109.桜花国記(クリスが欲しい物)
短いネタ回です。
翌日
今日は、アイリス殿の娘さん
クリス王女から、どうしても欲しい物があると言う事でアイリス殿一行を連れて移動している。
唐突なクリスの申し出だったが、これからの予定に影響も無いので俺の方でOKを出しての移動だ。
アヤカ一行の相手は、アルフィーナと真白の2人に任せているので大丈夫だろう。
「それで、欲しい物とは何かな? お姐さんに言ってごらん」
で、もう1人の嫁さんである夜空がここに居る訳だ。
子供大好きな夜空は、西洋人形の如く可愛らしいクリスに目を細めていた。
「あ、あの……私……○リ○ュアのオモチャが欲しくて……」
「○リ○ュア?」
クリスの要望に首を傾げる夜空
そう言えば夜空はアニメとかに疎いんだった。
まったく見ないと言う訳ではないが、見る時はたいがい子供が夢中で見ているから一緒に見ているだけで自ら進んで見るようなタイプではない。
ゆえにアニメのタイトルを聞いても分からないのだ。
「ああ、ネットで配信されているアニメのタイトルだよ、たしかクリス殿下は、そのアニメに夢中だって聞いているよ」
「アニメ……そうなのか?」
「はいっ!」
クリスは、目を輝かせて答える。
それほど気に入ったようだ。
「娘が申し訳ありません。 もともと御伽噺などのお話が好きで、王家が所蔵する書物の中で勇者と姫の恋物語や伝説の物語などを食い入る様に毎日読んで……」
「いえいえ、誰しも物語に憧れや恋話に想い深けるものですよ」
アイリスが急な予定変更に頭を下げて謝るが、そういう年頃もあるさ!
ましてやクリス嬢は、いままで見た事も無かったアニメと言う刺激に夢中になっているようだから仕方がない。
「なんだ、その玩具が欲しいのか!?」
「はい……見ていた時、最後にそう言った物があると言っていたので……」
たぶんそれは、そのアニメ関連のCMだ。
桜花国のネット放送は、番組の途中でのCMは入る事はない。
なので玩具などの宣伝放送分は、最後に纏めている場合がある。
どうやらクリスは、それを見て欲しくなったようだ。
ちなみに
これら桜花国で放送されているアニメは、ミナが記憶していた日本のアニメだ。
もちろん海外のアニメ、ドラマから、歴史、ドキュメンタリーに至るまで無料で見れる。
ただし、アイリス一行にその全てを見せる訳には行かないので検閲された物だけ見せていた。
「ふむ、玩具か……マサキ、そうするとオモチャ屋か?」
「いや、結構古い作品だし売っているとしたらアソコだ!」
「アソコ?」
その場所に心当たりの無い夜空が聞き返す。
「そう、アキバだ!」
と、言う事で
今現在アキバの街中に来ている。
ここアキバは、電気街でありアニメやゲームの街としても知られる有名なところだ。
日本の秋葉原と共通しているが、ここは桜花国のアキバであって日本の秋葉原では無いのでご了承願いたい。
「とうちゃーく、ここならクリスちゃんが欲しいと言っている物があるはずだ、な?マサキ」
「そうだね。 今調べているからチョット待ってね」
通信を使い探している物に検索をかけると同時にアイリスたちを見ると、彼女達はこの街にかなり戸惑っているようだ。
もっとも、それもそうだと思う。
所狭ましと絵が描かれている街の建物、煌びやかな電飾、そこら中から聞こえる音楽
電気屋とグッズ屋の隙間に挟まれるようにある飲食店
色々な物が混ざったこの街は、アイリス達には今まで以上に異色の物に見えるに違いない。
「うわぁ~~~~! すごーーーーーい!」
そんな中、クリスだけ違った。
それはもう、田舎から都会に出てきた者の如く、右へフラフラ、左にフラフラと何処かに行ってしまうのでは無いか心配になるぐらいハシャいでいる。
「ま、マサキ殿……ここは、いったい?」
「ああ、驚いていると思いますが、申し訳ありません。 ここは桜花国でも特殊な土地で……」
アイリス達の動揺に苦笑いしか出来ない。
この場所を説明するには、俺には難しいので今は我慢してもらおう。
「……と、出てきた! あそこの建物の3階に取り扱っているお店があるようだよ」
「よし! じゃあ、クルスちゃん行こう!」
「はい!」
2人は手を繋ぎ走って行くと、それを見たクリスの護衛は慌てて追いかける。
周囲には、普通に桜花の民が買い物をしているが、事前に通知しているので騒がれる事はない。
それでも俺を見た国民から深々と頭を下げられ事もある。
まあ、そんな時は笑顔を返すだけだが……。
時おり
「クリスさま、ヤバイ!」
「マジ天使!」
など一部にファンがいるようだが、何かあれば、お巡りさんこっちです! になるから大丈夫だ。
クリスが買った物は、プレスチックの玩具とそれに付随するカード
それとアニメをコミカライズした漫画本が数点、日本語は読めないのだが、どうやら絵が気に入ったみたいだ。
クリスは買った物を大事そうに抱えて喜んで
俺と夜空に「ありがとうございます!」と、笑顔で礼を言ってくれた。
クリスは帰国後、これらの品々を宝物の様に大事に保管される。
年月が過ぎ若くない年齢となったクリスは、時おりあの時見たアニメの事を思い出すと、子や孫にこの玩具を見せ当時の事を語り聞かせたという。
クリスが没した後も宝物庫に大切に保管されていたが、ある火災の時にそれらも一緒に燃えてしまい跡形も無く失われてしまう。
もし、これらが失われること無く残っていれば、まだプラスチックが発明される遥か前に桜花国でプラスチックが扱われていた! と言う大発見に繋がったのだが、それは永遠に失われたのだった。




