 「ああ、先ほどの黒龍は、前に話したようにここにいる私の妻の夜空なんです」

 「そっ、そうだったんですね! 聞いてはいましたが、まさか本当にあの姿に慣れるとは驚きました」


 アイリスは、心底安心した表情になる。

 まあ、実際に目にして本当の事だと分かると、そうなるようね。


 「それでは、もう片方のリバイアサンの様な青い龍は?!」

 「ええ、コチラの」

 「マサキ殿、初めての自己紹介は、私がするわ」


 スッとアオイがアイリスの前に出た。


 「フォルフェバレクの女王、ご挨拶が送れてゴメンなさいね。 私は先ほど見た様に青い龍の聖獣で皆は、蒼水龍なんて言っているわ」

 「これはこれは、夜空様と真白様が聖獣だと聞いてましたが、まさかまだ聖獣様がいらっしゃるとは」


 驚きの表情でアオイに挨拶するアイリス

 それほどに聖獣が集まっている事が珍しいようだ。


 何て言ったって、現在確認されている聖獣は、夜空、真白、アオイ、それと、遠く離れた黄龍の4人だけだ。

 そして、世界で知られているのは黄龍だけ、他は知られて無いから驚くのも仕方が無いだろう。


 だから桜花には、その中の3人が集まっている事になる。

 チャコは、聖獣だけど半分だけだから3.5になるのかな?


 と考えていると、アオイの自己紹介はまだ続いているようだ。


 「驚かせて申し訳ないわね。 この国には私もいるのよ……そして、何を隠そう私はマサキ殿の4番目のヨ 「我が王家の侍従長を務めてもらっているんですよ」 メ……」

 「聖獣様が侍従の長を……それは凄い……」


 なにやら俺が割って入ったからアイリスは、それにも驚いているようだがアオイが侍従をしている事に素直に驚いているようだ。


 まったく、アオイさんは何を言い出すのやら……何か後ろで「照れなくても」とか言っているが、違うからね!



 とんだサプライズも終わり、防衛大臣が閉幕を告げる。

 これで観艦式が終了した。


 もっとも最後は、観艦式では無かったけど……。


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