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110.桜花国記(日章旗)


 ニカナ国 オモダル・アヤカ帝からの要望で伊勢國いせのくにに訪れた話



 本日は、アヤカ殿の要望で伊勢に足を運んでいる。

 この地におもむいた理由、それは


 伊勢神宮に参拝したいとアヤカ殿が言ったからだ。



 桜花国 伊勢國


 俺が桜花国を建国した初期

 憲法を制定した初代内閣から2つのやしろを桜花の地に造営したいとの願い出があった。


 その2つとは、

 出雲國いずものくに出雲大社いずもおおやしろと、

 ここ、伊勢國の伊勢神宮だ。


 当時の内閣総理大臣であるジェナートの説明だと、


 「マサキ様の祖国であり国の祖たる社、是非我が国にも造営したいと思います」


 だった。


 俺としては、桜花国独自の文化も大事にしたいので反対意見は無いのか尋ねると、満場一致で決まったとの事だったので国民の負担にならない範囲で行うようにと念押しして許可した。


 そして、出来上がった神宮と大社

 俺も日本では数回しか参拝したことが無かったが、日本の社と寸分違すんぶんたがわぬ造りに驚いたものだった。




 「ここが伊勢神宮ですか……」


 アヤカから感嘆の声が漏れる。


 アヤカは、ミナから日本の古事記を学び

 そして、桜花国で所蔵されている日本の歴史、文化の資料に目を通しておりニカナの人々の中でも日本に造詣ぞうけいが深かった。

 だからこれほど感動しているのだろう。


 「ええ、私の祖国のモノと同じ造りになっています」

 「マサキ様の祖国ですか……そう言えば、マサキ様は日本からお出でになったのでしたね」


 アヤカは、俺が日本の生まれで桜花を建国した経緯を外交官を通じて知っていた。

 ゆえにこの世界のどこかに日本があるのだろうと認識をしている。


 「マサキ様の祖国 日本と言う国がどの様な国か、この場所を肌身で感じるだけで素晴らしさが分かります」


 伊勢神宮は、その多くの部分が日本古来の様式を取っている。

 簡単に説明すると、狛犬は古代インドの文化であり魔除けの意味で神社に置かれる様になったが伊勢神宮には無い。

 他にも注連縄しめなわ賽銭箱さいせんばこなどもおかれていない。

 伊勢神宮が特殊であるとも言えるが、そもそも伊勢神宮の成り立ちが天照大神あまてらすおおみかみのお家を造営であるので日本古来の様式のみの方が住み心地が良いのだろう。


 「あら! あの旗は……」


 アヤカは何かに気付き空をあおぐようにソレを見た。


 「桜花国旗に似てますが違いますね、白地の布に……赤い丸……アレはいったい?」

 「ああ、あれは私の祖国 日本の国旗、日章旗ですね」


 大空に舞う白に赤丸の旗、日章旗。

 日本の国の旗であり、日本古来から使われる由来のある旗だ。


 「日章旗?」

 「ええ、私の祖国は太陽と深い結びつきの強い国なので、国旗に白地に紅色べにいろの丸、つまり日を現しています」

 「たしか……ミナ様にお聞きした日本の神様、天照大神あまてらすおおみかみは太陽の神様でしたわね」


 古事記では、神々と日本の島が出来た経緯、それと国づくりなどがまれている。

 ミナから古事記を教えられたアヤカは、日本の成り立ちを詳しく記憶していた。


 「ええ、他にも昔、祖国が西の国家に使者を派遣した時、自分の国を説明するの時、自国がその国の東にあった事から‘日出づる国’我が国は日の出る方向にある国ですと紹介したと言う事で日の出を現したとも言われ、国名も日の出るところ、日のもと、日本となっているのです」


 他にも諸説あるが、まあいい。


 「マサキ様の祖国日本と国旗は、そのような意味があるのですね」

 「ええ、ですから我が国の国旗は日章旗を手本にし、太陽の化身とされる八咫烏やたがらすへ変容してえがかれていおり今なお日本の文化と歴史を大切にしています」


 最初は、この地に初めて出来た学校からだった。

 そこで学ぶ子供たちに日本語と、日本文化、日本の歴史を教え、日本の道徳心やモノの考え方を学んで欲しくて描いた物だ。

 あの時は、目印である校章だったが、今ではそれが国旗として国民に受け入れられている。


 「なるほど、太陽から八咫烏へ、日本から桜花へ、受け継がれているのですね」

 「ええ、手前勝手な事ですが……」


 誰から言われたモノでも、誰からたくされたモノでもない。

 ただ、俺だけは、そう思いたい気持ちが強く……桜花国民も一緒の気持ちであれば、これほど嬉しい事はない。


 「あの日章旗は、我が国ではここ伊勢神宮と出雲國の出雲大社にしか掲揚けいようされておりません」


 国家として日本と日章旗の大切さを知っているので掲揚はこの2箇所だけに限定していた。

 別に法で禁止しているわけではないが、いわゆる不文法、暗黙の了解と言う事で桜花国内で無闇に掲揚される事は無い。


 「勉強になりました。 日出づる国 日本、日出づる国と心を同じにする桜花、そうすると桜花国の西に位置する我が国ニカナは、日出づる国より学びし国、となりますね」

 「いやいや、学ぶなんて……」

 「いいえ、我が国は貴国より学ぶ事山の様、この事決して忘れません」


 アヤカからの感謝の笑みと、決意の眼光にそれ以上何も言わなかった。






 この時の事は、アヤカ自身がニカナに帰還した後、桜花と日本への深い畏敬の念を周囲に語り聞かせ

 それは次世代、後世へと受け継がれる事になった。


 そして、この事がキッカケなのか分からないが、

 ニカナが世界に出た時、国旗としてもちいた旗は、


 白地にあざやかな朱色の丸


 であったと言う。


 




 紅色べにいろ ベニバナの黄色の成分を繰り返し丁寧に抜いて出切る事から戦国時代以前は高価な染料、染色品

 朱色は、黄色成分がまだ強く残ったモノ

 (他にも染色法はありますが、日章旗が正式に紅色としているのでニカナの国旗で朱色を使ったのは、それよりも安く済ませているとお考え下さい)


国旗の大切さ、ニカナの国旗の経緯を今回のお話で語っております。

幾分、要点が散漫になってますが、よろしくお願いいたします。


次回、総合火力演習

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